【親族、相続財産管理人と養子縁組無効の訴え、大阪高等裁判所平成21年5月15日判決】
質問:
私の家の隣に住むAさんが約半年前に亡くなりました。Aさんは10年くらい前に隣に引っ越してきて、以来私はAさんと懇意にしていました。Aさんは高齢の方で、隣に引っ越してからしばらくして、家の中で転倒してしまい、足が不自由になってしまいました。私はAさんの手助けをしなければならないと思い、頻繁にAさん宅に伺い、掃除や洗濯、食事の世話などをしていました。Aさんが病院に行くときには付き添って行ったこともたびたびあります。
ある日、Aさんから「私は妻も子もなく、両親や兄弟も早い時期に亡くしているので、私が死んでも私の遺産を相続する人がいない。今住んでいるこの土地建物といくらかの預金がある。あなたに私の養子になってもらい、私が死んだら遺産を引き継いでほしい。養子になってくれないか。」と突然言われました。
私は悩み、身内とも相談しましたが、これまでAさんの身の回りの世話や病院の送り迎えなどをしてきたことから、養子となった方が動きやすいこともあるだろうと考え、Aさんの養子となることに同意をしました。
Aさんは、右手も不自由だったことから、字を書くことが出来ないため縁組届けの用紙には私がAさんの名前を書き、私と証人となった私の叔父叔母もそれぞれ署名し、私が役所に縁組届けを出しに行きました。
Aさんが亡くなった後、葬儀もすませたので、Aさんの預金や土地建物名義の変更もすませました。 そんな中、私のもとに突然、裁判所から訴状が届きました。Aさんの相続財産管理人が家庭裁判所で選任され、その相続財産管理人が私とAさんとの養子縁組無効の訴えを提起したものです。私はこの訴えについてどのような対応をしなければいけないのでしょうか。
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回答:
1 問題点は(1)相続財産管理人の選任が有効なのか、(2)相続財産管理人が養子縁組無効の裁判の原告となることが出来るか、(3)養子縁組が有効か否か、という3点です。
2 相続財産管理人の選任の要件は「相続人のあることが明らかでないとき」です。その場合、家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の管理人を選任します(民法第951条、同952条1項)。相続人の有無は、戸籍謄本等を確認することにより行われます。戸籍謄本で相続権のあるものが確認されれば原則として、相続人がいることになり、相続財産管理人を選任することはできないはずです。ご相談の場合、戸籍上養子がいることがわかりますから原則として相続財産管理人は選任されないはずです。しかし、戸籍謄本上は相続人であったとしても、その届け出が無効な場合には、裁判上無効と判断されなくても届け出は無効となり相続人はいないことになります。そこで、相続財産管理人選任申し立てがあり、家庭裁判所が戸籍上は相続人がいるが、身分関係の創設に疑問があり婚姻や養子縁組が無効の可能性があると判断すれば、家庭裁判所は、「相続人のあることが明らかでないとき」に該当するとして、相続財産の管理人を選任します(民法第951条、同952条1項)。
この点学説では反対の説もありますが、相続財産管理人を選任するのが家庭裁判所の裁判例です。
3 相続財産管理人は、民法第951条以下の規定により、被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。相続財産管理人は、相続財産法人の代理人ですからその権限は財産の処理に限定されており、不在者の財産管理人と同じ権限とされています。そこで、相続財産管理人が養子縁組無効の確認訴訟の提起という身分上の地位の確認を求めることができるかどうか問題となります。
この点疑問もありますが、裁判例では肯定しています。戸籍上相続人がいる場合も相続財産管理人の選任を認める以上は、無効確認訴訟を認めないと相続財産管理人は事務を遂行できないことにもなりますし、相続人か否かを決めるという意味では財産的な側面もあり相続財産管理人の権限として認めることは問題がないとされています。
4 養子縁組当事者間で縁組意思を欠く場合は、養子縁組は無効とされています。ご相談の場合、問題となるのは、Aさんが自ら届け出に署名していないので、本当に養子縁組をして届け出をする意思があったのか、争われる可能性がありますし、また養子縁組の目的が主に相続の際財産を相続させるのが目的であったと考えられますが、そのような相続を目的とする養子縁組が認められるのか問題となります。
相続を目的とする養子縁組も有効とするのが裁判例ですが、まったく親子関係を構築するような事実も意思もないという場合は養子縁組の意思がないと判断される場合もあります。養子縁組の意思があったか否かは具体的な事実により判断されます。なお、署名ができない場合、本人の承諾があれば、他の人が代筆することも有効とされています。
5 相続財産管理人の選任が問題となった、大阪高等裁判所平成21年5月15日判決を解説で具体的に紹介します。
6 当事務所事例集935番、1027番、1766番等もご参照ください。
解説:
第一 はじめに
相続財産管理人について
相続人のあることが明らかでないときには、家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の管理人を選任します(民法第951条、同952条1項)。
【相続財産管理人制度の趣旨】
亡くなった方(被相続人)に、不動産・預金等の資産がある場合、相続財産として相続人が当然に引き継ぐことになります。相続人がいないことが確定した場合、最終的に相続財産は国庫に帰属することになりますが(民法第959条)、その前に相続人の調査や相続財産の管理をする必要があり、その場合相続財産法人という法人が成立してその法人に帰属することになっています。その法人の財産を管理するのが相続財産管理人です。
相続財産管理人は、民法第951条以下の規定により、被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うことや特別縁故者への財産分与などの手続をして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
本事例集で紹介する大阪高裁の判決では、相続財産管理人が被相続人(養親)と養子との間の養子縁組無効の訴えを提起しましたが、相続財産管理人が身分上の地位を問題とする養子縁組無効の訴えを提起できるかどうか争いとなったものです。以下の解説第四で判決を紹介します。
第二 「養子縁組の意思」と養子縁組制度の目的、存在理由について
養子縁組が無効となるのではないかとの争いでは、縁組当事者間に民法第802条1号にいう「縁組意思」があるかどうかの問題となります。まず養子縁組制度の目的、存在理由について説明し、大阪高裁の判例を紹介します。
1 養子縁組には未成年者を養子とする場合と成年者を養子とする場合があります。養子縁組の制度の本来の目的、存在理由は、未成年養子縁組のときには親のいない未成年者のための教育、監護、福祉を養親が行うための制度にあるとされています。また、成人について養子が認められていますが、成人の場合は人為的な家族関係の創設そして副次的に財産の承継、家庭内経済協力等にあるとされています。
2 このような養子制度は、養子と養親となる人との間の合意で成立するのが基本であり、その意味では契約の一種といえます。ですから、基本的には財産的契約と同様、私的法律関係であり私的自治の原則、契約自由の原則の支配内にあります。
すなわち、個人間の私的法律関係は、個人の尊厳を目的に各人に幸福追求権を認めていかなる内容においても当事者が希望し、合意すれば法的効果を認められるのです。
ただ、経済的取引関係を規律する財産法においてはいかに取引関係を適正、公平、安全、迅速に処理できるかという観点から法律が規定され、法律解釈もそのような視点から解釈されるのに対し、家族、親族間の適正な秩序を規律する家族法は、個人の尊厳確保の核である家族、親族関係をどのようにして適正に維持し、保護していくかという点に視点があるという違いがあります。
従って、養子縁組をする意思というのは、家族法が予定している親子関係を結ぶ意思に限定され、勝手に自ら独自の親子関係を作り出すことはできないことになっています。そこで、養子の制度の内容を法律でそのような養子関係を結ぶ意思が必要とされているのです。下記に紹介する判例も縁組意思について、「真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいうもの」として、単に親子関係を設定する意思ではなく、社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思というように絞り込んでいます。
以下で解説する大阪高裁の判例では、相続財産管理人が養子縁組無効の訴えを起こすことが出来るか、養子縁組届けについて養親養子ともに養親子関係を構築する意思があったとしても、両者の交流がほとんどなかったことやもっぱら養親の財産を引き継ぐだけの目的で行われた養子縁組であることから、縁組意思が認められず無効ではないのか問題となりました。
第三 大阪高等裁判所 平成21年5月15日判決
(判例タイムズ 1323号251頁、判例時報 2067号42頁)
【当事者】
A:Xの養親。被相続人。Xの住居の隣に住む。
X:控訴人、Aの養女、Bの長女。
Y:被控訴人。Aの相続財産法人の相続財産管理人。
B:控訴人の母。
C・D:Aの亡夫の先妻との間の子。Xに対し養子縁組無効の訴えを提起したが、訴えの利益を欠くものとして却下された。その後、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをし、家庭裁判所に認められ、Yが選任された。
【本件の経過】
(1)平成9年 A(養親)は骨折して、歩行困難となった。それ以降、隣人BはAの食事の支度や入浴の手伝いなど、Aの身の回りの世話をみるようになった。
(2)X(養子・本件での控訴人)はBの長女であり、Bと同居していたが、Aとは面識はあったものの交流はまったくなかった。
(3)平成11年ころからAは病気で入退院を繰り返した。BはAの入院中は病院に毎日通い、Aの身の回りの世話をみて、Aの退院後はAの自宅でAの身の回りの世話をみた。その間、XはAの身の回りの世話を見ることはなかった。
(4)平成13年ころ、BはAよりAの葬儀代として140万円を預かった。
(5)平成14年4月30日、Aを養親、Xを養女とする養子縁組届けを役所に提出し、受理された。
(6)平成15年ころよりAは入退院を繰り返し、平成16年10月17日にAが死亡した。その間、XはAを見舞いに行くことはなかった。
(7)A死亡の翌日である平成16年10月18日から、XはA名義の預金を引き出した。
(8)平成17年2月22日、A名義の土地建物についてX名義に相続を原因とする所有権移転登記手続をしている。
(9)その後、Aの亡夫の先妻の子C、DがXを相手に養子縁組無効の訴えを提起した。しかし、この訴えは、訴えの利益を欠くものとして却下された。
(10)C、Dは家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをし、家庭裁判所に認められ、Yが選任され、本件遺言無効確認の訴えが提起された。
以下に本件判決を紹介します。『 』とある部分は判決引用部分です。
【判旨 相続財産法人は養子縁組無効の訴えについて当事者適格を有するか】
相続財産管理人の選任を別訴で争うことができるかどうかについて、判決は当該審判を無効とする特段の事情がない場合の他は、審判の効力を他の訴訟であらそうことはできないとしています。
『相続人のあることが明らかでない場合の相続財産管理人の選任は、家事審判法九条一項甲類三二号の審判事項として家庭裁判所の専権に属するものとされており、選任の要件を欠くことが一見して明白であるにもかかわらず審判がされたなど、当該審判を無効とみるべき特段の事情がある場合のほかは、その審判の効力を他の訴訟等において争うことは許されないと解される。』
そして、控訴人は、別件審判について、控訴人に意見を述べる機会を与えなかったこと、別件審判の申立人らがAの特別縁故者と認めたこと、本件養子縁組が無効である疑いがあるとしたことなどが不当と主張しましたが、判決は上記特段の事情にはあたらないとしています。
『控訴人が別件審判の瑕疵として主張するのは、控訴人に意見を述べる機会を全く与えなかったことの手続上の不当のほか、別件審判の申立人らがAの特別縁故者に該当すると認めたこと及び本件養子縁組が無効である疑いがあるとしたことについての判断内容の不当をいうものにすぎず、いずれも、上記特段の事情には当たらない。』
Aの相続財産法人は、養子縁組無効確認訴訟の原告適格を有するかについて、判決は次のように判断し、原告適格を有するとしています。相続財産法人には身分関係に関する地位というものを観念することはできないとしながらも、相続財産法人は、相続開始時における被相続人に属していた一切の権利義務及びその他の法律関係を承継するものであるから、相続に関する地位に直接影響を受ける者として、本件養子縁組の無効確認を求める法律上の利益を有する、としています。
『養子縁組無効確認の訴えは、当該養子縁組が無効であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受ける者に限り提起することができる(最高裁昭和六三年三月一日第三小法廷判決・民集四二巻三号一五七頁参照)。この点、相続財産法人は自然人ではないから、厳密にいえばその身分関係に関する地位というものを観念することはできない。しかしながら、相続財産法人は、相続開始時における被相続人に属していた一切の権利義務及びその他の法律関係を承継するのであるから、この面では、被相続人の権利義務を承継した相続人と同様の地位にあるということができるところ、本件養子縁組が無効であるか否かは、Aの相続関係に直接の影響を与えるものである。そして、養子縁組無効確認の訴えの性質は確認訴訟であって、これを提起できる者を自然人に限るべき根拠はない。そうすると、Aの相続財産法人である被控訴人は、本件養子縁組が無効であるか否かによって相続に関する地位に直接影響を受ける者として、本件養子縁組の無効確認を求める法律上の利益を有するというべきであり、原告適格を欠くとはいえない。控訴人の主張は採用することができない。』
CDは控訴人Xに対し養子縁組無効確認の訴えを提起し、訴えの利益がないことから却下されています。相続財産法人の提起した本件訴訟は前の訴訟の蒸し返しであり、不適法ではないかとの問題がありますが、判決は当事者を異にし、前の訴訟では翻案審理を経なかったので、紛争の蒸し返しとして不適法とはならないとしています。
『前件訴訟と本件訴訟とは当事者を異にする上、前件訴訟では本案審理を経ることなく訴えが却下されているのであるから、本件訴訟の提起が前件訴訟の蒸し返しとして不適法となる余地はない。』
このように、判決は、相続財産法人が提起した本件遺言無効の訴えを適法としています。
【判旨 本件養子縁組につきAX間で縁組意思が認められるか】
(1) 「縁組意思」について
民法802条本文1号は「縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。」としていますが、同条にいう「縁組をする意思」について判決は
『民法八〇二条一号にいう「縁組をする意思」(縁組意思)とは、真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいうものと解すべき・・・』としています。
そして、縁組の届出自体について、当事者間に意思の合致があり、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があっても、縁組意思が認められない場合として判決は次のような指摘をしています。
『したがって、たとえ縁組の届出自体について当事者間に意思の合致があり、ひいては、当事者間に、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があったといえる場合であっても、それが、単に他の目的を達するための便法として用いられたもので、真に親子関係の設定を欲する意思に基づくものでなかった場合には、縁組は、当事者の縁組意思を欠くものとして、その効力を生じないものと解すべきである。』
として、単に他の目的を達するための便法として用いられたもので、真に親子関係の設定を欲する意思に基づくものでなかった場合には縁組意思を欠くものとしています。
さらに判決は、親子関係は必ずしも共同生活を前提とするものではないから、主として相続や扶養といった財産的な関係を築くことを目的とするものであっても、直ちに縁組意思に欠けるということはできないとしていますが、当事者間に財産的な関係以外に親子としての人間関係を築く意思が全くなく、純粋に財産的な法律関係を作出することのみを目的とする場合には、縁組意思があるということはできない、としています。
『そして、親子関係は必ずしも共同生活を前提とするものではないから、養子縁組が、主として相続や扶養といった財産的な関係を築くことを目的とするものであっても、直ちに縁組意思に欠けるということはできないが、当事者間に財産的な関係以外に親子としての人間関係を築く意思が全くなく、純粋に財産的な法律関係を作出することのみを目的とする場合には、縁組意思があるということはできない。』
(2) (1)で示した基準から判決は本件について、本件養子縁組による親子関係の設定は、Bの主導のもと、専ら、身寄りのないAの財産を控訴人に相続させることのみを目的として行われたものと推認するほかはない、として、本件養子縁組は当事者間に縁組意思を欠き無効としています。
『以上の見地から本件についてみると、仮に、Aと控訴人の双方とも、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があり、本件縁組届の作成及び届出が両者の意思に基づいて行われたものであったとしても、前記の事実関係に照らせば、本件養子縁組当時、Aと控訴人とは全く交流がなく、両者の間に親子という身分関係の設定の基礎となるような人間関係は存在していなかった上、本件養子縁組がされた後も、両者が親族として交流した形跡は全くなく、上記のような関係は基本的に変わっていなかったものと認められるから、Aと控訴人が親子としての人間関係を築く意思を有していたとは到底考えられないところである。そして、控訴人又はBが、Aの死亡の翌日にその貯金を解約してこれを事実上取得し、その他のAの遺産についても速やかに相続の手続を取っていることなどを考慮すれば、本件養子縁組による親子関係の設定は、Bの主導のもと、専ら、身寄りのないAの財産を控訴人に相続させることのみを目的として行われたものと推認するほかはない。』
『以上によれば、本件養子縁組は、当事者の縁組意思を欠くことにより、無効であるというべきである。』
第四 最後に
ご相談者様の場合、相続財産管理人が養子縁組無効の訴えを提起してきたものです。相続財産管理人の選任には疑問もありますが、上記判決からすると、相続財産管理人の選任が無効とされるのは、選任手続自体に瑕疵があるなど特別な事情がある場合に限られると考えられます。そのため相続財産管理人の地位が有効かどうかを争うとしても、並行して、養子縁組が有効であることを積極的に主張立証することが大切です。どのような主張・立証をするか、資料は何をどのように集めればよいのか、など一度お近くの弁護士に相談されるとよいでしょう。
≪参考判例≫
最高裁判所昭和63年3月1日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52188
「?第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。」
最高裁判所昭和23年12月23日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57114
「一 旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)にいわゆる「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないときは、養子縁組は、効力を生じない。
二 養子関係の設定を欲する効果意思のないことによる養子縁組の無効は、絶対的のものであつて民法第九三条但書の適用をまつてはじめて無効となるのではない。」
最高裁判所昭和44年10月31日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51893
「民法七四二条一号にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない。」
≪参照条文≫
民法
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 成年に達した者は、養子をすることができる。
(縁組の無効)
第八百二条 縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
二 当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
第九百五十三条 第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。
家事審判法(旧法)
(審判事項)
第9条
1. 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。
甲類
三十二 民法第952条 及び第953条 又は第958条 の規定による相続財産の管理人の選任その他相続財産の管理に関する処分
家事事件手続法(現行法)
(審判事項)第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。別表第1の九十九 相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分