同性に対するストーカー行為と刑事罰
刑事|利益対立|被疑者の基本的人権と公共の安全|ストーカー規制法の成立・改正の経緯|手続と対策
目次
質問:
私は、2人だけでよく飲みに出掛けるなど、とある友人と親友関係にありました。元々は、その友人とは大学生であった頃に知り合ったのですが、大学を卒業して就職をし、忙しくなってしまったためか、段々と、私が飲みに誘うメッセージを送っても、友人からは、返信さえないことが多くなっていきました。私自身、疎遠になりつつあることは理解していたのですが、私には、友人と呼べるような存在はその人しかおらず、悶々として過ごしていました。そんなある日、私は、直接、友人に会いに行こうと思い立ち、友人の勤める会社の前で、友人が出てくるのを待っていました。しばらくして、友人が会社から出てきたのですが、同僚らしき人物3人と一緒で、みんなで楽しげに飲み屋街の方に向かって行きました。それを見た私は、友人にとって自分は唯一の存在ではないのだと淋しさを感じ、友人に話し掛けることもせず、そのまま帰路に就きました。家に帰っても、淋しさを一向に消えず、私は、友人に対し、「今日、会社から一緒に出てきた人は誰?俺にはお前しかいないのに許せない。俺とだけ付き合って欲しい。また2人だけで飲みに行こう。俺はこんなにもお前のことを大事に思っているんだから。」というメッセージを送りました。このメッセージにも返信はなく、それ以後、私は、毎日のように、友人が会社から出てくるのを待ったり、同様のメッセージを送ったりするようになりました。
それから数か月して、警察からの呼出しがあり、私は、私の行為がストーカー行為に当たるとして、二度と友人に付きまとったり、連絡を取ったりしません、といった内容の誓約書を書かされた上、警告書を交付されました。ただ、当時の私は、何も悪いことをしていないのに、こんな警告が出されるのはおかしいと考え、その後も、同様の行為を繰り返してしまいました。
そして、つい先日、改めて、警察からの呼出しがあり、私は、警告に従わなかったとして、ストーカー規制法違反の罪で取調べを受けることになりました。警察からは、逮捕はしないが、在宅事件として書類送検をする、今後は、検察庁からの呼出しがあるから、ちゃんと出頭するように、と言われています。
今思えば、私の行為は度が過ぎたものであり、友人を怖がらせてしまったのだと反省しているのですが、友人関係のもつれが原因に過ぎず、正直、ストーカー規制法違反の罪で処罰されるということがピンときていません。ストーカー規制法違反という罪は、恋愛関係がこじれて異性に付きまとった場合に成立するもので、今回のような場合には成立しないのではないのでしょうか。仮に成立するとして、ストーカー規制法違反の罪で処罰されるのを回避することはできないのでしょうか。
回答:
ストーカー規制法違反の罪は、恋愛関係がこじれて異性に付きまとった場合に限定されず、同性間で恋愛感情がなくとも、相手に対する「好意の感情」がある場合は成立します。
ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)は、ストーカー行為をした者に対し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科す旨を規定しています(同法18条)。なお、本件では、警察からの警告(同法4条)がなされているにとどまりますが、同法は、禁止命令等(同法5条)がなされていた場合に、これに違反してストーカー行為をした者に対しては、より重い2年以下の懲役又は200万円以下の罰金を科す旨を規定しています(同法19条)。
ストーカー規制法では、「ストーカー行為」が、同一の者に対し、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることと定義されているところ(同法2条4項)、この「つきまとい等」は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと、②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと、③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること、④著しく粗野又は乱暴な言動をすること、⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること、⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと、⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと、⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くことをいうとされています(同法2条1項)。その上で、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」との要件については、単に「恋愛感情」とされているだけでなく、「その他の好意の感情」ともされていることからも明らかなように、実務上、「恋愛感情その他の好意の感情」には、特定の者を恋い慕う感情のみならず、親愛の情といった特定の者を慈しむ感情も含まれると考えられています(ただし、この親愛の情も、その感情が充足され得るものであることが予定されているため、相手がそれに応えて何らかの行動を取ってくれることを望むものに限られます。)。
本件では、相談者様は、ご友人を恋い慕う感情を有していないとしても、ご友人を慈しむ感情を有しているのみならず、ご友人がそれに応え、相談者様との関係性を最大限尊重することを求めているようですので、相談者様には、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」があったとされることになるでしょう。その上で、相談者様は、ご友人の勤める会社の前で、ご友人が出てくるのを待つ、といった行為を繰り返していますが、これは、勤務先の付近をみだりにうろつくことを反復して行ったものとして、「ストーカー行為」に該当するとされることになるでしょう。
したがって、相談者様に対しては、ストーカー規制法違反の罪で1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることが見込まれます。
このような処罰を回避するためには、ご友人と示談をする(一定の慰謝料を支払うことを前提に、宥恕(許し)を得る)方法があり得ます。ご友人と示談をすることができれば、ストーカー規制法違反の罪で処罰されることを回避できる可能性が大きく高まります。ただ、その事案の性質上、相談者様ご本人でご友人との示談を試みると、警察や検察より、相談者様が再度ストーカー行為を行ったものと捉えられかねませんので、弁護人を通じて、ご友人との示談を試みる必要があるでしょう。
ストーカー規制法に関する関連事例集参照。
解説:
1 ストーカー規制法の成立・改正の経緯について
平成11年10月26日に発生した桶川ストーカー殺人事件を契機として、ストーカーが深刻な社会問題として捉えられるようになり、ストーカー規制法が、ストーカー行為について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、併せて国民の生活の安全と平穏に資することを目的として、平成12年5月18日に成立し、同年11月24日に施行されました。
その約12年後には、逗子ストーカー殺人事件という凄惨な事件が発生しましたが、この事件では、犯人による、わずか17日の間に1000通を超える電子メールを送付する、といった異常とも言うべき行動が問題となりました。そこで、ストーカー規制法は、平成25年6月26日に、被害者から拒まれたにもかかわらず、連続して電子メールを送信する行為を、新たに規制対象に加えるなどの改正がなされ、これが同年10月3日(一部は、同年7月23日)に施行されました。
その約3年半後にも、小金井ストーカー殺人未遂事件という大変痛ましい事件が発生しましたが、この事件では、Twitter等におけるSNS上でのストーカー行為が問題となりました。そこで、ストーカー規制法は、平成28年12月6日に、電子メールだけでなく、Twitter等におけるSNS上でのメッセージの連続送信や、個人ブログへの執拗な書き込みを、新たに規制対象に加えるなどの改正がなされ、これが平成29年6月14日(一部は、同年1月3日)に施行されました。
そして、令和2年7月30日、最高裁において、別居中の妻が使用する自動車にGPS機器をひそかに取り付け、同車の位置情報を探索して取得する行為は、ストーカー規制法の規制対象である「住居等の付近において見張り」をする行為に該当しない、との判断が示されました。これを受け、同法は、令和3年5月18日に、相手方の承諾なく、自動車等にGPS機器等を取り付けたり、GPS機器等から位置情報を取得したりする行為を、新たに規制対象に加えるなどの改正がなされ、これが同年8月26日(一部は、同年6月15日)に施行されました。
このように、ストーカー規制法は、社会情勢の変化やIT技術の著しい発達等に合わせ、改正を繰り返し、その姿を少しずつ変えていっている法律となります。
2 ストーカー規制法の規制対象について
⑴ ストーカー規制法は、「ストーカー行為」を、同一の者に対し、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることと定義しており(同法2条4項)、ストーカー行為をした者に対しては、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科され(同法18条)、また、禁止命令等(なお、これについては、第3項で解説します。)に違反してストーカー行為をした者に対しては、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科されることになります(同法19条)。
⑵ ここでいう「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと、②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと、③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること、④著しく粗野又は乱暴な言動をすること、⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること、⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと、⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと、⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くことをいいます(ストーカー規制法2条1項)。
そして、⑤「電子メールの送信等」とは、a電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信を行うこと、b特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすることをいうとされています(同条2項)。
その文言からは非常に分かりにくいかと思いますが、a「電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信を行うこと」としては、例えば、TwitterやFacebook、LINE等のSNSのメッセージ機能を利用した電気通信の送信等が挙げられます。また、b「特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること」としては、例えば、相手方が開設しているブログ、ホームページへの書き込みや、相手方のSNSのマイページへの書き込み等が挙げられます。
以上のうち、相談者様の行為は、少なくとも、①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくことに当たるでしょう。
⑶ また、「位置情報無承諾取得等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、①その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること、②その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすることをいいます(ストーカー規制法2条3項)。
その文言からは非常に分かりにくいかと思いますが、①「その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること」としては、例えば、相手方の車両等に取り付けたGPS機器等を用いて、その位置情報を取得することや、相手方のスマートフォン等にインストールしている位置情報アプリケーションを無断で操作して、その位置情報を取得すること等が挙げられます。また、②「その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること」としては、例えば、相手方の車両等にGPS機器等を取り付けることや、GPS機器等を取り付けた物品を相手方にプレゼントすること等が挙げられます。
⑷ 上記のとおり、ストーカー規制法違反の罪で刑事罰を科すに当たっては、犯人に「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」(ストーカー規制法2条1項柱書、同条3項柱書)があったと認められる必要があります。
この要件は、ストーカー事案のほとんどが恋愛感情等に起因するものであるという実態を前提に、国民に対する規制の範囲を最小限にするために設けられたものですが、単に「恋愛感情」とされているだけでなく、「その他の好意の感情」ともされていることからも明らかなように、「恋愛感情その他の好意の感情」には、特定の者を恋い慕う感情のみならず、親愛の情といった特定の者を慈しむ感情も含まれます。ただ、この親愛の情も、その感情が充足され得るものであることが予定されていることから、相手がそれに応えて何らかの行動を取ってくれることを望むものに限られると考えられています(参議院地方行政・警察委員会での議員答弁参照)。
この点、相談者様は、ご友人を恋い慕う感情を有していないとしても、ご友人を慈しむ感情を有しているのみならず、ご友人がそれに応え、相談者様との関係性を最大限尊重することを求めているようですので、相談者様には、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」があったとされることになるでしょう。
実際に、近年、同性間であっても、犯人がストーカー規制法違反の嫌疑で逮捕されたという事案が数多く見受けられるところです。
3 ストーカー規制法による警告・禁止命令等について
⑴ 警察は、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等がなされ、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがある場合には、被害者の申し出(被害者による警告申出書の提出)により、当該行為をした者に対し、更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができます(ストーカー規制法4条1項)。警告は、緊急を要し、警告書を交付する暇がない場合には、まずは口頭で行われることもありますが、警告書の交付又は送付をもって行われるのが通常です。
この警告に違反したとしても、何か法的な効果が発生するわけではありませんが、警告を無視して、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を繰り返せば、禁止命令等を出されたり、いきなり逮捕されたりする危険も高まります。
⑵ また、公安委員会は、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして不安を覚えさせる行為がなされ、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがある場合には、被害者の申し出又は職権により、当該行為をした者に対し、更に反復して当該行為をしてはならないことや、更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項を命じることができます(ストーカー規制法5条1項)。この「更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項」としては、例えば、写真や画像データ等が送付されている場合にその記録や記録媒体等を廃棄すること等が挙げられます。
この禁止命令等に違反して、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして不安を覚えさせる行為が繰り返された場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されるほか(ストーカー規制法20条)、それがストーカー行為に該当するのであれば、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金という通常のストーカー行為よりも重い刑事罰が科されることになります(同法19条)。
このように、禁止命令等が刑事罰を科す前提となり得ることから、公安委員会は、禁止命令等をしようとするときは、原則として、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして不安を覚えさせる行為をしたとされる者に対し、聴聞手続を行わなければなりません。(ストーカー規制法5条2項)。もっとも、相手方の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要がある場合には、聴聞手続を経ずに、禁止命令等をすることができます。ただし、その場合であっても、公安委員会は、禁止命令等をした日から起算して15日以内に、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして不安を覚えさせる行為をしたとされる者から意見を聴取しなければなりません(同条3項)。
そして、ストーカー規制法上、事前に警告がなされていることは禁止命令等の要件にはなっていないため、事前に警告がなされていない場合であっても、いきなり禁止命令等がなされることもあります。
4 今後の対応について
相談者様がストーカー規制法違反の罪を犯したこと自体を争うのは難しいと言わざるを得ません。警察の警告を無視して呼び出されたということですからすでに刑事事件となっていると考えられます。刑事罰が科されることを回避するためには、ご友人と示談をして警察に示談書を示す必要があります。
ストーカー規制法は、「国民の生活の安全と平穏に資すること」を目的の1つとしており、公益目的を有する法律といえますが、他方で、「個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止」することも目的の1つとしており、個人的法益をも保護する法律といえます(同法1条)。このような個人的法益をも保護する法律にあっては、刑事罰を科すに当たり、被害者が如何なる処罰感情を有するかという点が最大の考慮要素とされなければならないといえ、その処罰感情が既に解消されている場合には、犯人を厳しく処罰するのは不相当ということになります。そのため、被害者と示談をし、一定の慰謝料を支払うことを前提に、宥恕(許し)を得ることができれば(示談書を作成することができれば)、この事情を担当検事に説明し、検察官の起訴猶予処分(刑訴法248条)を促す弁護活動も奏功し、ストーカー規制法違反の罪で刑事罰を科されることを回避できる可能性が大きく高まります。
その事案の性質上、相談者様ご本人が被害者であるご友人と直接接触することは、警察や検察はひどく嫌うでしょうし、相談者様が再度ストーカー行為を行ったものとも捉えられかねませんので、お近くの法律事務所でご相談・ご依頼の上、弁護人を通じて、ご友人との示談を試みることをお勧めいたします。
※参考サイト
ストーカー被害を未然に防ぐこと を目的とした、警察庁の情報発信ポータルサイト以上