点数制度による運転免許取消を回避できる場合があるか・回避できる基準

行政|道路交通法103条|運転免許取消し処分軽減|行政処分の裁量

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

3年以内に複数の交通違反を犯してしまい、交通違反の累積点数が免許取り消しの基準を超えてしまった場合は、運転免許の取り消しを回避することは不可能でしょうか。

回答:

1、 交通違反の累積点数が免許取消しの基準(行政処分前歴なしの場合15点以上)を超えてしまった場合、その者の住所地を管轄する各都道府県の公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消しすることができます(道路交通法施行令38条5項)。各都道府県の公安委員会には、累積点数が15点以上となった場合には、対象者の運転免許を取り消し処分とすることができる裁量が与えられているのです。

2、 警察庁や各都道府県公安委員会は、様々な量定基準を定めています。警察庁の通達である「運転免許の効力の停止等の処分量定基準」平成21年4月30日付け警察庁丙運発第11号によれば、「その者の運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情があるとき」に、取消処分の量定を軽減し、180日の免許停止処分(更に短縮講習を受講することにより100日に短縮される可能性あり)に軽減することができることを定めています。特段の事情とは、抽象的にいえば免許制度の趣旨、すなわち、道路交通における公共の安全を保持するという面から見て、運転者としての危険性が基準よりより低い場合ということになります。例えば、スピード違反の内容が点数の境界線上(50キロオーバーでも数キロしか超過していない場合 12点か6点かで取り消しになる。)にある場合、人身事故(自動車運転過失傷害)で過失相殺等で安全運転義務違反の程度(2点と治療期間軽傷の人身付加点3点の合計5点が考えられます。)が相対的に低い場合です。

3、 公安委員会は、免許取り消しの処分をする場合、意見の聴取(道路交通法104条)の手続を行います。その際に上記の[特段の事情]を最大限に主張することができます。意見の聴取手続の結果,公安委員会が処分軽減を認めるべきと判断した場合には,免許取り消し処分が回避され、免許停止処分に軽減される判断がなされることとなります。

4、 前述のように、速度違反の事例で違反した速度が数キロ以内であった事例や、交通事故に関する事案で過失相殺がなされる場合には処分軽減なされる場合があるので、代理人弁護士を依頼するなどして、最大限、処分軽減すべき旨の法的主張を行うと良いでしょう。

5、 なお、裁量による行政処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合には、裁判所は、その処分を取り消しすることができるものとされています(行政事件訴訟法30条)。従って、公安委員会の処分についても処分の取り消しを裁判所に求めることが認められています。しかし、裁量の範囲を超えていると認められることはないと言っても良いでしょう。従って、公安委員会の意見の聴取の手続きの際に、できるだけ有利な事情を主張しておく必要があります。

6、 運転免許取消しに関する関連事例集参照。

解説:

1、運転免許取消し処分の規定

交通違反による、運転免許取り消し処分の根拠規定は、道路交通法103条1項5号です。「免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。」「第5号 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。」という規定です。これは、運転免許の取り消しの行政処分の裁量を認めた規定になります。

2、 運転免許取消し処分の裁量

前記の「政令で定める基準」というのは、道路交通法施行令38条5項に規定されています。具体的な条文は、「一般違反行為をした場合において、当該一般違反行為に係る累積点数が、別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄、第3欄、第4欄、第5欄又は第6欄に掲げる点数に該当したとき。」と規定されていますが、要するに、累積点数が初めて15点以上となった場合を意味します。法令により、各都道府県の公安委員会は、累積点数が15点以上となった場合には、対象者の運転免許を取り消し処分とすることができる裁量が与えられているのです。

・運転免許の点数制度(算定方法)について

点数制度とは,自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて,その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。その目的は,交通違反等を繰り返す者は事故を起こす危険性が定型的に高いことから,その回数・態様が一定限度を超えた場合には,その者の運転行為を禁止することにより道路交通の安全を確保するところにあります。点数の計算方法については,警視庁HPをご参照ください。

「点数制度」警視庁HP

① 基礎点数  基礎点数とは,交通違反の態様に応じてつけられる基礎的な点数のことをいいます。例えば,速度超過,信号無視,携帯電話使用等の交通違反の態様に応じて点数が加算されます。基礎点数について,同時に2以上の交通違反行為に該当する場合には,最も高い点数によって計算されます。

② 付加点数  付加点数とは,交通違反を起こし,さらに交通事故を起こしてしまった場合に加算される点数のことをいいます。

<参考URL>

交通違反の点数一覧表

行政処分基準点数

3、処分軽減の基準

交通違反の累積点数が運転免許の取消しの基準に達した場合には,公安委員会等における意見の聴取という手続が取られます(道路交通法第104条第1項参照)。免許取り消し処分の回避を求めるためには,意見の聴取手続において自己に有利な事情についての主張をして,処分の軽減を求めることが可能です。処分の軽減の基準については,警察庁の通達によって,ある程度の指針が設けられています。

(1)運転免許の効力の停止等の処分量定基準

令和元年10月11日付け警察庁丙運発第24号

運転免許取消処分の軽減については,次の様に規定されています。

1 取消し等の処分の軽減

一般違反行為をしたことを理由として処分を行おうとする場合に累積点数が令別表第3の1の表の第1欄に掲げる区分に応じ同表の第2欄から第6欄までに掲げる点数に達し、若しくは特定違反行為をしたことを理由として処分を行おうとする場合の累積点数が令別表第3の2の表の第1欄に掲げる区分に応じ同表第2欄から第9欄までに掲げる点数に達し、又は令別表第4第1号から第3号までに掲げる行為をし、若しくは令別表第5第1号から第4号までに掲げる行為をしたことにより、免許の取消し、免許の拒否又は1年以上10年を超えない範囲内の期間の自動車等の運転の禁止の処分基準に該当することとなった者において、その者の運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情があるときは、それぞれ次の区分により処分を軽減することができるものとする。

(1) 免許の取消し(免許を与えた後における免許の取消しを除く。)の処分基準に該当する者

ア 一般違反行為若しくは特定違反行為をしたことを理由として処分を行う 場合(イに該当する場合を除く。)又は重大違反唆し等及び道路外致死傷を理由として処分を行う場合で、令第38条第6項又は同第7項に規定する免許を受けることができない期間(以下「欠格期間」という。)が2年以上 に該当するときは、当該期間から1年を減じた期間に軽減することができる。欠格期間が1年に該当するときは、180日の免許の効力の停止に軽減することができる。

イ 前歴を有しない者が安全運転義務違反をし、よって交通事故を起こしたことを理由に処分を行う場合で、その者の不注意の程度が極めて軽微であり、かつ、交通事故が専ら相手側の不注意によって発生したものであるときは、欠格期間が2年に該当するときは180日の免許の効力の停止、当該期間が1年に該当するときは150日の免許の効力の停止に軽減することができる。

(2) 免許の拒否又は免許を与えた後における免許の取消し(以下「免許の拒否等」という。)の処分基準に該当する者(他免許等既得者を除く。)

ア 令第33条の4第1項第2号若しくは第3号又は同条第2項第1号若しくは第2号の規定により、欠格期間が、当該処分の理由となった行為をした日(令第33条の4第3項において準用する令第33条の2第4項各号に掲げる者については、それぞれ当該各号に定める日をいう。以下同じ。)から起算して、2年以上を経過するまでの期間に該当するときは、当該期間から1年を減じた期間に軽減することができる。欠格期間が1年を経過するまでの期間に該当するときは、処分の理由となった行為をした日から180日を経過するまでの期間の免許の保留又は免許を与えた後における免許の効力の停止に軽減することができる。なお、これらの期間計算の結果、1年を減じた後の欠格期間又は免許の 保留若しくは免許を与えた後における免許の効力の停止に係る期間が既に 経過している場合は、免許の拒否等及び欠格期間の指定又は免許の保留若しくは免許を与えた後における免許の効力の停止をしないものとする。

イ 前歴を有しない者が安全運転義務違反をし、よって交通事故を起こしたことを理由に処分を行う場合で、その者の不注意の程度が極めて軽微であり、かつ、交通事故が専ら相手側の不注意によって発生したものであるときは、欠格期間が処分の理由となった行為をした日から2年を経過するまでの期間に該当するときは180日の免許の保留又は免許を与えた後における免許の効力の停止、欠格期間が処分の理由となった行為をした日から1年を経過するまでの期間に該当するときは150日の免許の保留又は免許を与えた後におけるの免許の効力の停止に軽減することができる。なお、これらの期間計算の結果、免許の保留若しくは免許を与えた後における免許の効力の停止に係る期間が既に経過している場合は、免許の保 留若しくは免許を与えた後における免許の効力の停止をしないものとする。

(2)運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について

また,具体的に,運転者としての危険性がより低い特段の事情があるとして,処分の軽減ができるかについては,運転免許の停止等についての警視庁の処分に関する指針が参考になるものと考えられます

 この基準は,運転免許の停止処分に関するものですが,(1)と同様に「運転者としての危険性がより低いと評価すべき事情」を考慮するものであり,運転免許取消処分の回避の判断においても参考になる基準と考えられます。(「運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について」の2頁以下参照)

「処分基準に該当することとなった者において次の各号に掲げる事情があり,かつ,処分を軽減することがその者の運転者としての危険性の改善に効果があると認められるときは,30日間の処分を軽減することができるものとする。

① 交通事故の被害の程度又は不注意の程度のいずれか一方が軽微であり,かつ,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合,

② 違反行為等の動機が,災害,急患往診,傷病人搬送その他やむを得ない事情によるものであり,かつ,危険性がより低いと認める場合,

③ 違反行為等が他からの強制によるものであるなどやむを得ない事情によるものであり,危険性がより低いと認める場合,

④ 被害者の年齢,健康状態等に特別な事情があるとき等同一原因の他の事故に比べて被害結果を重大ならしめる他の事由が介在した場合であって,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合,

⑥ 前各号に掲げる場合のほか,危険性がより低いと評価すべき特段の事情があり,明らかに改善の可能性が期待できる場合には停止等の処分が軽減できる」

とされています。

(3)点数制度による行政処分事務に関する事務処理要領について

平成30年10月30日付け警察庁丙運発第62号

「処分量定上の留意事項

処分基準点数に達することとなった違反行為が、交通事故事案であるときは、次の点に留意して処分量定を行うものとする。(1) 当該事故登録ののちにおいて点数評価に関する事項に変更を要すべき新たな事情が生じていないかを調べ、その事情があるときは、処分量定をする者において点数計算をやり直し、その結果に基づいて処分量定をすること。

(2) 当該交通事故が別表第1の交通事故の不注意の程度の認定基準の「軽い」に該当するものであるときは、同表の交通事故の不注意の程度「軽い」の細目区分についてその程度を認定し、「小」に該当すると認めた事案については、その内容が処分軽減を相当とするものであるかどうかを審査すること。」別表第1「軽い」細目区分「大」

「当該交通事故が当該違反行為をした者の不注意及びその他の事由の競合によって発生したものである場合であって、交通事故の主たる原因が、当該違反行為をした者の不注意によるものであるとき、又は当該違反行為をした者の不注意とその他の事由が交通事故の原因として等しいものであるとき」「軽い」細目区分「小」「大以外の場合」

4、 聴取手続きで事情を主張する

運転免許の取消処分の基準点数に達した場合は、公安委員会が行う意見の聴取(道路交通法104条)の手続において、上記の事情を最大限に主張することができます。

 公安委員会における意見の聴取手続については,上記の運転免許停止処分についての基準(①から⑥の各要素)を踏まえた上で,必要な証拠資料を収集・提出し,「運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情がある」事を主張する必要があります。

 意見の聴取手続については,必要に応じて,補佐人や弁護士を代理人として立てることが可能です(道路交通法第104条第2項参照)。

 意見の聴取手続における,具体的な主張等について検討します。

(1)有利な証拠収集

 まず,自己に有利な証拠を収集することが必要です。 例えば,交通事故の場合は被害者が軽傷(また,生活に事実上の支障がないことなど)であることを示す証拠を収集したり,被害者と示談し,示談合意書(和解合意書)を交わすことが考えられます。

 処分を受ける者が,運転者として危険性がより低いと評価すべき事情があること,明らかに改善の可能性があることを示す資料,自己が危険運転を常習的に繰り返してきた者ではないことや,今回の行為についての反省の情や,今後の再犯防止策を具体的に示す資料(上申書等)を作成することが考えられます。

 また,処分を受ける者の処分の軽減を求めたり,今後危険運転行為をしないように指導監督する旨の上申書や嘆願書等の収集も考えられます。

(2)口頭もしくは意見書等による主張

 次に,意見聴取手続において必要な主張を行う必要があります。 ここでは,上記の証拠等を踏まえ,上記2ア・イの基準に該当する旨の法律上又は事実上の主張を,口頭もしくは意見書等の提出等によって行う必要があります。

 例えば,被害者の被害の程度が軽微なものであったこと,本件事故についての自己の過失はほとんどなかったことなどの法律的な主張(上記2のイの①参照)をすることが考えられます。また,運転者としての危険性がより低い事情や明らかに改善の可能性が認められる事情として,今後危険運転を二度と繰り返さないことを示す事実(再発防止策の実施,指導監督者の存在)などを,証拠を踏まえて説得的に主張する必要があるでしょう。自己の自動車運転の必要性,運転免許取消の欠格期間が長期にわたることによる不利益等も主張することが可能です。

 意見の聴取手続の結果,公安委員会が処分軽減を認めるべきと判断した場合には,免許取り消し処分が回避され、免許停止処分に軽減される判断がなされることとなります。一般論ですが、速度違反の事例で違反した速度が数キロ以内であった事例や、交通事故に関する事案で過失相殺がなされる場合には処分軽減なされる場合があるようです。処分軽減の可能性がある場合は、代理人弁護士を依頼するなどして、最大限、処分軽減すべき旨の法的主張を行うと良いでしょう。

5、 その他の軽減を求める手続

意見の聴取手続を経て公安委員会が下した停止処分や取消処分に関する決定について不服がある場合には,公安委員会に対する異議申立て(行政不服審査法第1条第2項),処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法第8条等参照)等の手段が考えられます。

 また、裁量による行政処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り、裁判所は、その処分を取り消しすることができるものとされています(行政事件訴訟法30条)。

公務員の懲戒処分に関する事例ですが、裁量権の逸脱について判断した判例を引用します。

最高裁判所昭和52年12月20日判決

「懲戒権者は,非違行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,当該公務員の当該行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴,選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情を考慮して,懲戒処分をすべきかどうか,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを,その裁量に基づき決定することができると解される。もっとも,その裁量も全くの自由裁量ではなく,裁量権の行使に基づく懲戒処分が社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合には,その懲戒処分は違法であると解するのが相当である。」

裁量の逸脱や濫用を主張立証して、取消判決を勝ち取ることは一般的に極めて困難なことであると言わざるを得ません。弁護士のアドバイスとしては、行政処分が出る前に、行政裁量の妥当な行使を促すための資料を提出し、穏当な処分を求めることが最も有効ではないかと考えられます。

以上

関連事例集

Yahoo! JAPAN

※参照条文

※道路交通法

第103条(免許の取消し、停止等)

第1項 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。

第5号 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第一号から第四号までのいずれかに該当する場合を除く。)。

第104条(意見の聴取)

 公安委員会は,第百三条第一項第五号の規定により免許を取り消し,若しくは免許の効力を九十日(公安委員会が九十日を超えない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは,その期間。次条第一項において同じ。)以上停止しようとするとき,第百三条第二項第一号から第四号までのいずれかの規定により免許を取り消そうとするとき,又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の処分移送通知書(同条第一項第五号又は第二項第一号から第四号までのいずれかに係るものに限る。)の送付を受けたときは,公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において,公安委員会は,意見の聴取の期日の一週間前までに,当該処分に係る者に対し,処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し,かつ,意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。

2  意見の聴取に際しては,当該処分に係る者又はその代理人は,当該事案について意見を述べ,かつ,有利な証拠を提出することができる。

3  意見の聴取を行う場合において,必要があると認めるときは,公安委員会は,道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め,これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。

※道路交通法の規定に基づく意見の聴取及び弁明の機会の付与に関する規則

第5条(代理人)

 行政庁は,当事者が意見の聴取の期日に代理人を出頭させようとするときは,意見の聴取の期日までに,代理人の氏名及び住所並びに当事者が代理人に対して当事者のために意見の聴取に関する一切の行為をすることを委任する旨を記載した書面を提出させるものとする。

2  行政庁は,代理人がその資格を失ったときは,当該代理人を選任した当事者に,書面でその旨を届け出させるものとする。

※道路交通法施行令

第38条(免許の取消し又は停止及び免許の欠格期間の指定の基準)免許を受けた者が法第103条第1項第1号又は第1号の2に該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.法第103条第1項第1号「又は第1号の2に該当することとなつた場合(次号の場合を除く。)には、免許を取り消すものとする。

2.6月以内に法第103条第1項第1号イからハまでに掲げる病気にかかつている者又は同項第1号の2に規定する認知症である者に該当しないこととなる見込みがある場合には、免許の効力を停止するものとする。

2 免許を受けた者が法第103条第1項第2号に該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.法第103条第1項第2号に該当することとなつた場合(次号の場合を除く。)には、免許を取り消すものとする。

2.次条第4項第3号に掲げる身体の障害が生じているが、法第91条の規定により条件を付し、又はこれを変更することにより、6月以内に当該障害が自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがなくなる見込みがある場合には、免許の効力を停止するものとする。

3 免許を受けた者が法第103条第1項第3号に該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.法第103条第1項第3号に該当することとなつた場合(次号の場合を除く。)には、免許を取り消すものとする。

2.6月以内に法第103条第1項第3号の中毒者に該当しないこととなる見込みがある場合には、免許の効力を停止するものとする。

4 免許を受けた者が法第103条第1項第4号に該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.法第103条第1項第4号に該当することを理由として同項本文の規定により免許の効力を停止された者が重ねて同号に該当した場合には、同条第6項の規定による命令に違反したことについてやむを得ない理由がある場合を除き、免許を取り消すものとする。

2.法第103条第1項第4号に該当する場合(前号に該当する場合を除く。)には、免許の効力を停止するものとする。

5 免許を受けた者が法第103条第1項第5号から第8号までのいずれかに該当することとなつた場合についての同項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.次のいずれかに該当するときは、免許を取り消すものとする。

イ 一般違反行為をした場合において、当該一般違反行為に係る累積点数が、別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄、第3欄、第4欄、第5欄又は第6欄に掲げる点数に該当したとき。

ロ 別表第4第1号から第3号までに掲げる行為をしたとき。

2.次のいずれかに該当するときは、免許の効力を停止するものとする。

イ 一般違反行為をした場合において、当該一般違反行為に係る累積点数が、別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第7欄に掲げる点数に該当したとき。

ロ 別表第4第4号に掲げる行為をしたとき。

ハ 法第103条第1項第8号に該当することとなつたとき。

6 法第103条第7項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.第1項第1号、第2項第1号又は第3項第1号に該当して免許を取り消したときは、1年の期間とする。

2.一般違反行為をしたことを理由として免許を取り消したとき(次号に該当する場合を除く。)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄に掲げる点数に該当した場合 5年

ロ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第3欄に掲げる点数に該当した場合 4年

ハ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第4欄に掲げる点数に該当した場合 3年

ニ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第5欄に掲げる点数に該当した場合 2年

ホ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第6欄に掲げる点数に該当した場合 1年

3.一般違反行為をしたことを理由として免許を取り消された者が免許取消歴等保有者であり、かつ、当該一般違反行為が法第90条第9項若しくは第10項若しくは法第103条第7項若しくは第8項の規定又は法第107条の5第1項若しくは第2項の規定により指定され又は定められた期間が満了した日から5年を経過する日までの間(以下この項及び次項において「特定期間」という。)にされたものであるときは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄、第3欄又は第4欄に掲げる点数に該当した場合 5年

ロ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第5欄に掲げる点数に該当した場合 4年

ハ 当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の一の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第6欄に掲げる点数に該当した場合 3年

4.重大違反唆し等又は道路外致死傷で法第103条第2項第5号に規定する行為以外のものをしたことを理由として免許を取り消したとき(次号に該当する場合を除く。)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該行為が別表第4第1号に掲げるものである場合 3年

ロ 当該行為が別表第4第2号に掲げるものである場合 2年

ハ 当該行為が別表第4第3号に掲げるものである場合 1年

5.重大違反唆し等又は道路外致死傷で法第103条第2項第5号に規定する行為以外のものをしたことを理由として免許を取り消された者が免許取消歴等保有者であり、かつ、当該行為が特定期間内にされたものであるときは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該行為が別表第4第1号に掲げるものである場合 5年

ロ 当該行為が別表第4第2号に掲げるものである場合 4年

ハ 当該行為が別表第4第3号に掲げるものである場合 3年

7 法第103条第8項の政令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

1.特定違反行為をしたことを理由として免許を取り消したとき(次号に該当する場合を除く。)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄に掲げる点数に該当した場合 10年

ロ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第3欄に掲げる点数に該当した場合 9年

ハ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第4欄に掲げる点数に該当した場合 8年

ニ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第5欄に掲げる点数に該当した場合 7年

ホ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第6欄に掲げる点数に該当した場合 6年

ヘ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第7欄に掲げる点数に該当した場合 5年

ト 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第8欄に掲げる点数に該当した場合 4年

チ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表前歴がない者の項の第9欄に掲げる点数に該当した場合 3年

2.特定違反行為をしたことを理由として免許を取り消された者が免許取消歴等保有者であり、かつ、当該特定違反行為が特定期間内にされたものであるときは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄、第3欄又は第4欄に掲げる点数に該当した場合 10年

ロ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第5欄に掲げる点数に該当した場合 9年

ハ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第6欄に掲げる点数に該当した場合 8年

ニ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第7欄に掲げる点数に該当した場合 7年

ホ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第8欄に掲げる点数に該当した場合 6年

ヘ 当該特定違反行為に係る累積点数が別表第3の二の表前歴がない者の項の第9欄に掲げる点数に該当した場合 5年

3.法第103条第2項第5号に規定する行為をしたことを理由として免許を取り消したとき(次号に該当する場合を除く。)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該行為が別表第5第1号に掲げるものである場合 8年

ロ 当該行為が別表第5第2号に掲げるものである場合 7年

ハ 当該行為が別表第5第3号に掲げるものである場合 6年

ニ 当該行為が別表第5第4号に掲げるものである場合 5年

4.法第103条第2項第5号に規定する行為をしたことを理由として免許を取り消された者が免許取消歴等保有者であり、かつ、当該行為が特定期間内にされたものであるときは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める期間とする。

イ 当該行為が別表第5第1号に掲げるものである場合 10年

ロ 当該行為が別表第5第2号に掲げるものである場合 9年

ハ 当該行為が別表第5第3号に掲げるものである場合 8年

ニ 当該行為が別表第5第4号に掲げるものである場合 7年