新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1662、2016/01/12 13:00 https://www.shinginza.com/qa-roudou.htm

【行政手続、マイナンバー制度、勤務会社への届け出と対応、拒否した場合の懲戒処分、最高裁平成15年10月10日判決】

マイナンバーの届出義務


質問:
 私は,中規模の会社に勤めるサラリーマンですが,会社からいわゆるマイナンバーについて届けるように言われました。本人確認のために必要だからと言われ,免許証の提示も求められ,妻のマイナンバーについても要求されています。免許証の提示までするのは何に流用されるか分からないので拒否したところ,懲戒処分として出勤停止の処分を受けました。
 私はそもそも会社の求めに応じて自分のマイナンバーや免許証の提示も求められ,妻の番号まで教えなければならないのでしょうか。懲戒処分について争うことはできないのでしょうか。



回答:

1 いわゆるマイナンバーについて定めている「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」やその関連規範によれば,あなたが法律上ご自分のマイナンバーを勤務先に提出する義務はありません。ただし,但し、就業規則にマイナンバー提出の定めがある場合は、契約上の義務として提出義務が生じます。
 運転免許証の提出が求められたということですが、これは個人番号の提供を受ける際には,本人確認の措置を講じる必要があり(番号法16条)、本人確認のため運転免許証の提出が求められたものと考えられます。もちろんマイナンバーと同様提出義務はありません。
 ただ、会社は給与の支払いや社会保険の関係で従業員の個人番号を取得することが要求され(番号法2条13項,11項,同法9条3項)ていますし、特に個人情報の漏洩等の心配は必要なく、求めには応じるべきだったとはいえます。
  
2 一方,あなたは現在出勤停止の懲戒処分を受けているということですが,このような懲戒処分は争う余地があります。すなわち,就業規則の定め方如何にもよりますが,マイナンバーを提出しなかったことのみをもって懲戒処分をすることは,現在の公式の政府関係の資料からすれば違法と判断される可能性が高いです。

3 マイナンバー制度自体開始したばかりですので,運用について会社側にもあやふやな部分があったかもしれません。いずれにせよ今後の対応や就業規則の精査を含め,法律事務所に相談されることをお勧めします。

4 懲戒処分に関連する事務所事例集論文1547番1519番1456番1434番1321番1294番1255番1250番1247番1233番1086番1085番1079番1008番1007番947番734番657番600番538番参照。


解説:

第1 マインナンバー制度について

1 いわゆるマイナンバー制度は住民票を有するひとりひとりに12桁の個人番号(通称して「マイナンバ―」という。)を付して, 社会保障, 税, 災害対策の分野で効率的に情報を管理し, 複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される制度です。税金,社会保障,災害対策の分野において,個人番号を利用した情報管理によりこれを効率化し,行政手続きの簡素化により国民の手続き負担を軽減することを主たる目的としています(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下,「番号法」といいます。)1条参照。)。

  平成27年10月以降に個人番号が記載された通知カードが住民票の住所宛に郵送で送付されます。そして,平成28年1月以降に本人の申請に基づいて個人番号等の記録事項が記載されており,かつ,顔写真も表示される個人番号カードの取得が可能となります。

2 以上の法律上の建前に従った場合には,あなたが会社に自分や妻の個人番号を教える必要はないとも思うかもしれません。しかし,マイナンバー制度は税や社会保障の分野において個人を把握するためのもので,会社は給与の支払いや社会保険の関係で従業員の個人番号を取得することが要求されるのです。すなわち,従業員を雇う事業者は「個人番号関係事務実施者」(番号法2条13項,11項,同法9条3項)として,行政機関に提出する以下のような書類について特に対象者の個人番号の記載が要求されることになるのです。

@社会保障分野:雇用保険被保険者資格取得(喪失)届,健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届など
A税分野:給与所得の源泉徴収票,退職所得の源泉徴収票など

  このように見てくるとお分かりになるとおり,たしかに給与の支払いや健康保険などあなたの生活とも密接に関係する書類に個人番号の記載が求められることになりますが,こうした書類を作成するのは会社であり,かかる個人番号関係事務の範囲で個人番号の提供を求めることができるに過ぎないのです。番号法上も「個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは,本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。」(番号法14条1項)と規定するのみで,本人が提出を拒めないとする明文は存在しません。

   したがって,結論からするとあなたが自身の個人番号を会社に対して提供しなければならない法的な根拠はなく,それを拒んだからといって法律上は問題はありません(もっとも,会社側が就業規則で提出を義務付けることも禁止されているわけではなく,そうした就業規則に違反した場合は別途考慮が必要となります。これについては第2以下で述べます。)。なお,個人番号関係事務実施者は個人番号の利用目的や適切な管理について厳しい制約が課せられており(番号法9条,12条参照),罰則による威嚇もあることから流用の危険についてはあまり心配する必要はないと思います。

 3 なお,運転免許証の提示や家族の個人番号についても付言しておきます。

(1) 運転免許証の提示の要否
個人番号の提供を受ける際には,本人確認の措置を講じる必要があります(番号法16条)。本人確認はなりすまし防止のために特に番号法では厳しく制限されており,番号の真正の確認に加えて身元確認までが要求されます。こうした趣旨から,従業員など顔見知りから個人番号を取得する場合であっても,本人確認は必要となります。

 この点,前述した個人番号カードの提示を受ける場合には顔写真で身元確認までできるので問題がありません。問題はそれ以外の番号確認書類に基づく場合に,顔写真付の身元確認書類まで提示させることを要求されるかです。

 この問題につき,番号法施行規則3条5項によれば,雇用関係その他の事情を踏まえて,提示された番号確認書類に記載された人物と提示者が同一人物であることが明らかであると事業者が認める場合には,身元確認書類の提出を要しないと定めています。

 したがって,事業者が従業員から個人番号を取得する際には雇用関係から身元が明らかであり番号確認だけ行えば足りることになります。このことから,本件でも,あなたが個人番号カードを提示した場合であればもちろん,通知カードだけ見せれば問題がなく運転免許証の提示までは必要ないと思われます。

(2) 家族の個人番号の提示について

   あなたの家族の個人番号について,特に社会保障の分野で勤務先 に提出する必要が出てきます。すなわち,配偶者であれば会社は健康保険被扶養者届や国民年金第3号被保険者関係届に記載するために提出を求めることができます。この場合,従業員からは@委任状及びA配偶者の個人番号確認書類の提出をすることになります。なお,従業員の身元確認については(1)と同様に雇用関係により本人であることが明らかな場合であるとして,対面であれば代理人自身の身元確認書類は不要となるため,@及びAの書類で足りることになるのです。

   このことから,本件でも,会社があなたの扶養家族の個人番号の提出を求めたこと自体は違法とはいえないでしょう。

第2 マイナンバーを提出しなかったことに対する懲戒処分の可否

1 以上のように,個人番号の提出について会社側も対応として誤っている 部分があったことは否定できません。それにもかかわらずあなたは,懲戒処分の対象となってしまうのでしょうか。これについてはそもそも懲戒処分の要件から考える必要があります。

2 懲戒処分の要件について

  懲戒処分は使用者が従業員の企業秩序違反行為に対して課す制裁罰と定義されます。こうした懲戒処分をすることができる法的根拠について学説上は争いがありますが,制裁罰としての性質を有することから罪刑法定主義類似の制約が課されることについては争いがありません。

  すなわち,判例上も使用者が労働者を懲戒するにはあらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくことが必要であると判示しています(最二小判平成15・10・10労判861号5頁)。その他,懲戒規定を作成・変更時点より前の事案に遡及して適用することはできませんし,同じ事由について繰り返し処罰をすることもできません。さらに懲戒処分を行うにあたっては,あらかじめ本人に告知して弁明の機会を与えるといった適正手続を踏むことが必要になります。

  したがって,本件でもたとえば就業規則に「社員は,会社から個人番号の提供を求められた場合,会社に対して,自身及び扶養する家族等について個人番号を提供しなければならない。」といった定めがあるのみでは,違反した場合の懲戒についての定めがなく懲戒処分を定めたことにはなりませんので,これに対して個人番号の提供を拒むことは,直ちに懲戒処分の対象になるということはできないのです。

  もしも会社がそうした就業規則の定め方しかしていないのであれば,判例で要求される懲戒処分の要件を満たさないので,懲戒処分は無効(民法90条)と判断されることも十分考えられます。

3 就業規則の定めがある場合

  では,就業規則に「会社に対して,個人番号の提供を拒んだ場合,懲戒処分を行う」といった旨の規定があった場合にはどうでしょうか。この場合にも懲戒処分の企業秩序の維持、労働者の権利保護という趣旨に照らして懲戒処分には限定的制限がかけられます。すなわち,就業規則には限定的な解釈が加えられ,また,懲戒処分の内容が不相当に重い場合には,社会通念上相当であると認められず,権利の濫用として無効になるとされます(労働契約法15条)。

  では,本件のようなマイナンバーの提供を拒んだ場合の定めはどのように判断されることになるでしょうか。この点について,まだマイナンバー制度自体が始まったばかりですので,判例はもちろん存在せず確定的な答えはありません。

  しかし,一定の方向性については第1で述べたマイナンバー制度の仕組みから導き出せます。すなわち,既に述べたように番号法の建前は個人番号関係事務実施者としての事業者が行政機関に提出する書類に記載するために個人番号の提供を求めることができるということにとどまるのであって,これに対応して従業員が個人番号を提出する義務は法定されていないのです。もちろん,上記のように就業規則で提供を義務化することはできます。

  それであっても内閣官房QAによれば,事業者は,従業員から個人番号の提供が受けられない場合には,書類の提出先ある行政機関の指示に従うことが適切であるとのガイドラインが示されています。そうであれば,事業者としてはたとえ対象の従業員から個人番号の提供を受けられない場合であっても,事業者の事務手続きが滞るとは考えがたいと思われます。(たとえば国税庁のホームページによればどうしても提供を受けられなかった場合の措置として,提供を求めた経過を記録・保存するなどして単なる義務違反でないことを明確にするよう求められているにとどまり,それ以上に従業員に個人番号の提出を求めることは要求されていないのです。)。このことから,単に提供に応じないというだけでは,企業秩序が乱されることにはならず,結果として懲戒処分は権利の濫用と判断される可能性が高いということができます。

  したがって,本件でもたとえ就業規則に懲戒処分の規定が存在したとしても,特別な事情がない限り懲戒権の濫用と判断されることはありますし,少なくとも出勤停止は重きに失すると判断されることは十分に考えられます。出勤停止が無効と判断された期間については「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなかったとき」にあたり賃金相当額を請求できることになります(民法536条2項)。

第3 まとめ

 1 以上見てきたように,マイナンバー制度自体開始したばかりで,その運用についても会社が誤って対応しているという場面は散見されます。マイナンバーを提出する義務は少なくとも法律上はなく,また従業員であれば身元確認書類まで要求されないのが通常です。

 2 一方で,就業規則にマイナンバー提出義務の定めがない場合はもちろん定めがある場合でも、提出を拒んだ場合の懲戒処分についても違法無効とされる可能性は高いので,懲戒処分が下されてしまった場合には,就業規則の確認を含め早急にマイナンバー制度に明るい弁護士事務所に相談されることをお勧めします。


<参照条文>

(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)

(目的)
第一条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。

(定義)
第二条
11 この法律において「個人番号関係事務」とは、第九条第三項の規定により個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務をいう。
13 この法律において「個人番号関係事務実施者」とは、個人番号関係事務を処理する者及び個人番号関係事務の全部又は一部の委託を受けた者をいう。
第二章 個人番号
(指定及び通知)
第七条  市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、住民基本台帳法第三十条の三第二項 の規定により住民票に住民票コードを記載したときは、政令で定めるところにより、速やかに、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、その者に対し、当該個人番号を通知カード(氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他総務省令で定める事項が記載されたカードをいう。以下同じ。)により通知しなければならない。
2  市町村長は、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)が備える住民基本台帳に記録されている者の個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その者の請求又は職権により、その者の従前の個人番号に代えて、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、速やかに、その者に対し、当該個人番号を通知カードにより通知しなければならない。
3  市町村長は、前二項の規定による通知をするときは、当該通知を受ける者が個人番号カードの交付を円滑に受けることができるよう、当該交付の手続に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
4  通知カードの交付を受けている者は、住民基本台帳法第二十二条第一項 の規定による届出をする場合には、当該届出と同時に、当該通知カードを市町村長に提出しなければならない。この場合において、市町村長は、総務省令で定めるところにより、当該通知カードに係る記載事項の変更その他の総務省令で定める措置を講じなければならない。
5  前項の場合を除くほか、通知カードの交付を受けている者は、当該通知カードに係る記載事項に変更があったときは、その変更があった日から十四日以内に、その旨をその者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の長(以下「住所地市町村長」という。)に届け出るとともに、当該通知カードを提出しなければならない。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
6  通知カードの交付を受けている者は、当該通知カードを紛失したときは、直ちに、その旨を住所地市町村長に届け出なければならない。
7  通知カードの交付を受けている者は、第十七条第一項の規定による個人番号カードの交付を受けようとする場合その他政令で定める場合には、政令で定めるところにより、当該通知カードを住所地市町村長に返納しなければならない。
8  前各項に定めるもののほか、通知カードの様式その他通知カードに関し必要な事項は、総務省令で定める。

(利用範囲)
第九条
3 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十八条若しくは第百九十七条第一項、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第五十九条第一項から第三項まで、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十七条、第二十九条第三項若しくは第九十八条第一項、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九条の四の二第二項、第二十九条の二第五項若しくは第六項、第二十九条の三第四項若しくは第五項、第三十七条の十一の三第七項、第三十七条の十四第九項、第十三項若しくは第二十五項、第七十条の二の二第十三項若しくは第七十条の二の三第十四項、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第五十七条第二項若しくは第二百二十五条から第二百二十八条の三の二まで、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第七条又は内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)第四条第一項若しくは第四条の三第一項その他の法令又は条例の規定により、別表第一の上欄に掲げる行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者又は地方公共団体の長その他の執行機関による第一項又は前項に規定する事務の処理に関して必要とされる他人の個人番号を記載した書面の提出その他の他人の個人番号を利用した事務を行うものとされた者は、当該事務を行うために必要な限度で個人番号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。

(個人番号利用事務実施者等の責務)
第十二条 個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者(以下「個人番号利用事務等実施者」という。)は、個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

(提供の要求)
第十四条 個人番号利用事務等実施者は、個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは、本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。

2 個人番号利用事務実施者(政令で定めるものに限る。第十九条第四号において同じ。)は、個人番号利用事務を処理するために必要があるときは、住民基本台帳法第三十条の九から第三十条の十二までの規定により、機構に対し機構保存本人確認情報(同法第三十条の九に規定する機構保存本人確認情報をいう。第十九条第四号及び第六十七条において同じ。)の提供を求めることができる。

(本人確認の措置)
第十六条 個人番号利用事務等実施者は、第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、当該提供をする者から個人番号カード若しくは通知カード及び当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類の提示を受けること又はこれらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置をとらなければならない。

(労働契約法)

(懲戒)
第十五条  使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


(民法)

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条  前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。 

2  債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。 
(平16法147・全改)

<参照判例>
最二小判平成15・10・10労判861号5頁


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