新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1839、2018/09/02 15:13 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反、福岡高裁平成28年6月24日判決】

危険ドラック密輸事案



質問:
 都内在住の主婦(45歳)です。友人と南米を旅行して回って本日帰国したところ、空港で税関職員から私の手荷物の中に危険ドラッグを含有する液体が含まれている旨の指摘を受け、そのまま警察署に任意同行を求められた後、逮捕されてしまいました。危険ドラッグだと言われているのは、私が旅行先で偶々立ち寄ったアロマショップで購入したアロマ水の小瓶です。私がその商品について店員から聞いていたのは、シトラス系の爽やかな香りのアロマで、リラックス効果があり、家庭用のディフューザーで楽しめる、ということだけで、まさか危険ドラッグの成分が含まれているとは夢にも思っていませんでした。店や店員も怪しい感じは全くなく、小瓶の形状やラベルも私が普段日本で購入しているアロマ水の小瓶とほとんど同じでしたので、禁制品かもしれないという発想自体全くありませんでした。ところが、取調べの担当捜査官は、「法律で禁止されている物と知らなくても犯罪に変わりはないですから。」と言って、危険ドラッグとは知らなかったという私の説明に聞く耳を持ってくれません。私はこのまま処罰されてしまうのでしょうか。とても不安です。



回答:
1. あなたには、厚生労働省による指定薬物を本邦に輸入しようとしたとして、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反(同法84条26号、76条の4)及び関税法違反(同法109条3項、1項、69条の11第1号の2)の嫌疑がかけられていると考えられます。これらはいずれも故意犯(行為者の故意を要件とする犯罪)であるため、あなたがこれらの犯罪事実を認識していなければ、いずれの犯罪も成立せず、無実であるということになります。

2. ただし、注意しなければならないのは、本各罪における故意の意味内容(本件において故意が認められるためには、対象物についてどのような事実認識が必要となるのか)についてです。法律で禁止されている指定薬物であることについては認識していない場合でも故意が認められることがあるからです。福岡高裁平成28年6月24日判決によれば、旧薬事法違反(指定薬物の所持)の故意について、規制され得るような薬理作用を有する薬物であることの認識があれば、故意を認めるに足りる社会的な意味の認識として不足はない、とされています。これによれば、故意否認の主張を行うにあたっては、あなたが持ち込もうとした液体に指定薬物が含まれていることを知らなかったことのみならず、規制の対象になり得るような薬理作用を有することを認識していなかったこと、認識できる可能性がなかったことが重要な事情となってくることになります。

3. 取調官はあなたに対し、法禁物と知らなくても犯罪が成立すると説明しているようですが、もし、客観的に指定薬物であった以上、あなたの認識如何に関わらず一律に犯罪が成立するかのような意味合いで言われているのだとすれば、不正確かつ不相当な説明と言わざるを得ません。

4. 本件であなたに故意がなく、犯罪が成立しないことを捜査機関に理解させ、無実の罪で刑事処罰を科されるような事態を回避するためには、あなた自身も本件で問題となる故意の意味内容を理解し、その判断のポイントを踏まえ、具体的な事情の下でどのような事実が有利ないし不利に働き得るのか、しっかり理解しておくことで、不利な供述調書が作成されないよう、正しい取調べ対応ができるようにしておく必要があります。そのためには、速やかに信頼できる弁護士を呼ぶか、当番弁護士制度を利用するなどして弁護人を選任し、十分な説明、アドバイスを受けておく必要があります。

5. その他、本件で考えられる弁護人の活動について、解説で述べていますので、ご参照下さい。

6. 法律の錯誤に関する事例集1008番735番参照。


解説:

1.(被疑罪名について)

はじめに、本件であなたに嫌疑がかけられていると考えられる被疑事実と被疑罪名を確認しておきたいと思います。

(1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」といいます。)とは、医薬品等に関する運用や必要な規制等について定めた法律であり、元々は薬事法という名称だったものが、平成26年11月25日の改正に伴って法名が改称されたものです。同法は、厚生労働省が定める指定薬物について、輸入、所持、譲受け等を禁止しており、違反した者については罰則が設けられています。


薬機法
第七十六条の四 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
第八十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
二十六号 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)


本件では、指定薬物が含まれた液体を日本国内に「輸入」したものとして、薬機法違反の嫌疑がかけられているものと考えられます。

(2)関税法違反

薬機法上の指定薬物は、関税法上、輸入してはならない貨物とされており、これに違反して輸入した者については、薬機法とは別途、罰則が設けられています。


関税法
第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一の二 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項(定義)に規定する指定薬物(同法第七十六条の四(製造等の禁止)に規定する医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第3項 前二項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、これらの項の例による。


 なお、関税法上の輸入とは、外国から本邦に到着した貨物を(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て)本邦に引き取ることをいうとされているため、税関職員に発見されたことで、その引取りに至っていない本件における嫌疑の内容としては、関税法上の輸入未遂ということになると考えられます。

 上記の薬機法違反と関税法違反は、1個の行為が2個の罪名に触れるものとして観念的競合の関係に立ち(刑法54条1項前段)、本件が起訴されて有罪となった場合、重い関税法違反の法定刑(10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金、又はこれらの併科)の範囲内で処断されることになります。

 ただし、これらはいずれも故意犯(行為者の故意を要件とする犯罪)であるため、あなたがこれらの犯罪事実を認識していなければ、いずれの犯罪も成立しない(すなわち無実である)ということになります。

2.(薬物犯罪における故意について)

 そこで、本件であなたが当該液体を日本国内に持ち込んだ行為につき、故意があったといえるか否かを検討すべきことになりますが、その前提として、薬物犯罪において故意が認められるためには、対象物についてどのような事実認識が必要となるのかを理解しておく必要があります。

 薬機法上の指定薬物は、専門的な薬物の名称や科学的な成分によって規定されているに過ぎず、輸入しようとしている液体が指定薬物を含んでいるかどうかを明確に把握することは現実的に困難である一方で、指定薬物が含まれていることの明確な認識がないケースを全て故意なしとして犯罪不成立とすることは、規制の趣旨を没却することが明らであることから、犯罪の成立に必要な故意の内容をどのように理解すべきかが問題となるのです。

 この点については、福岡高裁平成28年6月24日判決の判示が参考になります。本判決は、某ハーブ販売店で、販売員から合法で規制がかかっていない旨の説明を受け、合法なものと信じて購入、所持した植物片が、実際には指定薬物に該当するものであったとして、旧薬事法違反に問われたケースについて、次のように述べています(具体的事情の下での事例判断としては、故意を肯定し、犯罪の成立を認めています。)。

○福岡高裁平成28年6月24日判決
「・・・指定薬物の実態とそれを規制する趣旨に照らして、指定薬物の所持、販売、譲り受け等が犯罪に当たると判断できる社会的な意味を考えると、その違法性を客観面から根拠付ける事実は、当該薬物の薬理作用が規制の趣旨に合致しているかどうか、換言すると、当該薬物が規制されるに足りる薬理作用を有するかどうかに尽きるというべきである。そうすると、当該薬物の薬理作用を認識し、そのような薬理作用があるために当該薬物が指定薬物として指定されている薬物と同様に規制され得る同種の物であることを認識していれば、当該薬物を所持し、販売し、譲り受けることなどが犯罪に該当すると判断できる社会的な意味の認識、すなわち故意の存在を認めるに足りる事実の認識に欠けるところはないということができる。」

「本件植物片の外見や使用感等からは、危険な薬物であるという認識自体は可能であっても、指定薬物とは指定されてない同様の薬理作用のある薬物が蔓延している状況下では、指定の事実自体を認識することには困難を伴う。しかし、当該薬物が処罰の対象とされている違法の実質を十分認識している以上、当該薬物には指定薬物として指定されていない薬物しか含有されていないと信じたことに十分合理的な理由があるなど、特異な状況が肯定できる場合でなければ、故意が否定されることはないというべきである。」


 およそ故意犯全般について言えることですが、犯罪とされる行為が犯罪にあたると判断できる社会的な意味を認識していなければ、その実行に際して規範(いけないことだと認識し行為を思いとどまるチャンス)に直面していないことになり、そもそも責任非難のしようがないため、故意は認められないことになります。そして、本判決は旧薬事法違反の故意について、規制され得るような薬理作用を有する薬物であることの認識があれば、故意を認めるに足りる社会的な意味の認識として不足はない、と述べています。こと危険ドラッグに関しては、規制の網を掻い潜る脱法ドラッグの出現とそれに対する新たな規制のいたちごっこになっている現状を踏まえれば、規制されてもおかしくないような薬理効果を有する薬物であることの認識があれば、通常は少なくとも実際に指定薬物として規制されている可能性のある薬物であるということを、不確定的なものとしてではあれ認識しているものといえ、犯罪であっても構わないという意味で直面した規範を乗り越えて実行に移している点で、故意犯としての責任非難が可能になる、と理解することができるでしょう。

 ただし、かかる薬理作用に関する認識があったとしても、指定薬物として指定されていない薬物しか含有されていないと信じたことに十分合理的な理由がある等の特異な事情があれば、規範に直面しながらも犯罪を実行したとはいえないため、故意責任は問えないことになります。かかる特異な状況がない場合、単に違法なものを違法とは思わなかったに過ぎないということに帰着し、故意は否定されないということになります(刑法38条3項参照)。

 取調官はあなたに対し、法禁物と知らなくても犯罪が成立すると説明しているようですが、それは上記のとおり、規制されてもおかしくないような薬理作用を有するものであること(違法性の実質)の認識があり、かつ指定薬物が含まれていないと信じるにつき十分合理的な理由がある等の特異な状況も認められない場合の話です。もし、客観的に指定薬物であった以上、あなたの認識如何に関わらず一律に犯罪が成立するかのような意味合いで言われているのだとすれば、不正確かつ不相当な説明と言わざるを得ません。

 以上見てきたとおり、故意否認の主張を行うにあたっては、あなたが持ち込もうとした液体に指定薬物が含まれていることを知らなかったことのみならず、規制の対象になり得るような薬理作用を有することを認識していなかったこと、認識できる可能性がなかったことを、捜査機関に対して具体的に示していくことが重要となります。

3.(具体的対応について)

(1)取調べ対応

 上記のとおり、薬機法違反ないし関税法違反の犯罪が成立するためには、それらの故意が必要となりますが、被疑者を責任追及する立場にある捜査機関としては、捜査によってあなたに故意が存在することを証拠上明らかにしようと活動することになります。そして、そのための最も手っ取り早い手段としては、あなたに故意が肯定されるような内容の事実認識を記載した供述調書に署名、指印させることになってきます。そのため、捜査官の誘導等に乗って不利な内容の供述調書に署名、指印してしまうと、取り返しがつかない事態となり得ます。そのような供述調書への署名、指印を迫られても、調書の訂正申立権(刑事訴訟法198条4項)や署名押印拒否権(刑事訴訟法198条5項)を適切に行使して対応する必要があります。

 また、署名、指印を求められた供述調書が、一見あなたの事実認識と相違ないように見えても、実際には故意の存在を肯定する方向の不利な間接事実となり得る事情が記載されている場合もあり得ます。そのような調書を作成させないためには、あなた自身も本件で問題となる故意の内容を理解し、その判断のポイントを踏まえ、具体的な事情の下でどのような事実が有利ないし不利に働き得るのか、しっかり理解している必要があります。そのためには、速やかに信頼できる弁護士を呼ぶか、当番弁護士制度を利用するなどして弁護人を選任し、十分な説明、アドバイスを受ける必要があります。

 その上で、あなたとしては、故意の有無の判断との関係で、あなたに有利に働くような事実認識を供述調書に反映してもらうよう、対応していくことになります。お聞きした限りの事情の中では、当該アロマ水と称する液体の薬理効果を一切知らなかったこと、店員からはリラックス効果があるとしか説明を受けておらず、薬理効果について正確に認識できる可能性もなかったこと、通常の店舗で公然と販売されていたこと、通常のアロマ水と同様の外観であったこと等の事情が故意を否定する方向の間接事情として重要となってくると考えられます。

(2)弁護人による活動

 弁護人としては、あなたから供述調書の作成状況と内容について聴取し、もしあなたの言い分が調書に十分に反映されていない状況があれば、あなたから聴取した事項を基に弁護人自ら供述調書(いわゆる弁面調書)をとり、捜査機関に証拠提出することを検討する必要があるでしょう。

 また、可能であれば、あなたに同伴していたご友人の方からも話を聞き、旅行中のあなたの言動やアロマショップ内でのやりとり等の中で、アロマ水についてのあなたの認識に関し有利になりうる事情があるようであれば、供述調書等の形で証拠化しておきたいところです。

 弁護人としては、これらの弁護人側証拠や捜査機関で作成されたあなたの供述調書、その他の証拠の内容を踏まえ、あなたに薬機法違反ないし関税法違反の故意が存在しないこと(したがって犯罪は成立せず、無実であること)を法的見地から主張する詳細な意見書を作成、提出し、検察官に対して不起訴処分を求めていくべきことになります。伺った事情の下では、あなたは問題のアロマ水の危険ドラッグとしての薬理効果を認識しておらず、認識し得る状況にもなかったようですので、取調べ等の対応を誤らなければ、故意否認の主張が認められ、不起訴処分を獲得できる可能性も十分見込まれるものと思われます(ただし、より正確な判断のためには時間をかけて詳細に事情を窺う必要があります。)。

 また、こうした無実主張の活動と並行して、身柄解放にむけた活動を進めていく必要があります。あなたのご家族にも身元引受人として協力してもらった上、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれ等の他、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が存在しないこと(刑事訴訟法199条1項、207条1項本文、60条1項各号、87条1項)等、勾留の要件を欠くことを最大限主張し、検察官による勾留請求や裁判官による勾留決定の回避を目指すべきことになるでしょう。

4.(最後に)

 思いもよらない突然の逮捕で、さぞかし不安な状況かと思います。しかし、そのような不安に付け込んで虚偽の自白、不利な自白を迫ろうとすることがあるのが捜査機関です。取調べ等の対応を誤ると、実際には無実であっても証拠上有罪と認定され、起訴され、刑事罰を受けるといった、著しく正義に反する事態となることがあり得るのが刑事司法の現状です。あなたとしては、まず被疑罪名の成立要件や刑事手続のルールを含めた現在の法的状況を十分理解した上、自分の身を守ることを第一に考えなければなりません。そのためには、前述したような弁護人の助力が不可欠となってきます。同種否認事件の弁護経験が豊富である等、適任者を選任の上、活動開始してもらうことをお勧めいたします。


≪参照条文≫
刑法
(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
第七十六条の四 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
第八十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
二十六 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)

関税法
第二条 この法律又はこの法律に基づく命令において、次の各号に掲げる用語は、当該各号に掲げる定義に従うものとする。
一 「輸入」とは、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。
第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一の二 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項(定義)に規定する指定薬物(同法第七十六条の四(製造等の禁止)に規定する医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 前二項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、これらの項の例による。

刑事訴訟法
第六十条  裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
第八十七条  勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
第百九十八条  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
○2  前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
○3  被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
○4  前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
○5  被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
第百九十九条  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法 、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
第二百七条  前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。


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