新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース 質問:職場で同僚と恋愛をしています。私は、この恋愛を原因として、解雇されてしまうでしょうか。また、恋愛一般について、法的責任を生ずる場合を教えて下さい。恋愛というのは自由ではないのですか。 1、恋愛は自由ですが、心の中の作用に留まらず、外形に現れる社会における行為ですので、他のあらゆる行為と同じ様に、公共の福祉に反する場合には制限があります。 解説: 1、(恋愛の自由の法的性質) 恋愛というのは、一般に男女交際のことを指しますが、男女ふたりだけの関係に留まらず、交際の結果、結婚して夫婦になり、子供を出産して子育てをする可能性もあり、家族を形成する社会的な行為という側面もあります。自由主義社会を標榜する現代日本において、恋愛の自由というのは、当たり前のこと、当然のことのようにも思われますが、かつて、本邦でも恋愛の自由が認められていない封建時代もありました。江戸時代までは日本でも、「男女七才にして席を同じくせず」というしきたりが厳格に守られ、結婚は一家の当主が決めることで、当人の意思を差し挟む余地はありませんでした。17世紀までは、世界的にも封建体制が力を持っていたといえます。 しかし、フランス革命や米国独立戦争を経て、民主主義や人権思想が発展し、植民地政策という形でアジアにも、封建制度を近代化させる圧力がかかりました。封建制度を維持するアジア諸国の国力と、産業革命を経て近代立憲民主制を確立した欧米諸国の国力とでは、歴然たる実力差を生じていました。本邦では封建制度を破棄し近代化を目標とした明治維新の大日本帝国憲法が制定され、また、第二次大戦の戦後議会において日本国憲法が制定され、個人の尊厳に基く幸福追求権(憲法13条)や、両性の合意のみによる婚姻(憲法24条1項)などが、憲法に明記されるに至りました。「恋愛の自由」という言葉は憲法にも法令にも見られませんが、男女が自由に交際することは、行動の自由や、連絡の自由、通信の自由などに包含されていると解釈できますので、憲法上も尊重されるべき権利であると言えるでしょう。 日本国憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 このように、恋愛の自由は憲法上認められた基本的人権の一部をなすものと考える事ができますが、他のあらゆる人権同様に、公共の福祉に基く制約には服することになります。公共の福祉は、内在的制約とも言われ、消極目的の制約と、積極目的の制約があります。消極目的の制約とは、自由権を行使することに伴う害悪を防止するための制約です。例えば、クルマに乗って自由に運転したいと運転者が考えても、全員が自由に運転するとクルマ同士がぶつかって怪我をしてしまうので、道路交通法で左側通行を規定してクルマ同士の衝突を避けているわけです。積極目的の制約とは、自由権を行使することに伴って社会的弱者が受ける不都合を除去するための制約です。例えば、金銭の貸し借りにおいて利息の利率をどのように定めても当事者が合意すれば本来自由のはずですが、生活に困窮する者の弱みにつけこんで暴利をむさぼる貸金業者から一般消費者を保護するために利息制限法が定められ実質年率18パーセント(10万円以上100万円未満の元本)と上限利率が定められていいます。 恋愛は自由ですが、無制限に認めてしまうと社会的な不都合を生じる場面も出てくることになります。それに対応して消極目的や積極目的の様々な制約が考えられ、民事上、刑事上の様々な制約が法令上定められているのです。分かりやすい言葉で書きますと、常識的な普通の恋愛関係であれば問題は無いが、例外的なケースでは、法的な責任を生じうる場合がある、ということです。 2、(恋愛を原因とする民事上の責任) 自分と相手が相思相愛で、恋愛関係にあり、交際することも、男女関係を持つことも、全てにおいて当事者間に同意がある場合であっても、私企業の職場や公務員の勤務先との関係で、解雇や懲戒免職処分を受ける場合があります。 公務員の懲戒免職処分・・・地方公務員法33条、国家公務員法99条で、信用失墜行為の禁止が命じられており、これらの義務違反を原因として懲戒免職処分となりうることが判例で認められています。 地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。 この信用失墜行為というのは、「健全な社会通念に照らし、その職の信用を損ない若しくは職全体の不名誉と見られるような行為である限り、職の内外をとわず、また、犯罪にあたるか否かを問わず」該当しうるものと解釈されています(大阪地裁平成2年8月10日判決、最高裁昭和59年5月31日判決参照)。つまり、勤務時間外の行為であったとしても、法令に抵触しない行為であったとしても、信用失墜行為にあたりうる場合がある、というわけです。 具体的には、妻子のある公立高校教師の立場でありながら、教え子であった女子生徒と在学中から親密な交際を始め、卒業後間もなく肉体関係を持つに至り、高校の生徒、保護者及び地域住民に動揺を与えた、という事例で、大阪地裁平成2年8月10日判決は、「社会生活上の倫理はもとより教員に要求される高度の倫理に反し、教員に対する社会の期待と信頼を裏切ったもの」として、信用失墜行為禁止に違反し、「懲戒事由に該当する原告の行為の性質、態様、影響、右行為の前後における原告の態度などを考慮すると(中略)、本件(懲戒免職)処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したものと認めることはできない」と判断しています。 裁判所が認定した事実は次のようなものが含まれていました。 「昼休み等の休憩時間にA子と2人だけで、教室、廊下、校内の食堂、ベンチ等において親しく話しあったりすることが多かった」「同僚のB教諭は、原告が壁に手をかけ、その壁を背にしてA子がおり、二人がかなり接近している状態を目撃している」「原告は、放課後、A子をオートバイの後部座席に乗せて(中略)方面まで送るなどしたことが数回あったうえ、二人で喫茶店に入ったり、互いの家を訪問しあったこともあった」 このような細かな行為の積み重ねで懲戒免職処分が行われ、これが裁判所で有効と判断されたことに驚かれる方もおられるかもしれませんが、このケースでは、高校教師という職務の特殊性が考慮されているともいえます。高校教師は学校全体の教職員の一員として、担当する学科の授業だけでなく、日頃から生徒の生活指導をも行っているのであり、妻子ある成人男性が不貞行為となる交際をすることや、勉学を修めるべき校舎内において人目につく交際をすることが、重く判断されていると言えます。未成年である学生は、人格形成期にあり、将来成人し社会人となった暁には、責任ある社会人として、高度な倫理観や法令遵守の態度を身につけていることが求められることになります。未成年者の成長を指導補佐する立場の、保護者や周りの大人、また、学校における教職員も、これを援助保護していく態度が求められていると言えるでしょう。生徒と教職員の関係は、多数の生徒と少数の年上の教職員という関係であり、生徒は常日頃から教職員の指導を受ける立場ですから、生徒が教職員に憧れの感情を抱くことも自然なことと言えます。この立場を利用して、生徒と教職員の関係を恋愛関係に発展させ、生徒の学業や学校の活動に支障が出るようなことは、学校の開設者・管理者としては容認できないことになるというわけです。 また、教員は、生徒の成績を評定する立場でもあります。もしも、生徒と教員が私的な恋愛の交際をしているとなると、そこに、えこひいきがあるのではないか、公平な評価が行われないのではないか、という疑問と不安を、他の生徒や外部の第三者に対して抱かせることになってしまいます。生徒の成績表は、上級の学校への進学の際や、後日の就職活動においても、影響することになりますので、いわば一生の重大問題となります。生徒と教員の在学中の交際には、間接的に、この成績評定に対する期待と信頼を裏切る結果を招くおそれがあります。 前記判例では、次のように信用失墜行為を非難しています。 「原告は、妻子ある高校教師でありながら教え子であった女子生徒とその在学中から親密な交際を始め、卒業後間もなく肉体関係をもつに至り、○○高校の生徒、保護者及び地域住民に動揺を与えたのである。そうすると、原告は社会生活上の倫理はもとより、教員に要求される高度の倫理に反し、教員に対する社会の期待と信頼を著しく裏切ったものであり、○○高校の生徒をはじめ保護者及び地域住民に与えた不信感は容易に払拭しがたいといわざるをえない。したがって、原告は、法33条が禁じる、その職の信用を傷つけ、職員の職全体の不名誉となるような行為を行ったものというべきである。」 教育職の公務員の場合は、生徒との恋愛関係は大きなリスクを伴う行為であると言わざるをえません。例えば、独身男性の教員が、生徒が学校を卒業して18歳になるまで、メールや手紙で文通をし、18歳になってから相手の意思を再度確認して男女交際を開始するというような形態であれば、信用失墜行為を回避できる可能性もあります。ご心配であれば一度弁護士の相談を受けてみる事をお勧めいたします。 労働契約の解雇・・・民間企業に勤務する労働者の場合であっても、労働契約や就業規則において、「信用失墜行為の禁止」や「故意又は重大な過失により会社に損害を与えた場合の懲戒解雇」が規定されていることがあり、これによる懲戒解雇や諭旨解雇処分を受ける可能性があります。 これについて、名古屋地裁昭和56年7月10日判決は、自動車教習所のスクールバス運転手が、妻子ある身でありながら、女性教習生と親密な交際をしたことにより教習所の社会的評価の低下や企業秩序の紊乱をまねいたとして、懲戒解雇事由にあたると認定しましたが、諸事情を総合すると懲戒解雇処分は著しく妥当性を欠いたとして無効と判断しています。 大阪地裁昭和58年10月18日決定は、観光バス運転手が同乗勤務するバスガイドと情交関係をもったとして諭旨解雇された事件で、解雇の有効性を認めています。 自動車教習所のケースでは、当該自動車教習所が公安委員会の指定を受け、卒業すれば運転免許取得に際し実技試験免除を受けられる公共的な性格を持った事業であったことが重要視されているといえます。教習生と職員の交際により、卒業する際の単位認定に便宜が図られているのではないか、公平性と適正性を欠いているのではないか、という疑念と不安を抱かせる危険があります。大げさに言えば、運転免許試験制度全体や道路交通の安全に影響を与えかねない事案だったということになります。 観光バス会社のケースでは、当該バス会社が道路運送法の旅客自動車運送事業の許可を受けて営業しており常に安全運行することを求められているのに、バスガイドと運転手が情交し、運転手がバスの運転への注意が散漫になり、安全運行に支障がでるおそれがあることが重要視されていると言えます。バスの安全運行に支障が出るということは、当該バスの乗客の安全だけでなく、道路を通行する他の自動車や歩行者などの通行者の道路交通の安全をも危険にさらすことになりかねません。 このように、それぞれの勤務先の事業内容によって、恋愛行為の与える影響が異なってきます。民間企業の場合は、経営を存続させるために、顧客の信頼を維持させることが必要不可欠となっていますので、事業内容によって、顧客が容認できない危険や不都合を生じ、顧客離れが否定できない事態となるような場合には、懲戒解雇が認められる可能性が高まってくることになります。個別の事案を見ると、恋愛関係とは言っても、妻子ある男性と独身女性の交際であるなど、倫理的に問題のある事例も多いようです。懲戒解雇に発展したような事例では、外部から見ても交際が明らかであって、業務に支障が出るのではないかと危惧を抱かせるような交際であったケースが多い様です。この点から逆算して考えますと、懲戒解雇などの法的責任を回避するためには、次のような条件が必要と考えられます。 1交際しているとしても、職務時間内には交際していることが分からないような態度がとられているかどうか。職務への影響が無いと考えられること。 不法行為責任(不貞慰謝料請求)・・・男女の恋愛関係が当事者の合意によるものであったとしても、男女いずれか又は双方に配偶者が居て、夫婦関係が完全に破綻しているとは言えないケースでは、配偶者から交際相手に対して、不貞行為について民法709条により慰謝料請求が認められることになります。請求額は100万円〜300万円の範囲が一般的です。 最高裁平成8年3月26日第三小法廷判決は次のように判示しています。 「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不貞行為となるのは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえない。」 不法行為責任(貞操侵害)・・・男女の恋愛関係が当事者の合意によるものであったとしても、事実上結婚を約束していたなどの事情がある場合で、後日、婚姻に至らなかったケースでは、例外的に慰謝料請求が認められるケースがあります。 最高裁昭和44年9月26日判決は,女性が異性に接した体験がなく,若年(19歳)で思慮不十分であるのにつけこみ,妻子ある上司の男性が,妻と離婚して結婚すると嘘を言い,これを信じた女性と肉体関係を持ち,女性が妊娠し出産した後,男性から連絡を絶たれたという事案で,次のように判断して慰謝料を認めました。すなわち,「女性が,情交関係を結んだ当時男性に妻のあることを知っていたとしても・・・,その情交関係を結んだ動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合において,男性側の情交関係を結んだ動機,その詐言の内容程度およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し,右情交関係を誘起した責任が主として男性にあり,女性の側におけるその動機に内在する不法の程度に比し,男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには,・・・貞操等の侵害を理由とする(女性の男性に対する)慰籍料請求は許容されるべき」である,と判断して,慰謝料請求を認めた控訴審の判断を支持しています。 以上の様に、男女が相思相愛で合意により恋愛関係に至った場合であっても、一方又は双方に配偶者が居る場合や、後日結婚に至らなかった場合には、法的責任を生ずる場合がありますので注意して下さい。男女交際は自由ですし、恋愛はどのように交際しようとも自由なのですが、「独身の男女が交際し結婚に至る」というケース以外のケースでは、慰謝料請求の可能性があります。恋愛して、交際を解消する場合でも、合理的な理由や、双方の納得が必要ということです。複数の女性に嘘をついて二股交際をしていたなどのケースでも法的責任を問われるおそれがあるでしょう。 3、(恋愛を原因とする刑事上の責任) あなたと相手との間に恋愛感情があったとしても、場合によっては刑罰法規違反となり、刑事処分の対象となってしまう可能性があります。 強姦罪・・・珍しいケースだとは思いますが、あなたが男性で、合意の上で、13歳未満の女性と性行為をした場合は、刑法177条強姦罪で処罰されることになりますのでご注意下さい。心身の発達が不十分な13歳未満の女子については、判断能力が不十分であるからこれを保護する趣旨の規定です。 刑法177条(強姦)暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。 児童買春禁止法違反・・・18歳未満の児童と交際し、金銭などの対価を提供して、性行為又は性交類似行為を行った場合には、児童買春禁止法違反に問われる可能性があります。児童本人が同意していたとしても、その保護者が怒っている場合に刑事告発される可能性が否定できません。近年、法律用語ではありませんが、「援助交際」という形態の交際が増加していると言われています。成人男性と未成年女性が金銭のやりとりをして交際するというわけです。しかし、交際を知った保護者が立腹し刑事告発した場合には、刑事事件に発展する可能性が高いと言わざるをえません。18歳未満の女性と交際する場合には、その保護者との関係が重要であると言えるでしょう。交際がある程度深まった場合には、保護者に対して真摯な交際であることを告げて理解を得るように努力する必要があるでしょう。 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 青少年保護育成条例違反(東京都青少年の健全な育成に関する条例違反)・・・18歳未満の児童と交際し、同意の上であったとしても、淫行にあたる行為を行った場合は、各都道府県に規定された、いわゆる淫行条例違反で刑事処分の対象とされてしまう可能性があります。当人同士に同意があったとしても、児童の保護者が立腹し刑事告発されてしまうと、事案によっては捜査立件されるおそれがあると言えます。具体的な規定の例は次の通りです。 東京都青少年健全育成条例 第18条の6(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止) ここで、「みだらな性行為又は性交類似行為」というのは、他の自治体では「淫行」と規定されており、判例によれば、次のように解釈されています。 「青少年を誘惑し、威迫し、欺網し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」をいうと解されています(最高裁判所昭和60年10月23日判決、福岡県青少年保護育成条例違反事件判決)。 児童福祉法違反・・・18歳未満の児童と交際し、同意の上であったとしても、淫行にあたる行為を行った場合は、児童福祉法34条1項6号、同60条1項により、その保護者の告発などにより、刑事処分の対象とされてしまう可能性があります。条文を引用します。 児童福祉法(抜粋) ここに言う、「淫行をさせる行為」というのは、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をも包含すると解する」と判断されています(最高裁判所昭和40年4月30日判決)。 以上のように見てくると、男女間に恋愛感情があったとしても、特に、貴方が成人男性であって、相手女性が18歳未満の児童であるような場合には、交際が性的な関係にまで発展する場合には、各種法令に抵触するおそれが生じていると言えます。真剣な交際で将来の結婚を約束する意思があるというのであれば、相互の両親への紹介を行い、正式な婚約や結納をした上で関係を持った方が良いでしょう。勿論、最善なのは、正式な入籍前には性的関係を持たないことです。 ストーカー規制法違反・・・男女の交際をするうえで、喧嘩したり仲直りしたりすることは普通の事ですが、このときのやり方が、一般常識を超えている場合には、相手方が警察署に相談し、場合によってはストーカー規制法違反で立件されてしまう可能性がありますので注意して下さい。警察・検察では、通常、2度や3度の「つきまとい行為」によっていきなり逮捕起訴するようなことはありません、第4条の「警告」や、第5条の「禁止命令」を出して、それでも行為が収まらない場合に立件されることが多い様です。 ストーカー行為等の規制等に関する法律 4、(まとめ) 以上見てきたように、男女が好き合っているとは言っても、無人島で二人だけで生活しているわけではありません。必ず、社会的な活動が伴いますし、未成年者であれば家族親族の意見も無視することはできません。「法は家庭に入らず」、「法は道徳とは異なる」とは言いますが、恋愛関係を維持することも、常識的な行為を逸脱してしまうと、職場の解雇や、民事賠償や、刑事事件に発展してしまうリスクがあると言えます。恋愛に夢中になっていると周りが見えなくなってしまい、このようなリスクが現実化してしまう危険があると思います。少しでも疑問を感じたときは、事前に家族友人に相談し、それでも分からない場合は弁護士に相談したうえで、交際関係を進めていくと良いでしょう。トラブルになりそうな場合は、冷静な第三者を間に入れて交渉する方法もありますので、一度お近くの法律事務所にご相談なさると良いでしょう。
No.1335、2012/9/7 16:34 https://www.shinginza.com/qa-roudou.htm
【民事・職場恋愛・結婚を理由にする解雇・大阪地裁平成2年8月10日判決・大阪地裁昭和58年10月18日決定】
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回答:
2、恋愛していることを原因として、解雇される場合もあり得ます。職種や行為態様によって異なりますので、注意して下さい。いくつか判例も御紹介しますので、ご自身のケースに当てはまるかどうか、検討してみて下さい。その他、民事上の責任として、損害賠償義務を生ずる可能性もあります。
3、恋愛することを原因として、恋愛に付随する行為について、刑事罰を問われるケースがあります。いくつか関係する刑罰法規を解説しますので、ご参考になさって下さい。
4、関連事例集1127番,823番,686番,639番,559番,256番,185番,139番,115番参照。
第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
国家公務員法第99条(信用失墜行為の禁止)職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
2既婚者の不貞問題のようなトラブルではないこと。独身同士の普通の交際。
3特に、顧客と職員との交際の場合には、会社の収益に影響しないこと。
第2条(定義)この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
第3条(適用上の注意)この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
第4条(児童買春)児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
第34条第1項 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
6号 児童に淫行をさせる行為
第60条 第34条第1項第6号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第1条(目的) この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。
第2条(定義) この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2項 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
第13条(罰則)ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2項前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。