リベート受領の違法性|刑事・民事における対応
刑事|リベート(キックバック)の民事および刑事上の責任|背任罪および詐欺罪の成否、刑事処分回避に向けた弁護活動の内容|東京地判平成28年3月8日他
目次
質問
私は、昨年まで勤めていた会社で約10年間にわたり、下請に発注する際、下請け会社からリベートを受領していました。10年間で受け取った金額の合計は約2000万くらいにはなると思います。
退社の際は問題にならなかったのですが、昨日、辞めた広告代理店に呼び出されて、リベートを受け取っていたことを指摘され、お金を返せ、刑事告訴もする、と言われています。
一旦考えるということで帰ってきたのですが、今後、私はどうすればよいのでしょうか。
回答
取引先(買い手側)から会社(売り手側)への金銭や物品等の支払い(返還)は、一般的に「リベート」もしくは「キックバック」と呼ばれています。
リベートの中にも、営業打ち合わせ時の少額飲食接待や、少額な季節の中元歳暮贈答品など、適法なものも観念し得ますが、あなたのように、会社の了解なく個人的に多額の金銭を受領した場合、刑事上、民事上の違法性が認められることがあり得るところです。
特に、会社に損害を与えるような形で取引先から金銭を受領していた場合、刑事上も違法となり①詐欺罪、②背任罪、③(業務上)横領罪等の成立が考えられ、会社に損害を与えた金額が大きいような場合、初犯(前科がない場合)であっても実刑になってしまうことが十分に考えられるところです。
他方で、リベートの受領については、長期間にわたり密かに繰り返されるのが一般的で民事・刑事ともに立証が困難なことから、多額のリベートを受領している場合でも、早急で確実な損害の補填を求める会社側との間で、比較的低い金額でも和解が成立する可能性がございます。
本件のような類型においては、和解が成立をして、損害の補填(金銭の支払い)がなされるようなことがあれば、刑事事件化は回避できる可能性が高いといえます。
そのため(違法性のあるリベート受領が事実であれば)和解をなんとしても進める必要があるのですが、受け取った金額を含めてリベート受領の事実は会社側が主張立証する必要があり、一般的には立証が困難である中で、どのように和解を進めていくのか(弁償する金額の交渉)、はかなり難しいところです。
本件では具体的な事実関係が不透明ですが、当然相手方の持っている証拠関係によって交渉の内容は変わってきます。
刑事事件となってしまうことや、身に覚えのない損害賠償義務を負う事態にならないようにするためにも、早く弁護士に相談されることをお勧めします。
解説
1 リベートの法的な問題(刑事・民事)
(1) はじめに
本件では、取引先から金銭を受領した、すなわち「リベート」を受け取っていた、という事実が問題となっています。後述のとおり、確かに、当該行為は民事上、刑事上の問題を含むものではありますが、それらへの対応等を検討するためには、「取引先から、会社の従業員であるあなたがお金を受け取った」という事実が、どのような理屈(根拠)で法律上の違法性を有するのかの検討が必要になります。
以下では、そもそもなぜ当該行為が違法になり得るのかを検討したうえで、違法であると評価されるリベートを認識した場合の会社側の考えられる対応と、その際にはどのような具体的事実が必要であるのかを説明し、それらを踏まえて具体的な対応についても説明いたします。
(2) リベート(キックバック)の違法性
まず「リベート(キックバック)」は、「割り戻し」ともいいますが、売り手側から買い手側へ、代金の一部を戻すことを指します。
一定の売上高や取引等を達成した報酬としてリベートが売り手側の会社から買い手側の会社に支払われることは日本の商慣習上一般的に用いられており、それ自体は何らの違法性を帯びず、刑事上、民事上の責任も当然発生しません。会社ではなく、いち従業員であるあなたが取引先から個人的に金銭(リベート)を受領することで、初めて違法になります。以下、民事と刑事に分けて具体的に説明します。
(3) 民事上の責任
民事上の違法行為、すなわち会社に対する「不法行為」(民法709条)が成立するのは、会社に対する(法律上保護される)権利の侵害が認められることが必要です。
つまり、金銭を会社ではない者(例えば従業員)が会社の取引先からリベートを受領することによって、会社の利益(得ることができた利益)を侵害するものである、という関係が必要になります。
もっとも典型的な例として、会社の従業員が、取引先と話し合い、会社に対してあらかじめリベート分の金額を上乗せして請求させ、会社から取引先に支払われた分の金額(の一部)を取引先から従業員が受け取る、というものがあります。リベートを支払う分上乗せされた請求金額は、会社として本来支払う必要のないものですから、「支払う必要のない金銭を会社に支払わせた」という理由で会社に対する権利侵害(不法行為)が認められるのです。
なお、参考判例①においては、リベートを払う側(上記の例でいう取引先)の不法行為の成否について争われています。あなたの場合と逆ではありますが、参考になります。この裁判例では、リベートを払った側が「取引相手の担当者に対してリベートを支払うことは違法ではな」いと主張していたのに対して、判決では、リベートの支払いが「取引上の便宜を受けることを企図してなされたものというべきであるが、このような性質の金銭の支払は、取引先担当者による取引先会社に対する背任行為等の誘引となり得るものであるから、不法行為法上、違法であるといわざるを得ない」としています。
ここでいう「背任行為等の誘引」は、まさに上記例のように、従業員が会社に上乗せ分金額分等の損害を与えることを指しているものだと思われますが、「誘引となり得る」ことを理由として不法行為の成立を認めていることからすると、会社に明確に損害を与えることまでは必要ではなく、その「誘引」となる行為であることをもって不法行為性が認定されています。
実際、この判例において、リベートを支払ったこと自体の「損害」の発生は否定されています。この点については、後述いたします。
(4) 刑事上の責任
以上が、民事上の問題です。続いて、リベートの刑事上の問題について説明します。
あなたのようなケースにおいて、抵触する罪名としては、①詐欺罪(刑法246条)、②背任罪(刑法247条)、③業務上横領罪(刑法253条)が考えられるところです。順に説明していきます。
まず考えられるのは①詐欺罪です。例えば上記の具体例のように、自らが金銭を取得することを目的として取引先と協力し、会社が本来支払うべき適正な金額を秘して、リベート分を上乗せした請求金額を支払わせることは、会社を欺いて財物を(共犯の取引先に)交付させた、という点で、取引先とあなたに詐欺罪の共同正犯(刑法60条)が成立する可能性があります。
また、上記の具体例において、リベートを受領する従業員が、会社が取引先に支払う金銭の額や支払自体の決定権限を有している者であった場合には、「他人のためにその事務を処理する者」が「その任務に背い」て会社に損害を与えたとして、②背任罪が成立することになります。
なお、リベートの受領に際して問題になり得る犯罪は、基本的には上記①詐欺罪か②背任罪ですが、例えば従業員個人ではなく会社が取得する予定で取引先から支払われた(適法な)リベートを、会社の担当従業員が個人的に取得した場合には、会社の金銭を預かる担当従業員が領得した、ということで③業務上横領罪の成立があり得るところです。
いずれにしても、刑法に抵触する(犯罪になる)と評価できるためには、従業員個人がリベートを受け取っただけでは足りず、リベートを個人的に受け取ることで、会社に財産的な損害を与えたと評価された場合に上記各犯罪が成立し得るという関係にある、ということになります。
古い裁判例ですが、東京地判昭和34年9月21日判決判例時報202号4頁は、単なる従業員ではなく取締役がリベートを受領したため、商法(会社法上)の特別背任罪に問われたものですが、会社のためにリベートを受領し、会社のために使用したことから、特別背任罪の成立を否定しています。
2 リベートに対する会社側の民事対応
(1) 次に、例えば本件であなたの受け取ったリベートが、上記のような民事・刑事上問題(違法性)のあるリベートであった場合、会社はいかなる対応を取り得るか、説明いたします。
(2) まず、民事上の対応ですが、上記のとおり、あなたが違法なリベートを受領したことは、会社に対する不法行為(民法709条)に該当することになりますから、会社としては、不法行為を根拠とする損害賠償請求権を有することになります。
損害賠償請求の仕方は、大きく分けて①訴訟外の交渉による場合と②民事訴訟を提起する場合に分けることができます。
(3) ①交渉による場合、交渉がまとまれば、リベートを受領した者(本件でいうあなた)の任意による支払いが期待できる上、速やかな解決・損害の填補が可能です。特に、本件のように刑事処分の可能性がある場合、交渉に応じて損害賠償金を支払う形で和解が成立すれば、リベート受領者としては刑事処分を回避できる可能性がある(後述します)ため、リベート受領者には、訴訟等で事態を大きくしないうちに請求に応じて支払いをしたい、という強い動機があります。例えば、リベート受領者にめぼしい財産(資力)がないような場合には、仮に会社が裁判で勝訴したとしても、強制執行等も空振りになってしまい、損害の回収ができない、という事態も考えられるため、会社において損害の補填の可能性を高めたい場合には、リベート受領者に自ら金策をしてもらうことが特に必要になってくるところです。
そのため、会社としても、いきなり②民事訴訟を提起するのではなく、まずは①交渉によって損害賠償請求をする、という対応を採ることが一般的です。
また、上記の他にも訴訟が躊躇われる理由として、立証の困難を挙げることができます。②民事訴訟の場合、請求が認められるためには、上記リベート受領による不法行為の成立と、その不法行為によって会社が損害を負った事実を、証拠によって裁判官によって認定してもらう必要性があるところ、リベートの授受が違法であることの立証はもとより、損害の発生事実の立証も困難です。
例えば、上記1で挙げた参考判例①は、上記のとおり、会社から、リベートを渡していた側に対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟でしたが、リベートの授受によって不法行為性を認めたものの、「被告は、原告のリベート授受による不法行為について、少なくとも100万円の損害を受けた旨主張するが、リベートは、原告がその負担を売買代金に転嫁することなく支払われたものであるという原告代表者の供述を覆すに足りる証拠はなく、リベートの支払により原告との間の取引について、被告に不利益が生じたという被告の主張を認めるに足りる証拠はないから、当該不法行為については、損害の発生を認めるに足りない」として、リベート授受を理由とする損害賠償請求を認めませんでした。
一般的に、訴訟は時間も費用も掛かりますから、立証が難しい、ということは②民事訴訟の提起をためらう理由になります。
他方で、上記の理由が合致しない場合、つまり、既に不動産等の財産を把握していて、リベート受領者に何としても任意に損害を補填してもらいたい、という意向はなく、また立証も可能である、と考える場合には、会社として②民事訴訟の提起を回避する必要はない、ということになります。
立証についてですが、まず会社としては取引先から証言や資料の提供を得られるか、ということを考えます。上記のとおり、リベートの授受を理由とする損害賠償請求において、最も立証面で困難なのは「会社に損害を与えた」という事実の立証ですが、リベートを支払っていた取引先の協力を得ることができれば、かなりその難易度は軽減されることになります。
仮に取引先等の協力がない場合、あるいは取引先に十分な資料が存在していなかった場合であっても、損害(の立証)に奏効することもあります。例えば参考裁判例②は、上記で挙げたような、会社の従業員が、取引先との間で、会社に対してあらかじめリベート分の金額を上乗せして請求するように打ち合わせ、会社から取引先に支払われた分の金額(の一部)を取引先から従業員が受け取っていた、という典型的な事例です。この場合、上記のとおり会社の損害は本来取引先に支払う必要のない「上乗せ分」ということになりますが、この参考裁判例②では、「上乗せ分」はいくらであったか、ということが争点になりました。
なお、この参考裁判例②では、リベートの授受自体も争われており、裁判所は、会社に対する取引先の請求金額が頻繁変更されていたこと、会社から取引先へ支払われた代金のうち、一部が会社の従業員と取引先の代表取締役の個人口座に入金されていた事実から、リベートの授受を認定しています。
そして、「上乗せ分」すなわち損害額については、「適正な価格」との差額を損害とする旨の会社側の主張は排斥したうえで、取引先から会社への一番初めの請求金額を「上乗せ」前の金額として、その後の価格変更分を「上乗せ分」であると認定しています。
このように、不法行為性や損害の立証が難しい類型であるとはいえ、事案によっては立証も十分可能ということもありますので、注意が必要です。
3 リベートに対する会社側の刑事対応
(1) 以上が、民事上に絞った会社側の対応です。続いて、刑事上の会社側の対応を説明していきます。
こういった事案において、あなたにとって注意するべきなのは、当然民事上の損害賠償請求よりも、刑事上の会社側の対応です。
上記のとおり、刑事上、本件のようなリベートの授受によって成立し得る犯罪は、①詐欺罪、②背任罪、③(業務上)横領罪であり、いずれもその法定刑は異なりますが、本件のような事案においては、金額がある程度高額であれば、初犯であっても十分に実刑が考えられるところです。
例えば、参考裁判例③は、請負業者と共謀し、工事費を上乗せして会社(銀行)に請求させ、支払われた請負代金の一部をリベートとして受領していた、ことにより、詐欺罪に問われた、という事案です(請求金額は、合計1億2000万円余りで、「上乗せ分」は合計約3000万円)が、初犯であっても懲役2年6月の実刑が科されています。
後述のとおり、この懲役2年6月という量刑は、かなり有利な事情があったにもかかわらず科されたものですから、あなたにとっては、民事以上に、会社がどのような対応を採ることができるか、を知っておく必要があります。
(2) そこで、会社側が採り得る対応ですが、刑事上の対応については、基本的に刑事告訴する、ということになります。
刑事告訴をする場合、本来は、会社としては単に犯罪事実の申告をすれば足り、あとは捜査機関が証拠収集等を含む手続きを進めることになっているのですが、実際のところは、刑事告訴する段階である程度犯罪の成立を推認させる程度の証拠がなければ、そもそも告訴状等は受理されません。
いわゆる傷害事件や、万引きなどの窃盗事件等と異なり、事案が複雑な場合は、捜査機関は受理に慎重になる傾向にあります。
加えて、捜査機関には、本件のような取引の過程や外形でなされている財産犯(金銭等の財産を目的とする犯罪)は、民事上の損害賠償請求等のみで解決されるべき問題で、警察権力が介入するべきではない(謙抑的であるべきだ)、という考え方(「民事不介入の原則」)があるため、余計に告訴状等が受理されるハードルは高いところです。
そのため、会社としては被害届等を提出する前に、ある程度の証拠を集めて、(民事上だけの問題ではなく)刑事上の問題である、ということを示す必要がある、ということになります。
特に証拠が必要な部分は、リベートの授受の事実と、リベートの授受によって会社が損害を負った被害者である、という事実です。この点は、上記民事において立証が求められる事項と共通するところです。
4 具体的な弁護活動・代理人活動
(1) 以上を踏まえて、具体的な弁護活動・代理人活動について説明します。
これまで説明したとおり、本件のようなリベートの授受の場合、民事上・刑事上の立証が比較的難しいものなので、会社からの請求にどのように対応をするか、慎重に検討が必要です。
例えば、会社からの請求をそのまま受け入れてしまい、その場で弁済の合意等を締結してしまうと、仮に裁判になった場合は支払う必要のない金額の支払いを義務付けられる可能性もあります。
本件においては、そもそもどのような形(スキーム)でリベートを受け取っていたのかが不明であるため、民事上・刑事上の違法性はない、というケースもあり得るところです。
リベートを受け取っていたという事実、会社から刑事告訴を告げられているという状況から相当な会社側の圧力を感じることでしょうが、会社側の圧力に負けずに、かつ会社側の持っているであろう証拠関係についてできる限り確認をしながら、事情を整理して、民事上・刑事上の違法性の検討をする必要があります。
(2) もっとも、会社に対して不誠実な対応を採ってしまうと、刑事告訴される可能性があることも、上記のとおりです。仮に刑事告訴に足りる証拠があり、受理されてしまえば、実刑等の危険が顕在化することになります。
あなたの場合、総額で2000万円のリベートを受領しているとのことですから、これらの全てに刑事上の違法性が認められれば、十分に実刑になってしまう事案です。
他方で、仮に刑事告訴をされる前に、会社に対して損害を賠償し、和解をすることができれば、刑事事件化の回避の可能性が高いところです。上記のとおり、会社としては早期に損害の補填を受けられるということで、和解をする動機があるため、例えば和解の条件として「被害届を出さない(刑事事件にはしない)」という内容で合意をすることもできる可能性があります。
加えて、上記のとおり、捜査機関は、「民事不介入の原則」により、民事上で解決が図られるべき事案について積極的に踏み込んでこないため、和解の合意や、少なくとも金銭の支払いがなされれば「民事上の解決」があったとして、捜査機関の介入を避けること(刑事事件化の回避)ができる可能性もより強まることになります。
なお、上記参考裁判例③は、従業員から会社が損害を回収できる見込みが相当程度ある(つまり、今後損害の補填ができる可能が高い)にも関わらず、実刑が科されています。この事案は、捜査段階では犯罪の成立を否認しており、また会社からの民事訴訟に対してこれを認め、会社から預金の差し押さえによって損害を回収している、という流れです。ここから、刑事事件化の回避を目的として損害の補填(金銭支払い)をするのであれば、裁判になる前、具体的には検察官に起訴される前、さらに進んで刑事告訴をされる前にするのがもっとも効果的で確実である、ということになります。
ただし、参考裁判例③では、懲役4年の求刑に対して懲役2年6月という比較的軽減の程度が大きいものとなっています。量刑は種々の事情を総合考慮して決することになります(下記参考裁判例③参照)が、仮に起訴された時点であっても、量刑上、弁済の事実が不利益に取り扱われることはないため、どの段階でも弁済はするべきである、ということになります(検察官の懲役4年の求刑には、執行猶予を付けるべきではない、という検察官の強い要望が含まれています。判決で執行猶予を付ける場合は、ほとんど求刑通りの刑を言い渡してその代わり執行を猶予するのですが、執行猶予を付けられるのは懲役3年までですので、懲役4年を求刑されると裁判官としては、求刑通り言い渡すのでは執行猶予を付けられないことになります。本来裁判官は求刑意見には拘束されないのですが、検察官の実刑にすべきという意図を組んで、その代わり大幅に減刑して実刑というのが、刑事の判決のパターンとなっています。従って、求刑までに弁済をして検察官の求刑を懲役3年にすることが執行猶予とするためには必要になるといってよいでしょう)。
(3) 以上から、本件については、著しく不当な合意の締結を避けながらも、刑事告訴をされないように会社と誠実な交渉をおこない、具体的な授受の方法や金額から、「支払うべき金額」について会社と合意をして、できる限り速やかに合意した「支払うべき金額」を支払うことが求められる、ということになります。「支払うべき金額」を一括で支払えないのであれば、会社側が納得して支払いができるような弁済の仕方、例えばできるだけ分割の回数を少なくする、総額での支払いを上乗せする、保証人を立てるなどの方法を考える必要もでてきます(上記のとおり、会社としては、損害の補填の見込みがないのであれば、刑事告訴を躊躇う必要がほとんどなくなります)。
他方、会社によっては、刑事事件になって事件が明るみに出るよりも、損害の一部でも賠償してもらって刑事事件にしない、という方向で解決を望む場合もありますし、反対に損害の填補が現実されなくても責任を明らかにしておく必要があると判断して刑事告訴をする会社もありますので、交渉の過程で、自らの支払い能力と会社の対応を考慮しながら示談交渉する必要があります。
本件のような事案においては、上記のとおり複雑な法律の知識が必要になりますし、交渉の難易度も高いものです。金額からいってもあなた個人が会社と上記のような交渉をすることは実際上困難なので、刑事告訴される前に、弁護士に相談することをお勧めします。
以上