新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1428、2013/03/27 00:00 https://www.shinginza.com/keywords/naien.htm
【民事・遺族給付と重婚的内縁関係の保護・要件・対策・最高裁平成17年4月21日判決】
質問:内縁の夫が死亡したのですが,戸籍上の妻がいる場合は遺族年金を請求することはできないのでしょうか。私には,12年ほど前から出会い,同居を開始している内縁の夫がいました。その内縁の夫には,婚姻届を出している法律上の妻がいたので,婚姻届は出せていません。しかし,内縁の夫とその法律上の妻とは15年も前から別居しており,その後離婚調停を夫側で申立て,長い間調停を続けている状況にありました。夫は離婚を強く希望していました。最近,その内縁の夫が亡くなってしまいましたので,夫が加入している共済組合に遺族共済年金の支給をお願いしたところ,婚姻届を出した妻が他にいるということで,遺族共済年金を支給しない旨の決定がなされてしまいました。私の内縁関係は,いわゆる重婚的内縁関係というもので法律上は保護されないということを聞いたことがあります。現在,生活に大変困っているのですが,遺族共済年金について支給を受けることはできないのでしょうか。
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回答:
1.婚姻届を提出していなくても,事実上の婚姻関係にある場合は,内縁の妻として婚姻届出をしている場合に準じて法的な保護が与えられています。しかし,婚姻届を提出した(法律上の)妻が他にいる場合,いわゆる重婚的内縁関係として分類され,戸籍上の妻の権利との関係から法的保護が制限されています。
2.遺族年金等については,内縁の妻は年金の法律や規定上の受給者である「遺族」「配偶者」に該当するものとして,給付を受けられます。ただ,重婚的内縁の場合,法律上の妻も配偶者として受給者に該当することからどちらが優先するか問題となり,@法律上の婚姻関係の方が破綻していること,A一方でこちらの内縁関係が法的保護に値するものであること,という要件が満たされれば年金の受給者と認められます。
3.その他,内縁関係に関する事例集としては,670番,753番,757番,783番をご参照ください。
解説:
第1 内縁関係について
1 内縁とは,婚姻の意思をもって夫婦共同生活を営んでいるものの,婚姻の届出をしていない事実上の夫婦関係のことを指します。
実体的に夫婦共同生活を営んでいるにもかかわらず,婚姻届を提出していないことのみをもって,一律に内縁関係が法的保護に値しないと考えるのは不合理,不公平な場合があります。そこで,判例実務上,婚姻届は提出していないものの,法律上保護に値するような事実上の夫婦共同生活を営んでいる場合には,法律上の婚姻関係に準ずるものとして扱われています(準婚理論)。
仮に内縁を不当解消したような場合には,慰謝料が発生し得ますし(民法第709条,710条),内縁関係解消の際には,財産分与(民法第768条第1項参照)の規定に従い,夫婦共同で形成した財産の分与を請求できることとなります。
2 次に,重婚的内縁とは,内縁夫婦の一方または双方に法律上の配偶者(婚姻届を提出した配偶者)がいる場合を意味するものとされています。
重婚的な内縁関係については,従前の判例は一夫一妻性を破壊するものとして法的保護に値しない(民法第90条の公序良俗に反するものとして無効)とされていました。しかし内縁関係であっても,保護する必要性が高い場合も多く,一方では法律上の婚姻関係が完全に破たんしている等,法律婚が保護に値しない場合も多々あります。
そこで,現在の判例(最高裁昭和58年4月14日等参照)及び実務においては,仮に重婚的内縁関係であっても,@法律上の夫婦関係が,破綻・形骸化し事実上離婚関係にある場合であって,A一方,内縁関係が法律上保護に値するだけの実体を伴っている場合には,重婚的内縁関係の方が保護されると解されています。そもそも内縁関係を保護する理由は,夫婦の法律上の形式にとらわれず,夫婦の実態を備える当事者を保護することが法の理想である両性の平等を前提として公正な家族関係を築く基礎になると考えられるからです(憲法24条)。
第2 重婚的内縁関係の保護と遺族給付の受給権について
1 内縁関係と遺族給付の関係について
(1)遺族給付の法律,規則上の規定について
次に内縁の配偶者が会社勤めで,その在職中に死亡してしまった場合,死亡退職金や退職共済年金等の受給権が発生することがあります。そして,これらの受給権は通常,亡くなった者の遺族に対して給付されることになります(こういった一連の給付を総称して,遺族給付といいます)。
遺族給付について,誰が受給権者になるか,その範囲や順位については,民法上の相続とは別に,給付について定める個々の法律の規定や,就業規則や労働協約等の規定に委ねられています。
内縁の配偶者が遺族給付の受給者に該当するかどうかの判断については,最高裁平成17年4月21日判決が参考になります。同最高裁判例では,内縁の配偶者が私立学園教員共済法による退職共済年金の受給権者か否かが問題となりました。
そして,私立学校教員共済法で準用されている国家公務員共済組合法第2条第2号イでは,遺族共済年金の受給権者である「配偶者」の定義として「組合員の配偶者(届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)」とされています。したがって,ここにいう配偶者については事実上の婚姻関係にある内縁の配偶者も含まれることになります。
他に,死亡退職金についても,会社の個々の就業規則の規定に委ねられるところではありますが,上記と同様に事実上の婚姻関係にあるものを,「配偶者」として扱うことがほとんどです。
(2)重婚的内縁の場合であっても,遺族給付の支給対象となる「配偶者」といえるか
では,重婚的な内縁関係の場合であっても,遺族給付における「配偶者」として支給の対象になるのでしょうか。この点についても,最高裁平成17年4月21日判決(以下,「本判例」といいます。)が参考になると考えられます。
本判例においては,私立学校教員共済法に基づく私立学校教職員共済制度の加入者であり,退職共済年金の受給者であった夫が死亡したため,これと内縁関係にあった妻が共済事業団に遺族共済年金の支給を申請しました。しかし,婚姻届を提出した法律上の妻がいたために,共済事業団が遺族共済年金を支給しない旨の裁定をしたので,内縁の妻がその取消しを請求したという事案です。
そして,本判例では,法律上の妻については,長期に渡り別居するなど婚姻関係が実体を失っている一方,内縁の妻については,妻と別居した後に事実上婚姻関係と同様の事情で生活していたことから,内縁の妻の方が私立学校教職員共済法25条の準用する国家公務員共済組合法2条1項3号所定の遺族として年金の支給を受けるべき「配偶者」に当たるとしました。
この判例からすれば,重婚的内縁関係である場合であっても,一定の場合には遺族給付を受ける立場を取得することができます。
2 重婚的内縁関係が法律上保護されるといえるための立証活動
以上の最高裁判例を前提に,重婚的内縁関係が法律上保護され,遺族給付を受ける立場にあるといえるためには,実体的には以下の要件を満たす必要があると解釈できます。また,その立証のために主張すべき事柄は以下のように考えられます。
(1)法律婚について,婚姻関係が実体を失い,修復の余地がないまでに形骸化していること(法律上の妻に関する事情)
この要件においては,婚姻届を提出した法律婚が既に破たん・形骸化し,修復の余地が無いことを,客観的事実に基づいて丁寧に論証する必要があります。
本判例においては,@法律上の妻と20年以上の長期にわたり別居を続けていたこと,A両者の間には反復,継続的な交渉はなく,一方が他方の生活費を負担することもなかったこと,B両者の婚姻関係を修復しようとする努力はせず,昭和57年夏ころ以降は会うこともなかったこと,C夫側が,法律上の妻に対し婚姻関係を清算するための金員を支払っていたこと,といった事情が挙げられています。
今回ご相談の事案でも,法律上の妻と15年もの間別居していること,長期間離婚調停を行っており,既に修復不可能なまでに法律婚が破綻し,形骸化していること,夫が離婚の強い意思を持っていること等を,例えば離婚調停の事件記録等を元に,詳細に主張する必要があるでしょう。
(2)事実婚(内縁)について,婚姻の届出をしていないものの,事実上婚姻関係と同様の事情があること(内縁の妻に関する事情)
この要件においては,(1)とは逆に,内縁関係が法律上保護に値するだけの関係にあったこと,婚姻関係の実体があったことについて,客観的証拠を根拠に詳細に主張する必要があります。
本判例においては,@法律上の妻との別居後,内縁の妻と親密な関係となり,その後も長期間同居を重ね,夫婦同然の生活を続け,内縁の夫の収入により生計を維持していたこと,A内縁の夫が死亡した際も,内縁の妻が最期までその看護をしたこと,等の事実を元に,事実上婚姻関係と同様の事情があったということを認定しています。
今回ご相談の事案においても,12年という長期間,夫婦として共同生活を営んでいたことを,証拠に基づいて主張する必要があるでしょう。例えば,長年夫婦として居住を共にしていたこと(家が共同名義であったこと,水道光熱費の支払について同一の住所で行っていること,夫婦連名で信書を授受していることなど),生計は専ら夫に頼っていたこと,死亡までの看護状況などについて客観的証拠を集め,主張する必要があります。
(3)以上の,(1)と(2)の要件を満たすような場合には,個々の法律や規定における「配偶者」として,遺族年金等の遺族給付を受け得る地位を得られることとなります。
3 終わりに
以上のように,婚姻届を出していない内縁の妻(重婚的内縁関係)であるからといって,必ずしも死亡した内縁の夫の退職金や遺族共済年金・企業年金,その他の遺族給付が受け取れなくなるというわけではありません。一定の場合には,「配偶者」として,遺族給付の受給権者となることができます。
ただ,判例上も争われているとおり,法律上の妻や遺族給付を行うべき会社等が給付に関して争ってくる可能性もあります。本判例のように,仮に共済事業者が支給拒否をしてきた場合であれば,この支給拒否処分に対する取消請求の訴えを提起する等,何らかの法律的解決手段を検討する必要があるでしょう。
ご本人で手続を勧めることが難しいと感じられた場合,お近くの弁護士にご相談されることも検討下さい。
<参考判例>
遺族共済年金不支給処分取消請求事件
最高裁判所第一小法廷平成16年(行ヒ)第332号
平成17年4月21日判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人篠塚力ほかの上告受理申立て理由及び上告補助参加代理人志澤徹ほかの上告受理申立て理由について
1 本件は,私立学校教職員共済法に基づく私立学校教職員共済制度の加入者で,同法に基づく退職共済年金の受給権者であったA(以下「A」という。)が死亡したことから,Aと内縁関係にあった被上告人が上告人に遺族共済年金の支給を請求したのに対し,上告人が被上告人に遺族共済年金を支給しない旨の裁定をしたため,被上告人が上告人に対してその取消しを請求した事案である。
本件の主要な争点は,遺族共済年金の支給を受けることができる遺族である配偶者が被上告人であるのか,それとも,Aの法律上の妻であった上告補助参加人(以下「参加人」という。)であるのかということである。
2 原審の適法に確定した事実によれば,〔1〕Aと参加人は,Aが勤務していた国立大学の宿舎で同居していたが,昭和53年ないし55年ころからAが宿舎を出て別居して生活するようになり,Aが死亡した平成13年1月12日まで20年以上の長期にわたり別居を続けた,〔2〕その間,両者の間には反復,継続的な交渉はなく,Aが宿舎料を負担していたほかは一方が他方の生活費を負担することもなかった,〔3〕Aと参加人は,両者の婚姻関係を修復しようとする努力はせず,昭和57年夏ころ以降は会うこともなかった,〔4〕Aは,参加人に対し,平成元年12月22日,1000万円を送金したが,これには,Aの勤務していた国立大学の宿舎から円満に転居してもらう費用を支払う趣旨のほか,Aと参加人との間の婚姻関係を清算するための金員を支払う趣旨も含まれていた,〔5〕他方,被上告人は,Aが参加人と別居するようになった後にAと親密な関係になり,昭和59年ころからAと同居して夫婦同然の生活をするようになって,Aの収入により生計を維持していた,〔6〕Aが死亡した際も,被上告人が最期までその看護をした,というのである。このような事実関係の下では,Aと参加人の婚姻関係は実体を失って修復の余地がないまでに形がい化していたものというべきであり,他方,被上告人は,Aとの間で婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者というべきであるから,参加人は私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組合法2条1項3号所定の遺族として遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に当たらず,被上告人がこれに当たるとした原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官横尾和子の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
裁判官横尾和子の反対意見は,次のとおりである。
私は,参加人が私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組合法2条1項3号所定の遺族として遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に当たり,被上告人はこれに当たらないと考える。その理由は,次のとおりである。
1 原審の適法に確定した事実によれば,〔1〕Aと参加人は,別居の前後を通じて,両者の婚姻関係を解消することについて合意には至っていない,〔2〕他方,Aは,勤務先の国立大学に対して,参加人を被扶養者(配偶者)として届け出て,扶養手当の給付を受けており,平成2年に同大学を退職して私立大学に就職した際も,同大学に対し,参加人を被扶養者として届け出て,扶養手当の支給を受けていた,〔3〕さらに,Aは,参加人を税法上の配偶者控除の対象配偶者として届け出て,同年から同10年までの間,同控除を受けていた,〔4〕Aは,同2年4月から国家公務員共済組合法に基づく退職共済年金を受給していたが,参加人を年金加給の対象配偶者とする加給年金額の加算を受け,これは参加人が国民年金の老齢基礎年金の受給資格を充たすに至ったため同加算の対象に該当しなくなった同6年10月まで引き続いた,〔5〕また,参加人は,同11年10月までは,私立学校教職員共済組合との関係でAの被扶養者として取り扱われ,Aの組合員証を使って治療を受けるなどしていた,〔6〕Aは,参加人との別居を開始した後も,参加人が同2年4月まで居住していた国立大学の宿舎の宿舎料を給与引落しにより支払っていた,というのである。このような事実関係によれば,Aは,別居後も,対外的に参加人を妻として取り扱っていたものというべきであるから,Aと参加人の婚姻関係がその実体を失って形がい化していたものということはできない。
2 そうすると,Aと参加人の婚姻関係は形がい化しているなどとして,参加人が私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組合法2条1項3号所定の遺族である「配偶者」に当たらず,被上告人がこれに当たるとした第1,2審の判断は,上記法条の解釈適用を誤ったものであり,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由がある。したがって,原判決を破棄し,第1審判決を取消して,被上告人の請求を棄却することが相当である。
(裁判長裁判官 泉徳治 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島田仁郎 裁判官 才口千晴)
<参照条文>
民法768条
私立学校教職員共済法
(国家公務員共済組合法 の準用)
第二十五条 この節に規定するもののほか,短期給付及び長期給付については,国家公務員共済組合法第二条
(第一項第一号及び第五号から第七号までを除く。),第四章(第四十一条第二項,第四十二条,第四十二条の二,第四十六条第一項,第五十条から第五十二条まで,第六十八条の二,第六十八条の三,第七十二条,第九十六条及び第九十七条第四項を除く。),第百十一条第一項及び第三項,第百十二条,第百二十六条の五,附則第十二条,附則第十二条の二の二から第十二条の八の四まで,附則第十二条の十,附則第十二条の十の二,附則第十二条の十一,附則第十二条の十二第一項(第二号を除く。)及び第二項から第四項まで,附則第十二条の十三,附則第十三条の九から第十三条の九の五まで,附則第十三条の十(第七項を除く。),附則別表第一,附則別表第二,別表第一並びに別表第二の規定を準用する。この場合において,これらの規定(同法第二条第一項第二号
(イ,ロ及びハ以外の部分に限る。),第四十一条第一項,第五十五条第一項第一号及び第二号,第五十九条第三項第二号,第六十一条第二項,第六十四条,第六十六条第三項,第六十七条第二項,第七十六条第一項(各号列記以外の部分に限る。),第九十七条第一項,第百二十六条の五第五項第四号,附則第十二条第一項から第五項まで及び第八項,附則第十二条の四の三第四項並びに附則第十二条の六第二項及び第三項の規定を除く。)中「組合員」とあるのは「加入者」と,「組合」とあり,及び「連合会」とあるのは「事業団」と,「標準報酬」とあるのは「標準給与」と,「財務省令」とあるのは「文部科学省令」と,「公務」とあるのは「職務」と,「組合員期間等」とあるのは「加入者期間等」と,「組合員期間」とあるのは「加入者期間」と,「平均標準報酬額」とあるのは「平均標準給与額」と,「標準期末手当等」とあるのは「標準賞与」と,「従前標準報酬の月額」とあるのは「従前標準給与の月額」と,「公務等傷病」とあるのは「職務等傷病」と,「公務等」とあるのは「職務等」と,「対象期間標準報酬総額」とあるのは「対象期間標準給与総額」と,「標準報酬改定請求」とあるのは,「標準給与改定請求」と,「特定組合員」とあるのは「特定加入者」と,「任意継続組合員」とあるのは「任意継続加入者」と,「特例退職組合員」とあるのは「特例退職加入者」と読み替えるほか,次の表の上欄に掲げる同法
の規定中同表の中欄に掲げる字句は,それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
国家公務員共済組合法
(定義)
第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 職員 常時勤務に服することを要する国家公務員(国家公務員法
(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条
又は第八十二条 の規定(他の法令のこれらに相当する規定を含む。)による休職又は停職の処分を受けた者,法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない国家公務員で政令で定めるものを含むものとし,臨時に使用される者その他の政令で定める者を含まないものとする。)をいう。
二 被扶養者 次に掲げる者(後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律
(昭和五十七年法律第八十号)第五十条 の規定による被保険者をいう。)及び同条
各号のいずれかに該当する者で同法第五十一条
の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの(以下「後期高齢者医療の被保険者等」という。)を除く。)で主として組合員(短期給付に関する規定の適用を受けないものを除く。以下この号において同じ。)の収入により生計を維持するものをいう。
イ 組合員の配偶者(届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。),子,父母,孫,祖父母及び弟妹
ロ 組合員と同一の世帯に属する三親等内の親族でイに掲げる者以外のもの
ハ 組合員の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子並びに当該配偶者の死亡後におけるその父母及び子で,組合員と同一の世帯に属するもの
三 遺族 組合員又は組合員であつた者の配偶者,子,父母,孫及び祖父母で,組合員又は組合員であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた組合員であつた者にあつては,行方不明となつた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたものをいう。
四 退職 職員が死亡以外の事由により職員でなくなること(職員でなくなつた日又はその翌日に再び職員となる場合におけるその職員でなくなることを除く。)をいう。
五 報酬 一般職の職員の給与に関する法律
(昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける職員については,同法
の規定に基づく給与のうち期末手当,勤勉手当その他政令で定める給与を除いたもの及び他の法律の規定に基づく給与のうち政令で定めるものとし,その他の職員については,これらに準ずる給与として政令で定めるものをいう。
六 期末手当等 一般職の職員の給与に関する法律
の適用を受ける職員については,同法 の規定に基づく給与のうち期末手当,勤勉手当その他政令で定める給与(報酬に該当しない給与に限る。)及び他の法律の規定に基づく給与のうち政令で定めるもの(報酬に該当しない給与に限る。)とし,その他の職員については,これらに準ずる給与として政令で定めるものをいう。
七 各省各庁 衆議院,参議院,内閣(環境省を含む。),各省(環境省を除く。),裁判所及び会計検査院をいう。
2 前項第二号の規定の適用上主として組合員の収入により生計を維持することの認定及び同項第三号の規定の適用上組合員又は組合員であつた者によつて生計を維持することの認定に関し必要な事項は,政令で定める。
3 第一項第三号の規定の適用については,子又は孫は,十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあつてまだ配偶者がない者又は組合員若しくは組合員であつた者の死亡の当時から引き続き第八十一条第二項に規定する障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある者に限るものとし,組合員又は組合員であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生した場合には,その子は,これらの者の死亡の当時その者によつて生計を維持していたものとみなす。