新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1406、2013/02/04 10:33 https://www.shinginza.com/sakujyo.htm

【民事・インターネットの誹謗中傷記事の削除・東京地裁平成15年6月25日判決】

質問:都内に住む個人企業経営者です。私は5年ほど前に強制わいせつ罪で逮捕されたことがあり,当時,事件が実名報道されました。その後,刑事事件は被害者と示談が成立したため不起訴となったのですが,実名報道された逮捕歴に関する記事のコピーが未だにインターネット上の某大型掲示板上に残っており,私の名前で検索するとヒットする状態になっています。このままでは業務にも支障がでますので,是非とも記事の削除を希望しています。調べてみたところ,その掲示板では記事の削除に関する詳細なガイドラインが決められており,記事の削除のためには裁判所の仮処分決定の取得が必要となるようです。仮処分の手続について教えて下さい。

回答:
1.実名を記載した,5年前の強制わいせつ罪で逮捕された事実についての記事は,あなたのプライバシー権や名誉権を侵害していますから,問題の掲示板の管理運営主体に対して,投稿記事の削除を求める権利を有していると考えられます。
2.記事の削除を求めるためには,掲示板の管理運営主体に対して,削除を請求するのが第1ですが,管理主体によっては,裁判所の記事削除の仮処分を要求する場合があります。そのような場合は,裁判所に対して,権利侵害記事の仮の削除を命じる仮処分命令の申立てを行う必要があります。仮処分の手続きの流れと手続段階ごとに注意すべき点を以下の解説にて説明します。ただし,実際の手続きは相当に専門的であるため,パソコンやインターネット等に強い弁護士など,適切な専門家の協力の下手続きを進められることをお勧めいたします。
3.インターネット記事削除関連事例集論文1376番,1279番,1270番,1229番,1170番,1169番,1035番,825番,755番,732番,317番,216番,208番参照。仮処分関係論文978番参照。

解説:
1.(仮処分とは)
 ご指摘の仮処分とは,正確には「仮の地位を定める仮処分」といい,争いがある権利関係につき,債権者に著しい損害や急迫の危険が生じることを避けるために暫定的な法律上の地位を定める民事保全の手続のことを指します(民事保全法23条2項)。本来,民事上の権利の実現は民事訴訟を通して図られるべきというのが法治国家の基本的な考え方です。しかし,即時に権利内容の実現ができないと著しい損害を被ったり,場合によっては訴訟手続きそのものが無意味になってしまう場合もあり得ます。このような不都合を回避するために,民事訴訟に先だって一定の暫定的な法律上の地位や権能を認めてもらうための手続が民事保全です。

 そこでまず,民事保全の対象となる権利(被保全権利といいます)があるか明らかにしておく必要があります。あなたの場合,強制わいせつ罪の被疑者として逮捕されたというあなたの犯罪経歴に関する記事が掲示板に投稿され,その記事が不特定多数の掲示板閲覧者に認識し得る状態に置かれていることによって,あなたの名誉権,プライバシー権(憲法13条後段)が侵害されていると考えられるため,あなたはこれらの権利に基づいて当該掲示板の管理者に対して権利侵害記事の削除を求める権利を有していると考えることができます。この権利侵害記事の削除を求める権利を民事訴訟によって実現しようとしても,その間に権利侵害記事によってあなたの社会的評価が著しく毀損されるなどして回復し難い損害を被るおそれがあるため,民事保全手続(仮処分命令)によって,即時に権利侵害記事を仮に削除してもらうことを求める,というのが手続の法的位置付けとなります。
 名誉権等を違法に侵害されている者がインターネット掲示板上の投稿記事の削除を求めることについては,東京地判平成15年6月25日が以下のように述べてこれを認めていますので,参考にして下さい。

 東京地判平成15年6月25日(抜粋)
「6 争点(5)(本件各発言の削除を求めることの可否)について
(1)人の品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価である名誉を違法に侵害された者は,損害賠償及び名誉回復のための処分を求めることができるほか,人格権としての名誉権に基づき,加害者に対し,現に行われている侵害行為を排除し,又は将来生ずべき侵害を予防するため,侵害行為の差止めを求めることができる(最高裁昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁参照。)。
(2)被告は,本件各発言を削除するなどの送信防止措置を講ずる義務があるのにこれを行わず,送信を継続して原告の人格権としての名誉を毀損し,人格権としての名誉感情を侵害していることは,前記3のとおりである。
 そして,本件各発言の送信が継続し,本件各発言が不特定多数の者の閲覧し得る状態に置かれる限り,原告の精神的苦痛が継続し,増大するものと考えられること,本件各発言を削除しても,その内容等に照らし,本件発信者や管理者である被告に格別の不利益が生ずるとはいえないことなどの諸事情に照らすと,原告は,被告に対し,人格権としての名誉権等に基づき,本件各発言すべての削除を求めることができるものというべきである。」

 以下では,本件における仮処分命令申立に関する手続の流れと各手続段階における注意点とポイントについて解説します。

2.(手続の流れ,注意点)
(1)権利侵害記事の調査・検討
 仮処分の申立てを行うためには保全すべき権利が存在することが必要なので,問題の各投稿記事が記事の削除を求める権利を基礎づけるものなのか,換言すれば,各投稿記事の内容があなたの名誉権やプライバシー権を侵害するものなのかどうかの法的見地からの検討が必要となります。仮処分命令申立書においては記事の削除を求める権利の存在を各投稿記事ごとに個別的に主張することが求められるため(民事保全規則13条2項参照),削除を求める権利の有無の検討も各投稿記事ごとに個別的・具体的に行う必要があるのです。

 名誉権侵害の成否については,当該投稿記事の内容が個人の社会的評価(人がその品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価)を低下させるものであるかどうかを「一般読者の普通の注意と読み方を基準として」判断することとされているため(最判昭和31年7月20日),投稿記事の名誉権侵害の成否の検討にあたっては,各投稿記事の意味内容をかかる観点から解釈し,社会的評価を低下させる内容なのか否かを個別的に検討する必要があります。また,民事上の不法行為たる名誉毀損(名誉権侵害)については「その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には,摘示された事実が真実であることが証明されたときは,右行為には違法性がなく,不法行為は成立しないものと解するのが相当であり,もし,右事実が真実であることが証明されなくても,その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには,右行為には故意もしくは過失がなく,結局,不法行為は成立しないものと解するのが相当である(このことは,刑法二三〇条の二の規定の趣旨からも十分窺うことができる。)」とされているため(最裁昭和41年6月23日),各投稿記事の記載内容の公共性,公益性,真実性についても,やはり個別具体的な検討が不可欠となります。

 あなたの場合,逮捕歴に関する記事が投稿されているとのことですが,逮捕歴のような犯罪経歴に関する情報は個人の名誉,信用に直接かかわる事柄であるため,一般論として,社会的評価を低下させる内容であるとの主張が比較的し易いかと思います。仮に記載された内容が真実だとしても,掲示板の設置目的や用途,投稿記事の記載の仕方や表現方法等によっては記載内容の公共性や公益目的が否定され,名誉権侵害となる可能性が十分にあると思われます。
 プライバシー権侵害の成否についても,基本的な考え方は名誉権侵害の場合と同様ですが,プライバシー権侵害の場合,名誉権の場合とは異なり,記載内容が真実であるほど権利侵害の度合いが大きくなるため,仮に真実性が認められたとしても免責されるわけではありません。したがって,必要に応じてプライバシー権侵害の主張を併せて行うことを検討すべきでしょう。

(2)債務者の調査
 仮処分命令申立書には債務者(掲示板上の投稿記事の削除権限を有する者。通常は当該掲示板の管理運営主体となります。)の氏名又は名称及び住所を記載する必要があり(民事保全規則13条1項,6条,民事訴訟規則18条),また,債務者が法人の場合は資格証明書を添付する必要があるため(民事保全規則6条,民事訴訟規則18条,15条),当該掲示板の管理運営主体を調査し,法人の場合であれば登記事項証明書を取得する必要があります。掲示板によっては,管理運営主体が外国法人となっているケースもありますが,その場合,外国登記の登記事項証明書の取得が必要となります。

(3)仮処分命令申立書の作成
 仮処分命令の申立てにあたっては,被保全権利(権利侵害記事の削除を求める権利)の存在とともに,保全の必要性を明らかにする必要があります(民事保全法13条1項)。ここでいう保全の必要性とは,債権者であるあなたに生じる著しい損害又は急迫の危険を避けるために仮処分命令による記事の削除が必要と認められることを意味します(民事保全法23条2項)。債務者(掲示板の管理運営主体)が記事の削除によって被る不利益と比べて債権者(あなた)が記事が削除されずに放置されることによって被る損害が特に大きいことが必要となりますので,特に厳格な記載が要求されます。あなたの取引相手があなたの氏名をインターネット上で検索してあなたの犯罪経歴に関する記事を目にすることで取引を見送るであろうことや,あなたの精神的苦痛が増大すること,仮に記事が削除されたとしてもその内容等に照らして掲示板の管理運営主体に何らの不利益も生じないこと等を事案に則して具体的かつ説得的に記載する必要があります。

 被保全権利(権利侵害記事の削除を求める権利)の存在を各投稿記事ごとに個別具体的に検討し,記載すべきことは前記のとおりです。削除対象とすべき投稿記事が多数にわたる場合は仮処分命令申立書の別紙として,個別の掲示板のURL,投稿記事番号,投稿者,投稿日時等を整理してまとめた投稿記事目録を作成して添付するのが一般的です。
 保全すべき権利及び保全の必要性は即時に取り調べることができる証拠によって疎明(裁判所に対し,事実の存在について一応確からしいという程度の心証を得させるために証拠を提出すること。正式判決を下すのに必要な証明のレベルを要しない説明。)をしなければならないとされているため(民事保全法13条2項,民事訴訟法188条),証拠として,各権利侵害記事が掲載されている掲示板の画面の写し,削除権限が債務者にあることや削除のルールを示す当該掲示板のガイドライン等を用意すべきことはもちろん,あなたが経営する個人企業の活動内容や権利侵害記事が削除されずに放置されることによって重大な経済的・精神的損害を被るであろうこと等を示す資料や陳述書等を用意する必要があります。

(4)仮処分命令の申立て
 本件のように掲示板上の投稿記事の仮の削除を求める保全手続においては,その特殊性から,通常の仮処分申立ての手続きとは異なり,以下の各点で述べる対応が必要となります。

ア 管轄に関する上申
 仮処分命令の申立先の裁判所は本案の管轄裁判所が管轄することとされていますが(民事保全法12条1項),権利侵害記事の削除等を求める法的根拠は不法行為(民法709条)となるため,民事訴訟法上,「不法行為があった地」を管轄する裁判所が管轄権を有することとなります(民事訴訟法5条9号)。もっとも,インターネット上での名誉権等侵害の場合に「不法行為があった地」というのが具体的にどこを指すのか,特に権利侵害記事が掲載されている掲示板の管理運営主体が外国法人のような場合,不法行為がなされた地が外国とも考え得ることから,日本国内の裁判所に対して申立てを行うことができるのかどうかに関連して問題となります。
 この点については,一般的に不法行為のなされた地のみならず,不法行為によって損害が発生した地も「不法行為があった地」に含まれると解されているので(東京地判昭和40年5月27日),現にインターネットにより権利侵害記事が閲覧可能になっていることで損害が発生しているあなたの住所地を管轄する裁判所に対して申立てを行うことが可能と考えられます。手続の便宜上,債権者の住所地を管轄する裁判所に対して申立てを行うケースが多いと思いますが,申立てに際して,裁判管轄をあなたの住所地の管轄裁判所とされたい旨の上申書を提出するなどして管轄に関する上申を行う必要があるでしょう。

イ 不審尋の上申
 一般的に,仮の地位を定める仮処分(仮処分には,係争物に関する仮処分命令と,仮の地位を定める仮処分と2種類あります。前者の典型例は建物明け渡し訴訟に先立つ占有移転禁止仮処分で,後者の典型例は従業員の地位を確認する訴訟に先立つ地位保全仮処分です。本件のような仮の記事削除を求める仮処分申し立ても,記事削除を請求する債権者としての地位を仮に定めるものとして仮の地位を定める仮処分の一種であると解されています。民事保全法23条1項,同2項。)は,仮処分命令の発令によって債務者が受ける影響が大きいことから,原則的に口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ仮処分命令を発することができないとされています(民事保全法23条4項本文・2項)。しかし,特に債務者が外国法人のような場合,口頭弁論や審尋を行おうとすると,申立書等の外国送達の上,審尋等を行う必要があることになり,多大な時間がかかることが予想されます。また,債務者が実体のないペーパーカンパニーのような場合,時間をかけて送達等の手続を行ったとしても,審尋等の期日への債務者の出頭がそもそも期待できず,権利侵害記事が削除されずに放置されることによる著しい損害を回避するという仮処分命令申立の目的が達成できなくなってしまいます。
 そこで,このような場合には,「期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情がある」ものとして,債務者の審尋等を行わないようにしてもらう必要があります(民事保全法23条4項但書・2項)。この点については,債務者の審尋等を行わないで仮処分命令を発してもらえるよう,裁判所に対して上申書を提出するなどして対応する必要があります。

ウ 不送達の上申
 問題の掲示板の記事削除に関するガイドラインでは,記事の削除のためには裁判所の仮処分決定の取得が必要とのことですが,もし仮処分決定があれば決定書(民事保全規則9条1項)の送達を経ずとも任意で削除に応じてもらえるということであれば,権利侵害記事が削除されるまでの間,債務者への仮処分決定の送達(民事保全法17条)を遅らせてもらう必要があります。これは後記の(6)に関わってくることですが,民事保全の手続においては,後の本案の訴訟で債権者が主張する権利が認められなかった場合に保全命令によって債務者に損害を与えるおそれがあることから,保全命令を発するにあたって債権者に担保金の供託を要求することが通常です(民事保全法14条1項,4条1項)。
 この担保金は任意の削除に応じてもらえた後に裁判所の許可を得て取戻すことが可能ですが(民事保全規則17条1項),その際には「保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合」という要件を満たす必要があります。本件のような仮の地位を定める仮処分の場合,この「保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合」というのは,保全命令発令後においては「債務者への送達未着手又は債務者への送達不能の場合」を指すものとされているため(担保取戻しの運用基準),債務者に仮処分の決定書が送達されてしまうと,担保取戻しの際に不都合が生じることになってしまうのです。
 したがって,かかる不都合を回避するため,申立ての段階で,債務者に対する保全命令の送達を相当期間延期されたい旨の上申書を提出するなどして対応する必要があります。
(5)裁判官面接
 保全命令の申立てを行った場合,申立ての当日か,遅くともその翌々日までには債権者に対する裁判官面接が行われるのが通常です。本件では,権利侵害記事によってあなたの社会的評価がどのように低下しているのかという点(名誉権の侵害)や権利侵害記事が削除されないまま放置されることによってどれ程の不利益が生じるのか(保全の必要性)といった点が主として聞かれることになると思います。裁判官の質問に対して理路整然と説明ができるよう,事情をよく整理してから臨まれると良いでしょう。

(6)担保金の提供
 申立てに理由があると判断されると,裁判所が定める担保金を供託することで,権利侵害記事を仮に削除するよう命じる仮処分命令が発せられます。本件のような掲示板の削除を求める仮処分申立ての場合,担保金は30万円乃至60万円程度が要求されることが多いようです。仮処分の決定書を用いて,問題の掲示板の削除に関するガイドラインに従って削除の申請を行って頂くことになります。
 任意の削除に応じてもらえた後は,供託した担保金を取り戻すため,速やかに仮処分命令の申立てを取下げた上(民事保全法18条),裁判所に対し,担保取戻許可の申立て(民事保全規則17条)を行うことになります。
 担保金の取戻しの際に債務者への決定書の未送達が必要となることについては上記(4)の通りです。

3.(最後に)
 以上の通り,あなたの場合,裁判所に仮処分命令申立の手続きを行うことで,問題の掲示板の権利侵害記事を削除してもらえる可能性があると思われます。もっとも,インターネット上での権利侵害の状況の調査(サイト調査)や問題の掲示板の削除に関するガイドラインに沿った削除申請の手続を行うためにはパソコンやインターネットに関する高度な知識が必要な場合がありますし,個別の記事についての権利侵害の有無の検討や仮処分申立ての手続きも相当に専門的です。そのため,然るべき調査や手続きを行えば権利侵害記事の削除等が可能であるにもかかわらず,専門的知識を有していない等の事情により,権利侵害状態が放置されてしまっているケースが多いのが現状ではないでしょうか。
 パソコンやインターネット関係の知識に長けた弁護士など,適切な専門家に相談するなどして,十分なアドバイスの上,手続きを進められることをお勧めいたします。

≪参照条文≫

日本国憲法
第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(名誉毀損における原状回復)
第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては,裁判所は,被害者の請求により,損害賠償に代えて,又は損害賠償とともに,名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

刑法
(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は,虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ,罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。
2  前項の規定の適用については,公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は,公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。
(侮辱)
第二百三十一条  事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者は,拘留又は科料に処する。

民事訴訟法
(普通裁判籍による管轄)
第四条  訴えは,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
4  法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は,その主たる事務所又は営業所により,事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
第五条  次の各号に掲げる訴えは,それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
九  不法行為に関する訴え
     不法行為があった地
(疎明)
第百八十八条  疎明は,即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。

民事訴訟規則
(法定代理権等の証明・法第三十四条)
第十五条 法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は,書面で証明しなければならない。選定当事者の選定及び変更についても,同様とする。
(法人の代表者等への準用・法第三十七条)
第十八条 この規則中法定代理及び法定代理人に関する規定は,法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え,又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。

民事保全法
(担保の提供)
第四条  この法律の規定により担保を立てるには,担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債,株式等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項 に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし,当事者が特別の契約をしたときは,その契約による。
第十二条  保全命令事件は,本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
(申立て及び疎明)
第十三条  保全命令の申立ては,その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして,これをしなければならない。
2  保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は,疎明しなければならない。
(保全命令の担保)
第十四条  保全命令は,担保を立てさせて,若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として,又は担保を立てさせないで発することができる。
(送達)
第十七条  保全命令は,当事者に送達しなければならない。
(保全命令の申立ての取下げ)
第十八条  保全命令の申立てを取り下げるには,保全異議又は保全取消しの申立てがあった後においても,債務者の同意を得ることを要しない。
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条  
2  仮の地位を定める仮処分命令は,争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
4  第二項の仮処分命令は,口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ,これを発することができない。ただし,その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは,この限りでない。
(仮処分の方法)
第二十四条  裁判所は,仮処分命令の申立ての目的を達するため,債務者に対し一定の行為を命じ,若しくは禁止し,若しくは給付を命じ,又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。

民事保全規則
(民事訴訟規則の準用)
第六条 特別の定めがある場合を除き,民事保全の手続に関しては,民事訴訟規則の規定を準用する。
(決定書の作成)
第九条 第一条第一号から第五号までに掲げる申立てについての決定は,決定書を作成してしなければならない。
(申立書の記載事項)
第十三条 保全命令の申立書には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者の氏名又は名称及び住所(債務者を特定することができない場合にあっては,その旨)並びに代理人の氏名及び住所
二 申立ての趣旨及び理由
2 保全命令の申立ての理由においては,保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を具体的に記載し,かつ,立証を要する事由ごとに証拠を記載しなければならない。
(担保の取戻し)
第十七条 保全執行としてする登記若しくは登録又は第三債務者に対する保全命令の送達ができなかった場合その他保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合において,法第四十三条第二項の期間が経過し,又は保全命令の申立てが取り下げられたときは,債権者は,保全命令を発した裁判所の許可を得て,法第十四条第一項の規定により立てた担保を取り戻すことができる。
2 前項の許可を求める申立ては,次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 保全命令事件の表示
二 当事者の氏名又は名称及び住所(債務者を特定することができない場合にあっては,その旨)並びに代理人の氏名及び住所
三 申立ての趣旨及び理由
四 保全命令の正本が担保権利者である債務者以外の債務者に対する保全執行のため執行機関に提出されているときは,その旨
3 前項に規定する申立書には,次に掲げる書面を添付しなければならない。
一 保全命令の正本。ただし,前項第四号に規定する場合における当該正本を除く。
二 前項第四号に規定する場合にあっては,その旨を証する書面
三 事件の記録上明らかである場合を除き,保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかであることを証する書面

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