新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:私は,工事代金2000万円で近所の工務店に自宅の建築を注文し,今年の8月に完成,引き渡しを受け代金を全額支払いました。しかし,この家に住んでみると様々な不備が見つかり,その都度補修工事なり追加の工事をしてきたのですが,結局不具合が改善されることはありませんでした。そこで,第三者である建築士に頼んで,建物を調査したところ基礎や土台に問題があり,全部壊して新たに建て直さなければならないことが明らかになりました。私は,建築費全額を返還してもらおうと思い,工務店に請求したところ,工務店は,建物の請負工事の場合,家が出来上がっていれば契約の解除はできないこと,建物に欠陥があれば修理をするので連絡してほしいということで工事代金の返還には応じませんでした。私としては,この工務店には修理も頼むつもりはありません。解体の費用や支払った工事代金全額の返還請求はできないでしょうか。 解説: 2.民法の請負に関する条文として,本件に関して問題となるのは634条以下の請負人の瑕疵担保責任に関する規定です。請負人の瑕疵担保責任とは請負人が完成した仕事に何らかの瑕疵があった場合,請負人がどのような責任を負うかという問題です。請負契約においては,請負人は仕事を完成させるという債務を負っていますから,仕事をしない場合は債務不履行責任を負うことになっています。 3.本件のような建物建築請負契約に関して瑕疵担保責任の内容が問題となるのは,635条です。同条は,仕事の目的物に瑕疵がありそのため,注文者が契約の目的を達することができない場合は,注文者は契約を解除することができる,と規定していながら,ただし書で「建物その他と土地の工作物については,このかぎりでない。」と規定しています。つまり,建物の請負契約については,契約の目的を達せられないような瑕疵がある場合でも,契約の解除はできない,と規定されているのです。このことから,本件のように著しい欠陥がある住宅でも契約の解除は認められないことになります。そうすると,契約の解除ができないのであれば,解除をしたのと同様の結果となる工事代金全額費用の支払いを請求することもできないのではないか,という疑問が生じます。 4.この点について最高裁判所の判例があります。ご質問と同様の事案について判例は,「建物に重大な瑕疵があるため,これを建て替えざるを得ない場合には,・・・建物の建て替えに要する費用相当額を損害としてその賠償を請求することができる。」としています(最判平14.9.24)。結論としては妥当な判断と考えられますが,民法635条ただし書との関係をどのように解するかという疑問については次のように解釈しています。 5.建て替え費用相当額の損害賠償請求が認められる場合,それまで建物に居住していたという利益や,建物を建て替えて耐用年数の伸長した新築建物を取得するという利益は,損益相殺の対象として,建て替えに要する費用相当額の損害額から控除すべきであるか否かが問題となった判例がありますので紹介します。 最高裁(最判平22.6.17)は, ≪参考判例≫ 最高裁平成14年9月24日判決(下線部は筆者) 2 原審が適法に確定した事実関係の概要は次のとおりである。 3 請負契約の目的物が建物その他土地の工作物である場合に,目的物の瑕疵により契約の目的を達成することができないからといって契約の解除を認めるときは,何らかの利用価値があっても請負人は土地からその工作物を除去しなければならず,請負人にとって過酷で,かつ,社会経済的な損失も大きいことから,民法635条は,そのただし書において,建物その他土地の工作物を目的とする請負契約については目的物の瑕疵によって契約を解除することができないとした。しかし,請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に,当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく,また,そのような建物を建て替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは,契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって,請負人にとって過酷であるともいえないのであるから,建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることを認めても,同条ただし書の規定の趣旨に反するものとはいえない。したがって,建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額を損害としてその賠償を請求することができるというべきである。」 最高裁平成22年6月17日判決(下線部は筆者) 2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。 3 原審は,上告人らの不法行為責任を肯定した上,本件建物の建て替えに要する費用相当額の賠償責任を認めるなどして,被上告人らの請求を各1564万4715円及び遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきものとした。 4 所論は,被上告人らがこれまで本件建物に居住していたという利益や,被上告人らが本件建物を建て替えて耐用年数の伸長した新築建物を取得するという利益は,損益相殺の対象として,建て替えに要する費用相当額の損害額から控除すべきであるというのである。 5(1) 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないと解するのが相当である。 ≪参考条文≫ 民法
No.1264、2012/5/8 16:00 https://www.shinginza.com/qa-fudousan.htm
【民事・建物建築の瑕疵と契約解除・最高裁平成14年9月24日判決・最高裁平成22年6月17日判決】
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回答:
1.建物の瑕疵が著しく補修工事では完全な建物としての用途を果たせず,建て替えの必要がある場合は,工事代金全額並びに解体費用を損害金として請負人である工務店に対し請求できる,と考えられます。また,建物引き渡し後の居住していたことや,建替えによる耐用年数伸長分の利益については,利益とはみなされず損害額から控除されることもありません。
2.この事例集論文は,706番の加筆訂正を行ったものです。
1.建物の建築工事を工務店などに注文する場合を請負契約といいます。請負契約については民法632条から642条までに規定があります。これらの規定は任意規定といって当事者間の契約の内容が不明の場合の規定ですので,契約内容は原則として,契約当事者が自由に決めることができます。ここでいう請負契約とは,契約当時者の一方(請負人)がある仕事(たとえば家を建てる仕事)を完成することを約束して,他の一方が(注文者)がその仕事に対する報酬(工事代金)を支払うことを約束する契約です(民法632条)。注文に応じて仕事をするという契約ですから,品物を売るという売買契約とは違う契約とされています。建物注文する請負の契約に似ている契約に,建売がありますが,これは出来上がっている建物を購入するという売買契約ですので,請負契約とは違うものとされています。
建物の請負契約においては契約書を作成することが役所の指導でおこなわれており,紛争が生じた場合はまずその契約書の定めに従って解決されることは,説明したとおりです。しかし,本件のように建物は一応完成したが,建て替えが必要な場合,工事代金全額の返還をすべきか否かという事態に対応するような契約条項は定められていないのが通常です。そこで,契約書にない場合は民法の条文に従って解決することになります。
しかし,仕事が完成した場合は請負人の債務は完了しており債務は履行されたことになります。しかし,仕事の結果に瑕疵,欠陥があった場合は債務不履行とはならないが,欠陥について請負人が一定範囲で責任を負う,としたのが請負人の瑕疵担保責任です。瑕疵があるのであれば仕事は完了していないと考えることもできますが,民法は請負人の債務としては仕事の面に着目し一応仕事が完了していれば,仕事の結果に瑕疵があっても債務不履行はないが,瑕疵担保責任というのを法律上負わせることにした,と解釈されています。請負契約というのは,仕事を完成することを目的としている契約ですから一応仕事が外形上完成した場合は債務としては完了したことになり債務不履行責任は負わないとされているのです。
このように,完成した仕事に欠陥があった場合は,債務の履行とは関係なく請負人に責任を負わせるのが,民法の定める「請負人の瑕疵担保責任」です。これは,結果責任ですから,瑕疵があった以上は,請負人は自分に責任がないとは言えません。報酬をもらって仕事をする以上は仕事の完成について請負人が結果責任を負うことは当然であり,そのことを民法は明らかにしたと言えるでしょう。このように結果責任ですから,請負人は一生懸命仕事をしたので不可抗力により瑕疵が生じたなどという弁解はできません。そのため民法は,請負人に過度の結果責任,瑕疵担保責任を負わせることのないよう瑕疵担保責任の内容について詳しく定めているのです。
本件での工務店の代金を返還しないという主張もこのような理由に基づくものと考えられます。法律理論的には契約の解除の場合は,契約がなかったことになり,契約前の状態に戻す必要があることから代金2000万円の返還請求が認められるのに対し,損害賠償は契約の存在を前提に瑕疵を補修するための費用としての建て替え工事の金額を請求するので,同じ2000万円の請求といっても違う権利であることは明らかです。そうすると,請負人は結果として契約が解除された場合と同じ責任を負うことになり,建て替えのための費用の全額賠償を認めることは請負人の責任を限定している民法635条のただし書の趣旨に反しないか,問題となります。
まず,635条ただし書が,建物の請負について契約の解除ができないとしている理由は,1 完成している建物について解除を認めると建物の撤去が必要となり社会的経済的な損失となること。2 契約の解除まで認めると,請負人に不測な多大な損害を負わせることになり酷であること,以上の理由から建物の瑕疵を理由とする解除を制限しているのである,と条文が制定された理由を説明し,そのような不都合がない場合は,解除を認めることはできないが,建て替え費用を損害賠償として認めたとしても不都合はなく,条文の趣旨に反しないと解釈しました。そして,具体的に事案に沿って検討し完成した建物の瑕疵が著しく建て替えもやむを得ないような場合は,そのような建物は存在自体危険な建物であり撤去しても社会経済的に大きな損失ということにはならないし,また,請負人にとってもそのような工事をしていたのであれば建て替え代金相当の金員の支払いを負担させても酷ではない,と判断しました。
解除はできないとしても,解除があったのと同様の損害賠償を認めても良い,ということになります。結論としては,妥当な判断と考えられますが,具体的な裁判となると,建て替えが費用か否か必要か否かについては,損害賠償を請求する注文者が主張立証する必要がありますので,その点建築の専門家の意見が必要となるでしょう。
「当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないと解するのが相当である。・・・(建物の買主らが,)社会経済的な価値を有しない本件建物を建て替えることによって,当初から瑕疵のない建物の引渡しを受けていた場合に比べて結果的に耐用年数の伸長した新築建物を取得することになったとしても,これを利益とみることはできず,そのことを理由に損益相殺ないし損益相殺的な調整をすべきものと解することはできない。」
と判示しました。本判決は,不法行為に基づく損害賠償が請求された場合について判示したものではありますが,その射程は請負人の瑕疵担保責任に基づき損害賠償請求をする場合にも及ぶと評価されています。
「1 本件は,建物の建築工事を注文した被上告人が,これを請け負った上告人に対し,建築された建物には重大な瑕疵があって建て替えるほかはないとして,請負人の瑕疵担保責任等に基づき,損害賠償を請求する事案である。建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することが,民法635条ただし書の規定の趣旨に反して許されないかどうかが争われている。
被上告人から注文を受けて上告人が建築した本件建物は,その全体にわたって極めて多数の欠陥箇所がある上,主要な構造部分について本件建物の安全性及び耐久性に重大な影響を及ぼす欠陥が存するものであった。すなわち,基礎自体ぜい弱であり,基礎と土台等の接合の仕方も稚拙かつ粗雑極まりない上,不良な材料が多数使用されていることもあいまって,建物全体の強度や安全性に著しく欠け,地震や台風などの振動や衝撃を契機として倒壊しかねない危険性を有するものとなっている。このため,本件建物については,個々の継ぎはぎ的な補修によっては根本的な欠陥を除去することはできず,これを除去するためには,土台を取り除いて基礎を解体し,木構造についても全体をやり直す必要があるのであって,結局,技術的,経済的にみても,本件建物を建て替えるほかはない。
「1 本件は,新築建物を購入した被上告人らが,当該建物には構造耐力上の安全性を欠くなどの瑕疵があると主張して,その設計,工事の施工等を行った上告人らに対し,不法行為に基づく損害賠償等を求める事案である。
(1) 上告人Y1は,上告人Y2との間で,鉄骨造スレート葺3階建ての居宅である第1審判決別紙物件目録記載2の建物(以下『本件建物』という。)の建築を目的とする請負契約を締結した。その工事の施工は上告人Y2が,その設計及び工事監理は上告人Y3及び上告人Y4が行い,本件建物は平成15年5月14日までに完成した。
(2) 被上告人らは,平成15年3月28日,上告人Y1から,代金3700万円で,持分を各2分の1として本件建物及びその敷地を購入した。被上告人らは,同年5月31日,本件建物の引渡しを受け,以後これに居住している。
(3) 本件建物には,柱はり接合部に溶接未施工の箇所や,突合せ溶接(完全溶込み溶接)をすべきであるのに隅肉溶接ないし部分溶込み溶接になっている箇所があるほか,次のような構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があるため,これを建て替えざるを得ない。
ア 1階及び2階の柱の部材が小さすぎるため,いずれも柱はり耐力比が制限値を満たしていない上,1階の柱については応力度が許容応力度を超えている。
イ 2階の大ばりの部材が小さすぎるため,応力度が許容応力度を超えている。
ウ 2階及び3階の大ばりの高力ボルトの継ぎ手の強度が不足している。
エ 外壁下地に,本来風圧を受けない間仕切り壁の下地に使用される軽量鉄骨材が使用されているため,暴風時などに風圧を受けると,大きなたわみを生じ,外壁自体が崩壊するおそれがある。
オ 基礎のマットスラブの厚さが不足しており,その過半で応力度が許容応力度を超えている。
前記事実関係によれば,本件建物には,2(3)のような構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があるというのであるから,これが倒壊する具体的なおそれがあるというべきであって,社会通念上,本件建物は社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであることは明らかである。そうすると,被上告人らがこれまで本件建物に居住していたという利益については,損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできない。
(2) また,被上告人らが,社会経済的な価値を有しない本件建物を建て替えることによって,当初から瑕疵のない建物の引渡しを受けていた場合に比べて結果的に耐用年数の伸長した新築建物を取得することになったとしても,これを利益とみることはできず,そのことを理由に損益相殺ないし損益相殺的な調整をすべきものと解することはできない。」
<宮川光治裁判官 補足意見>
「建物の瑕疵は容易に発見できないことが多く,また瑕疵の内容を特定するには時間を要する。賠償を求めても売主等が争って応じない場合も多い。通常は,その間においても,買主は経済的理由等から安全性を欠いた建物であってもやむなく居住し続ける。そのような場合に,居住していることを利益と考え,あるいは売主等からの賠償金により建物を建て替えると耐用年数が伸長した新築建物を取得することになるとして,そのことを利益と考え,損益相殺ないし損益相殺的な調整を行うとすると,賠償が遅れれば遅れるほど賠償額は少なくなることになる。これは,誠意なき売主等を利するという事態を招き,公平ではない。重大な欠陥があり危険を伴う建物に居住することを法的利益と考えること及び建物には交換価値がないのに建て替えれば耐用年数が伸長するなどと考えることは,いずれも相当でないと思われる。」
(請負)
第632条 請負は,当事者の一方がある仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって,その効力を生ずる。
(報酬の支払時期)
第633条 報酬は,仕事の目的物の引渡しと同時に,支払わなければならない。ただし,物の引渡しを要しないときは,第624条第1項の規定を準用する。
(請負人の担保責任)
第634条 仕事の目的物に瑕疵があるときは,注文者は,請負人に対し,相当の期間を定めて,その瑕疵の修補を請求することができる。ただし,瑕疵が重要でない場合において,その修補に過分の費用を要するときは,この限りでない。
2 注文者は,瑕疵の修補に代えて,又はその修補とともに,損害賠償の請求をすることができる。この場合においては,第533条の規定を準用する。
第635条 仕事の目的物に瑕疵があり,そのために契約をした目的を達することができないときは,注文者は,契約の解除をすることができる。ただし,建物その他の土地の工作物については,この限りでない。
(請負人の担保責任に関する規定の不適用)
第636条 前2条の規定は,仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは,適用しない。ただし,請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは,この限りでない。
(請負人の担保責任の存続期間)
第637条 前3条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は,仕事の目的物を引き渡した時から1年以内にしなければならない。
2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には,前項の期間は,仕事が終了した時から起算する。
第638条 建物その他の土地の工作物の請負人は,その工作物又は地盤の瑕疵について,引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし,この期間は,石造,土造,れんが造,コンクリート造,金属造その他これらに類する構造の工作物については,10年とする。
2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し,又は損傷したときは,注文者は,その滅失又は損傷の時から1年以内に,第634条の規定による権利を行使しなければならない。
(担保責任の存続期間の伸長)
第639条 第637条及び前条第1項の期間は,第167条の規定による消滅時効の期間内に限り,契約で伸長することができる。
(担保責任を負わない旨の特約)
第640条 請負人は,第634条又は第635条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても,知りながら告げなかった事実については,その責任を免れることができない。
(注文者による契約の解除)
第641条 請負人が仕事を完成しない間は,注文者は,いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
(注文者についての破産手続の開始による解除)
第642条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは,請負人又は破産管財人は,契約の解除をすることができる。この場合において,請負人は,既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について,破産財団の配当に加入することができる。
2 前項の場合には,契約の解除によって生じた損害の賠償は,破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り,請求することができる。この場合において,請負人は,その損害賠償について,破産財団の配当に加入する。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。