【民事、再開発、建物賃貸借の賃貸人からの解約申入れと正当事由・立退料、東京地方裁判所平成26年7月1日判決】
質問:ターミナル駅付近の商業密集地にあるビルの一室を店舗として賃借して営業しています。このビルは建築から約40年経過しています。数年前、大家が変わったという連絡を受けましたが、大家が変わってからは更新は特にしておりません。このたび、大家から、ビルも老朽化し、再開発によりビルの建て替えをするので賃貸借契約の解約をするという通知書が届き、明け渡し訴訟も提起されてしまいました。私の権利はどうなるのでしょうか。
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回答:
1、建物所有権者として、商業密集地の建物を所有している場合に、建物の経済的耐用年数が8〜9割経過したと考えられるときには、経済合理性のある建て替え計画を実行するために、借家人の権利を補填する立ち退き料の提示をした上で、解約申し入れや更新拒絶の意思表示をすることは有効となる可能性があります。
2、経済合理性の有無を判断する際の根拠となる事実は空き室率や、経済的耐用年数の計算、建築基準法の耐震基準などがあります。
3、借家権の算出方法は、解説の第2で説明します。
4、ターミナル駅近くのビルの一室を賃借している喫茶店の店舗などの立退きが争いとなった東京地方裁判所平成26年7月1日判決がありますので紹介します。
5、前記判例とは異なるケースで、再開発事業が複数地権者による再開発組合などが設立されている場合は、都市再開発法に基づく権利変換手続きが整備されており、賃貸借契約を継続させることが、建て替えの支障とはなりませんので、正当事由を満たさないという判決となる可能性もあります。
6、関連事例集1819番、1759番、1756番、1720番、1705番、1702番、1701番、1684番、1678番、1649番、1513番、1512番、1490番、1455番、1448番参照。
解説:
第1 建物賃貸借契約の更新と賃貸人からの更新拒絶・解約申入れについて
建物賃貸借契約では期間満了の際、一般的には当事者の協議により更新されますが、当事者の協議がない場合でも賃貸人の更新拒絶の意思表示がなく、期間満了後の使用の継続について賃貸人から異議がない場合には法律上契約更新したものとみなされ、その場合、期間の定めのない建物賃貸借契約となります(借地借家法第26条)。
ご相談者様の場合、賃貸人が変わってからは賃貸借契約の更新について何のやりとりもなく店舗の営業を継続していることから、現在は、期間の定めのない賃貸借契約となっていると考えられます。
2 ご相談者様は、大家さんから賃貸借契約の解約をするとの通知を受けたとのことですが、借地借家法第27条第1項は「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。」と規定しています。そして、賃貸人からの解約申し入れについて、借地借家法第28条は「正当事由」が必要であると規定しています。
借地借家法第28条を引用します。
『(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。』
正当な事由の判断要素としては、借地借家法第28条に考慮すべき事項が記載されていますが具体的には次の要素が考えられます。
賃貸人側の事情として、「賃貸人自身の使用の必要性」、「建物の老朽化」、「建物の敷地の有効利用の必要性」、「相続や債務整理などで売却の必要があること」などが考えられ、賃借人側の事情として、「賃借人自身の継続使用の必要性」、「相当額の立退き料の提供を受けていること」などが考えられ、それらの要素を裁判所が総合的に判断することになります。
ご相談者様の場合、建物を取り壊す必要があるほどに老朽化している場合には正当事由が認められる可能性がありますが、耐震強度に問題は無く、賃貸人が単に建て替えをし、再開発により収益を上げようとするだけならば正当事由は認められない可能性もあります。建物の耐震診断記録などから、大地震の際に建物倒壊のおそれがあることが確認できると、正当事由が認められやすくなります。ただし、賃貸人からご相談者様に相当額立退料の提供がされた場合には立退き料の金額により正当事由の要素が補完されて、賃貸人からの解約申入れに正当事由が認められることになります。相当額の立ち退き料の計算は、一義的に定まるものではありませんが、一つの基準として、借家権価格というものがあります。これは相続税の計算の際に用いられる計算方法です。賃貸借契約を締結して建物を賃借している場合には、その借家権にも経済的価値が認められるということです。立ち退き交渉の際は、不動産鑑定士による借家権価格の鑑定書が有効となります。相当額の立退料の提示が正当事由を補完するというのは、借家権の経済的見積額を提示して解約申し入れをしているのであれば、賃貸借契約を終了させても借家人に経済的な損失は発生しないので当事者の公平に反しないという考え方です。
参考URL,国税庁タックスアンサー(貸家建付地の評価)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4614.htm
第2 借家権価格について
借家権価格とは、相続税評価基準や、道路収用時の損失補償基準などで用いられる、借家人の経済的利益を算定するための計算により算出される、借家人の有する経済的価値であり、主な計算方法として、「割合方式」、「補償方式」、「差額賃料還元法」の3種類があります。不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合は、それぞれの方式で借家権価格を算出した後で、例えば差額還元7、割合方式1.5、補償方式1.5などの加重平均を行い、鑑定士の評価として金額を出すことが多いようです。この重み付けは、評価対象地の特性を踏まえて算出されます。
(1) 割合方式は、税法上用いられる、相続税財産評価基準における借家人の権利相当額の評価方法を準用して求める計算方法です。実際の計算方法は、相続税財産評価基準通達94番で指定されています。
「借家権の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。ただし、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しない。
借家権価格=借家権の目的となっている家屋の価格(土地建物合計)×借家権割合×賃借割合」
ここで、 「借家権割合」は、国税局長の定める割合ですが、30パーセント程度が多いようです。不動産鑑定士の鑑定評価では、東京都心の商業地の場合は35パーセントが用いられる場合もあるようです。賃借割合は、建物内の賃借部分の床面積の割合です。
(2) 補償方式は、道路用地買収時(土地収用手続き)などに用いられる「公共用地の取得に伴う損失補償基準」の建物移転等に伴う借家人に対する補償額に手法を準用して求められたものです。実際の計算方法は、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則第18で指定されています。
借家権価格 = 返還されない権利金補償額 + 返還される権利金補償額
返還されない権利金補償額 = 標準家賃月額 × 補償月数
ここで、標準家賃月額は、新たな建物を賃借する場合の賃料相当額で、事案により2〜4割の範囲で面積を増額した建物の賃料で計算することができます。補償月数は、従前の賃借建物に照応する建物の当該地域における新規賃貸事例において標準的と認められる一時金(権利金、保証金、敷金など)の月数とされています。
返還される権利金補償額 = (標準家賃月額 × 補償月数 − 権利金返還見込額) × { (1+r)^n − 1 } ÷ (1+r)^n
ここで、rは年利率で、nは従来賃貸契約が継続すべき期間で10年が標準期間です。要するに、借家契約が中途解約されずに継続していた場合は、標準的な権利金の額から、退去時に戻ってくる権利金の金額を控除した残額を、貸主に預託していることになり、この期間の利息相当額を、預託した対価として賃借人が利益として受けることになるので立ち退きの場合には補償が必要になる、という計算です。
(3)差額賃料還元法は、評価対象建物の経済価値に即応した適正な賃料(正常実質賃料)から実際に支払っている賃料を控除したいわゆる借り得分を、借家人が取得している経済的利益と考え、その差額が持続するべき期間の利益を現在価値に還元して求められる計算方法です。賃貸物件の経済的価値を同物件に投下された資本と見て、それを一定の期待利回りで運用した場合に得られる運用益に賃貸物件の維持に必要な管理費と公租公課を加えた額を正常実質賃料とします。
借家権価格 = ( 正常実質賃料 − 支払い年間賃料(現行賃料) ) × 持続年数の複利年金現価率
ここで正常実質賃料=対象物件価格(土地建物合計)×期待利回り+管理費+公租公課
持続年数は、現行賃料のままで借り得を生かして賃借できる期間で、10年程度が用いられることが多いです。
複利年金現価率は、持続年数の利益が現在(立ち退き時)に償還されるので、現在価値に換算するものです。
例えば、利率5パーセントで10年の期間に対応する複利年金現価率は7.72です。
複利年金現価率={(1+r)^n-1}÷(r×(1+r)^n)、ここでr=利率、n=期間(年数)です。
この計算方法では、借家権設定時の権利金が数式に含まれませんが、実質的に借り得部分には、償却される権利金が含まれていると考えることができますので、具体的事案においては、借家人の権利を不当に害するおそれは無いと解釈されています。
第3 ターミナル駅近くのビルの一室を賃借している喫茶店の店舗などの立退きが問題となった判例がありますので紹介します。
東京地方裁判所平成26年7月1日判決
(当事者)
賃貸人X:株式会社。東京の某ターミナル駅周辺でビルを複数所有している。本件ビルの敷地及び建物の所有者。Y1・Y2に対する賃貸人の地位を前所有者から承継している。同駅周辺でカメラ・家電の量販店を経営している。
賃借人Y1:株式会社。本件賃借建物の地下で喫茶店2店の営業をしている。
賃借人Y2:個人。賃借建物地下で鍵店・靴修理の店の営業をしている。
(賃借物件)
物件A:Y1経営の喫茶店。喫茶店の店舗、従業員用控室・更衣室のための倉庫、喫茶店のための倉庫がある。以下、これらの物件を一括して物件Aという。
物件B:Y1経営の喫茶店。
物件C:Y2が鍵店・靴修理の店として営業している。
(事案経過)
昭和46年2月28日 本件ビルが完成。同時期にY1、Y2が前々所有者と賃貸借契約を締結。
平成13年・同14年 本件ビルの耐震工事
平成22年7月26日 Xが本件ビルを前所有者から所有権取得。
平成24年11月16日 XがY1・Y2に対して賃貸者契約の解約申入れ。
平成25年8月29日 Y2が店舗を休業。
(本件賃貸借契約の解約申入れ)
建物完成当時の昭和46年ころより賃借人Y1・Y2は本件ビルの地下を賃借している。その後、所有者が前々所有者、前所有者、賃貸人Xと変わりながら更新が数回行われた。賃貸人Xは本件ビル所有権取得後賃貸期限の6ヶ月前までに更新をしない旨を賃借人Y1・Y2に通知した。その後、賃貸人Xは建物が老朽化したことや土地ビルの有効利用・高度利用を理由に、平成24年11月16日までに賃借人Y1・Y2に対し立退料を提示しながら本件賃貸借契約の解約を賃借人Y1・Y2に申し入れた。
(争点)
賃貸人である原告から賃借人である被告に対し、賃貸借契約の解約申し入れをすることに借地借家法28条にいう「正当な事由」があるかどうか。「正当な事由」を補完するための立退料が必要としてその金額はどれくらいになるのか。
(判決内容)
判決は、十分な立退料が賃借人らに支払われれば「正当事由」を補完するものとして、賃貸人からの賃貸借契約の解約を認めています。以下、判決の理由を整理します。
(1)まず、賃貸人側が本件物件を必要とする事情について、判決は次のように述べています。
@賃貸人は本件ビルを取り壊して、周辺にある同社所有のビルを含め一体として再開発を行う計画を持っている。
A本件ビルは昭和46年2月28日に新築されたものであり、48年から50年と見積もられている経済的耐用年数の8割から9割程度が経過している。耐震補強工事が施されているとしても、本件ビルは相当程度老朽化している。
B本件ビルの周辺地域では大型商業施設の開発や土地の高度利用が行われており、賃貸人が本件ビルの老朽化から、周辺ビルを一体として再開発を行うことには一定の必然性・合理性がある。
C本件ビルの他のテナント約95%が既に退去しており、本件物件の明け渡しを受けることにより、早期に明渡しを受けて開発を進める必要がある。
(2)次に、賃借人Y1・Y2が本件物件を必要とする事情について判決は次のように述べています。
@Y1が経営している喫茶店は長年営業を継続しており、固定客も少なからずついている。現在の場所で喫茶店の営業を続けることの必要性は認められる。しかし、十分な金銭補償がなされれば、代替物件を探して移転することが可能である。
AY2の経営する鍵・靴修理の店舗は既に休業され、店内の機器も搬出されているので、店舗使用の必要性は低下している。
(3)判決は上記(1)(2)の事情から、賃貸人側には本件ビルの取り壊し、再開発の必要性を認め、賃借人側には適正な立退料が提供されれば、代替物件を探すことは可能と判断し、賃貸人からの相当額の立退料の提供により、賃貸人からの解約申入れは「正当事由」を満たすとしています。
そして、その立退料の算定には、移転実費のほかに、借家権価格、営業の損失補償額を考慮した上、そのうち、立退料以外の事由による正当事由の充足度を踏まえた金額とするのが相当であるとしています。
(4)それでは立退料の金額はどれくらいになったのでしょうか。賃貸人側、賃借人側の主張金額と裁判所の認定額は次のとおりです。
@賃貸人側の主張
物件Aについて1580万円。
物件Bについて1850万円。
物件Cについて180万円。
合計にして3610万円の金額を提示しています。
A賃借人側の主張
物件A・Bについて2億円程度の立退料を主張しています。
B裁判所の判断
裁判所は、まず、鑑定書により本件ビルの価格を5億8200万円と評価し、借地権割合を90%、借家権割合を30%としています。その上で、 本件ビルの建築経過年数・建物老朽化等の事情を考慮して、不動産鑑定書による借家権価格から物件A・Bについては各2分の1、物件Cについては使用の必要性が低下しているとして4分の1としています。そして、本件での立退料の金額は以下のとおりとしています。
1)物件Aについて借家権価格の2分の1相当の2620万円に移転実費・営業損失2500万円を加えた5120万円。
2)物件Bについて借家権価格の2分の1に相当する2715万円に移転実費・営業損失のうち2500万円を加算した5215万円。
3)物件Cについて借家権価格の4分の1に相当する180万円。この金額は賃貸人側の申入金額と同額で、賃料の約2年分に相当する金額。
以上により、裁判所は、合計額として1億0515円と判断しています。
第3 ご相談者様の場合、まずは賃貸人の賃貸借契約の解約申し入れに正当事由があるかどうか、仮に店舗を移転するにしても立退料が支払われる可能性はあるか、店舗の移転に十分な立退料の金額はどれくらいか検討をする必要があります。
また、前記判例とは異なるケースで、再開発事業が、複数地権者による再開発組合などが設立されている場合は、都市再開発法に基づく権利変換手続きが整備されており、賃貸借契約を継続させることが、建て替えの支障とはなりませんので、正当事由を満たさないという判決となる可能性もあります。
参考のために、都市再開発法で、建物賃貸借契約が、ビル建て替えの支障とならないことを示す条文を引用します。第一種市街地再開発の場合、法87条2項で、建物についての借家権は消滅し、権利変換計画に従い、新建物の建築後に新たな建物の借家権が与えられることになります。借家人が退去に応じないときは、法96条1項に基づき明け渡しを求めることができ、これを根拠として仮処分を申請することができ、賃貸借契約が存続しても何ら建て替えの支障とならないことが分かります。前記判例では、都市再開発法の手続きが具体化していませんでしたが、もしも、市街地再開発事業の事業計画認可が出ているなど、市街地再開発事業に具体性が出ている場合は、建て替えを理由とする大家からの解約申し入れが無効となる可能性もあります。
都市再開発法第87条(権利変換期日における権利の変換)
第1項 施行地区内の土地は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する。この場合において、従前の土地を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。
第2項 権利変換期日において、施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者の当該建築物は、施行者に帰属し、当該建築物を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。ただし、第六十六条第七項の承認を受けないで新築された建築物及び他に移転すべき旨の第七十一条第一項の申出があつた建築物については、この限りでない。
第96条(土地の明渡し)
第1項 施行者は、権利変換期日後第一種市街地再開発事業に係る工事のため必要があるときは、施行地区内の土地又は当該土地にある物件を占有している者に対し、期限を定めて、土地の明渡しを求めることができる。
第2項 前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない。
第3項 第一項の規定による明渡しの請求があつた土地又は当該土地にある物件を占有している者は、明渡しの期限までに、施行者に土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。ただし、第九十一条第一項又は次条第三項の規定による支払がないときは、この限りでない。
第4項 前条の規定により建築物を占有する者が施行者に当該建築物を引き渡す場合において、当該建築物に、第六十六条第七項の承認を受けないで改築、増築若しくは大修繕が行われ、又は物件が付加増置された部分があるときは、第八十七条第二項の規定により当該建築物の所有権を失つた者は、当該部分又は物件を除却して、これを取得することができる。
第5項 第一項に規定する処分については、行政手続法第三章 の規定は、適用しない。
一度は弁護士に相談をし、賃貸借契約解約の正当事由の有無や相当な立退き料の見積額など聞かれた上で、対応方法を検討なさった方が良いでしょう。
≪参照条文≫
(建物賃貸借契約の更新等)
第二十六条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
(解約による建物賃貸借の終了)
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。