高校生の退学勧告と自宅待機命令の法的性質
民事|地位保全の仮処分|早期復学|東京高裁平成4年3月19日判決
目次
質問:
都内の私立高校に通う息子・17歳(3年生)が先日、通学途中の電車内で女子高生の臀部を着衣の上から触れる痴漢行為を行い、補導されました。この件はすぐに学校に知れ、学校からは自主退学を勧告されるとともに退学までの期間については自宅待機を命じられています。
しかし、息子は復学の意思が固く、これまで私ども両親が5度に渡って学校に赴き、復学を認めてもらうよう要請しているのですが、学校側は「犯罪行為を行った生徒さんには、たとえ初めてのことであっても、これまで例外なく自主退学をしてもらっている。息子さんが自主退学するまで退学勧告と自宅待機命令は続くことになる。」の一点張りで、自宅待機を命じられてから約1か月が経とうとしています。
このままでは、仮に復学できたとしても卒業に必要な出席日数を確保できないのではないかと、大変不安です。早期復学のために何か出来ることはないでしょうか。
回答:
第1 長期間の自宅待機処分の不当性
1.息子さんと学校との間では、学校に対し、その目的に応じた授業、実習等の教育活動を自己に行い、関連する教育役務の提供を行うよう委託し、学校の施設を利用することができる一方、それらの対価として入学金や授業料を支払う、という内容の在学契約が成立しており、学校はかかる在学契約上の義務を排斥し得るような法的根拠がない限り、法的義務として教育役務提供等を行うべき地位にあります。
2.学校の在学契約上の義務が排斥される典型例としては、有効な退学処分がなされた場合が挙げられますが、息子さんは自主退学勧告及びこれに伴う自宅待機命令を受けているに過ぎず、かかる措置が学校の教育役務提供等の義務を排斥しうる根拠となりうるかが問題となります。
3. 学校が懲戒処分を行う前段階で生徒の登校を制限する措置をとることは一般的に良く行われていますが、かかる自宅待機命令は、主として懲戒処分の対象となる事実関係の調査や懲戒処分の決定に時間を要することから、その間の暫定的措置として認められるものです。そのため、自宅待機を無制限に長期化させることは許されず、処分対象事実の調査や処分内容の検討といった目的に応じた合理的期間を途過している場合には、在学契約上の義務の不履行を正当化し得る根拠とはなり得ない(債務不履行を構成する)と解されます。息子さんの場合、自宅待機命令から既に1か月が経過しており、合理的期間を途過していると考えられるため、退学処分がなされていない現状では、息子さんは学校に対して教育役務提供等の義務の履行を求めることができる状態にある可能性が高いと考えられます。
第2 早期復学のための弁護士による交渉と仮処分
1. 息子さんの早期復学を達成するための最も現実的な手段としては、代理人弁護士による交渉が考えられます。学校が長期間の自宅待機命令を継続しているような場合、そもそも在学契約上の義務の不履行といった法的見地からの検討が不十分であることが多く、弁護士が復学に向けての交渉の中で学校側の対応の法的見地からの問題点を詳細に説明、説得することによって、学校側の理解を得られる可能性も十分考えられます。
2. 弁護士による交渉によっても事態の打開が図れない場合、民事訴訟に先立って、学校による在学契約上の義務の履行を裁判所に仮に命じてもらう手続きである、仮処分の申立てを検討すべきことになります。本来は、裁判所に仮処分命令を発してもらうことで復学を実現する手続きになりますが、裁判所が申立てに理由があるとの心証を得た場合、審尋手続の中で学校側に生徒の復学を認める内容での和解の勧試を行うことが多いと思われます。学校側も裁判所より仮処分命令が発せられる見込みが明らかになったとなると、従前の強硬な態度を翻意し、復学を認める方向での和解に応じる姿勢に転じることも十分に期待できるといえます。
3. 以上のように、復学を実現するための法的手段はあるものの、実際には何時復学が実現できるのか、正式な退学処分が下されることになるのではないか等、解決までの間、心配の尽きない不安定な状態が続くことになるため、息子さんに相当な精神的負荷がかかることが予想されます。そのため、代理人弁護士を通しての交渉によって事態を打開できなかった場合に裁判手続を用いることを一方的にお勧めできるわけではなく、復学実現のための法的手段をどこまで行使するかについては、現在の法的状況や今後の見通し、息子さんが負うことになるリスク等につき十分にご理解頂いた上、息子さんやご両親のご意向を踏まえて詳細に協議して方針決定する必要があるでしょう。
4. 刑事手続への対応も含め、まずはお近くの法律事務所にご相談されることをお勧めいたします。
5. 退学に関する関連事例集参照。
解説:
1.はじめに
息子さんが電車内で女子高生の臀部を着衣の上から触れた行為は、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)に違反する行為であり、息子さんは刑事事件の被疑者として捜査機関による取調べを受けた上、家庭裁判所において息子さんに対する保護処分(現実的には、保護観察所の保護観察に付する処分)の要否や内容等が検討されることになると予想されます(少年法24条1項1号、41条、42条)。しかし、刑事手続の帰趨以上に少年の人生を大きく左右し得るという意味で、学校に対する対応は、時として刑事手続への対応以上に重要な意味を持つことがあります。最近では、私立の学校であっても、公立校と同様、警察との間で警察・学校相互連絡制度に関する協定を締結していることが多く、「生徒の健全育成のため」という建前の下、少年による事件を認知した警察が学校に対して安易に情報提供してしまうケースは頻繁に経験します。刑事事件を起こした生徒の在学を望まない学校が生徒や保護者に対して退学を求めてくる場合も少なくありません。
本稿では、刑事事件を契機に、復学を希望しているにも拘らず退学を促された場合の学校との関係での対応について解説いたします。刑事手続への対応については他稿で詳細に解説してありますので、そちらもご参照ください。
2.息子さんと学校との間の法律関係
まず、復学の可否や復学に向けての対応を検討する前提として、息子さんと学校との間の法律関係について確認しておく必要があります。
(1)在学契約に基づく学校の義務
通常、生徒と学校との間では、生徒が学校に対し、その目的に応じた授業、実習等の教育活動を自己に行い、関連する教育役務の提供を行うよう委託し、学校の施設を利用することができる一方、それらの対価として入学金や授業料を支払う、という内容の在学契約が成立していると考えられます(京都地判平成15年7月16日参照)。かかる在学契約の法的性質については厳密には諸説存在するところですが、概ね、教育役務の提供という準委任的要素(当事者の一方が法律行為でない事務を相手方に委託し、相手方がこれを承諾すること。民法656条、643条参照)を中心とする有償双務契約であることに争いはありません(東京地判平成16年3月22日参照)。
これらは私法上の契約に基づく債権・債務ですから、学校は生徒に対して、法的義務として教育役務提供等を行うべき立場にあり、学校側としては、かかる在学契約上の義務を排斥し得るような法的根拠がない限り、生徒に対して登校させない措置をとることは民法上の債務不履行を構成することになります。
(2)在学契約上の義務が排斥される場合
学校側の教育役務提供等の義務を排斥し得るような法的根拠の典型例としては、生徒に対して有効な退学処分を行った場合が考えられます。退学処分は、学校教育法11条及びこれを受けた学校教育法施行規則26条2項・3項を根拠とする懲戒処分の一種であり、生徒と学校との在学契約を将来に向かって解除する法的効果を有するものです。したがって、退学処分を受けた生徒は在学契約に根拠を置く教育役務提供等の義務の履行を請求することは最早できなくなります。
息子さんは痴漢行為という犯罪行為を行っており、学校教育法施行規則26条3項所定の懲戒事由に該当すること自体は否定できないところです。もっとも、息子さんの場合、未だ退学処分の言渡しを受けているわけではなく、あくまで自主的な退学を勧告されるにとどまっており、かかる状況での自宅待機命令という措置が教育役務提供等の在学契約上の義務を排斥し得るような法的根拠たり得るかどうかについては検討を要します。特にご相談の場合のように自宅待機命令が1か月以上の長期にわたり許されるのか問題となります。
(3)自主退学勧告及び自宅待機命令の法的効果
この点、高等学校における自主退学については、学校教育法施行規則94条が「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない。」と規定するのみであり、あくまで当該生徒及び保護者が自主的な意思に基づき願い出た退学を校長が許可する、という構図が前提とされています。したがって、自主的な退学を勧告する措置それ自体が教育役務提供等の義務を排斥する法的効果を有するとは解し得ず、在学契約上の義務の不履行を正当化しうる根拠は自宅待機命令に求められることになります。
生徒が懲戒処分に該当する行為を行った場合、学校が懲戒処分を行う前段階で、生徒の登校を制限する措置をとることは一般的に良く行われています。かかる自宅待機命令は、主として懲戒処分の対象となる事実関係の調査や懲戒処分の決定に時間を要することから、その間の暫定的措置として行われるものです。実際には退学処分相当の事案であっても、生徒の将来に与える重大な影響を避けるという配慮の下、自主退学勧告が行われるケースがあるようですが、このようなケースも、生徒に対して実際に退学処分を行うか否かを検討するにあたって、生徒側からの自主的な退学申出の有無を考慮する必要があることからなされている措置と考えることが可能です。このように考えると、自宅待機命令も事実調査や処分の検討といった目的に応じた合理的期間内では在学契約上の義務の不履行を正当化しうる根拠となりうる(債務不履行を構成しない)ものの、かかる合理的期間を過ぎ、処分を保留した期間が徒に長期化している状況下においては、不履行の正当化根拠とはなり得ない(債務不履行を構成する)と解することが可能でしょう。
息子さんの場合、自宅待機命令から既に1か月が経過しているとのことですが、懲戒処分の前提となる事実調査や懲戒処分の検討にこれほどの長期間を要するとは通常考えられないため、未だ正式な退学処分がなされていない現状では、学校は在学契約上の義務の不履行に陥っていると考えられ、息子さんは学校に対して教育役務提供等の義務の履行を求めることができる状態にある可能性が高いと考えられます。
3.具体的対応
(1)代理人弁護士による交渉
息子さんの学校は、息子さんとご両親の再三の要請にも拘わらず、1か月以上の長期間にわたって自主退学勧告と自宅待機命令を無期限に継続する姿勢を維持しているとのことですが、生徒・保護者と学校との直接協議を尽くしてもなお学校側の姿勢が変わらない場合、事態の打開を図るため、弁護士が代理人として交渉にあたることが考えられます。学校が長期間の自宅待機命令を継続しているような場合、教育役務提供等の在学契約上の義務の不履行といった法的見地からの検討がそもそも不十分であることが多く、経験上、弁護士が復学に向けての交渉の中で学校側の対応の法的見地からの問題点を詳細に説明、説得することによって、学校側の理解を得られ、結果として早期の復学を実現できるケースも相当程度存在します。
弁護士が代理人として交渉にあたる場合、学校側の措置の妥当性を検討する前提として、学校が認識している息子さんの非行事実(処分対象事実)、自主退学勧告や自宅待機命令等の措置の法律上あるいは学則上の根拠等につき、学校に対して書面での回答を求めることが重要となってきます。また、事実調査や懲戒処分の内容の検討等に通常要する合理的期間が経過していることを明らかにするため、問題の痴漢行為にかかる事案の詳細、学校への発覚の経緯、学校から受けた調査・指導の経過・内容、復学に向けた学校との折衝の具体的経過等につき、息子さん本人やご両親から詳細に事情を聴取することが必要となります。これらを基に、自主退学勧告と自宅待機命令を無期限に継続する学校の措置が在学契約上の義務の不履行にあたること、息子さんの非行が退学処分相当の行為ではないこと(学校が正式に退学処分を決定した場合の処分の有効性については項目を改めて解説します。)等を主張し、息子さんの早期復学を求める詳細な意見書を作成、提出した上で交渉に臨むべきことになります。
このように学校との交渉に弁護士を介入させることによって、学校に悪印象を与え、正式に退学処分が下されるような事態にならないか、ご不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、退学処分は停学や訓告等の他の懲戒処分と異なり、学生の身分をはく奪する重大な措置であることから、他の処分と比較して特に慎重な配慮を要する処分であるとされ、後に訴訟等に発展するケースもあることから、学校側も懲戒退学処分を決定するに際しては特に慎重に検討・対応することが通常です。実際には退学処分相当の事案であっても自主退学勧告により生徒による自主的な退学として処理されるケースが多いのも、懲戒退学処分を強行することに対する学校の慎重な姿勢の表れということができます。弁護士が法的見地から詳細な主張を行っている以上、学校側もかかる主張の妥当性を慎重に検討するのが通常であり、少なくとも筆者の経験上、弁護士の介入後に感情的・報復的な処罰であることが疑われるような形で退学処分が言い渡されたことは一度もありません。むしろ、息子さんに対する懲戒処分の内容や自主退学勧告や自宅待機命令等の措置の妥当性を冷静に再検討させる機会になるという意味で、弁護士が介入して交渉にあたるメリットは大きいと思われます。
(2)仮処分の申立て
弁護士が介入して交渉を尽くしたにもかかわらず、学校の態度が強硬で退学勧告と自宅待機命令が続くようであれば、裁判所に対して、仮処分の申立てという手続きを行うことが考えられます。ここで言う仮処分とは、正確には「仮の地位を定める仮処分」といい、争いがある権利関係につき、債権者に著しい損害や急迫の危険が生じることを避けるために暫定的な法律上の地位を定める民事保全の手続のことを指します(民事保全法23条2項)。本来、民事上の権利の実現は民事訴訟を通して図られるべきというのが法治国家の基本的な考え方ですが、即時に権利内容の実現ができないと著しい損害を被るような場合もあり得るため、そのような不都合を回避するために、民事訴訟に先だって一定の暫定的な法律上の地位や権能を認めてもらうために認められている裁判手続の一種であり、早期の権利実現を図ることができるのが特徴です(早ければ申立てから1か月以内に仮処分命令を得られる場合もあります。)。なお、裁判とはいっても、通常の民事訴訟とは異なり、審理は非公開で行われるため、裁判手続が行われていることが学校外の第三者に知られることはありません。
保全事件においては、その緊急性と暫定性の要請から、仮処分命令を発してもらうためには、被保全権利と保全の必要性の疎明(裁判所に対し、事実の存在について一応確からしいという程度の心証を得させるために証拠を提出すること)があれば足りるとされています(民事保全法13条2項)。前述のとおり、息子さんは学校との在学契約に基づいて、学校に対し、学校の目的に応じた授業、実習その他の教育活動を実施し、関連する教育役務を提供し、必要な教育施設の利用をさせるよう請求することのできる権利(被保全権利)を有していると考えられます。かかる権利を民事訴訟によって実現しようとしても、その間に出席日数の不足による留年等の著しい損害を被るおそれがあるため(保全の必要性)、民事保全手続(仮処分命令)によって、上記の権利を仮に実現してもらうことを求める、というのが手続の法的位置付けとなります。保全の必要性との関係では、息子さんが復学することによる学校側の不利益と比較して、息子さんが復学できないことによって被る損害が特に大きいことが必要となりますが、自校に在籍している生徒の復学を認めたところで学校側に特段の不利益が生じるとは考え難いため、通常は問題なく認めてもらうことができるはずです。
被保全権利及び保全の必要性の疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってなされる必要があるため(民事保全法13条2項、民事訴訟法188条)、交渉段階から仮処分命令の申立てを見越して、交渉経過は可能な限り証拠化しておくことが望ましいといえます。また、被保全権利の疎明との関係では、事実調査や懲戒処分の内容の検討等に通常要する合理的期間が経過していることを証拠上明らかにするため、痴漢行為にかかる事案の詳細、学校への発覚の経緯、学校から受けた調査・指導の経過・内容、復学に向けた学校との折衝の具体的経過等を詳細にまとめた息子さん及びご両親の陳述書を作成する必要があります。
申立てがなされると、通常、双方審尋(当事者双方立会いの下で申立てに理由があるか否かを審理する手続き)が行われ(民事保全法23条4項・2項)、その結果、申立てに理由があると認められれば仮処分命令が発せられることになります。もっとも、裁判所が申立てに理由があるとの心証を得た場合、学校側に生徒の復学を認める内容での和解の勧試を行うことが少なくありません。学校側も裁判所より仮処分命令が発せられる見込みが明らかになったとなると、従前の強硬な態度を翻意し、復学を認める方向での和解に応じようとしてくることも十分に期待できるといえます。
(3)退学処分が言い渡された場合
万が一、学校から正式に退学処分が言い渡された場合、不当な処分であり退学処分は無効であることを主張して復学を求めることになります。この場合も、早期復学を実現する法的手段としては、裁判所に対する仮処分の申立てが必要となりますが、被保全権利の疎明との関係では、当該退学処分が違法・無効なものであることを主張し、認めてもらう必要があります。
生徒に対して懲戒の内容としていかなる処分を選択するかについては、基本的には、学内の事情に通暁し、直接教育の衝に当たる学校長の合理的裁量に属する事項に属する事柄です。しかし、前述のとおり、退学処分は他の懲戒処分と異なり、学生の身分を剥奪する重大な措置であることから、退学処分の選択は十分な教育的配慮の下に慎重になされることが要求され、退学処分の選択という判断が社会通念上合理性を欠く場合、当該退学処分は校長の裁量を逸脱した違法・無効な処分になると解されています。学校教育法11条を受けた学校教育法施行規則26条3項が生徒に対する懲戒事由を限定的に列挙しているのも、退学処分の重大性に照らして、当該生徒に改善の見込みがなく、これを学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って退学処分を選択すべきであるとの趣旨の下規定されたものと理解することができます。
そして、退学処分の選択という判断が社会通念上合理性を有するか否かの具体的判断にあたっては、当該行為の態様、結果の軽重、当該生徒の性格及び平素の行状、当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無、家族の協力、懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、右行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素に照らし、当該生徒に改善の見込がなく、これを学外に排除することが社会通念からいって教育上やむを得ないと認められる場合であったかどうかを総合的に検討するというのが判例の立場になっています(東京高判平成4年3月19日等)。したがって、退学処分がなされた場合、かかる判例の判断基準に沿った形で、疎明資料を付した詳細な主張を展開すべきことになります。
退学処分を争って仮処分申立てを行う場合の活動内容等については別稿で詳述することにいたします。
4.最後に
以上が、息子さんが復学を希望する場合にそれを実現するための法的手段についての一般的な説明になります。しかし、実際には何時復学が実現できるのか、正式な退学処分が下されることになるのではないか等、解決までの間、不安定な状態が続くことになるため、息子さんに相当な精神的負荷がかかることが容易に想定されます。また、仮に裁判手続を経て復学が認められたとしても、学校との関係が悪化することによりその後の学校生活に支障をきたすこと等を心配される方もいるかもしれません。そういった意味では、代理人弁護士を通しての交渉によって事態を打開できなかった場合に裁判手続を用いることを一方的にお勧めできるわけではありません。現在の法的状況や今後の見通し、息子さんが負うことになるリスク等につき十分にご理解頂いた上、息子さんやご両親のご意向を踏まえて詳細に協議して方針決定する必要があるでしょう。
まずはお近くの法律事務所にご相談頂くことをお勧めいたします。
以上