私立高校の退学処分を争う方法
民事|痴漢等条例違反と退学処分|復学の対策と手続|東京高裁平成4年3月19日|東京地判平成16年3月22日参照|大阪地裁平成20年9月25日判決
目次
質問:
都内の私立高校に通う息子・17歳(3年生)が先日、通学途中の電車内で他校の女子高生の臀部を着衣の上から触れる痴漢行為を行い、補導されました。その後、この件は学校に知れ、2学期が始まってちょうど2週間になる本日、学校から正式に退学処分を言い渡されました。息子が痴漢行為を行ったのは事実であり、その点は親子共々真摯に反省しなければならないと考えています。
しかし、たった一度の非行のみで即退学というのは処分として重すぎるのではないかと感じています。学校からの事情聴取は息子本人に対する30分程度の聴き取りが一度あったのみで、私たち両親からの面談申入れも不要として拒否された経緯があり、学校内で十分検討された上での処分なのかについても強い疑問を持っています。
中高一貫で長い間通っている学校であることもあり、息子は復学を強く希望しており、親としても、可能であれば学校に復学を認めさせ、今の学校を卒業させてやりたいと考えています。法的に何か出来ることはないでしょうか。
回答:
1. 息子さんと学校との間では、学校に対し、その目的に応じた授業、実習等の教育活動を自己に行い、関連する教育役務の提供を行うよう委託し、学校の施設を利用することができる一方、それらの対価として入学金や授業料を支払う、という内容の在学契約が成立しており、学校はかかる在学契約上の義務を排斥し得るような法的根拠がない限り、法的義務として教育役務提供等を行うべき地位にあります。ただし、有効な退学処分が行われた場合、在学契約は将来に向かって効力がないこととなり、学校の在学契約上の義務が排斥されるため、息子さんが学校に対して在学契約に基づく教育役務提供等の義務の履行を請求することは最早できなくなります。
2. そこで、退学処分が有効か否かが問題となります。非行を行った生徒に対して如何なる懲戒処分を行うかについては、学内の事情に通暁し、直接教育の衝に当たる学校長の裁量事項とされています(学校教育法11条参照)。もっとも、退学処分は他の懲戒処分と異なり、生徒の身分を剥奪する重大な措置であることから、退学処分の選択は十分な教育的配慮の下に慎重になされることが要求され、退学処分の選択という判断が社会通念上合理性を欠く場合、当該退学処分は校長の合理的裁量を逸脱した違法・無効な処分になると解されています。
3. 退学処分の選択という判断が社会通念上合理性を有するか否かの具体的判断にあたっては、当該行為の態様、結果の軽重、当該生徒の性格及び平素の行状、当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無、懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、右行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素に照らし、当該生徒に改善の見込がなく、これを学外に排除することが社会通念からいって教育上やむを得ないと認められる場合であったかどうかを総合的に検討する、というのが確立した判例の立場となっています(東京高裁平成4年3月19日判決、大阪地裁平成20年9月25日判決等)。
4. 退学処分の有効性を争って早期復学を実現するための法的手段としては、裁判所に対して仮処分(正確には「仮の地位を定める仮処分」)の申立てという手続きを行い、裁判所に仮処分命令を発令してもらうことが考えられます(民事保全法23条2項)。申立てにあたっては、息子さんが在学契約に基づき学校の生徒たる地位を有しており、教育役務の提供等を求める権利を有していることを即時に取り調べることができる証拠によって疎明する必要があるため(民事保全法13条2項、民事訴訟法188条)、前記の判断枠組みに沿った形で、退学処分が違法・無効でることを示す疎明資料を準備する必要があります。準備すべき疎明資料の例を解説で示してありますので、参考になさってください。
5. 息子さんの場合、学校からの事情聴取が本人に対する30分程度の聴き取りが一度あったのみで、両親からの面談申入れも拒否されていることからすると、学校側で慎重な検討、配慮がなされた上での処分とは言い難い状況であるように見受けられます。そのため、痴漢行為の態様や被害結果、息子さんの平素の行状や反省状況、再非行防止のための具体的対策、被害者との示談の状況等の事情如何によっては、仮処分命令によって復学を実現することができる可能性も十分考え得るところです。審理の過程で裁判所が申立てに理由があるとの心証を得た場合、学校側に生徒の復学を認めさせる方向での和解の勧試を行うことも考えられ、復学を実現させる内容の和解によって本件の終局的解決が図られることも期待できると思われます。
6. ただし、法的手続きに伴う息子さんの精神的負担等も考えれば、何よりも息子さんご本人の意向や心情を踏まえて、詳細に協議して方針決定する必要があると思われます。学校に対する法的措置を選択肢の1つに添えるのであれば、まずはお近くの法律事務所にご相談頂き、具体的事情のもとでの見通しを踏まえて、慎重にご検討頂くことをお勧めいたします。
7. 退学処分に関する関連事例集参照。
解説:
1.はじめに
息子さんが電車内で女子高生の臀部を着衣の上から触れた行為は、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)に違反する行為であり、息子さんは刑事事件の被疑者として捜査機関による取調べを受けた上、家庭裁判所において息子さんに対する保護処分(現実的には、保護観察所の保護観察に付する処分)の要否や内容等が検討されることになると予想されます(少年法24条1項1号、41条、42条)。しかし、刑事手続の帰趨以上に少年の人生を大きく左右し得るという意味で、学校に事件が知れた場合に受けることになる学内での懲戒処分の内容は極めて重要な意味を持つことがあります。最近では、私立の学校であっても、公立校と同様、警察との間で警察・学校相互連絡制度に関する協定を締結していることが多く、「生徒の健全育成のため」という建前の下、少年による事件を認知した警察が学校に対して安易に情報提供してしまうケースは頻繁に経験します。刑事事件を起こした生徒の在学を望まない学校が安易に退学処分の決定を下してしまうケースも少なからず目にするところです。
本稿では、退学処分を行った学校に対し、当該処分を争い、復学を実現するための法的手段について解説いたします。未だ正式な退学処分を受けたわけではなく、自主退学を勧告されているに止まる場合の対応や刑事手続への対応については、他稿で詳細に解説してありますので、そちらもご参照ください。
2.息子さんと学校との間の法律関係
復学を実現するための法的手段を検討するにあたって、まず、息子さんと私立学校との間の法律関係について確認しておく必要があります。
(1)在学契約に基づく学校の義務
通常、生徒と学校との間では、生徒が学校に対し、その目的に応じた授業、実習等の教育活動を自己に行い、関連する教育役務の提供を行うよう委託し、学校の施設を利用することができる一方、それらの対価として入学金や授業料を支払う、という内容の在学契約が成立していると考えられます(京都地判平成15年7月16日参照)。かかる在学契約の法的性質については厳密には諸説存在するところですが、概ね、教育役務の提供という準委任的要素(当事者の一方が法律行為でない事務を相手方に委託し、相手方がこれを承諾すること。民法656条、643条参照)を中心とする有償双務契約であることに争いはありません(東京地判平成16年3月22日参照)。
これらは私法上の契約に基づく債権・債務ですから、学校側としては、かかる在学契約上の義務を排斥し得るような法的根拠がない限り、生徒に対して法的義務として教育役務提供等を行うべき立場にあり、これを行わないことは民法上の債務不履行を構成することになります。
(2)在学契約上の義務が排斥される場合
学校側の教育役務提供等の義務を排斥し得るような法的根拠の典型例として、生徒に対して有効な退学処分が行われた場合が挙げられます。退学処分は、学校教育法11条及びこれを受けた学校教育法施行規則26条2項・3項を根拠とする懲戒処分の一種であり、生徒と学校との在学契約を将来に向かって解除する法的効果を有するものです。したがって、有効な退学処分を受けた場合、生徒が学校に対して在学契約に基づく教育役務提供等の義務の履行を請求することは最早できなくなります。
もっとも、学校長によって退学処分が行われたからといって、当該処分が常に有効となるわけではありません。退学処分は、その性質上、他の懲戒処分とは異なり、生徒としての身分を剥奪する重大な処分であることから、退学処分が有効となる場合は限定的に解釈されているためです。
(3)退学処分が無効となる場合
学校に在学する生徒に対する懲戒処分は学校教育法11条をその直接的な法的根拠とするものですが、同条は懲戒処分を行うことができる場合につき「教育上必要があると認めるとき」と規定するのみであり、具体的な懲戒処分該当事由は法文上明示されていません。これは問題となっている生徒の行為が懲戒に値するか否か、あるいは懲戒処分を行うとして如何なる処分を選択すべきかを決するにあたっては、当該行為の軽重のほか、本人の性格及び平素の行状、当該行為の他の生徒に与える影響、懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、当該行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素を考慮する必要があることから、かかる判断を学内の事情に通暁し、直接教育の衝に当たる学校長の合理的裁量に委ねる趣旨と解されています(大阪地裁平成20年9月25日判決参照)。
他方、学校教育法11条を受けた学校教育法施行規則26条3項は、懲戒処分の中でも特に退学処分を行うことができる場合として、①性行不良で改善の見込がないと認められる者、②学力劣等で成業の見込がないと認められる者、③正当の理由がなくて出席常でない者、④学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者、の4つを限定列挙しています。これは、前記のとおり、退学処分が生徒の身分を剥奪する重大な措置であることから、当該生徒に改善の見込みがなく、これを学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って退学処分を選択すべきであるとの趣旨によるものと解されています。かかる趣旨から、生徒に対し、退学処分を行うに当たっては、他の処分に比較して特に慎重な配慮を要するものとされており、特に被処分者が年齢的に心身の発育のバランスを欠きがちで人格形成の途上にある高校生である場合には、退学処分の選択は十分な教育的配慮の下に慎重になされることが要求される、とされています(東京高裁平成4年3月19日参照)。
そして、当該行為の態様、結果の軽重、生徒本人の性格及び平素の行状、当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無、懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、当該行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素に照らし、当該生徒に改善の見込がなく、これを学外に排除することが社会通念からいって教育上やむを得ないとまでは認められない場合、当該退学処分は社会通念上合理性を欠く違法な処分(校長の裁量を逸脱した無効な処分)であると判断されることになります。かかる判断枠組みは、裁判例上ほぼ確立されていると言って差し支えないでしょう。
3.具体的対応
(1)仮処分の申立て
校長による正式な退学処分が行われた場合、当該処分の有効性を争って早期復学を実現するためには、まず裁判所に対して、仮処分の申立てという手続きを行い、裁判所に仮処分命令を発令してもらう必要があります。ここで言う仮処分とは、正確には「仮の地位を定める仮処分」といい、争いがある権利関係につき、債権者(仮処分の申立人)に著しい損害や急迫の危険が生じることを避けるために暫定的な法律上の地位を定める民事保全の手続のことを指します(民事保全法23条2項)。本来、民事上の権利の実現は民事訴訟を通して図られるべきというのが法治国家の基本的な考え方ですが、即時に権利内容の実現ができないと著しい損害を被るような場合もあり得るため、そのような不都合を回避するために、民事訴訟に先だって一定の暫定的な法律上の地位や権能を認めてもらうために認められている裁判手続の一種であり、早期の権利実現を図ることができるのが特徴です(早ければ申立てから1か月以内に仮処分命令を得られる場合もあります。)。なお、裁判とはいっても、通常の民事訴訟とは異なり、審理は非公開で行われるため、裁判手続が行われていることが学校外の第三者に知られることはありません。仮処分命令によって保全された権利は、その後の民事訴訟によって終局的に確定されることになります。
保全事件においては、その緊急性と暫定性の要請から、仮処分命令を発してもらうためには、被保全権利と保全の必要性の疎明(裁判所に対し、事実の存在について一応確からしいという程度の心証を得させるために証拠を提出すること)があれば足りるとされています(民事保全法13条2項)。要証事実の証明(判所に対し、事実の存在について確信を抱く程度の心証を得させるために証拠を提出すること)が求められる民事訴訟とは異なるところです。
本件で息子さんが受けた退学処分が違法・無効であることを前提とすると、息子さんは学校との在学契約に基づいて、学校の生徒たる地位を有しており、学校に対し、学校の目的に応じた授業、実習その他の教育活動を実施し、関連する教育役務を提供し、必要な教育施設の利用をさせるよう請求することのできる権利を有していることになります(被保全権利)。かかる権利を民事訴訟によって実現しようとしても、その間に学校の生徒として卒業ができない等の著しい損害を被るおそれがあるため(保全の必要性)、民事保全手続(仮処分命令)によって、上記の権利を仮に実現してもらうことを求める、というのが手続の法的位置付けとなります。
保全の必要性との関係では、息子さんが復学することによる学校側の不利益と比較して、息子さんが復学できないことによって被る損害が特に大きいことが必要となりますが、元々自校に在籍していた生徒の復学を認めたところで学校側に特段の不利益が生じるとは考え難いため、通常は特段問題なく認めてもらうことができるはずです。したがって、保全手続の帰趨は、被保全権利を疎明することができるかどうか、換言すれば、息子さんが受けた退学処分が前記の判断枠組みに照らして違法・無効であることを示すことができるかどうかに係ってくることになります。
(2)申立てに向けた準備
被保全権利及び保全の必要性の疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってなされる必要があります(民事保全法13条2項、民事訴訟法188条)。そのため、仮処分の申立てにあたっては、前記の判断枠組みに沿った形で、退学処分が違法・無効でることを示す疎明資料を準備する必要があります。準備すべき疎明資料の例を示すと、以下のとおりです。
・当該行為の態様、結果の軽重
息子さんの処分対象事実は電車内での痴漢行為とのことですが、痴漢行為といっても、その態様や被害結果は事案によって様々です。行為態様や被害結果が軽微である等(例えば、着衣の上から触れていた時間がごく短時間であり、被害者が特段の精神的苦痛を訴えていない等)の事情がある場合、改善の見込がないとして、直ちに学外に排除しなければならないほど悪質な行為とはいえないという意味において、退学処分の有効性判断に影響する事情となりますので、行為当時の状況やその後の被害弁償(示談交渉)の際の折衝の結果明らかとなった被害状況等について、詳細な顛末書、報告書にまとめておく必要があるでしょう。
・生徒本人の性格及び平素の行状
学内での学科単位の取得状況や出席状況が良好であること、過去に非行歴、指導歴、懲戒処分歴がないこと等は、当該生徒に改善の見込がないとはいえないという意味において、退学処分選択の合理性判断に影響する事情となるため、学業成績表、陳述書等の疎明資料を準備しておく必要があります。
・当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無
前記のとおり、高校生に対する退学処分の選択にあたっては、十分な教育的配慮の下に慎重になされることが要求されます。そのため、学校が生徒に対する退学処分を前提とした対応に終始していたり、学内において非行行為に対する教育指導等の措置が行われていない、といった事情がある場合、退学処分の選択に際して慎重な検討・配慮がなされていないという意味において、退学処分選択の合理性判断に影響することになります。学校での事情聴取の際のやりとりの内容や学校から受けた指導の内容、退学処分を言い渡されるまでの経過等について、詳細な陳述書を準備しておく必要があります。
・懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、当該行為を不問に付した場合の一般的影響
痴漢行為を行った生徒を退学処分に処することは、犯罪行為に対する学校の対応の厳しさを印象付ける意味で、一定の訓戒的効果がある面は否定できないところです。もっとも、処分対象事実や退学処分が行われた事実が他の生徒に周知されていないような場合、そもそもかかる訓戒的効果を論じる前提が欠けることになると考えられます。また、痴漢行為の態様や当該生徒の平素の行状等、他の事情も併せれば、他の生徒に対する犯罪行為の助長や学校内での秩序維持の上での弊害等に必ずしも結び付かないという場合も十分考えられます。これらに関して把握している事情について、陳述書等による疎明の必要があるでしょう。
・諸般の要素
生徒に改善の見込みがあることを示す事情や、退学処分の是非の判断に社会通念上影響し得る事情があれば、退学処分選択の合理性判断に影響する事情となるため、積極的に疎明すべきでしょう。例としては、痴漢行為を行うに至ってしまった動機について考察し、明確にした上で、これに対応する形で、家族の協力の下、具体的な改善策について検討し、実行していること(心療内科の受診、性犯罪の再犯防止のための自助グループやプログラムへの参加等)を示す資料(反省文、陳述書、通院証明書、プログラム等への参加を証する書面等)や被害者との示談関係の書類(示談合意書、学校に対して懲戒処分を求めない旨の被害者上申書等 尚、息子さんの有利な上申書は弁護人が示談の際作成しますので退学が予想されるような場合には退学処分に対する対応を前提とした弁護人との協議が不可欠です。そういう点から、退学処分に対する手続、対策を理解した刑事弁護人の選定も刑事事件発生の段階からとても重要です。)等が考えられます。
4.本件の見通し
仮処分の申立て後は、双方審尋(当事者双方立会いの下で申立てに理由があるか否かを審理する手続き)が行われた上(民事保全法23条4項・2項)、申立てに理由があると認められれば裁判所によって仮処分命令が発せられることになります。審理の過程で裁判所が申立てに理由があるとの心証を得た場合、学校側に生徒の復学を認めさせる方向での和解の勧試を行う場合もあり、復学を認めさせる内容の和解によって終局的解決が図られることも十分期待できるといえます。
息子さんの場合、学校からの事情聴取が本人に対する30分程度の聴き取りが一度あったのみで、両親からの面談申入れも拒否されていることからすると、息子さんに改善の見込みがあるかどうか、両親の協力も得た上で教育指導の余地があるかどうか等について学校側で慎重な検討、配慮がなされたとは言い難い状況であるように見受けられます。そのため、痴漢行為の態様や被害結果、息子さんの平素の行状や反省状況、再非行防止のための具体的対策、被害者との示談の状況等の事情如何によっては、仮処分命令によって復学を実現することができる可能性も十分考え得るところです。
5.最後に
以上、伺った事情のもとで復学を実現するための法的手段について、一般論を説明させていただきました。しかし、裁判所での審理の経過等によっては、何時復学が実現できるのか分からない不安定な状態が相当期間継続することが考えられますし(結論が出るまで二,三ヵ月かかる場合もあります)、息子さん自身が長期間通った学校に対して裁判手続を申し立てること自体、相当な精神的負担となるであろうことが容易に想像されます。また、仮に裁判手続を経て復学が認められたとしても、学校との関係悪化によりその後の学校生活に支障をきたすこと等を心配される方もいるかもしれません。そのため、代理人弁護士として裁判手続に踏み切るにあたっては、詳細な事情聴取を踏まえた具体的見通し、息子さんが負うことになるリスク等につき十分ご理解頂いた上、ご両親はもちろん、息子さんご本人の強い意思を確認したいところです。もちろん、仮処分を申し立てる前に、学校側に復学について弁護士が代理人として交渉することも可能です。本件での対応にあたっては、何よりも息子さんご本人の意向や心情を踏まえて、詳細に協議して方針決定する必要があるでしょう。
学校に対する法的措置を選択肢のひとつに添えるのであれば、まずはお近くの法律事務所にご相談頂き、具体的事情のもとでの見通しを踏まえて、慎重にご検討頂くことをお勧めいたします。
以上