新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1573、2014/12/22 11:05 https://www.shinginza.com/sakujyo.htm

【民事、プロバイダ責任制限法、最高裁平成22年4月8日判決、最高裁平成22年4月13日判決】

発信者情報開示に係る意見照会への対応方法

質問:
この度、某インターネットプロバイダから同居している娘(21歳・大学生)宛てに「発信者情報開示に係る意見照会書」という文書が届きました。文書には、娘がある電子掲示板に投稿したとされる書き込みが添付されており、その投稿記事により権利が侵害されたと主張する者から発信者情報の開示請求があったため、開示に応じるかどうかの意見を2週間以内に回答するよう記載されています。娘に事情を聴いたところ、就職活動で失敗した腹癒せに、就職活動に関する情報交換に用いられている不特定多数が閲覧可能な電子掲示板に、不採用となった企業を誹謗中傷するような書き込みをしてしまったとのことでした。娘の個人情報が開示されることで法的な責任追及されるのではないか、名誉毀損罪容疑で警察が動くような事態にならないか等々、心配が尽きず、親子ともども大変動揺しています。今後、どのように対応していったら良いのでしょうか。



回答:

1. 発信者情報の開示請求には応じない旨の意見書を提出するなどして開示を拒否する必要があります。また、問題となっている書き込みの内容にもよりますが名誉棄損等に該当する危険性がある場合は、至急削除する手配をする必要があります。

2. インターネットプロバイダよりお嬢様に送付されてきた文書は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダ責任制限法」)第4条第2項に基づく意見照会の手続きにかかるものと思われます。お嬢様は就職試験で不採用となった企業を誹謗中傷するような書き込みを行ったとのことですが、誹謗中傷された会社より、お嬢様に対する民事上・刑事上の責任追及を行うための準備として、書き込みを行った者がどこの誰なのかを把握するため、当該掲示板を管理するプロバイダに対して権利侵害に係る発信者情報(書き込みを行った者の氏名、住所、メールアドレス、IPアドレス等)の開示請求(プロバイダ責任制限法4条1項)がなされたものと考えられます。

3. プロバイダが発信者情報の開示を行うにあたっては、書き込みによって権利侵害を受けた者の救済と発信者のプライバシー(憲法13条1項後段)や表現の自由(憲法21条1項)、プロバイダの通信の秘密(憲法21条2項後段、電気通信事業法4条1項・2項)との調和の観点から厳格な要件が定められています。具体的には、(1)侵害情報の流通によって開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであること、(2)損害賠償請求権の行使のために必要である等発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること、という2つの要件をいずれも満たす必要があります(プロバイダ責任制限法4条1項各号)。

4. 名誉毀損の成否が問題となるケースの場合、過去の確立した判例に照らせば、(1)「権利が侵害されたことが明らか」といえるためには、@当該会社の社会的評価が低下したことが明白であるのみならず、A@)電子掲示板上の投稿記事により摘示された事実が公共の利害に係るものであること、A)書き込みが専ら公益を図る目的で行われたこと、B)摘示された事実が真実であること又は真実と信じるにつき相当な理由があること、の各事由の存在を窺わせる事情が存在しないことまで必要とされると解されます。プロバイダが開示に応じるためにはかなり高いハードルが設定されているといえるでしょう。

5. もっとも、発信者情報が開示された場合の影響は重大ですし(民事上の損害賠償請求、刑事告訴等)、万が一、発信者情報開示後に民事上・刑事上の責任追及を受ける事態となった場合、意見照会に対する回答内容はお嬢様の民事上・刑事上の責任の有無が判断されるに際して重要な証拠として用いられることになります。したがって、発信者情報開示の回避をより確実なものとするためには、十分な法的検討、過去の裁判例との比較検討等を踏まえた上で、投稿記事の内容が当該会社の社会的評価を低下させる内容とはいえないことや投稿記事の記載内容の公共性、公益性、真実性につき、法的に筋の通った詳細かつ説得的な主張を行っておくことが望ましいといえます。

6. 現在お嬢様が置かれている法的状況や今後の発信者情報開示手続の見通し、具体的対応方法に不安を感じるようであれば、一度弁護士等の専門家に相談した上、現状についての正確な理解の下、対応を検討されることをお勧めいたします。

7. プロバイダ責任制限法 関連事務所事例集1443番1376番1229番1219番1215番1170番1169番1106番1035番882番813番755番732番216番参照。


解説:

1.(発信者情報開示制度と手続きの流れ)

 インターネットプロバイダよりお嬢様に送付されてきた文書は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」といいます。)第4条第2項に基づく意見照会の手続きにかかるものと思われます。現在お嬢様が置かれている状況を正確に把握して頂くため、はじめにプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示制度の概要と手続きの流れについて確認しておきます。

 電子掲示板への書き込みをはじめとするインターネット上の情報発信(典型的には誹謗中傷の書き込み)により何らかの法的権利の侵害を受けた者がいる場合、加害者に対して民事上・刑事上の法的責任を追及するためには、当該情報発信を行った者がどこの誰なのかを特定する必要が生じます。例えば、加害者に対して民事上の損害賠償請求を行うため訴えを提起するにあたっては訴状に相手方の氏名及び住所を記載する必要がありますし(民事訴訟法133条2項1号、民事訴訟規則2条1項1号)、刑事上の責任追及を行うため名誉毀損罪等で告訴する場合であっても告訴状に可能な限り被告訴人を特定できる事項の記載が求められます。しかし、電子掲示板への書き込みをはじめとするインターネット上の情報発信は匿名で行われていることが多く、権利侵害を受けた者は加害行為となる情報発信を行った者に関する情報を有していないことが通常です。そこで、権利侵害を受けた者が一定の要件の下でプロバイダに対して発信者情報の開示を求めることを認めたのが前述のプロバイダ責任制限法です。発信者情報の開示義務を負うプロバイダには、電子掲示板の管理等のコンテンツを提供するコンテンツプロバイダのみならず、インターネット上情報発信者とコンテンツプロバイダとの通信を媒介する経由プロバイダも含まれます(最高裁判所第一小法廷平成22年4月8日判決)。

 インターネット上の情報発信により権利侵害を受けた者は、まずプロバイダに対し当該プロバイダが保有する権利侵害に係る発信者情報(氏名、住所、メールアドレス、IPアドレス等)の開示請求を行います(プロバイダ責任制限法4条1項)。発信者情報開示請求を受けたプロバイダは、原則として発信者情報を開示するか否かについて発信者の意見を聴取した上、一定の要件に該当すると判断した場合に限り、発信者情報の開示を行うことになります(プロバイダ責任制限法4条2項)。

ここでの一定の要件とは、

(1)侵害情報の流通によって開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであること
(2)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること
のいずれにも該当する場合を指します(プロバイダ責任制限法4条1項各号)。

 かかる要件と手続きが法定されている趣旨は、発信者情報が情報発信によって権利侵害を受けた者の救済に有益である一方で、発信者のプライバシー(憲法13条1項後段)や表現の自由(憲法21条1項)、通信の秘密(憲法21条2項後段、電気通信事業法4条1項・2項)にかかわる情報であり、正当な理由がない限り第三者に開示されるべきものではなく、また、これがいったん開示されると開示前の状態への回復は不可能となることから、プロバイダに対して、情報発信者の意見も踏まえてその利益が不当に侵害されることがないよう十分に意を用いた上での慎重な判断を求める点にあります(最高裁判所第三小法廷平成22年4月13日判決)。

 今回お嬢様の元に届いた意見照会書は、プロバイダが発信者情報を開示するか否かの決定にあたって、プロバイダ責任制限法4条1項所定の要件に該当するか否かの判断資料として用いられることになります。発信者情報の開示があると、法的な責任を追及される可能性がありますから書き込みの内容等に照らして、上記各要件を充足しないことを説得的に反論する必要があります。

2.(発信者情報開示の要件について)

 発信者情報開示の要件を充足しないことを説得的に主張するためには、法定の各要件の意味するところを正確に理解しておく必要があります。

(1)権利侵害の明白性(プロバイダ責任制限法4条1項1号)

 発信者情報の開示には「権利が侵害されたことが明らか」である必要がありますが、ここでいう「明らか」とは、一般的に、単に権利侵害が明白であるのみならず、不法行為(民法709条)の成立を阻却する事由の存在を窺わせるような事情が存在しないことをも意味するものと解されています。お嬢様のケースでは、権利侵害の具体的態様としては名誉毀損の成否が問題となる場面と考えられますので、名誉毀損の成否の判断枠組みに則して説明いたします。

 名誉毀損とは、人の社会的評価(人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価)を低下させる行為をいい、加害行為者は民法709条に基づく不法行為責任を負うことになります(最高裁第三小法廷平成9年5月27日判決)。被害者が個人ではなく会社のような法人であっても、名誉毀損の客体となり得、不法行為責任を負うべきとの結論に変わりはありません(最高裁第一小法廷昭和39年1月28日判決)。もっとも、確立した判例によれば、「その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である(このことは、刑法二三〇条の二の規定の趣旨からも十分窺うことができる。)」とされています(最高裁第一小法廷昭和41年6月23日判決)。

 これらを前提とすると、「権利が侵害されたことが明らか」といえるためには、

@当該会社の社会的評価が低下したことが明白であるのみならず、
A@)電子掲示板上の投稿記事により摘示された事実が公共の利害に係るものであること、
A)書き込みが専ら公益を図る目的で行われたこと、
B)摘示された事実が真実であること又は真実と信じるにつき相当な理由があること、

の各事由の存在を窺わせる事情が存在しないことが必要であることになります。

裏を返せば、プロバイダの意見照会に対して、@当該会社の社会的評価が低下したことが明白であるとはいえないこと、A上記@)乃至B)の各事由の存在を窺わせる事情が存在することを詳細に主張し、プロバイダを説得することができれば、開示請求者に対する発信者情報の開示を回避することができるということになります。

(2)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由(プロバイダ責任制限法4条1項2号)

 条文上、「正当な理由」の例として、当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合が示されていますが、他にも名誉回復措置(民法723条)を求めるために必要な場合や情報発信者に対する削除請求を行うために必要な場合、情報発信者に対する刑事告訴を行うために必要な場合等が該当し得ると考えられます。

 本要件については、仮に名誉毀損による不法行為の成立が明らかであったとしても、その程度や態様が軽微であれば「正当な理由」にあたらない場合があると考えることができるでしょう。すなわち、仮に理論的に名誉毀損が成立していても、その程度や態様に照らして損害がごく軽微であるような場合、名誉毀損による損害賠償請求等がそもそも権利の濫用(民法1条3項)として許されず、発信者情報開示の前提が欠けることがあると考えられます。

 具体的には、電子掲示板上に名誉毀損となる書き込みが行われたものの短時間で削除された場合、投稿記事の閲覧者が少人数に止まる場合、名誉毀損となる投稿記事の内容が不特定多数の第三者に伝搬する可能性が実際上考えにくい場合などには、「正当な理由」を低下させる事情として働くものと考えられます。

3.(今後の対応について)

 まず、可能であれば、お嬢様が電子掲示板上に書き込んだ投稿記事を削除してしまうのが無難でしょう。仮に投稿記事の内容が名誉毀損に該当するようなものであったとしても、投稿記事が第三者の目に触れる時間が短いほど発信者情報の開示に必要な「正当な理由」(プロバイダ責任制限法4条1項2号)を低下させる事情となるとともに、実際上も将来の民事上・刑事上の責任追及を受ける可能性を低下させる効果も期待できます。

 その上で、プロバイダからの意見照会に対する回答の準備を行う必要があります。まず、そもそもお嬢様が書き込んだ投稿記事の内容が名誉毀損に該当するものなのかどうかを法的見地から検討する必要があります。従来、紙媒体の表現行為による名誉毀損の成否については「一般読者の普通の注意と読み方を基準として」判断するという基準が判例上示されていましたが(最高裁第二小法廷昭和31年7月20日判決)、インターネット上の表現行為についても同様の基準による判断枠組みが用いられることが近年の判例によって確認されています(最高裁第二小法廷平成24年3月23日判決)。したがって、投稿記事による名誉毀損の成否の検討にあたっては、各投稿記事の意味内容をかかる観点から解釈し、社会的評価を低下させる内容なのか否かを具体的に検討する必要があります。過去に名誉毀損の成否が争われた多数の裁判例の蓄積がありますので、先例との比較検討も重要になってきます。また、投稿記事の記載内容の公共性、公益性、真実性についても、個別具体的な検討が不可欠となります。

 かかる法的検討の結果、名誉毀損の成立が明らかであるとまではいえず、発信者情報の開示を回避したいというご意向であれば、発信者情報開示に係る意見照会に対し、(1)権利侵害の明白性と(2)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がともに存在しないことを論拠を示しつつ詳細に主張する回答書を作成し、送付する必要があります。発信者情報開示の要件は厳格なものが定められていますが、開示された場合の影響が重大ですし(民事上の損害賠償請求、刑事告訴等)、万が一、発信者情報開示後に民事上・刑事上の責任追及を受ける事態となった場合、回答書の内容はお嬢様の民事上・刑事上の責任の有無が判断されるに際して重要な証拠として用いられることとなりますので、手抜かりなく対応する必要があるところです。

 逆に、法的検討の結果、名誉毀損の成立が明らかであり、当方で発信者情報の開示を拒否する旨の回答を行っても開示の可能性が高いと見込まれる場合、発信者情報が開示されてしまうことを見越した対応が必要となってくるでしょう。具体的には、発信者情報の開示に任意に応じた上、民事訴訟や刑事告訴等の重大な事態の回避を目指して速やかに示談交渉を行う、といった対応が考えられます。一般論として、自発的な被害弁償申出による示談を目指す場合、発信者情報開示を拒否したもののプロバイダの判断により開示されたという場合より、自発的に開示に応じて被害弁償申出を行った方が誠意が伝わり、示談交渉がスムーズに進められる可能性が高いといえます。もっとも、相手方のあることですから、任意での開示が必ずしも民事訴訟や刑事告訴等の回避に結びつくとは限らず、慎重な検討が必要とされるところです。

 いずれにしても、本件は投稿記事の内容についての十分な法的検討とそれを前提とした手続きの見通しを踏まえて対応する必要があり、回答書上も法的に筋の通った説得的な主張を展開できた方が望ましいといえます。現在お嬢様が置かれている法的状況や今後の発信者情報開示手続の見通し、具体的対応方法に不安を感じるようであれば、一度弁護士等の専門家に相談した上、現状についての正確な理解の下、対応をご検討されることをお勧めいたします。

≪参照条文≫
日本国憲法
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

民法
(基本原則)
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(名誉毀損における原状回復)
第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

民事訴訟法
(訴え提起の方式)
第百三十三条  訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
2  訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  当事者及び法定代理人
二  請求の趣旨及び原因

民事訴訟規則
(当事者が裁判所に提出すべき書面の記載事項)
第二条 訴状、準備書面その他の当事者又は代理人が裁判所に提出すべき書面には、次に掲げる事項を記載し、当事者又は代理人が記名押印するものとする。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
二 事件の表示
三 附属書類の表示
四 年月日
五 裁判所の表示

電気通信事業法
(秘密の保護)
第四条  電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2  電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
(趣旨)
第一条  この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号 に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二  特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号 に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三  特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四  発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
(発信者情報の開示請求等)
第四条  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一  侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二  当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2  開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3  第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4  開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。

刑法
(名誉毀損)
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。


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