公務執行妨害罪と医道審議会

行政|最高裁昭和63年7月1日判決|平成14年12月13日付医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について(平成24年3月4日改正)

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参考条文

質問:

私は,東京の病院で勤務している医師です。先日,私が酔っ払って路上で寝ていたところ,私を注意した警察官とトラブルになり,警察官を平手で殴ってしまいました。警察官の全治は3日間だとのことです。前後不覚になるまで酔っ払ってしまったのは,これが初めてです。

私はその場で逮捕されました。当初から自らの行為を認めていたこともあり,翌日釈放されましたが,当時就いていた弁護人に「公務執行妨害は示談ができない」と言われ,そのまま公務執行妨害罪と傷害罪により,罰金50万円の略式命令処分を受けました。

刑事事件を起こした医師は,業務停止等の行政処分を受けることがあると聞きました。私はこの後どうなってしまうのでしょうか。私には今回の罰金の他に前科もなく,このようなことは初めてなので不安です。これからするべき事があれば教えてください。

回答:

1. あなたは,公務執行妨害罪と傷害罪により50万円の罰金に処せられてしまいました(刑法204条,同95条1項,同54条1項)から,罰金以上の刑が確定したということで医師法7条2項,同4条3号の規定により,厚生労働大臣による行政処分の対象となります。行政処分の種類は医師法上,不処分(行政指導による厳重注意),戒告,3年以内の医業の停止,免許の取消しの4種類が定められています。傷害罪や公務執行妨害罪に対する過去の行政処分例からすると,医業停止1か月から3か月程度が通常想定される処分となります。

2. もっとも,上記は,あなたにとって有利な事情を何も主張しなかった場 合の処分の予想です。有利な事情を集め,整理した上で医道審議会に対して主張をおこなうことによって,本件においても不処分を含む軽微な処分となる可能性もあります。ここでいう「有利な事情」を集めるためには,まず何が処分に際しての考慮要素であるのかを知る必要があります。

行政処分を決するにあたって考慮される事情となりますが,対象となった行為の悪質性や,科された刑罰の軽重だけではなく,行為後の事情や,刑事処分後の行動・経過等あらゆる事情が考慮の対象となります。特に本件においては,①警察官との示談の成否,②贖罪寄付の有無,③行為態様の悪質性の評価,同種事案との比較が大きな考慮要素となります。

このように,多岐にわたる有利な事情を集めていくためには,事前の準備が欠かせません。経験ある弁護士と協議しながら迅速に進めていくことが肝心です。

3. 医道審議会に関する関連事例集参照。

解説:

1 あなたが現在置かれている状況について

あなたは医師であるため,罰金刑以上の刑に処された上で刑が確定すると,厚生労働大臣による行政処分,すなわち戒告,3年以内の歯科医業の停止,免許の取消し処分のいずれかの対象となります(医師法7条2項各号,4条3号)。また,不処分(行政指導による厳重注意)という処分もありますが,あくまで例外的な処分となっています。

これらの各処分(不処分)は,厚生労働省の委託を受けて各都道府県に設置された医道審議会が「弁明の聴取」(取り消しが想定される場合には,意見の聴取)という手続きを踏まえてなされることになっており,この「弁明の聴取」では,あなたのような処分の対象となっている医師が,有利な事情や言い分を主張し,判断の材料を提供することになります。

医道審議会はあなたに有利に働く事情を収集することはしませんから,何の主張もないまま弁明の聴取手続を迎えてしまえば,医道審議会は①判決文に記載された行為態様,②刑事罰の重さ,を中心に処分を判断することになります。

したがって,弁明の聴取手続までに,いかに有利な事情を準備し,かつ弁明の聴取手続の際に整理して主張する事ができるか,が処分を決めることになります。

2 医道審議会における考慮要素について

厚生労働大臣が処分を決する際の考慮要素に関して,医道審議会医道分科会より平成14年12月13日付で出されている「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」(平成24年3月4日改正)というガイドラインに若干の記載があります。

このガイドラインには考慮要素について,「医師、歯科医師の行政処分は、公正、公平に行われなければならないことから、処分対象となるに至った行為の事実、経緯、過ちの軽重等を正確に判断する必要がある。そのため、処分内容の決定にあたっては、司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とし、その上で、医師、歯科医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は、これを考慮して厳しく判断することとする。」という記載があります。

この記載からは,①処分対象行為の態様や,行為に至るまでの経緯等の具体的事情を,刑事処分を参考にして考慮要素とすること,②医師に求められる倫理に反する行為であった場合には特に厳しく判断すること,が読み取れるところですが,そもそも同ガイドラインによれば,「医師、歯科医師として求められる品位や適格性、事案の重大性、国民に与える影響等を勘案」することになりますから,結局のところ事件に関するあらゆる事情が考慮対象となる,ということになります。

この点について判断した判例(最判昭和63年7月1日)も「当該刑事罰の対象となった行為の種類,性質,違法性の程度,動機,目的,影響のほか,当該医師の性格,処分歴,反省の程度等,諸般の事情を考慮し」て判断すべきとしています。

公務執行妨害罪(刑法95条)は、適正な公権力の行使を保護法益とする罪ですから、社会秩序の維持や、公的活動に対する妨害ということで、反社会性の強い罪質と評価されかねない事案となりますので、人の傷病を治療し回復させるという医師の職務行為に不適当であると判断されてしまう危険があります。対象者の現在までの医師としての活動や、当該事案の特殊事情・情状資料などを詳細に検討・主張することにより、重い処分となってしまうことを回避しなければなりません。

3 同種事案の過去の処分例について

上記の通り,処分を決するに際しては,事件前後を問わず事件に関するあらゆる事情が考慮される事になりますが,その他参考にされるべきものとして,過去の処分例があります。

本件のような公務執行妨害罪による行政処分は具体例が少ないのですが,傷害罪による行政処分は多数あるので,これらが処分の相場を判断するのに有用です。以下では,本件類似の事案として,公務執行妨害罪と酒気帯び運転による道路交通法違反によって処分を受けた例と,傷害罪によって処分を受けた例を挙げます。

(1)処分例1

(ア)処分内容

医業停止1ヶ月

(イ)処分対象行為(量刑)

道路交通法違反,公務執行妨害(罰金60万円)

(ウ)事件の概要

酒気を帯び,呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で,平成20年3月24日午後9時10分ころ,普通乗用自動車を運転し,同日午後11時15分ころ,警察署1階事情聴取室において,上記道路交通法違反事件に関して担当の司法巡査から取調べを受けた際,同巡査に対し,その頭部を手拳で1回殴打する暴行を加え,もって同巡査の職務の執行を妨害した。

(2)処分例2

(ア)氏名,処分内容

歯科医業停止3月

(イ)処分対象行為(量刑)

傷害(懲役1年,執行猶予3年)

(ウ)事件の概要

平成17年11月7日午後6時ころ,被処分者が開設・管理する医院の院長室において,被害女性(当時20歳)に対し,その顔面を右平手で殴打する暴行を加え,よって,同人に全治約1か月間を要する下あご骨骨折の傷害を負わせた。

(3)処分例3

(ア)氏名,処分内容

歯科医業停止1月

(イ)処分対象行為(量刑)

傷害(罰金30万円)

(ウ)事件の概要

平成20年12月24日午前10時30分ころ,被処分者が開設・ 管理する歯科医院において,歯科衛生士A子(当時32歳)から申請された年次休暇の取得を拒んだところ,同女からその理由を問われたことに立腹し,同女に対し,その両肩付近を両手で突き飛ばして同女を後方のロッカーに衝突させる暴行を加え,よって,同女に加療約1週間を要する右手背部挫傷,右前腕打撲の傷害を負わせた。

(4)処分例4

(ア)氏名,処分内容

戒告

(イ)処分対象行為(量刑)

傷害(罰金10万円)

(ウ)事件の概要

平成20年3月12日午後9時ころ,東京都板橋区の被害男性方玄関前廊下において,同人(当時66歳)に対し,その腹部を持っていた医療用メス(刃の部分の長さ約1.7センチメートル)で1回突き刺し,よって,同人に加療1日を要する腹部刺創の傷害を負わせた。

以上

上記考慮要素に照らしてこれらの処分例を検討すると,行政処分に当たっては,刑事処分の量刑に沿った行政処分が原則としてなされているような印象を受けます。あなたが罰金50万円の刑事処分を受けたことからすると,「処分の相場」としては,やはり医業停止処分1ヶ月から3ヵ月という事になります。

もっとも,行政処分の決定にあたっては、行為後の経過も含めたあらゆる事情が考慮され、単に刑事処分の量刑だけで処分が決まるわけではありませんから,以下に述べるような活動を行うことで処分の軽減,具体的には戒告もしくは不処分(行政指導による厳重注意)を目指すことは十分に可能です。

4 有利な事情の収集方法について(具体的活動について)

(1)示談交渉

具体的な代理人活動についてまず行う必要があるのは,被害にあった警察官への謝罪と損害の賠償をして,許しを得ること,すなわち示談交渉です。この示談交渉は,刑事処分を決めるにあたって重要な要素となるので,本来であれば刑事処分が科される前に試みる必要があるのですが,上記の通りあらゆる事情が考慮される行政処分に当たっても,極めて大きな考慮要素です。

なお,厳密にはこの警察官はあくまでも傷害罪の被害者であり,公務執行妨害罪の被害者ではありません。これは,そもそも公務執行妨害罪は「公務」そのものを保護するための罪ですから,「被害者」はいないことになるためです。もっとも,本件は傷害罪と公務執行妨害罪の二罪が対象となっており,傷害罪との関係ではこの警察官は被害者となりますし,公務執行妨害罪との関係においても,やはり直接被害を受けた警察官に対して謝罪と弁償をしているか,という点は処分を決定する上で有利に働く事情となります。

ただし,通常の傷害事件以上に,警察官との示談には困難が伴います。これは,警察組織全体の問題として,示談交渉に応じない方針を定めているようなのです。推測ですが刑罰を科すという職務上の性格から上司が示談に応じないように指示している可能性も考えられます。そのため,示談が成立する可能性は低いと言わざるを得ない状況です。当時の弁護人に「示談ができない」と言われたのはこれが理由です。

しかし,そのような方針はあくまで方針に過ぎず,現場の判断により示談ができることがあります。例えば,経験上,階級が上の警察官を通さず,直接被害に遭った警察官と粘り強く交渉することで,治療費の範囲で弁償することができたり,示談の際に作成する合意書の内容を修正することで示談に近い和解合意をすることができたりすることがあります。例えば、支出された治療費のみの支払いに付き合意するとういう内容です。そもそも警察官が被害者であっても執務中の治療費自体を警察官自体、又は勤務先警察署が負担することは公費の濫用、警察官の不利益負担ですから受け取るのが本来の対応と言えるでしょう。何より「きちんと示談の申し入れをした。交渉を継続したが被害者側の理由でできなかった。」という事実自体が処分に当たって有利な事情として取り扱われる事があります。示談交渉の経過を詳細に報告書にして医道審議会に備える必要があります。

したがって,まずは粘り強い交渉をおこなうことが重要です。

(2)贖罪寄付

上記の通り,本件は公務執行妨害罪という「公務」に対する罪も含んでいます。そのため,被害者に対して金銭を支払う上記示談の他に,「公共」に対して謝罪し,賠償することも,処分を決定する上での有利な要素となります。そのための具体的な方法として,社会に対して寄付をする「贖罪寄付」という方法があります。

これは,弁護人を通じて各地の弁護士会等に行う寄付で,本件の様な示談が困難な類型のケースでは,贖罪の意を示す非常に有効な手段となります。

(3)刑事記録の検討・同種事案との比較

既に刑事処分を受けている本件のような場合,すぐに刑事確定記録の閲覧・謄写請求の手続きを行う必要があります(刑事確定訴訟記録法4条1項,記録事務規程16条1項)。

これは,刑事記録に記載されている本件の行為態様や,行為に至る経緯等から,判決書と起訴状に記載されていない,あなたに有利な事情を抽出する必要があるためです。起訴状と判決書には,簡潔にあなたの行為と傷害の結果だけが記載されており,医道審議会(そして厚生労働省)は,起訴状と判決書以外の刑事記録の内容を積極的に知ろうとすることはありませんから,経緯や動機において斟酌されるべき事実があったり,捜査に対して協力的であったりした事実があった場合には,こちらで整理して主張する必要があるのです。

例えば,本件では酩酊状態に至った事情や,これまで酒に酔った経験,警察官の怪我の程度が3日間と比較的軽いこと,暴行の態様が平手打ちと軽いものであること,捜査に対して一貫して協力的だったこと等が有利な事情として抽出できると思われます。

また,そうして確保した本件の詳細と,上記の様な過去の処分例とを比較して,整理した上で,本件が医業停止処分相当の事案ではない,ということを説得的に示す必要があります。

(4)嘆願書の作成

このほかにも,反省を示す為の反省文の作成や,再犯が無いことを示すための環境調整(家族の監督を誓約する書面の作成)等が収集すべき有利な事情となりますが,もう一つ,医師の行政処分において医師に有利に働く考慮要素として,嘆願書があります。嘆願書は,例えば職場の同僚や上司(雇用主)に該当する医師,場合によっては部下からの,医道審議会宛ての処分の軽減を求める書面です。このような嘆願書の存在は,医師としての適格性を担保する事情となりますから,できる限り集めておく必要があります。

(5)弁明聴取の対応の準備

また,上記の有利な事情は,全て弁明の聴取手続においてこちらから提出することで判断材料となります。弁明の聴取手続自体は限られた時間で行われるものですから,すぐに内容を把握できるように上記収集した有利な事情を説得的に組み合わせた意見書を作成し,提出する必要があります。

加えて,弁明の聴取手続においては,あなた自身が医道審議会から様々な質問を受けます。当然,この受け答えも処分に際して考慮される事情となりますから,弁護士との協議により事前にある程度準備しておくことが重要です。

5 まとめ

以上の通り,医師の行政処分を決めるにあたって,弁明の聴取の手続までに準備すべきことはたくさんあります。示談交渉は勿論のこと,刑事記録の閲覧や,嘆願書の作成依頼等については,ある程度時間がかかりますし,有利な事情を整理して詳細な意見書を作成するのにも時間がかかります。

そのため,できるだけ早い時期に医師の行政処分について経験のある弁護士に相談し,有利な事情を確保することをお勧めします。

以上

関連事例集

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※参照条文

刑法

(傷害)

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(公務執行妨害及び職務強要)

第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

医師法

第1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

第7条 医師が、第3条に該当するときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。

2 医師が第4条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。

一 戒告

二 3年以内の医業の停止

三 免許の取消し

3 前2項の規定による取消処分を受けた者(第4条第3号若しくは第4号に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して5年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第6条第1項及び第2項の規定を準用する。

4 厚生労働大臣は、前3項に規定する処分をなすに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

5 厚生労働大臣は、第1項又は第2項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、当該意見の聴取をもつて、厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。

6 行政手続法(平成5年法律第88号)第3章第2節(第25条、第26条及び第28条を除く。)の規定は、都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合について準用する。この場合において、同節中「聴聞」とあるのは「意見の聴取」と、同法第15条第1項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と、同条第3項(同法第22条第3項において準用する場合を含む。)中「行政庁は」とあるのは「都道府県知事は」と、「当該行政庁が」とあるのは「当該都道府県知事が」と、「当該行政庁の」とあるのは「当該都道府県の」と、同法第16条第4項並びに第18条第1項及び第3項中「行政庁」とあるのは、「都道府県知事」と、同法第19条第1項中「行政庁が指名する職員その他政令で定める者」とあるのは、都道府県知事が指名する職員」と、同法第20条第1項、第2項及び第4項中「行政庁」とあるのは「都道府県」と、同条第6項、同法第24条第3項及び第27条第1項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。

7 厚生労働大臣は、都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事あて送付しなければならない。

8 都道府県知事は、第5項の規定により意見の聴取を行う場合において、第6項において読み替えて準用する行政手続法第24条第3項の規定により同条第1項の調書及び同条第3項の報告書の提出を受けたときは、これらを保有するとともに、当該調書及び報告書の写しを厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該写しのほか当該意見を記載した意見書を提出しなければならない。

9 厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情に鑑み必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、前項前段の規定により提出された調書及び報告書の写し並びに同項後段の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる。行政手続法第22条第2項本文及び第3項の規定は、この場合について準用する。

10 厚生労働大臣は、当該処分の決定をするときは、第8項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。

11 厚生労働大臣は、第2項の規定による医業の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、当該弁明の聴取をもつて、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。

12 前項の規定により弁明の聴取を行う場合において、都道府県知事は、弁明の聴取を行うべき日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 第2項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容

二 当該処分の原因となる事実

三 弁明の聴取の日時及び場所

13 厚生労働大臣は、第11項に規定する場合のほか、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。この場合においては、前項中「前項」とあるのは「次項」と、都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えて、同項の規定を適用する。

14 第12項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、証拠書類又は証拠物を提出することができる。

15 都道府県知事又は医道審議会の委員は、第11項又は第13項前段の規定により弁明の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載しなければならない。

16 厚生労働大臣は、第5項又は第11項の規定により都道府県知事が意見の聴取又は弁明の聴取を行う場合においては、都道府県知事に対し、あらかじめ、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 当該処分に係る者の氏名及び住所

二 当該処分の内容及び根拠となる条項

三 当該処分の原因となる事実

17 第5項の規定により意見の聴取を行う場合における第6項において読み替えて準用する行政手続法第15条第1項の通知又は第11項の規定により弁明の聴取を行う場合における第12項の通知は、それぞれ、前項の規定により通知された内容に基づいたものでなければならない。

18 第5項若しくは第11項の規定により都道府県知事が意見の聴取若しくは弁明の聴取を行う場合又は第13項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合における当該処分については、行政手続法第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。

刑事確定訴訟記録法

(保管記録の閲覧)

第四条 保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。

記録事務規程(法務省訓令)

第16条(謄写) 保管検察官は,保管記録又は再審保存記録の閲覧を許す場合には,その謄写を許すことができる。