新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:私は,昨年結婚し,今は子どももいるのですが,最近になって数年前に交際していた男性にストーカー行為をされるようになり困っています。この男性とは,先月,自宅近くのコンビニで偶然会い,すこし立ち話をしたのですが,それ以来私の自宅マンションのエントランス付近で頻繁に会うようになりました。また,どうやって調べたのかはわかりませんが,自宅の電話に何度も電話をかけてきて,食事に誘われたり,交際を再開したいと言われました。私は,すでに結婚していて,子どももいるので電話をされるのは迷惑だと伝えたのですが,それ以降は一日に何回も無言電話がかかってくるようになり,自宅の玄関ドアの隙間にこの男性からの手紙が入っていたことが何度もありました。最近では,この男性が外で待ち伏せしているかと思うと,怖くて一人で外出できませんし,夫との関係もぎくしゃくしてしまい,精神的にとても辛いです。男性のストーカー行為を止めることはできないでしょうか。また,私は男性に対し,法律上どのようなことがいえるかを教えていただきたいです。 解説: ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年五月二十四日法律第八十一号) 1(「つきまとい等」と「ストーカー行為」の違い) 2条(定義) 上記のとおり,ストーカー規制法は,「つきまとい等」に該当する行為を定義し(2条1項),同一の者に対し「つきまとい等」を反復して行った場合を「ストーカー行為」と定義しています(2条2項)。 2(ストーカー規制法が禁止する「つきまとい等」) 「つきまとい等」は規制の対象となる行為ですが,ストーカー規制法は「つきまとい等」に該当するあらゆる行為を直ちに禁止するものではありません。いかなる「つきまとい等」が禁止されるかについては,ストーカー規制法3条が規定しています。 3条(つきまとい等をして不安を覚えさせることの禁止) 法は禁止行為について,3条の見出しに記載されているとおり,@つきまとい等をして,A相手方に不安を覚えさせることという2つの要件を必要としています。したがって,ストーカー規制法3条違反といえるためには,単につきまとい等がなされただけでは足りず,Aの要件が必要となります。なお,Aの要件については,行為の相手方が実際に不安を覚えていることが必要である一方,方法に限定はないため,社会通念上相手方に不安をおぼえさせるような方法でつきまとい等が行われる必要はないと解されています。 3 (男性の行為はストーカー規制法上の「つきまとい等」にあたるか) 次に男性が行った各行為が,2条1項各号の「つきまとい等」に該当するかを検討します。男性があなたの自宅マンションのエントランス付近で待ち伏せしているのであれば2条1項1号の「待ち伏せ」に該当しますし,一日に何回もかかってくる無言電話については5号の「連続して,電話をかけ」に該当します。手紙については,記載されている内容にもよりますが,交際を要求する内容であれば3号の「交際・・・を要求すること」に該当するといえるでしょう。 4(男性の行為はストーカー規制法上の「ストーカー行為」にあたるか) 5 (警告について) 4条(警告) 6 (禁止命令について) 5条(禁止命令等) 5条1項1号が禁止命令であり,同条項2号の命令は1号の禁止命令の実効性を担保するためになされる補充的な命令です。第2号の具体例としては,写真,ビデオテープ等が送付されている場合にそのネガ,マスターテープ等の廃棄命令等が考えられます。 7 (罰則について) 13条(罰則) 8 (適用上の注意) 16条(適用上の注意) 同条の趣旨ですが,規制対象となる法2条1項各号の行為の中には,日常生活において容易に行われやすいものも含まれており,法の運用いかんによっては人権侵害につながりかねないため,あえて明文で注意規定を設けたものといえます。したがって,警察に対して,被害申告や警告を発してもらうように申し出る場合でも,まずは警察に対して被害状況を示せる証拠を提示できるかが重要となります。 《判例参照》 ストーカー行為等の規制等に関する法律違反,脅迫被告事件 この判例は,ストーカーの内容について,規制法,2条1項各号に該当する行為を反復する行為と説明していますが,最高裁判所平成17年11月25日判決で変更され,2条1項各号の行為について他の号に該当する行為を含めて総合的に判断し反復性を認めています。 判決抜粋
No.1252、2012/4/9 14:52
【ストーカー防止法・恋愛,好意感情に端を発する「つきまとい行為」と「ストーカー行為」対策・東京高等裁判所平成15年3月26日判決】
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回答:
1.男性の行為は,ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下,「ストーカー規制法」といいます。)で禁止される,「つきまとい等」や「ストーカー行為」に該当する可能性があります。それぞれの用語の意味や相違点については,解説をご覧ください。
2.あなたは,「つきまとい等」の被害に遭っていることを理由に,男性に対して「警告」を発してもらうよう警察に申し出ることができます。男性が,警察から警告を受けたにもかかわらず,警告を無視して「つきまとい等」の行為を続けた場合,公安委員会は,男性に対して,当該行為を禁止する「禁止命令等」を発することができます。この禁止命令に違反した場合には,罰則が定められていますし,男性の行為が法律上の「ストーカー行為」に該当すると判断されれば,警告や禁止命令を経ずに刑罰を科すことも可能です。
3.男性の行為を止めるためには,警察に被害申告をし,まずは警告を発してもらうことをめざす必要があります。もっとも,一方的な被害申告により警察が軽はずみに動くと,国民の権利が不当に侵害されることになるため,同法は16条において適用上の注意について規定を設けています。それゆえ,男性の問題行為について何の証拠も準備しないまま,警察に被害申告をしたとしても,警察が動いてくれる可能性は低いです。ご相談の事案での証拠としては,@無言電話がかかってきた日時や回数についての記録,A男性からの手紙のほか,B男性がエントランスで待ち伏せをしている姿を映した写真等が考えられます。
4.上記のストーカー規制法による対処以外の手段としては,男性に対し,民事の損害賠償として不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられますが,時間もかかりまずは,警察に相談する方法を検討すべきでしょう。なお,ストーカー規制法の禁止する,「つきまとい等」や「ストーカー行為」は,民事上も不法行為に該当すると考えられますので,ストーカー行為等により精神的苦痛を受けたことを理由に損害賠償を求めることになります。ご相談のような案件は,ご自身で対処しようとすると,相手の行動がエスカレートし問題が大きくなる場合もありますので,早期に弁護士に相談し,方針の決定や証拠の収集,警察への対応についても助言を受けたほうがよいでしょう。解説に警察へ相談する場合について詳しく説明します。
5.表面上恋愛,好意感情が原因となってつきまとい行為が行われる場合であっても,実は金銭的要求が根底にある場合があります。この様な相手方と金銭的話し合い,交渉は,第三者を立て冷静なる対応が必要です。この場合は弁護士が必要不可欠になるでしょう。対応を誤ると,職場,家庭に予期せぬ影響を及ぼし,インターネットでの中傷など思わぬ方向に事態が推移する可能性があります。つきまといには,行為者の精神的な問題の他,被害者側にも何らかの原因が隠されている場合もあり,原因の究明と対策を冷静に分析する必要があります。相手方を処罰しても,真の解決にならない場合もあり専門家と協議することが大切だと思います。特に社会的地位を有する方は,事前の対策が重要です。
6.事務所事例集も参照してください。
(ストーカー規制法の趣旨)
この法律は,恋愛,好意感情等を原因とするいわゆる「つきまとい行為」に関して,被害者の,行動,身体の自由,私生活の平穏,名誉,プライバシー等の保護法益を保全し個人の尊厳を実質的に保障する観点から制定されています。どうして,恋愛感情及びそれに関する怨恨を原因とするものに限定しているのでしょうか。取引行為と異なり,恋愛等感情による人間交際関係は,経済的打算を超えた,理論的に説明できない繋がりを基本として成り立つ場合があり,被害者側の私生活の経済的,人格的利益を予想ができない手段により実質上侵害し,不測の被害を生んでしまう危険性を内包することから,従来の刑法等の規制(脅迫,名誉毀損等)では十分対応できない事態が生じ,この隙間を埋めるために規制法は制定されています。
従って,条文の解釈も以上の趣旨から行う必要があります。ただ,表面上,理屈では説明できない主張,行動でも,実はその背景に経済的要求を主とする場合も存在し,この要求を,恋愛感情という特殊な理屈を隠れ蓑に行おうとする場合があります。被害者側の原因も冷静に分析し,事件の早期終結を目的として捜査機関と協力し冷静なる対応が求められる複雑な犯罪です。
(目的)
第一条 この法律は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。
ストーカー規制法が規制している行為は,「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。同法による警告や罰則を科すためには,一般的な用語としての「つきまとい」や「ストーカー」に該当するだけでは足りず,同法が定義する「つきまとい等」や「ストーカー行為」に該当する必要があります。
「つきまとい等」と「ストーカー行為」の定義については,ストーカー規制法2条に規定があります。
T この法律において「つきまとい等」とは,特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,住居,勤務先,学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし,又は住居等に押し掛けること。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず,又は拒まれたにもかかわらず,連続して,電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六 汚物,動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し,又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き,又はその性的羞恥心を害する文書,図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
U この法律において「ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
ストーカー規制法は,「つきまとい等」と「ストーカー行為」を規制の対象としていますが,罰則の対象となるのは,基本的には「ストーカー行為」に限られます。また,警察や公安委員会が,「警告」や「禁止命令」を発する場合,「反復して当該行為[つきまとい等]をするおそれがあると認めるとき」が要件とされています。このように,ストーカー規制法に基づいて,相手男性の行為を止めようとする場合,問題行為の反復性が非常に重要となります。
何人も,つきまとい等をして,その相手方に身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。
ストーカー規制法上の「つきまとい等」に該当するといえるためには,恋愛感情等を充足する目的が必要です(2条1項柱書)。したがって,恋愛感情は全く関係のない,例えば借金の取り立てのために2条各号の行為がなされた場合には,ストーカー規制法による規制の対象にはなりません。ご相談の件では,男性は交際の再開を求めてあなたに接触をしてきているようですので,恋愛感情を充足する目的の要件は満たしているといえます。
あなたの自宅まで来て玄関ドアに手紙を挟む行為が1号の「住居等に押し掛ける」に該当するかは問題になりますが,ストーカー規制法の解釈及び運用上の留意事項についての通達(平成21年3月30日,丙生企発第31号)によれば,「『押し掛け』とは住居等の平穏が害されるような態様で行われる訪問であって社会通念上容認されないものをいう。」とされています。それゆえ,単に手紙を玄関ドアに挟んで帰るだけであれば,「押し掛け」には該当しないと判断される可能性が高いです。
「ストーカー行為」に該当するといえるためには,「つきまとい等」が「反復して」行われる必要があります。どの程度の頻度であれば「反復して」の要件を満たすかは解釈の問題になりますが,8回の電子メール送信行為と1回のはがき投函行為を併せて,反復して面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求した(ストーカー規制法1条3号)と認定した裁判例が参考になります(東京高等裁判所平成15年3月26日判決)。
また,「反復して」の文言の解釈については,かつては,ストーカー規制法2条1項の同一の号に該当するつきまとい等を反復した場合に限りストーカー行為が成立するという解釈・運用がなされていました。しかし,最高裁判所平成17年11月25日判決が,「『ストーカー行為』とは,同条1項1号から8号までに掲げる『つきまとい等』のうち,いずれかの行為をすることを反復する行為をいい,特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限るものではないと解すべきである」と判示したことを受けて,現在は,2条第1項各号に定められた行為が全体として反復したと認められればストーカー行為が成立するとの運用がなされています。
ご相談の男性の行為ですが,それぞれの行為の回数・頻度にもよりますが,待ち伏せ行為,無言電話,玄関ドアへの手紙の挟み込み行為を併せて考慮すれば「反復して」の要件を満たし,ストーカー行為に該当すると判断される可能性が高いです。
ストーカー行為については,罰則の定めがあり法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています(ストーカー規制法13条)。本罪は親告罪ですので,男性の処罰を求める場合には告訴をする必要があります。
男性の行為を止める直接的な手段として,警察から警告を行ってもらうことが考えられます。いかなる場合に警告がなされるかについては,ストーカー規制法4条1項に定められています。
T 警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は,つきまとい等をされたとして当該つきまとい等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係る前条の規定に違反する行為があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,国家公安委員会規則で定めるところにより,更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。
上記のとおり,警告がなされるためには,@警告を求める旨の申出があり,A申出に係るストーカー規制法3条の規定に違反する行為があると認められ,かつ,B当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認められるという3つの要件を満たす必要があります。
警察からなされる警告の方式・内容ですが,所定の様式の警告書(警告の内容(更に反復して当該行為をしてはならない旨),つきまとい等の目的と思われる事項,その他参考事項等が記載されます)を警告の対象者に対し交付してなされます。文書作成の時間がなく急を要する場合は,事案により口頭による電話でも対応してくれますから警察署で要請してください(ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則2条)。
警告を受けた者が当該警告に違反した場合には,公安委員会は,警告を受けた者に対して禁止命令等を行うことができます。禁止命令等の要件と内容については,ストーカー規制法5条1項に定められています。
T 公安委員会は,警告を受けた者が当該警告に従わずに当該警告に係る第3条の規定に違反する行為をした場合において,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,国家公安委員会規則で定めるところにより,次に掲げる事項を命ずることができる。
一 更に反復して当該行為をしてはならないこと。
二 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
禁止命令等に違反した場合には罰則の定めがあり,禁止命令等に違反してのストーカー行為については,単なるストーカー行為よりも重い罰則が科せられることになります(ストーカー規制法14条,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
罰則については,ストーカー規制法13〜15条に規定があります。ストーカー規制法においては,禁止される行為と罰則が科される行為にずれがあり,また,罰則の有無・程度については先行する禁止命令があるかによって影響を受けます。
T ストーカー行為をした者は,六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
U 前項の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。
14条
T 禁止命令等(第5条第1項第1号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は,一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
U 前項に規定するもののほか,禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより,ストーカー行為をした者も,同項と同様とする。
15条
前条に規定するもののほか,禁止命令等に違反した者は,五十万円以下の罰金に処する。
上記のとおり,ストーカー規制法は,原則として「ストーカー行為をした者」を処罰の対象としています。すなわち,罰則を科すにあたっては,「反復して」いることを重要な要素と考えていることがわかります。なお,15条のみ,ストーカー行為に該当しない行為を処罰していますが,禁止命令に違反してつきまとい等を行うという悪質さを重視しているためといえます。
ストーカー規制法は,「適用上の注意」との見出しで,以下のような規定を置いています。
この法律の適用に当たっては,国民の権利を不当に侵害しないように留意し,その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。
ご自身で被害申告をした場合に,警察が動いてくれないような場合には,お近くの法律事務所に相談し,弁護士と協議しながら警告の申出等の準備を整えることをおすすめいたします。
東京高等裁判所平成15年3月26日第5刑事部判決(ストーカー行為等の規制等に関する法律違反,脅迫被告事件)
「確かに,はがきの投かん行為をしたのは1回だけであり,はがきを送ることを反復しているわけではない。しかしながら,ストーカー規制法2条2項にいう「つきまとい等・・・を反復してする」とは,同条1項各号に掲げる行為について同じ号に該当する行為を反復して行うことであり,ストーカー行為は,同条1項各号ごとに犯罪の成否を考えるべきである。本件のように,同条1項3号に該当するつきまとい行為について,郵便物の郵送,電子メールの送信というように複数の態様によるものである場合には,個々の態様のつきまとい行為が反復されているかを見るのではなく,同条1項3号に該当する複数の態様の行為を併せ考えて,これらの行為が反復しているかを判断するべきである。本件の場合,はがきの投かん行為は1回しかしていないものの,原判示第1の(1)のとおり,電子メールの送信を前後8回にわたり行っており,電子メールの送信行為8回とはがきの投かん行為1回を併せて柳原に面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求したものであって,これが同条1項3号の行為を反復してなされ,これが柳原の身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われたものであると認められるから,はがきの投かん行為がストーカー行為に当たらないとの所論は採用できない。」