新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1372、2012/11/14 12:20 https://www.shinginza.com/qa-souzoku.htm

【民事・共有物分割・条文にない価格賠償(代償分割)の要件・最高裁平成8年10月31日判決・調停手続か訴訟手続かの選択】

質問:2年前,父が他界しました。父は不動産を共有していたのですが,私がその不動産の父の持分を相続しました。この不動産は,遠方にあるうえに形状も複雑なため管理が大変で,税金等もかかるので,売り払うなどして手放したいと思っています。しかし,もう1人の共有者はこの不動産にこだわりがあるらしく,手放すつもりはないようです。その共有者は,私の持ち分を買い取ってもよいと言っており,私もその方法を望んでいるのですが,細かい条件についてはなかなかまとまらない状態です。その共有者は,お金には余裕はあるようなのですが…。今後,この件をどのように進めていけばよいのでしょうか。

回答:
1 一つの物を数人で所有する場合,共有といいますが,これは例外的な物の所有形態とされ,いつでも共有を解消して単独所有とすることができるのが民法の原則です。このような手続きを共有物の分割といいます。
2 共有物の分割方法には,@物自体を現実に分割する「現物分割」,A物を共有権者以外の者に売却し,その売却代金を分配する「代価分割」,B特定の共有者の単独所有とし持分以上の現物を得た共有者が,他の共有者に金銭で賠償する「価格賠償(代償分割ともいいます。)」の方法があります。
3 分割の方法を定める手続には,@裁判外での協議(話し合い)のほか,A民事調停手続,B訴訟手続があります。調停は,分割の方法について柔軟な解決が可能ですが,当事者全員が最終的に調停案に納得しなければ問題の解決には至りません。他方,訴訟には,法に則った強制的な終局的解決が可能ですが,価格賠償によるためには一定の要件が必要となります。共有物が不動産の場合は,いずれの手続でも,分割の方法が決まったら分筆登記や所有権移転登記などの登記申請を行い,権利の変更を公示することになります。
4 訴訟手続きにおける分割方法としての価格賠償の要件としては,諸事情(性質・形状,共有関係の発生原因,共有者数・持分割合,利用状況・分割時の経済的価値,分割方法の希望・合理性など)を総合的に考慮して特定の者に取得させるのが相当であること,持分価格の賠償でも共有者間の実質的公平を害しないこと(価格が適正に評価されていること,当該共有物取得者に支払能力があること)の両要件を充足している必要があります。
5 共有物分割にあたっての個別具体的な事情は事案ごとに様々ですから,どう進めていくべきか,早い時点で一度弁護士に相談された方が,のちのち安心だろうと思います。
6 関連事例集論文1150番821番814番733番712番681番626番参照。

解説:
1 共有物の分割
  我が国では,1つの物を共同して所有する「共有」が認められています(民法249条以下)。ただし,共有状態だと物の管理,変更等には共有者間の意見の一致が必要となり(同法251条,252条),経済的にみても最善の状態ではない場合もあるため,単独所有を原則とすべきとの価値判断から,共有関係を解消する法制度が整備されています。それが,共有物分割請求(同法256条1項本文)です。
  上記趣旨を実現させる意味からも,この共有物分割請求は,いつでも自由にできるものとされています(同条項参照。ただし,不分割の合意に左右される場合があります(同条1項但書,同条2項)。)。そして,対象物を分割する方法としては,@物自体を現実に分割する「現物分割」,A競売などにより物を売却し,その売却代金を分配する「代価分割」,B持分以上の現物を得て単独所有者となる共有者が,他の共有者に金銭で賠償する「価格賠償(代償分割ともいいます。)」の方法が考えられます。分かりやすく言うと,これは他の共有者の持分を全て買い取る方法です。
  また,これらの分割方法については,共有者間の話し合いで決めることができるようであれば,どの方法をとっても問題はありません。ただ,裁判所に分割を請求し(同法258条1項),裁判によって分割を命じられる場合には,現物分割が原則となります(同条2項)。ただし,対象物が一戸の建物であるなど現物分割ができなかったり,分割によって価格を著しく減少させるおそれがあったりするときには,代価分割が可能とされています(同条項)。また,条文上明記されてはいませんが,判例上,価格賠償も認められています(最高裁大法廷昭和62年4月22日判決民集41巻3号408頁(森林法違憲判決),最高裁平成8年10月31日判決民集50巻9号2563頁)。

2 裁判における分割で価格賠償が行われるための要件
  価格賠償については,民法に明文がないため,判例上否定されていた時期もありましたが,前掲の昭和62年最高裁判決では,「持分の価格に応じた分割をするとしても,なお共有者の取得する現物の価格に過不足を来す事態の生じる・・・ような場合には,持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ,過不足の調整をすることも現物分割の一態様として許される」と判示されました。

  さらにその後,前掲の平成8年最高裁判決では,以下のとおりの判示がなされました。
  「共有物分割の申立てを受けた裁判所は,現物分割をするに当たって,持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ,過不足の調整をすることができる(最高裁・森林法違憲判決)のみならず,当該共有物の性質及び形状,共有関係の発生原因,共有者の数及び持分の割合,共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値,分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し,当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ,かつ,その価格が適正に評価され,当該共有物を取得する者に支払能力があって,他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは,共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし,これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法による分割をすることも許されるものというべきである。」
  すなわち,価格賠償の要件としては,@諸事情(ア性質・形状,イ共有関係の発生原因,ウ共有者数・持分割合,エ利用状況・分割時の経済的価値,オ分割方法の希望・合理性など)を総合的に考慮して特定の者に取得させるのが相当であること,A持分価格の賠償でも共有者間の実質的公平を害しないこと(ア価格が適正に評価されていること,イ当該共有物取得者に支払能力があること)の両要件(「特段の事情」)を充足している必要があります。

3 同要件の具体的ケースへの適用例
  ここで,以上の要件について,具体的なあてはめがどのようになされているかについて,以下に見ていきます。
(1)最大判昭和62年4月22日(前掲・森林法違憲判決)
  この判決では,以下のとおりあてはめがなされています。
「本件について全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情が存するか否かをみるに,本件不動産は,現物分割をすることが不可能であるところ,愛子にとってはこれが生活の本拠であったものであり,他方,上告人らは,それぞれ別に居住していて,必ずしも本件不動産を取得する必要はなく,本件不動産の分割方法として競売による分割を希望しているなど,前記一の事実関係等にかんがみると,本件不動産を愛子の取得としたことが相当でないとはいえない。
しかしながら,前記のとおり,全面的価格賠償の方法による共有物分割が許されるのは,これにより共有者間の実質的公平が害されない場合に限られるのであって,そのためには,賠償金の支払義務を負担する者にその支払能力があることを要するところ,原審で実施された鑑定の結果によれば,上告人らの持分の価格は合計五五〇万円余であるが,原審は,愛子にその支払能力があった事実を何ら確定していない。したがって,原審の認定した前記一の事実関係等をもってしては,いまだ本件について前記特段の事情の存在を認めることはできない。そうすると,本件について,前記特段の事情の存在を認定することなく,全面的価格賠償による共有物分割の方法を採用し,本件不動産を愛子の単独所有とした上,愛子に対して上告人らの持分の価格の賠償を命じた原判決には,法令の解釈適用の誤り,ひいては審理不尽,理由不備の違法があるというべきであり,この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」
  この判決では,@特定の者に取得させるのが相当である事情として,ア共有物の性質・形状が現物分割不可能なものであること,エ共有者の1人が共有物を生活の本拠にしていたこと,他の共有者らは別に居住していたこと,オ他の共有者らは分割方法として代価分割を希望していたことが考慮され,特定の者の取得としたことは相当でないとはいえないとされて,他方で,A実質的な公平の観点から,イ賠償金支払義務者の支払能力が要求されています。

(2)最判平成10年2月27日判タ974号96頁
  この判決では,以下のとおりあてはめがなされています。
「これを本件についてみるのに,前記一の事実関係等によれば,本件不動産は,亡花子の相続人間の協議により法定相続分の割合に応じた共有とする遺産分割がされたものであって,その形状等から現物分割は不可能である上,上告人三郎が今後も本件不動産に居住することを希望しており,上告人らにおいて,本件不動産を競売に付することなく,上告人三郎が単独であるいは他の上告人らとともに亡一郎の持分につき対価を支払ってこれを取得する方法による分割を提案していることなどにかんがみると,本件不動産についての被上告人らの持分を上告人三郎単独ないし上告人らの取得とすることが相当でないとはいえないし,上告人らの支払能力のいかんによっては,被上告人らにその持分の対価を取得させることとしても,共有者間の実質的公平を害することにはならないものと考えられる。そうすると,本件について,全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく,直ちに競売による分割をすべきものとした原審の判断には,民法二五八条の解釈適用の誤り,ひいては審理不尽の違法があるというべきであり,この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。」
  この判決では,@特定の者に取得させるのが相当である事情として,ア共有物の形状等から現物分割不可能であること,エ共有者の1人が今後の居住を希望していること,オその共有者らが代価分割ではなく価格賠償を提案していることが考慮され,特定の者の取得とすることが相当でないとはいえないとされて,他方で,A実質的な公平の観点から,イ賠償金支払義務者の支払能力が要求されています。

(3)最判平成11年4月22日判タ1002号114頁
  この判決では,以下のとおりあてはめがなされています。
「(1)本件各土地(宅地合計一四六八・九〇平方メートル)は,元は上告人外一二名が共有し,上告人の持分は一二〇分の二であったが,被上告公社は,平成二年から平成五年にかけて,被上告人町の施行する都市計画事業による道路拡幅等に使用する目的で,上告人以外の者の持分合計一二〇分の一一八を順次買収した。(2)本件各土地のうち二〇九番四の土地(宅地一五五・一四平方メートル)についての本件賃借権は,元は上告人外二名が各三分の一の持分により共有していたが,被上告人町は,平成四年一二月六日ないし七日,前記都市計画事業を円満に遂行するため,上告人以外の者の持分合計三分の二を買収し,これにつき被上告公社の承諾を得た。(3)上告人は,遅くとも被上告人町が本件賃借権の持分を取得した当時には,本件各土地を使用しなくなっていた。(4)本件各土地の持分一二〇分の二の適正価格は二三二万五〇六五円,本件賃借権の持分三分の一の適正価格は一七六万六四二二円であり,被上告人らの右各金額の支払能力に不安はない。
右事実関係の下においては,被上告人らの希望に従い本件各土地等につき全面的価格賠償の方法による分割を命ずるとともに,上告人に対して本件各土地の持分につき被上告公社に対する持分移転登記手続を命じた原審の判断は,正当として是認することができる。」  この判決では,@特定の者に取得させるのが相当である事情として,イ公社が都市計画事業遂行のため順次共有持分の取得をし,共有者となったという経緯,ウ持分の3分の2を買収し,公社の承諾を得たこと,エ共有者の1人が共有物の利用をしなくなっていたことが考慮され,また,A実質的な公平の観点からも,イ賠償金支払義務者の支払能力に不安がないことが考慮されて,価格賠償による分割が命じられています。

 (4)考察
   以上の各事例は,それぞれの具体的事情に応じた個々の判断になっていますが,いずれも@特定の者に取得させるのが相当である事情として,現物分割が不可能であること((3)の事例においては現物分割が都市計画事業遂行に支障をきたすこと),現在の共有物の使用関係等を考慮しています。それに加えて,分割方法の希望や持分割合等の点も考慮して,特定の者に取得させることの相当性について判断し,さらに,Aイ支払能力の点を検討することで,実質的な公平を害さないかどうかをチェックしています(なお,ア価格の適正評価についても,裁判所のチェックが入っていることになります。)。
   これらをみると,共有者の使用関係等分割方法の希望や共有関係の状況を考慮しつつ,現物分割が困難である場合という民法258条2項の枠組みに沿う形で判断しているという印象を受けます。もっとも,個別の事案に即した妥当な解決方法を模索するという意味で,事案ごとにその考慮要素のバランスは変わってきうるものと思います。

4 分割手続の選択
 (1) それでは,共有物分割の具体的な手続としては,どのように進めていくことになるでしょうか。
  一般的には,裁判外での協議を行い,協議が整わないときに裁判所に分割を請求することになります(民法258条1項)。また,裁判所の利用についても,調停手続と訴訟手続とがあります。あなたの場合,分割の条件が折り合わないなどで,裁判外での協議が整わないようですので,裁判所を通じた手続を進めていくことになります。
  この場合,調停手続をとるべきでしょうか,それとも訴訟手続をとるべきでしょうか。

 (2) 調停手続においては,調停委員を介して両者が交互に自らの言い分を述べ,調停委員主導の形で折り合う点を模索していきます。
  調停には,本格的な主張立証は必要ではない,分割の方法について柔軟な解決ができるといったメリットがあります。たとえば,分割方法にはあまり争いがなく,細かい点について妥協点を詰めるために第三者をはさみたいような場合などに向いています。あなたの場合,価格賠償をご希望のようですが,他の共有者も価格賠償には同意している以上,価格賠償が認められるかどうかを心配する必要は,調停においてはありません。この点は,訴訟手続をとった場合と異なる点です。
  もっとも,調停委員を介した話し合いという性質上,当事者全員が最終的に調停案に納得しなければ,調停不成立となって,問題の解決には至りません。調停不成立ですと,原則として費用は申立人の負担になります。また,調停手続では,当事者が交互に調停委員に言い分を述べ,それを受けて相互に持ち帰って検討し,次回期日にまた言い分を調整するということを繰り返すため,期日の回数や1回の期日に要する時間はかさみがちになります。

 (3) 訴訟手続においては,求める法律効果を発生させる法律要件に該当する事実(要件事実)を主張し,それを裏づける証拠を提出する必要があります(もっとも,共有物分割請求は形式的形成訴訟であるため,裁判所は必ずしも当事者の主張・立証には拘束されません。)。形式的形成訴訟とは,形成訴訟(例えば離婚訴訟)と異なり形成要件事実(離婚訴訟なら離婚原因が要件として法定されているが,共有物分割訴訟では分割の効果を生ぜしめる要件が法定されていません。)がなく判決により初めて画一的に権利関係の法的効果が生じる形成訴訟です。境界確認の訴えも境界を確定させる要件が法定されていないので同様です。すなわち,当事者の主張する要件事実により法的効果を生じる構造ではなく,国家が後見的立場から独自の裁量,判断で判決を行い(公的境界は当事者が決められないので当事者の意見に左右されません。)合目的に解決する訴訟形態です。
  訴訟は,当事者が了承するか否かにかかわらず,法に則った強制的な終局的解決ができるというメリットがあります。たとえば,当事者間の言い分の隔たりが大きく,話し合いではどうにもならない場合などに向いています。本事例においても,仮に他の共有者との折り合いがまずつきそうにない場合であっても,終局的な解決に至ることが可能です。  もっとも,価格賠償については前2項で述べたような要件が必要となりますので,裁判所がその充足性をどう判断するかについて,不安は残ります。この点,あくまで価格賠償にこだわるのか,価格賠償以外の分割方法でもよいと考えているのか(もっとも,代価分割にせよ,現物分割して持分を売却するにせよ,最終的に金銭に換価する余地はあります。)によっても,とるべき手続は異なってくるでしょう。

5 最後に
  共有物分割にあたって価格賠償を希望する場合,以上のような諸点を考慮して方針を考える必要があります。個別具体的な事情は事案ごとに様々ですから,どう進めていくべきか,早い時点で一度弁護士に相談された方が,のちのち安心だろうと思います。

≪参照条文≫

民法
第三節 共有
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は,共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることができる。
(共有持分の割合の推定)
第二百五十条 各共有者の持分は,相等しいものと推定する。
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,共有物に変更を加えることができない。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は,前条の場合を除き,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する。ただし,保存行為は,各共有者がすることができる。
(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は,その持分に応じ,管理の費用を支払い,その他共有物に関する負担を負う。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは,他の共有者は,相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
(共有物についての債権)
第二百五十四条 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は,その特定承継人に対しても行使することができる。
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は,他の共有者に帰属する。
(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は,いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし,五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は,更新することができる。ただし,その期間は,更新の時から五年を超えることができない。
第二百五十七条 前条の規定は,第二百二十九条に規定する共有物については,適用しない。
(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは,その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において,共有物の現物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命ずることができる。
(共有に関する債権の弁済)
第二百五十九条 共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは,分割に際し,債務者に帰属すべき共有物の部分をもって,その弁済に充てることができる。
2 債権者は,前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは,その売却を請求することができる。
(共有物の分割への参加)
第二百六十条 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は,自己の費用で,分割に参加することができる。
2 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず,その請求をした者を参加させないで分割をしたときは,その分割は,その請求をした者に対抗することができない。
(分割における共有者の担保責任)
第二百六十一条 各共有者は,他の共有者が分割によって取得した物について,売主と同じく,その持分に応じて担保の責任を負う。
(共有物に関する証書)
第二百六十二条 分割が完了したときは,各分割者は,その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
2 共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は,その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
3 前項の場合において,最大の部分を取得した者がないときは,分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは,裁判所が,これを指定する。
4 証書の保存者は,他の分割者の請求に応じて,その証書を使用させなければならない。
(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条 共有の性質を有する入会権については,各地方の慣習に従うほか,この節の規定を適用する。
(準共有)
第二百六十四条 この節の規定は,数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし,法令に特別の定めがあるときは,この限りでない。

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