新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1610、2015/06/05 12:00 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事、検察官は略式手続において弁護人から受領した示談書等を提出しなくてもよいか、科刑意見書で証拠の提出に変えることができるか、刑事訴訟規則289条、略式手続の合憲性、最高裁昭和24年7月13日判決、迷惑防止条例違反の保護法益】

略式命令手続における弁護活動


質問:
 私は公務員ですが、このたび盗撮で検挙されてしまいました。逮捕されましたが、事実関係を全て認めたので、勾留請求されず2日で帰宅できました。弁護士に依頼して、被害者との示談も50万円で成立し被害届けも取消していただき、示談書一式を検察庁に提出して頂きました。起訴猶予を希望していましたが、検事(副検事)から呼び出しを受け「あなたには6ヶ月前に同じ前歴があるので不起訴にはできないが、示談もしているので懲役刑を回避して罰金刑になる略式命令手続きにするが同意しますか。」と言われました。罰金になると懲戒処分になる可能性があるので迷っていたのですが、「職場には連絡しないので安心してください。必ず示談書類も証拠資料として提出しますから。」と説明されたので同意しました。その後、裁判所から50万円の略式命令が来ました。迷惑防止条例の罰金の上限は50万円なので、示談したことを考慮されていないので疑問に思い、弁護人にその事情を聞いてもらいました。副検事は、最初、示談書を提出したので裁判所の判断と説明していましたがどうしても納得できないので弁護人に任意略式命令手続きの訴訟記録の閲覧を依頼し謄写も申請しました。ところが、簡易裁判所での閲覧記録には示談書が添付されていませんでした。弁護人がその事実を指摘すると、担当副検事は「申し訳ない。示談書は提出しなかったが、科刑意見書に示談内容を記載したので手続きのミスはないと思う。」との説明でした。そこで、弁護人が後日裁判所(弁護士会の謄写係)から送られてきた謄写記録を見るとなぜか科刑意見書だけが謄写不可なっており確認することができませんでした。簡易裁判所に何故科刑意見書だけが謄写不可なのかと理由を求めると、担当書記官は「担当裁判官が決めたので理由はわからない。検察官の異議が出たのかどうかは確認できない。」という回答です。そこで弁護人が再度、科刑意見書を閲覧したところ、科刑意見書には求刑罰金50万円と記載しているだけで他には何も記載されていませんでした。弁護人が副検事に問い合わせると「そんなことはない。必ず記載した。2週間すると裁判所から記録が戻るので確認できる。50万円の罰金が不服なら異議の申立てをしてください。」との一点張りです。
 公務員ですし、正式の公開裁判をするつもりはありません。以上のような副検事の手続き、説明は正しいのでしょうか。私としては、納得できないのですが、統括する検察庁に問題提起、責任追及すると仕返しに職場に連絡されることも心配で身動きができません。



回答:

1、 本件の公訴事実である迷惑防止条例違反(盗撮行為)の保護法益は、公衆の平穏ですので、強制わいせつ罪のような個人的法益を保護する犯罪事案において示談成立し告訴取消された場合に不起訴処分となるのとは異なり、起訴される可能性は残されています。前歴があるのですからなおさらです。但し、社会的法益に関する罪と言っても、事実上の被害者は盗撮の相手方ですから、この被害者との示談が成立すれば不起訴処分が得られることが多いのも事実です。前科がありませんし、被害届けも取消となっているのですから本来であれば起訴猶予(刑訴248条)となってもおかしくはありません。この点弁護人の検察官との交渉不足と思われます。

2、 略式命令手続きは、刑事訴訟法461条以下に規定される簡易な裁判手続きで、罪証・事案簡明な100万円以下の罰金又は科料が相当とされる事件について、被疑者の同意を条件として、公判を開かずに検察官の提出した資料に基づく書面審理のみによって裁判を行う手続です。この同意をした場合,即日若しくは近日中に検察官の公訴提起と同時に略式請求され,簡易裁判所より罰金の支払を命じる略式命令が出されます。担当副検事は略式手続きにおいてまず、示談書の書類を簡易裁判所に証拠として提出していませんが、これは違法な手続きです。刑事訴訟規則289条に違反しています。担当副検事は、これを証拠として提出することを約束しているのですから被疑者、弁護人に対する信義則にも反します。

3、 次に、副検事は、求刑意見に示談の内容を記載したので示談書を証拠として提出したと同じであると説明しているがこれも間違いです。示談書は証拠資料であり、求刑意見は、検察官の意見にすぎず(公判における論告求刑と同じで証拠ではありませんから、意見書で、証拠に代えることはできませんし、証拠がないのに意見を述べているので無意味な意見陳述です)、裁判官はこのような意見に拘束されることは理論的にありえません。副検事の説明は明らかな間違いです。さらに、科刑意見に記載していない事実について虚偽の説明をしており公益の代表としてあってはならない言動です。上席検察官、地検の責任者に上申しこのような違法手続きの再発防止を求める必要があります。

4、 公務員が略式命令を受けて罰金刑を受けることは、後日懲戒処分等行政処分を受けることに繋がりますので、罰金刑を受けるとしても、その軽重については重大な利害関係があります。これを事前に防止するには、弁護人を協議し、略式命令の請求の際に情状資料として、この示談書の写しが提出されるかどうか、担当検事に弁護人を通じ直接面会し確認し、しっかりした意見書を提出する必要があります。

5、 担当副検事が、検察官事務取扱検察事務官(検取官)の場合が多く、このようなミスは、検取官制度に問題があるとの指摘も以前からなされています。

6、 関連事例集、 検察官事務取扱検察事務官に関連して1584番1563番1031番参照。

解説:

1、 迷惑防止条例違反の保護法益は、公衆の平穏ですので、個人的法益を保護する犯罪事案において示談成立した場合とは異なります。保護法益とは、刑罰法規が規定される目的となった保護すべき権利のことです。例えば窃盗罪であれば、個人の財産権ですし、監禁罪であれば個人の移動の自由ですし、殺人罪であれば個人の生命の安全が、保護法益ということになります。

 誤解されていることも多いのですが、痴漢、盗撮行為などを処罰する各都道府県の迷惑防止条例の保護法益は、個人の性的な自己決定権ではなく、公衆の平穏ということになります。参考のために、東京都の迷惑防止条例の該当部分を引用します。

東京都迷惑防止条例5条(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第1項 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

 これを読んで分る通り、「公共の場所」や「公共の乗物」において、卑わいな言動をすることが構成要件となっており、知人同士の男性と女性が2人で居る時に卑わいな行為があっても、迷惑防止条例は成立しないことになります。(勿論、相手女性の意思に反するわいせつ行為があれば、強制わいせつ罪の成否は問題となり得るところではあります。)

 つまり、迷惑防止条例が抑止しようとしている迷惑行為というのは、多数の知らない者同士が行き交うような公共の場所や公共の乗り物の中において、嫌悪感を催してしまうような、卑わいな言動(必ずしも痴漢行為や盗撮行為に限定されているわけではありません)を行うことであると言えます。痴漢行為で言えば、身体を触られた女性客は勿論被害者になりますが、その場に居合わせた多数の人々全員が被害者であると言えるのです。要するに、痴漢行為の現場に居合わせて、不快感を感じた者全員が被害者ということになるのですが、当然、公共の場所や乗り物ですから、不快感を感じてもすぐにその場を立ち去ってしまっていますから、身体を触られた直接の被害者以外については、捜査機関でも把握しきれていないことになります。

 従って、担当検事の盗撮された被害者と示談ができたとしても「不起訴にできない」という判断には、一定の理由があるということになります。

 但し、社会的法益に関する罪と言っても、事実上の被害者は盗撮行為の相手方ですから、この被害者との示談が成立すれば不起訴処分が得られることも多いです。弁護士に依頼し、不起訴処分になるよう検察官と協議して貰うと良いでしょう。職場の懲戒処分が掛かっているので粘り強く交渉する必要があります。


2、 略式命令手続きは、刑事訴訟法461条以下に規定される簡易な裁判手続きで、罪証・事案簡明な100万円以下の罰金又は科料が相当とされる事件について、被疑者の同意を条件として、公判を開かずに検察官の提出した資料に基づく書面審理のみによって裁判を行う手続です。罰金刑の事案ですので、簡易裁判所が管轄する手続きになります(裁判所法33条)。

 検察官が書面の審理だけで命令を出せると判断して請求するのですから、犯罪事実についての証明に問題が無く、また、被疑者の自白調書も取れている事案が原則となります。被疑者が略式手続の同意をする書面を作成した場合、即日若しくは近日中に検察官の公訴提起と同時に略式請求され、簡易裁判所より罰金の支払を命じる略式命令が出されることが予想されます。つまり略式手続に同意することは、実質上罰金刑を受け入れることになります。

 なお、略式手続は、非公開で書面審理のみで命令が下されるので、憲法37条1項の刑事被告人の公開裁判を受ける権利や、同82条1項の裁判の公開原則に違反するのではないか争われたことがありますが、裁判所は、刑事被告人が略式命令に同意する前でも、略式命令を受けた後でも、正式裁判を求める権利が保護されており、略式手続は裁判所に出頭せず「衆人環視の下に面目を失することを避け得る」利益があるので、これを選択肢として与えているにすぎず、憲法には違反しないと判示しています。

最高裁判所昭和24年7月13日判決(物価統制法違反事件)
「旧刑訴第七編の規定する略式手続は、区裁判所(簡易裁判所)の管轄に属する事件について、公判前略式命令を以て、罰金又は科料を科する簡易訴訟手続である。すなわち裁判所は検察官から公訴の提起に附帯して略式命令の請求を受けたときは、公判を開くことなく従つて被告人その他の訴訟関係人の召喚、口頭弁論、証拠調等をなすことなく、専ら書類又は証拠物によつて(勿論憲法三八条三項の規定を考慮して)公訴に係る犯罪事実の取調をなし(旧刑訴四八条四項、新刑訴四三条三項、並びに刑訴規則二八九条二九三条参照)該事実の肯定し得る限りその科刑及び没収その他の附随処分を判断し、その罪となるべき事実、適用した法令、科刑及び附随の処分、並びに正式裁判を請求し得る旨の記載をなして略式命令を発し、その謄本を被告人に送達又は交付して、これを告知する一連の手続をいうのである。そして裁判所は、検察官から略式命令の請求を受けても、その事件略式命令をなすことができないものであるか又はこれをなすことが相当でないと思料するときは、通常の手続規定に従い審判し得るのであつて、毫も検察官の請求に拘束されるものではない。また被告人は、略式命令の告知があつた日から七日以内に正式裁判の請求をして通常の規定に従い審判を求めることができるのであり、この場合においては裁判所は略式命令に拘束されるものではなく、又正式裁判の請求により判決をしたときは略式命令は、その効力を失うものであるから、この命令は被告人の自由意思による正式裁判の請求に基ずき通常の手続において判決のなされることを解除条件とする裁判に外ならないのである。それ故被告人が迅速な公開裁判を受ける権利を行使しようと思えば略式命令の告知があつたときから直ちに正式裁判の請求をすれば事足りるのであり、むろん資格を有する弁護人を依頼しようと思えば何時でも附することを妨ぐるものではない。たゞ法律は、被告人が正式裁判の請求をしないで期間を経過し又はその請求の取下をしたとき等の場合においては、略式命令に確定判決と同一の効果を認め、これに執行力及び既判力を附与するに過ぎないのである。されば略式手続は、対審判決の公開に関する憲法八二条の適用を受けるものではなく、また、同法三七条所定の被告人の迅速な公開裁判を受ける権利、証人を求め若しくは訊問する権利又は弁護人を依頼する権利等を害するものでもなく、また、もとより被告人の自白に関する同法三八条三項に触れるものでもない。しかのみならず口頭弁論に基く通常の判決手続においても罰金以下の刑(新刑訴においては五千円以下の罰金又は科料)にあたる事件については、被告人は特に裁判所の出頭命令がない限り、自ら公判に出頭することを要するものではない。(旧刑訴三三一条新刑訴二八四条参照)そして、公判に出頭しないことは、被告人の側においても出頭の労力と費用とを省き且つ衆人環視の下に面目を失することを避け得る等の利益なしとしない。されば罰金又は科料のごとき財産刑に限りこれを科する公判前の命令手続として被告人に対しかかる利益考慮の余地を与えると共に前示のごとき憲法上の権利の行使をも妨げない簡易手続を規定したからといつて毫も憲法に違反するものではない。」


3、 公務員でも、例えば免許を持つ医師でも、略式命令を受けて罰金刑を受けることは、後日の懲戒処分や医業停止などの行政処分を受けることに繋がりますので(公的資格者は行政処分の対象となります。)、略式命令の罰金刑を受けるとしても、その軽重については重大な利害関係があります。

 国家公務員の場合は、人事院の懲戒指針で、迷惑防止条例違反の非違行為は、「停職または減給」が標準処分例とされており、情状が重ければ懲戒免職も有りうることになります。地方公務員の場合は、各自治体によって懲戒指針が策定されていますが、おおむね、この人事院指針が踏襲されていると言えます。

http://www.jinji.go.jp/kisya/0804/choukai-sisin20.htm

 従って、公務員である被疑者が、迷惑防止条例違反で罰金刑を受ける場合は、なるべく軽い処分となるように、有利な事情を最大限主張する必要があると言えます。

 医師の場合は、医師法7条及び4条で、医師免許の、取消又は医業停止の行政処分を受けることがあります。

医師法抜粋
第4条 左の各号の一に該当する者には、免許を与えないことがある。
1号 精神病者又は麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者
2号 罰金以上の刑に処せられた者
3号 前号に該当する者を除く外、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者
第7条第2項 医師が第4条各号の一に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。

 刑事裁判の確定後に、法務省から厚生労働省に全件が報告される運用がありますが、軽微な略式事件の場合は、報告されない取り扱いとされています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/02/h0224-1.html

 従って、医師である被疑者が罰金刑を受ける場合は、その罰金の額についても、担当検事に対して、厚生労働省への通告を差し控えるべき事案にあたるかどうか、軽微な案件であると主張しうるかどうか、厚生労働省への通告との関係で、非常に重大な問題となります。

 もしも、被害者との間で示談成立している事案であれば、略式命令の請求の際に情状資料として、この示談書の写しが提出されるかどうか、担当検事に確認する必要があります。

4、 本件副検事は、略式手続において、受領している示談書、被害届取消書等の証拠を提出していませんから刑訴規則289条に違反しています。

 刑事訴訟規則289条は、「検察官は、略式命令の請求と同時に、略式命令をするために必要があると思料する書類及び証拠物を裁判所に差し出さなければならない。」と規定していますので、略式命令の請求書と一緒に供述調書などの資料と共に、弁護人から提出された被害者との和解書があれば、当然にこれも裁判所に提出すべきことになります。

 条文上、「検察官が必要と思慮する」と規定されていますが、略式手続は非公開の裁判であり、弁護人側が直接裁判所に証拠を提出できないのですから、検察官は、公正な裁判がおこなわれるように示談書、被害届取り下げ書、示談金支払い書等被告人、被疑者、弁護士から受領した被告人に有利な情状に関する証拠書類を提出する義務があると解釈上考えられます。提出したとの副検事の虚偽の説明は法曹にあってはならないことであり、弁護人との信義則、公正な裁判をゆがめるものであり許されません。上級検察庁、上席検察官に面会を求め再発防止、刑事訴訟法の基礎知識の修得を強く要請すべきです。


5、次に検察官は前言を翻し科刑意見に記載したので示談書等を提出したと説明していますが、これも誤りです。289条の書類、すなわち証拠には科刑意見書は入らないからです。科刑意見書は、公判における検察官の論告、求刑と同じもので証拠ではありません。


6、  尚、略式命令の請求書に添付される検察官の科刑意見書についても、被害者との示談を受けてこれを斟酌した意見となるよう弁護人から担当検事に対して要請することが必要です。略式命令に同意したから弁護活動は終わりということではなく、略式命令の請求時に、情状資料がきちんと添付されるか、また、示談成立などの情状が科刑意見に反映されているか、事前に良く確認することが大事です。とはいっても弁護人が略式命令の請求書を裁判所提出前に閲覧することはできません。事前の確認方法としては、検察官との連絡を密接に行い、示談書等の提出や科刑意見について口頭でお互いの意見を確認しておくしかないでしょう。御心配な場合は、略式手続の弁護活動に経験豊富な弁護士に御相談なさると良いでしょう。

 なお、検察官が和解書等を提出しなかったからと言って、直ちに検察官の義務違反、あるいは手続きが違法となるかというと、義務違反とまでは言えないという意見もあります。現行刑事訴訟法の原則は当事者主義の訴訟構造をとっており、検察官に被告人に利益な証拠を提出する義務はないとされており、略式手続においても訴訟の基本構造は変わらないという理由です。しかし、裁判の公平、公正は略式手続においても求められるので刑事訴訟規則289条の解釈は検察官の自由な証拠提出裁量権を合理的に制限するものと考えることができます。

<参照条文>
日本国憲法
第37条第1項 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
第2項 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
第3項 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

第82条第1項 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
第2項 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

刑事訴訟法第461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
第461条の2 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
2項 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
第462条 略式命令の請求は、公訴の提起と同時に、書面でこれをしなければならない。
2項 前項の書面には、前条第二項の書面を添附しなければならない。

裁判所法第33条(裁判権)簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一号 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二号 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第百八十六条 、第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟
2項 簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。ただし、刑法第百三十条 の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条 の罪、同法第二百三十五条 の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条 、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法 (昭和二十四年法律第百八号)第三十一条 から第三十三条 までの罪若しくは質屋営業法 (昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条 から第三十二条 までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項 の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
3項 簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。

刑事訴訟規則
第289条(書類等の差出)検察官は、略式命令の請求と同時に、略式命令をするために必要があると思料する書類及び証拠物を裁判所に差し出さなければならない。


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