新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1770、2017/09/04 16:01 https://www.shinginza.com/cooling.htm

【民事、特定商取引法、連鎖販売取引、平成24年11月30日判決】

連鎖販売取引の契約者の救済について


質問:私は,1〜2年前から,勧誘を受けて、いわゆるマルチ商法のようなビジネスを個人で店舗を持たずに行っていました。しかし,いつまでたっても,説明されたような利益の配分がありません。いまごろになって契約のクーリングオフはできますか?



回答:
1、 まず,マルチ商法と言われるビジネスの契約は,特定商取引法上の連鎖販売取引の契約にあたると考えられます。そして,あなたが店舗等はもたずに個人で行っていたのであれば,1〜2年ほどの期間が経過していても,クーリングオフできる可能性はあります。
   クーリングオフは,本来,契約書面などの交付を受けた日から20日以内に行わなければなりません。しかし,契約書面の交付がなかったり,交付されていても記載が欠けていたりする場合には,20日を経過していてもクーリングオフできることがあります。
2、 関連事例集としては1505番1444番1221番1219番1194番1125番1001番975番943番928番907番898番885番838番767番751番719番590番585番350番327番302番参照。


解説: 特定商取引法(以下「法」といいます。)

第1 連鎖販売取引とは

   連鎖販売取引は,「特定商取引法」(以下,単に「法」という。)という法律にその定義が規定されています(法33条1項)。わかりやすく説明すれば、売主が物品の販売や労務の提供をする際に、会員を募集し、募集の際にその会員が物品を他の人に販売すると紹介料や販売マージン等の名称で特定利益が得られると説明して会員にさせ、会員となる際に入会金や商品購入代金の支払いという特定の負担を負うという販売形態の取引です。当初の会員だけが利益を得て末端の会員が被害を受けるということから問題のある取引で、違法とまでは言えないため取引自体は禁じられていませんが、被害を受ける会員の保護が必要とされています。

 定義規定には,商品の再販売・受託販売・販売のあっせん,また,役務の提供・提供のあっせん(以下,これらを「再販売等」という。)の取引が規定されています。簡単に言えば,これらの取引について,「特定利益」と「特定負担」が生じるシステムになっている取引が連鎖販売取引に該当します。この「特定利益」と「特定負担」は,法33条1項に定義が記載されています。こちらも簡単に言えば,「特定利益」とは,商品や役務(以下,「商品等」という。)を再販売等した場合や,新規の加入者を紹介した際の加入者が支払う「取引料」から何パーセントか貰える仕組みになっている場合の,自分に入ってくる利益のことです(法33条1項,法施行規則24条1号ないし3号)。なお,「取引料」とは,名目を問わず,取引をするに際し,又は,取引条件を変更するに際し提供される金品をいいます(法33条3項)。「特定負担」とは,商品等を購入する際の支払いや取引料の提供のことを指します(法33条1項)。

 なお,商品の販売や,役務の提供を目的としないで,単純に金員の配当を目的とするものをねずみ講と言い,これに関しては,「無限連鎖講の防止に関する法律」によって,違法な行為として禁止されており,開設者や勧誘者には罰則による制裁が定められています(無限連鎖講の防止に関する法律第2条,第5,6,7条)。違法な行為ですから、契約としても無効なものですので、損害については賠償請求が可能です。


第2 特定商取引法による規制について

   特定商取引法は,訪問販売や通信販売,電話勧誘販売,連鎖販売取引などの,消費者とのトラブルが多く,消費者保護の必要性が高い取引や契約に関して,一定のルールを定めることにより,消費者被害の防止を図ることを目的とする法律です(法1条参照)。消費者を保護するための規定として次の規制が定められています。

 1 行政による規制

   法66条は,主務大臣(経済産業大臣(法67条)あるいは都道府県知事(68条,法施行令19条))に,一般連鎖販売業者(以下,単に「業者」という。)に対する報告の徴収や立入検査など(法施行令17条参照)の調査権限を与えています。

   また,法38条では,主務大臣に,一定の行為を行った業者に改善指示をすることを,法39条では,一定の行為を行った業者に業務停止命令をすることができる旨定めています。

 2 罰則による規制

 法70条ないし法72条では,統括者や勧誘者,連鎖販売取引を行う者が法34条(禁止行為),法35条(連鎖販売取引についての広告),法36条(誇大広告等の禁止),法37条(連鎖販売取引における書面の交付),法38条(改善指示),法39条(業務停止命令)に違反した場合は,違反した者に対し,一定の刑罰を処すると定めています。さらに,法74条では,いわゆる両罰規定が置かれており,行為者だけでなく,法人である会社にも罰金刑を課すことができるようになっています。

 なお、「統括者」とは、法に定義が定められており、連鎖販売業の商品・役務に自己の商標や商号を付し、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は、連鎖販売業を行う者に継続的に指導を行うなど、一連の連鎖販売業を実質的に統括する者のことを指します(法33条第2項)。

 3 消費者保護のための規制・制度

   特定商取引法は、連鎖販売取引を店舗等(店舗その他これに類似する設備 法34条第1項柱書)によらないで行う個人(「連鎖販売加入者」といいます(法40条1項)を保護するために、クーリングオフ(法40条),取消し権(法40条の3),中途解約権(法40条の2)の3つの手段を定めています。

   クーリングオフは、理由のいかんを問わず遡って契約を解除できる制度で、損害賠償や違約金を支払う必要はありませんが、契約の際に法律で定める書類を受領しているとその時から20日間という期間の制限があります。そこで、クーリングオフの期間を過ぎてしまった場合は、将来に向けての中途解約による契約を解消することになります。但し、中途解約は将来に向かっての解約となりますので解約前の行為は一定の制限のもとでだけ効力をなくすことができます。これに対し、取消権の行使はクーリングオフの期間を過ぎても、契約時に遡って契約を無効とする効力がりますが、取消権が認められるのは、連鎖販売の統括者らが虚偽の事実を述べていた場合に限られています。


第3 クーリングオフについて

 以下では、上記の3つの手段のうち、もっとも一般的で効力が強いクーリングオフについて詳しく述べていきます。

1 クーリングオフとは

 特定商取引法では、個人の消費者の保護のため、契約を解除し、白紙に戻すことになる、クーリングオフという制度を定めています。一度契約してしまった以上は理由なく解約はできないのが原則ですが、マルチ商法のような末端の被害者が生じる危険性のある契約においては、セールストークに乗って契約してしまったが、後で考えるとやはり、変だと思って止めたいという場合、解約を認めて保護しようという趣旨です。

 連鎖販売取引におけるクーリングオフの要件は、特にありませんが期間の制限が設けられており、法37条2項の書面(以下、「契約書面」という。)を受領した日から(ただし、契約書面よりも先に商品を受け取っているときは、商品を受領した日から)起算して、20日を経過するまでに、契約を解除する旨の意思表示を行う必要があります(なお、訪問販売の場合のクーリングオフの期間は8日間となっています。法9条1項)。このとき,解除の意思表示は書面で行う必要があります(法40条第1項)。なお、クーリングオフの解除の意思表示については、原則である到達主義(民法97条1項)と異なり、発信主義が採用されています(法40条第2項)。

2 クーリングオフの効果

 クーリングオフは、連鎖販売加入者たる個人から一方的に行うものです。このように一方的に解除するのですから、業者から損害賠償等を請求されるのではないかと心配されるかもしれませんが、法40条第1項後段において、連鎖販売業を行う者は、契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払の請求をすることができないと定めています。また、既に連鎖販売契約に係る商品の引き渡しを受けているときでも、その商品の引取に要する費用は、業者が負担することになります(法40条第3項)。つまり,クーリングオフを行っても,なんらの負担がないということです。

 統括者が,金銭等の返還義務に応じない場合は,主務大臣等の指示や業務停止命令の対象になります(法38条1項1号,39条1項)。

3 20日経過後でもクーリングオフができる場合について

  上で述べたように、契約書面の交付を受けた日から20日を経過するとクーリングオフを行うことができなくなってしまいます。しかし、契約締結後に受け取った書面が、法が要求する契約書面に該当しない場合には、クーリングオフを行うことができます。契約書やその他の書類を受け取ってから20日間経過しているとしても、受け取った書類が法の要求する書面なのか確認する必要があります。

  このように20日という期間を経過しても解約は可能場合がありますが、長期間を経過して、利益が生じている等の事情がある場合、連鎖販売業者から権利の濫用等の主張がされる場合もあり、場合によってはクーリングオフが認めらないこともありますので注意が必要です。

? まず、契約書面などについてですが,法37条の第1項では,連鎖販売業者は,個人と契約をする際に,概要を記載した書面(「概要書面」)を交付しなければならないと定めています。さらに,法37条の第2項で,連鎖販売契約を締結した者は,契約締結後,遅滞なく,同項各号に定める事項についての契約内容を明らかにする書面(「契約書面」)を交付しなければならないと定めています。この概要書面や契約書面に記載しなければならない事項は,法で定められており,概要書面は,法施行規則28条に,契約書面は法施行規則29条と30条に規定されています。

  つまり,契約書などの名目で書面を交付すれば,内容はなんでもよいというわけではなく,契約書などの書面の交付を受けていても,内容次第では,法が要求する「契約書面」に該当せず,クーリングオフができる可能性があるということです。

  なお,たとえ,概要書面に契約書面の法定記載事項が記載されていたとしても,それにより契約書面を交付したことにはなりません(通達 消費者次長 各経済産業省局長あて)。以下,通達の抜粋を載せます。

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平成25年2月20日
各経済産業局長及び内閣府沖縄総合事務局長あて
消費者庁次長
経 済 産 業 省 大 臣 官 房 商 務 流 通 保 安 審 議 官
特定商取引に関する法律等の施行について
(2) 法第37条第2項に規定する書面について
法第37条第2項に規定する書面は、契約締結後、遅滞なく交付する義務があるが、勧誘の際に交付した書面、すなわち法第37条第1項の書面として交付した書面等は、たとえ本項の必要的記載事項の記載があったとしても、本項の書面の交付とはみなされない。本項の書面の交付は、契約内容を明らかにし、後日契約内容を巡るトラブルが生じることを防止するという趣旨に加えて、法第40条第1項の規定を前提に、既に契約をした者にその契約についての熟慮を促すという目的をもつのであるから、前項の書面をもって本項の書面に代えることは許されない。
(3) 概要書面(法第37条第1項)と契約書面(法第37条第2項)について(商品の種類等について)
概要書面においては、「商品の種類及びその性能若しくは品質に関する重要な事項又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する重要な事項」、契約書面においては、「商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項」の記載が求められている。この規定に従い、商品販売の場合、契約書面では、全ての商品に係る情報を記載した書面(多くの商品を扱う事業者の場合、通常、製本したパンフレット)を交付することが求められる。  
これに対して、概要書面においては、「重要な事項」を記載することで足りるものであり、商品の品目数が少ない場合にはすべての商品について性能又は品質を記した書面を交付するべきであるが、多くの商品を取り扱う事業者の場合には、主要な商品に係る情報を記載した書面を交付することがあり得る。この場合においても、契約締結前の説明過程において、全ての商品に係る情報を取引の相手方に提供し、その十分な理解を得るべきことは当然であって、上記のような契約時に交付するパンフレットを取引の相手方に提示し、十分に説明を行い、その内容について理解を得ることが必要となる。(以下省略)
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? したがって,契約締結後に契約書面の交付を受けていない場合はもちろん,契約内容を記載した書面を受け取っている場合でも,その内容が法定されている事項の全てを記載していない場合には,「契約書面」の交付を受けていないこととなり,クーリングオフの行使期間が経過したことにならないので,交付から20日を経過していてもクーリングオフできることになります。以下,裁判例の抜粋を載せます。

事件名 不当利得等請求事件
裁判所 前橋地裁
平成24年11月30日判決

『2 争点(1)(契約書面の受領の有無)について
(1)法40条1項においてクーリングオフによる連鎖販売取引の解除が認められている趣旨は、連鎖販売取引は、組織、契約内容が複雑なこと、勧誘にあたり巧みな言葉で必ず利益が上がると信じ込まされてしまうこと等により、商取引に不慣れな個人が契約内容を理解しないまま契約し、後日、思わぬ損失を被る場合が少なくないこと等から、商取引に不慣れな個人の保護を図るために、契約内容を明らかにする契約書面を受領した後、20日間は、無条件で解除を行うことができることとしたものである。
 上記クーリングオフ制度の趣旨や、契約書面の記載の不備について、法38条や39条において、一定の場合に、主務大臣が必要な措置をとるべきことの指示や一定期間の取引の停止命令等をすることができる旨規定し、法71条において、罰則も規定されていることに照らすと、その受領がクーリングオフによる解除期間の起算日となる契約書面について、記載内容を定めた法37条2項並びに規則29条及び30条は、記載内容に不足がなく正確であり、明確であることを要求していると解するのが相当であり、連鎖販売加入者が上記記載のない書面を契約書面として受領したとしても、適法な契約書面を受領したということはできず、期間制限を受けずにクーリングオフによる解除をすることができると解するのが相当である。
(6)契約書面の受領の有無
 前記認定のとおり、被告会社が原告らに対し契約書面として交付したディストリビューター登録申請書には、〔1〕契約年月日、〔2〕取引料である発送事務手数料の金額、特定負担として登録費があること及びその金額、〔3〕クーリングオフによる解除について、交付済みの取引料の返還、〔4〕中途解約についての将来効及び金銭請求制限の記載がない。
 (途中省略)連鎖販売加入者がクーリングオフや中途解約をした際の最終的な負担が、実際の負担よりも大きいと誤解するおそれがあり、解除権の行使を抑止するおそれがあることから、連鎖販売加入者の保護を目的の一つとする法(法1条)の趣旨に反する重大な不備というべきである。
 そして、前記のとおり、契約書面の記載内容を定めた法37条2項並びに規則29条及び30条は、記載内容に不足がなく正確であり、明確であることを要求していると解するのが相当であるから、前記のとおり、記載内容に重大な不備のあるデイストリビューター登録申請書を原告らが受領したことをもって、法及び規則が予定する契約書面を受領したということはできない。
 したがって、原告らが、被告会社に対し、本件連鎖販売契約のクーリングオフによる解除の通知を発した時点において、契約書面を受領した日から起算して20日が経過しているということはできない。 』

 この裁判例では,契約した個人が,契約内容を記載した書面の交付は受けていたものの,内容に不備があったことから,法37条2項の「契約書面」の交付があったとは認めず,契約から約半年経過後のクーリングオフを認めています。契約書面の記載内容は,前記のとおり,法施行規則で定められていますが,消費者保護のため,詳細に記載しなければならないようになっています。したがって,契約締結後に書面の交付を受けていても,内容次第では,クーリングオフできる可能性がありますので,記載内容を検討してみる価値はあります。


4 クーリングオフが制限される可能性について

   上記3では,20日経過後でも,契約書面の交付があったとは認められない場合には,クーリングオフが可能であることを説明しました。しかし,契約書面の交付がない場合でも,必ずクーリングオフできるとは限らず,場合によっては制限される可能性もあることを考えておいた方がいいと思います。

   具体的には,被告から,信義則違反(民法1条2項)と権利濫用(民法1条3項)の反論がなされることが多いです。信義則違反とは,信義誠実の原則(相互に相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動すること)に反することで,権利濫用とは,権利の社会的・経済的目的,あるいは社会的に許容される限界を逸脱した権利の行使のことをいいます。この点について,裁判例の抜粋を載せておきます。

事件名 不当利得等請求事件
裁判所 前橋地裁
平成24年11月30日判決

『4 争点(3)(原告らの請求が信義則違反又は権利濫用にあたるか)について
 被告らは、原告らが本件連鎖販売取引を行ったものの、結果的に予測に反して利益が上がらなかったことから、クーリングオフの主張をするもので、契約内容に対する理解が不十分な者等に一定の熟慮期間を与え解除権を認めたクーリングオフ制度の趣旨に合致しないとして、原告らの請求が信義則違反又は権利濫用にあたると主張する。原告らが、いずれも半年以上にわたり、本件連鎖販売取引を行ったことに争いはないものの、本件に現れた証拠に照らしても、原告らの請求が信義則違反又は権利濫用にあたるとまで認めるに足りる証拠はない。したがって、被告らの上記主張は、採用することができない。』


事件名 不当利得等返還請求(特定継続的役務の提供に係る取引)
裁判所 名古屋簡易裁判所
平成25年9月27日判決

『被告は、原告が既に契約において定められた役務提供を全て受けておきながら、契約締結日から1年近く経過した時点で、契約の解除の意思表示を行い、支払った金額の全ての返金を請求してくることは権利の濫用であり、当該権利行使は認められないと主張するが、本件全証拠によるも、原告の本件契約の解除権行使が信義則に反するとか、権利の濫用であるとは認めることができないから、この点に関する被告の主張は理由がない。』

   これらの裁判例を見ると,裁判所はあまり権利濫用の反論を認めていませんが,認めている裁判例もあります(連鎖販売取引の事案ではないが,福岡高裁平成11年4月9日判決)。

   また,不実告知等があった場合の取消権の行使が5年に限定されていることから(法40条の3第3項,法9条の3第4項),クーリングオフも,5年までしか認められないという見解もあります。


第4 相殺や損益相殺の主張について

   業者からは,クーリングオフの制限の反論のほか,これまでの配当した利益の返還を請求し,クーリングオフによって業者が負うこととなる原状回復義務(契約代金等の返還義務)と相殺する旨の反論もされることが多いです。この相殺の反論は,認められている裁判例も認めなかった裁判例もあります。ここでは,認めなかった裁判例を紹介しておきます。

事件名 契約金返還請求事件
裁判所 東京地方裁判所
平成23年12月19日民事第33部判決

『第3 裁判所の判断
1 要約
(1)特定商取引法40条1項の解除に基づく原状回復請求権について
被告は,原告らに対し,特定商取引法40条1項に基づく解除による原状回復義務として,契約1口あたり,原告らが支払った商品代金26万円から,その商品の客観的価値相当額1万5000円を引いた残額である24万5000円を返還する義務がある。
(2)報酬請求権との相殺の主張について
報酬支払の原因となる契約の性質は委任契約であるから,その前提となる連鎖販売契約が解除されて委任契約の効力が消滅しても,民法652条により準用される民法620条に基づき,委任契約の解除は,将来に向かってのみその効力を生ずる。したがって,既に受領した報酬の返還義務は,解除によっても発生しない。
 (途中省略)
安定報酬とは,被告が毎月会員に販売する「(略)」及び「(略)」の販売価格(会員1人につき毎月1万円)の35%(会員1人につき3500円)を報酬として分配すると称するものであり,会員登録の約4か月後から1か月7000円(会員2人分の報酬の配分)の割合により支払われる報酬である。更に相当期間経過後には,会員4人分の1万4000円となり,その後の相当期間の経過により順次同様に増額され,最大では会員72人分の25万2000円になるとされる。
 開発報酬とは,会員の系列下において新規会員が登録した場合に支払われる「(略)」の購入代金25万円のうち12万円を報酬(内訳,〔1〕紹介手数料1万円,〔2〕達成量報酬3万円,〔3〕ステップ報酬8万円)として分配すると称し,系列下の新規会員加入者1人につき,〔1〕紹介手数料(会員が直接紹介した場合に1万円),〔2〕達成量報酬(会員の系列下の会員が紹介した場合に,3万円から系列下の会員に支払われる〔1〕〔2〕の報酬を引いた額),〔3〕ステップ報酬(8万円を総グループ実績に対するステップ毎に分配する。)を支払うものとされている。しかし,ステップ報酬の算定方法については,ビジネスガイドにおいても,「ステップ報酬は計算が込み入っておりますから,詳細は営業担当責任役員とご協議下さい。」と記載されており,具体的な算定方法は不明である。
5 解除権の濫用の主張について
 被告は,連鎖販売契約に基づいて相当期間活動した原告らが,クーリングオフによる解除を主張し,自己の得た利益は返還せず,支払った代金だけを請求することは,権利の濫用であると主張する。しかし,前記2(1)の連鎖販売取引の仕組みによれば,原告らが得た報酬金の利益は,被告との間の連鎖販売契約を直接の原因として原告らが得た利益ではなく,連鎖販売契約により会員としての地位を取得した後,新規加入者を勧誘したという別の事実関係を直接の原因として得られたものであり,被告は,原告らによる会員勧誘により,原告らとの連鎖販売契約が解除されたことにより返還しなければならない商品代金とは別の利益を得ているのである。つまり,安定報酬,開発報酬とも,会員が連鎖販売契約を締結しただけで得られるものではなく,新規加入者2人の勧誘が不可欠の前提とされており,その勧誘活動の報酬と評価できるものである。したがって,原告らが,クーリングオフによる解除を主張し,被告に対して代金返還請求をすることが,権利の濫用に当たるとはいえない。
6 報酬返還請求権との相殺について
 前記5のとおり,被告が原告らに対する返還請求権があると主張する安定報酬,開発報酬その他の報酬は,原告らとの連鎖販売契約を直接の原因として発生したものではなく,原告らが,連鎖販売契約により会員としての地位を取得した後,新規加入者を勧誘したという別の事実関係に直接の原因として得られたものであって,報酬支払の原因となる契約の法律上の性質は,委任契約にあたる。
 原告らが被告との連鎖販売契約を解除したことにより報酬支払の原因となる委任契約も当然効力が失われることになるが,委任契約の解除は,将来に向かってのみその効力を生ずるから(民法652条により準用される民法620条),新規会員の勧誘という委任事務を履行したことによって原告らが被告から既に受け取った報酬金については,解除によっても返還請求権が生じない。
 よって,被告の相殺の抗弁は,報酬金の返還請求権がないから理由がない。』


第5 まとめ

   以上,連鎖販売取引におけるクーリングオフの要件や,相手方の反論などを説明してきましたが,具体的な事実関係によって,クーリングオフの可否や,相手方の反論が変わってきます。不当な結果にならないためにも,しっかりと契約内容や契約書面等を確認することが重要です。契約内容や契約書面などの判断は困難なことが多いので,専門家に依頼することも考えたほうがよいでしょう。

以 上



※参照条文

特定商取引法
第九条の三  
4  第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から六月間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

(定義)
第三十三条  この章並びに第五十八条の二十一第一項及び第三項並びに第六十七条第一項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下この章及び第五章において同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、販売の目的物たる物品(以下この章及び第五十八条の二十一第一項第一号イにおいて「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあつせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあつせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の主務省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。
2  この章並びに第五十八条の二十一、第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、若しくは連鎖販売業に係る役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等一連の連鎖販売業を実質的に統括する者をいう。
3  この章において「取引料」とは、取引料、加盟料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

(連鎖販売取引における氏名等の明示)
第三十三条の二  統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。

(禁止行為)
第三十四条  統括者又は勧誘者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
一  商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二  当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三  当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
四  その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
五  前各号に掲げるもののほか、その連鎖販売業に関する事項であつて、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2  一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、前項各号の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
3  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
4  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所、代理店その他の主務省令で定める場所以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。

(連鎖販売取引についての広告)
第三十五条  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、その連鎖販売業に関する次の事項を表示しなければならない。
一  商品又は役務の種類
二  当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三  その連鎖販売業に係る特定利益について広告をするときは、その計算の方法
四  前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

(誇大広告等の禁止)
第三十六条  統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、その連鎖販売業に係る商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の内容、当該連鎖販売取引に伴う特定負担、当該連鎖販売業に係る特定利益その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

(連鎖販売取引における書面の交付)
第三十七条  連鎖販売業を行う者(連鎖販売業を行う者以外の者がその連鎖販売業に係る連鎖販売取引に伴う特定負担についての契約を締結する者であるときは、その者)は、連鎖販売取引に伴う特定負担をしようとする者(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。)とその特定負担についての契約を締結しようとするときは、その契約を締結するまでに、主務省令で定めるところにより、その連鎖販売業の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。
2  連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(以下この章において「連鎖販売契約」という。)を締結した場合において、その連鎖販売契約の相手方がその連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人であるときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその連鎖販売契約の内容を明らかにする書面をその者に交付しなければならない。
一  商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二  商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせん又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんについての条件に関する事項
三  当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
四  当該連鎖販売契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
五  前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

(指示)
第三十八条  主務大臣は、統括者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは前条の規定に違反し若しくは次に掲げる行為をした場合又は勧誘者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条若しくは第三十六条の三(第五項を除く。)の規定に違反し若しくは第二号から第四号までに掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その統括者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一  その連鎖販売業に係る連鎖販売契約に基づく債務又はその解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
二  その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人との契約に限る。次号において同じ。)の締結について勧誘をすること。
三  その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結しない旨の意思を表示している者に対し、当該連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること。
四  前三号に掲げるもののほか、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約に関する行為であつて、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの。
2  主務大臣は、勧誘者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは前条の規定に違反し、又は前項各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その勧誘者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
3  主務大臣は、一般連鎖販売業者が第三十三条の二、第三十四条第二項から第四項まで、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは前条の規定に違反し、又は第一項各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その一般連鎖販売業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
4  主務大臣は、連鎖販売取引電子メール広告受託事業者が第三十六条の四第一項又は同条第二項において準用する第三十六条の三第二項から第四項までの規定に違反した場合において、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その連鎖販売取引電子メール広告受託事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

(連鎖販売取引の停止等)
第三十九条  主務大臣は、統括者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは第三十七条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合若しくは勧誘者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条若しくは第三十六条の三(第五項を除く。)の規定に違反し若しくは前条第一項第二号から第四号までに掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は統括者が同項の規定による指示に従わないときは、その統括者に対し、一年以内の期間を限り、当該連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行い若しくは勧誘者に行わせることを停止し、又はその行う連鎖販売取引の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
2  主務大臣は、勧誘者が第三十三条の二、第三十四条第一項、第三項若しくは第四項、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは第三十七条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は勧誘者が同条第二項の規定による指示に従わないときは、その勧誘者に対し、一年以内の期間を限り、当該連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行うことを停止し、又はその行う連鎖販売取引の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
3  主務大臣は、一般連鎖販売業者が第三十三条の二、第三十四条第二項から第四項まで、第三十五条、第三十六条、第三十六条の三(第五項を除く。)若しくは第三十七条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は一般連鎖販売業者が同条第三項の規定による指示に従わないときは、その一般連鎖販売業者に対し、一年以内の期間を限り、当該連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行うことを停止し、又はその行う連鎖販売取引の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
4  主務大臣は、連鎖販売取引電子メール広告受託事業者が第三十六条の四第一項若しくは同条第二項において準用する第三十六条の三第二項から第四項までの規定に違反した場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は連鎖販売取引電子メール広告受託事業者が前条第四項の規定による指示に従わないときは、その連鎖販売取引電子メール広告受託事業者に対し、一年以内の期間を限り、連鎖販売取引電子メール広告に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
5  主務大臣は、第一項から第三項までの規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
6  主務大臣は、第四項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

(連鎖販売契約の解除等)
第四十条  連鎖販売業を行う者がその連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結した場合におけるその連鎖販売契約の相手方(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。以下この章において「連鎖販売加入者」という。)は、第三十七条第二項の書面を受領した日(その連鎖販売契約に係る特定負担が再販売をする商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。以下この項において同じ。)の購入についてのものである場合において、その連鎖販売契約に基づき購入したその商品につき最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日。次条第一項において同じ。)から起算して二十日を経過したとき(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反してこの項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでにこの項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が主務省令で定めるところによりこの項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過したとき)を除き、書面によりその連鎖販売契約の解除を行うことができる。この場合において、その連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
2  前項の連鎖販売契約の解除は、その連鎖販売契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。
3  第一項の連鎖販売契約の解除があつた場合において、その連鎖販売契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とする。
4  前三項の規定に反する特約でその連鎖販売加入者に不利なものは、無効とする。

第四十条の二  連鎖販売加入者は、第三十七条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過した後(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反して前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が第三十四条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が同項の主務省令で定めるところにより同項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過した後)においては、将来に向かつてその連鎖販売契約の解除を行うことができる。
2  前項の規定により連鎖販売契約が解除された場合において、その解除がされる前に、連鎖販売業を行う者が連鎖販売加入者(当該連鎖販売契約(取引条件の変更に係る連鎖販売契約を除く。)を締結した日から一年を経過していない者に限る。以下この条において同じ。)に対し、既に、連鎖販売業に係る商品の販売(そのあつせんを含む。)を行つているときは、連鎖販売加入者は、次に掲げる場合を除き、当該商品の販売に係る契約(当該連鎖販売契約のうち当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る商品の販売に係る部分を含む。以下この条において「商品販売契約」という。)の解除を行うことができる。
一  当該商品の引渡し(当該商品が施設を利用し又は役務の提供を受ける権利である場合にあつては、その移転。以下この条において同じ。)を受けた日から起算して九十日を経過したとき。
二  当該商品を再販売したとき。
三  当該商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者が当該連鎖販売加入者に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
四  その他政令で定めるとき。
3  連鎖販売業を行う者は、第一項の規定により連鎖販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額(次の各号のいずれかに該当する場合にあつては、当該額に当該各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額を加算した額)にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を連鎖販売加入者に対して請求することができない。
一  当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る商品の引渡し後である場合 次の額を合算した額
イ 引渡しがされた当該商品(当該連鎖販売契約に基づき販売が行われたものに限り、前項の規定により当該商品に係る商品販売契約が解除されたものを除く。)の販売価格に相当する額
ロ 提供された特定利益その他の金品(前項の規定により解除された商品販売契約に係る商品に係るものに限る。)に相当する額
二  当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る役務の提供開始後である場合 提供された当該役務(当該連鎖販売契約に基づき提供されたものに限る。)の対価に相当する額
4  連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者は、第二項の規定により商品販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を当該連鎖販売加入者に対して請求することができない。
一  当該商品が返還された場合又は当該商品販売契約の解除が当該商品の引渡し前である場合 当該商品の販売価格の十分の一に相当する額
二  当該商品が返還されない場合 当該商品の販売価格に相当する額
5  第二項の規定により商品販売契約が解除されたときは、当該商品に係る一連の連鎖販売業の統括者は、連帯して、その解除によつて生ずる当該商品の販売を行つた者の債務の弁済の責めに任ずる。
6  前各項の規定に反する特約で連鎖販売加入者に不利なものは、無効とする。
7  第三項及び第四項の規定は、連鎖販売業に係る商品又は役務を割賦販売により販売し又は提供するものについては、適用しない。

(連鎖販売契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四十条の三  連鎖販売加入者は、統括者若しくは勧誘者がその統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について勧誘をするに際し第一号若しくは第二号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、又は一般連鎖販売業者がその連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について勧誘をするに際し第三号に掲げる行為をしたことにより同号に定める誤認をし、これらによつて当該連鎖販売契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該連鎖販売契約の相手方が、当該連鎖販売契約の締結の当時、当該統括者、当該勧誘者又は当該一般連鎖販売業者がこれらの行為をした事実を知らなかつたときは、この限りでない。
一  第三十四条第一項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  第三十四条第一項の規定に違反して故意に事実を告げない行為 当該事実が存在しないとの誤認
三  第三十四条第二項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
2  第九条の三第二項から第四項までの規定は、前項の規定による連鎖販売契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しについて準用する。

(報告及び立入検査)
第六十六条  主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより販売業者、役務提供事業者、統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者、業務提供誘引販売業を行う者若しくは購入業者(以下この条において「販売業者等」という。)に対し報告若しくは帳簿、書類その他の物件の提出を命じ、又はその職員に販売業者等の店舗その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

(主務大臣等)
第六十七条  この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一  商品に係る販売業者に関する事項、商品に係る一連の連鎖販売業の統括者、勧誘者及び一般連鎖販売業者に関する事項、商品に係る業務提供誘引販売業を行う者に関する事項並びに物品に係る購入業者に関する事項については、内閣総理大臣、経済産業大臣並びに当該商品及び物品の流通を所掌する大臣
二  指定権利に係る販売業者に関する事項、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利に係る一連の連鎖販売業の統括者、勧誘者及び一般連鎖販売業者に関する事項、特定継続的役務の提供を受ける権利に係る販売業者に関する事項並びに施設を利用し又は役務の提供を受ける権利に係る業務提供誘引販売業を行う者に関する事項については、内閣総理大臣、経済産業大臣及び当該権利に係る施設又は役務の提供を行う事業を所管する大臣
三  役務提供事業者に関する事項、役務に係る一連の連鎖販売業の統括者、勧誘者及び一般連鎖販売業者に関する事項並びに役務に係る業務提供誘引販売業を行う者に関する事項については、内閣総理大臣、経済産業大臣及び当該役務の提供を行う事業を所管する大臣

特定商取引法施行規則
(連鎖販売取引における書面の交付)
第二十八条  法第三十七条第一項 の規定により連鎖販売取引に伴う特定負担をしようとする者に交付する書面にはその連鎖販売業に係る次の事項を明記しなければならない。
一  統括者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
二  連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、当該連鎖販売業を行う者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
三  商品の種類及びその性能若しくは品質に関する重要な事項又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する重要な事項
四  商品名
五  商品若しくは権利の販売価格、商品若しくは権利の引渡し若しくは移転の時期及び方法その他の商品若しくは権利の販売条件に関する重要な事項又は役務の対価、役務の提供の時期及び方法その他の役務の提供条件に関する重要な事項
六  連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
七  連鎖販売取引に伴う特定負担の内容
八  契約の解除の条件その他の当該連鎖販売業に係る契約に関する重要な事項
九  割賦販売法 (昭和三十六年法律第百五十九号)第二条第二項 に規定するローン提携販売の方法又は同条第三項 に規定する包括信用購入あつせん若しくは同条第四項 に規定する個別信用購入あつせんに係る提供の方法により商品の販売又は役務の提供を行う場合には、同法第二十九条の四第二項 (同条第三項 において準用する場合を含む。)又は同法第三十条の四 (同法第三十条の五第一項 において準用する場合を含む。)若しくは同法第三十五条の三の十九 の規定に基づきローン提携販売業者又は包括信用購入あつせん関係販売業者、個別信用購入あつせん関係販売業者、包括信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、商品の購入者又は役務の提供を受ける者はローン提供業者又は包括信用購入あつせん業者若しくは個別信用購入あつせん業者に対抗することができること。
十  法第三十四条 に規定する禁止行為に関する事項
2  前項の書面には書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載しなければならない。
3  第一項の書面には日本工業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない。
第二十九条  法第三十七条第二項第五号 の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一  統括者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
二  連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、当該連鎖販売業を行う者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
三  契約年月日
四  商標、商号その他特定の表示に関する事項
五  連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
六  特定負担以外の義務についての定めがあるときは、その内容
七  割賦販売法第二条第二項 に規定するローン提携販売の方法又は同条第三項 に規定する包括信用購入あつせん若しくは同条第四項 に規定する個別信用購入あつせんに係る提供の方法により商品の販売又は役務の提供を行う場合には、同法第二十九条の四第二項 (同条第三項 において準用する場合を含む。)又は同法第三十条の四 (同法第三十条の五第一項 において準用する場合を含む。)若しくは同法第三十五条の三の十九 の規定に基づきローン提携販売業者又は包括信用購入あつせん関係販売業者、個別信用購入あつせん関係販売業者、包括信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、商品の購入者又は役務の提供を受ける者はローン提供業者又は包括信用購入あつせん業者若しくは個別信用購入あつせん業者に対抗することができること。
八  法第三十四条 に規定する禁止行為に関する事項
第三十条  法第三十七条第二項 の規定により連鎖販売業を行う者が契約の相手方に交付する書面(以下この条において「書面」という。)には次の表の上欄に掲げる事項については、同表の下欄に掲げる内容を記載しなければならない。

事項 、内容

一 商品若しくは権利の再販売、受託販売若しくは販売のあつせん又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんについての条件に関する事項

イ 商品又は権利の再販売については、購入する商品又は権利の価格、代金の支払の時期及び方法、商品又は権利の引渡し又は移転の時期及び方法その他商品又は権利の再販売について条件のあるときは、その内容
ロ 商品又は権利の受託販売については、委託を受けて販売する商品又は権利の価格、その引渡し又は移転の時期及び方法、受け取つた代金の引渡しの時期及び方法その他商品又は権利の受託販売について条件のあるときは、その内容
ハ 同種役務の提供については、役務の対価、その支払の時期及び方法その他同種役務の提供について条件のあるときは、その内容
ニ 商品若しくは権利の販売のあつせん又は役務の提供のあつせんについては、当該あつせんについて条件のあるときは、その内容

二 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項

イ 商品の購入については、その購入先、数量、金額、代金の支払の時期及び方法並びに当該商品の引渡しの時期及び方法
ロ 権利の購入については、その購入先、金額、代金の支払の時期及び方法並びに当該権利の移転の時期及び方法
ハ 役務の対価の支払については、その支払先、金額、対価の支払の時期及び方法並びに当該役務の提供の時期及び方法
ニ 取引料の提供については、その提供先、金額、性格並びに提供の時期及び方法
ホ 取引料のうち返還されるものがあるときは、その返還の条件

三 法第四十条第一項の規定による当該契約の解除に関する事項(法第四十条第二項及び第三項の規定に関する事項を含む。)

イ 法第三十七条第二項の書面を受領した日(その契約に係る特定負担が再販売をする商品の購入についてのものである場合において、その契約に基づき購入したその商品につき最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日)から起算して二十日を経過するまでは、連鎖販売加入者は、書面によりその契約の解除を行うことができること。
ロ イに記載した事項にかかわらず、連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が法第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反して法第四十条第一項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて法第四十条第一項の規定による当該契約の解除を行わなかつた場合には、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が交付した法第四十条第一項の書面を当該連鎖販売加入者が受領した日から起算して二十日を経過するまでは、当該連鎖販売加入者は、書面により当該契約の解除を行うことができること。
ハ イ又はロの契約の解除があつた場合において、その連鎖販売業を行う者は、連鎖販売加入者に対し、その契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができないこと。
ニ イ又はロの契約の解除は、その契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずること。
ホ イ又はロの契約の解除があつた場合において、その契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とすること。
ヘ イ又はロの契約の解除があつた場合において、当該契約に係る商品若しくは権利の代金若しくは役務の対価の支払又は取引料の提供が行われているときは、連鎖販売業を行う者は、連鎖販売加入者に対し、速やかに、その全額を返還すること。

四 法第四十条の二第一項の規定による商品に係る連鎖販売契約の解除に関する事項(同条第二項から第五項までの規定に関する事項を含む。)

イ 法第三十七条第二項の書面を受領した日(その契約に係る特定負担が再販売をする商品の購入についてのものである場合において、その契約に基づき購入したその商品につき最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日)から起算して二十日を経過した後においては、連鎖販売加入者は将来に向かつて連鎖販売契約の解除を行うことができること。
ロ イに記載した事項により連鎖販売契約が解除されたときは、連鎖販売業を行う者は、連鎖販売加入者(当該連鎖販売契約を締結した日から一年を経過していない者に限る。以下この号において同じ。)に対し、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額及び次に掲げる額を合算した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を請求することができないこと。
 (1) 当該連鎖販売契約に基づき引渡しがされた当該商品(法第四十条の二第二項の規定により当該商品に係る商品の販売に係る契約(当該連鎖販売契約のうち当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る商品の販売に係る部分を含む。以下この号において「商品販売契約」という。)が解除されたものを除く。)の販売価格に相当する額
 (2) 提供された特定利益その他の金品(法第四十条の二第二項の規定により解除された当該商品販売契約に係る商品に係るものに限る。)に相当する額
ハ イに記載した事項により連鎖販売契約が解除された場合において、その解除がされる前に、連鎖販売業を行う者が、連鎖販売加入者に対し既に、連鎖販売業に係る商品の販売等を行つているときは、次に掲げる場合を除き、連鎖販売加入者は商品販売契約の解除を行うことができること。
 (1) 当該商品の引渡し(当該商品が施設を利用し又は役務の提供を受ける権利である場合にあつては、その移転。以下この号において同じ。)を受けた日から起算して九十日を経過したとき。
 (2) 当該商品を再販売したとき。
 (3) 当該商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者が当該連鎖販売加入者に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
 (4) 令第十条の二で定めるとき。
ニ ハに記載した事項により商品販売契約が解除されたときは、連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者は、連鎖販売加入者に対し、次の(1)に該当する場合にあつてはその定める額、又は次の(2)に該当する場合にあつてはその定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を請求することができないこと。
 (1) 当該商品が返還された場合又は当該商品販売契約の解除が当該商品の引渡し前である場合 当該商品の販売価格の十分の一に相当する額
 (2) 当該商品が返還されない場合 当該商品の販売価格に相当する額
ホ ハに記載した事項により商品販売契約が解除されたときは、当該商品に係る一連の連鎖販売業の統括者は、連帯して、その解除によつて生ずる当該商品の販売を行つた者の債務の弁済の責めに任ずること。
ヘ 連鎖販売契約又は商品販売契約の解除について特約がある場合には、その内容

五 法第四十条の二第一項の規定による役務に係る連鎖販売契約の解除に関する事項(同条第二項から第五項までの規定に関する事項を含む。)

イ 法第三十七条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過した後においては、連鎖販売加入者は将来に向かつて連鎖販売契約の解除を行うことができること。
ロ イに記載した事項により連鎖販売契約が解除されたときは、連鎖販売業を行う者は、連鎖販売加入者に対し、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額及び当該連鎖販売契約に基づき提供された当該役務の対価に相当する額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を請求することができないこと。
ハ 連鎖販売契約の解除について特約がある場合には、その内容

六 商標、商号その他特定の表示に関する事項

イ 使用させる商標、商号その他特定の表示
ロ 当該表示の使用について条件があるときは、その内容
ハ 商標、商号その他特定の表示の使用を禁じている場合は、その旨

七 特定利益に関する事項

イ 商品若しくは権利の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者に対する商品若しくは権利の販売金額又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんをする他の者に対する役務の対価の支払の金額に対して収受し得る特定利益の金額の割合その他の特定利益の計算の方法
ロ イに掲げるもののほか、特定利益の全部又は一部が支払われないこととなる場合があるときは、その条件
ハ イ及びロに掲げるもののほか、特定利益の支払の時期及び方法その他の特定利益の支払の条件
2  書面には書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載しなければならない。
3  書面には日本工業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない。
4  書面に記載するに際し、第一項の表第三号の下欄に掲げる内容については赤枠の中に赤字で記載しなければならない。



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