法の支配と民事訴訟実務入門(平成20年9月9日改訂)
各論10、支払督促を自分でやる。


質問:
私は機械部品の販売をしていますが、ある取引先会社の支払いが2ヶ月前から無く、請求しても「もう少し待ってくれ」というだけです。このまま放置できませんので、裁判も考えましたが、支払督促という方法で裁判と同じ効果があると聞きました。支払督促はどういう制度でしょうか。


回答:
1. お尋ねの「督促手続」とは、金銭(又は金銭と同じような代替物、有価証券)の請求(額に制限はありません)についてのみ、紛争当事者を一切呼び出し審尋(聞き取り調査)せずに債権者が申し立てた書面だけの審査で裁判所の裁判官ではなく書記官が作成する仮執行宣言付き支払督促を確定判決と同じく債務名義にしてしまうと法が認めた特別な訴訟手続です(民訴382条以下)。


解説

督促手続きは何故必要か。

これも「法の支配」理念の現れと考えられます。金銭債権請求も私的紛争ですから、原則から言えば、裁判官が、口頭弁論主義により公開の法廷で対審により主張立証を戦わせ、判決により金銭等の請求に関する紛争を解決しなければならないはずです(憲法32条、76条、82条)。しかし、法の支配の制度的核心である司法権の独立の最終目的は、適正公平迅速低廉な紛争解決により公正な法社会秩序の確立による個人の尊厳の保障にあります。法的紛争といっても、全ての案件を正式裁判で解決しようとすると、判決、強制執行法的手続が煩雑で時間を要し、経費がかかり過ぎてしまうこととなってしまいます。悪質な債権者の中には、正式裁判に時間や経費が掛かることを幸いにこれを奇貨として、正当な権利行使を免れ事実上妨害しようとする者も現れかねません。これは公正な裁判手続の盲点を突くものであり、正当な権利実現ができず公正な法秩序を維持できない危険があります。そこで、「法の支配」の理念に立ち返り簡易(申立書面のみ証拠不要)、迅速(送達期間を除き申立から最短で4週間)、低廉な(印紙が訴訟の半額)紛争解決を目的として、例外的に請求内容が単純な金銭債権等に限り、事実認定、法解釈適用の判断権(裁判権)を持たない裁判所の職員である書記官が形式的書面審査だけを行い、公の強制的権利実現を可能にする債務名義、すなわち仮執行宣言付支払督促(書記官が作成するので支払督促といいます)を作成、発布することを認めました(改正前は裁判官の支払命令が債務名義です)。このような手続きですから簡易迅速に権利実現は可能なのですが、何らの証拠調べもなく単なる書面審理による書記官の判断ですので債務者に一定期間内に理由の如何を問わず異議申立権を認めて裁判を受ける権利を実質的に保障しています。実務上、この手続は消費者金融の請求等に利用されているようで、場合によっては不法業者に悪用される危険も内包しています。

以下詳論します。

1 支払督促と通常の裁判との違い
  支払督促の手続きは、債権者の申し立てを裁判所書記官が書面で審査し、支払督促(債務名義となる)という命令を発する手続きです(民訴382以下)。申立が形式上整っていれば、申立人の主張が事実か否かを審理することなく裁判所の書記官が発することができ、事実を認定して判断する裁判とは異なった制度です。

2 支払督促の申立てができる場合
  支払督促ができるのは、「金銭その他代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」する場合に限られています(民訴382)。それ以外のたとえば不動産を引き渡せなどという給付の請求はできないとされています(各論2、公正証書の説明を参照下さい)。

3 証拠は必要ない。
  支払督促は、申立書に記載されている「申立の趣旨」と「申立の理由」だけを書記官が書面審査し、請求に理由があれば(法律構成に矛盾点が無ければ)発せられる制度です。証拠は、その時点では必要ありませんし、事前に債務者の反論もできません(民訴386)。これは、督促手続が事実認定を伴わない手続であるためです。

4 債務者の異議と、仮執行宣言
  支払督促を書記官が発すると、書記官は支払督促を債務者に送達します(民訴388)。この送達は、付郵便送達にすることはできますが、公示送達ではできないとされています(公示送達については総論の「送達」の項目を参照下さい)。つまり、受取拒否なら送達できますが、住所不明だと送達できませんので督促手続を利用することはできません。
  送達された債務者は、送達を受けた日から2週間以内に支払督促に対する異議を述べることができます。この異議申立が適法な場合、支払督促の申し立てがあった時に、訴訟が提起されたとみなされ(民訴395)裁判手続きに移行します。このみなし規定は、訴訟提起による時効中断効を、督促手続に及ぼすために用意されています。消滅時効に掛かってしまいそうな債権でも、支払督促を申立さえすれば、訴訟提起同様に、時効完成を阻止することができるのです。
この異議申し立て期間を経過した後30日以内に、債権者は支払督促について仮執行の宣言の申し立てをする必要があります(民訴392。この期間を過ぎてしまうと支払督促は効力を失ってしまいます。もう一度はじめから申し立てをしなくてはなりません)。
債権者の仮執行宣言の申立があると書記官は支払督促について仮執行宣言をします(民訴391)。仮執行宣言を付した支払督促は、判決に仮執行宣言があった場合と同様に強制執行のための債務名義なります(強制執行の説明を参考にしてください)。
なお、債務者は仮執行宣言を付した支払督促の送達をうけた日から2週間以内に督促異議の申立をすることができます。この時点で異議があると、通常の裁判に移行することは変わりないのですが、仮執行宣言がすでにありますから、支払督促により仮に強制執行することができます。裁判は続きますが、それとは関係なく強制執行はできることになり債務者としては執行停止の裁判を申し立てないと強制執行を止められないことになります。

5 支払督促と通常の裁判のどちらの方法を選択するべきか
以上が支払督促の制度の概略です。債権者には便利な制度ですが、債務者の保護の必要から異議があると、当然に申立があった裁判所に通常訴訟の申立があったとみなされる不都合があります。そこで、申立てる裁判所が遠隔地で、また債務者から異議の出る可能性が高い場合は、はじめから通常訴訟で債権者の住所の管轄の裁判所に訴訟を提起したほうが良いといえるでしょう。

6 支払督促の申立
支払督促の申し立ては、申立書という書面を作成して、簡易裁判所に申し立てるのが実務です。簡易裁判所の受付には用紙が用意されておりそれに記入して申し立てることもできます。また、インターネットの普及に伴いインターネット上からの申立もできるようになっています(民訴397)。支払督促を頻繁に利用する場合は便利な制度ですので、以下の「督促手続オンラインシステム」ホームページを閲覧下さい。

http://www.tokuon.courts.go.jp/AA-G-1010.html

最後に、売掛金についての支払督促の申立書の書式を挙げておきますので参考にしてください。支払督促については、申立手続費用も請求できることになっていますので、具体的な金額は裁判所の受付で相談されるとよいでしょう。

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支払督促申立書

平成  年  月  日
東京簡易裁判所 裁判所書記官 殿

申立人債権者           ?
貸金等請求事件
当事者の表示    別紙当事者目録記載のとおり
請求の趣旨及び原因 別紙請求の趣旨及び原因記載のとおり
 債務者は、債権者に対し、請求の趣旨記載の金額を支払え
との支払督促を求める。
申立手続費用 金 万   円
(内訳)申立手数料  万    円  支払督促発付通知費用     円
督促正本送達費用    円,申立書作成及び提出費用    円
    資格証明書手数料    円

価  額       万円
印  紙   万    円
郵  券        円

添付書類   資格証明書 通

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(支払督促申立書別紙)
請求の趣旨及び原因
請求の趣旨
1 金000万0000円
2 上記1の金額に対する平成00年0月00日から完済まで約年6%の割合による遅延損害金
3 金   万   円(申立手続費用)

請求の原因
 1 当事者
債権者は,・・・を業とする者で、債務者は、・・・を業とする株式会社である。
2 継続的売買契約の締結
債権者と債務者は,平成00年0月頃,債権者の製品を継続的に販売し毎月末日に清算し、翌月末に支払う継続的な売買契約を締結した。
3 債権者は、前項記載の継続的な売買契約に基づき、平成20年3月1日あら同月31日までに金0000円、翌4月1日から同月30日までに金000円合計金0000円の製品を販売した。
4 債務者による不払い
  しかし,債務者は,債権者に対して,現在まで全く支払いをしていない。
5 よって、債権者は債務者に対し売掛金未払い金合計金000円とこれに対する最後の支払期限の翌日である平成20年6月1日から完済まで年6%の割合の商事法定利率相当の遅延損害金の支払いを求める。
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(支払督促申立書別紙)
当事者目録
〒000−0000 住 所
債権者

〒000−0000 住所
債務者   株式会社0000
代表者代表取締役   00 00

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≪条文参照≫
憲法
第三十二条  何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
   第六章 司法
第七十六条  すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
○2  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
○3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第八十条  下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
第八十二条  裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
民事訴訟法

第七編 督促手続
   第一章 総則
(支払督促の要件)
第三百八十二条  金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
(支払督促の申立て)
第三百八十三条  支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
2  次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
一  事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
二  手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求
     手形又は小切手の支払地
(訴えに関する規定の準用)
第三百八十四条  支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
(申立ての却下)
第三百八十五条  支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
2  前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3  前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4  前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(支払督促の発付等)
第三百八十六条  支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
2  債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
(支払督促の記載事項)
第三百八十七条  支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
一  第三百八十二条の給付を命ずる旨
二  請求の趣旨及び原因
三  当事者及び法定代理人
(支払督促の送達)
第三百八十八条  支払督促は、債務者に送達しなければならない。
2  支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
3  債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
(支払督促の更正)
第三百八十九条  第七十四条第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
2  仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四条第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
(仮執行の宣言前の督促異議)
第三百九十条  仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
(仮執行の宣言)
第三百九十一条  債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
2  仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを当事者に送達しなければならない。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記載をした支払督促を送付することをもって、送達に代えることができる。
3  第三百八十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
4  前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5  第二百六十条及び第三百八十八条第二項の規定は、第一項の仮執行の宣言について準用する。
(期間の徒過による支払督促の失効)
第三百九十二条  債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
(仮執行の宣言後の督促異議)
第三百九十三条  仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
(督促異議の却下)
第三百九十四条  簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。
2  前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(督促異議の申立てによる訴訟への移行)
第三百九十五条  適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
(支払督促の効力)
第三百九十六条  仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。
   第二章 電子情報処理組織による督促手続の特則
(電子情報処理組織による支払督促の申立て)
第三百九十七条  電子情報処理組織を用いて督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所(以下この章において「指定簡易裁判所」という。)の裁判所書記官に対しては、第三百八十三条の規定による場合のほか、同条に規定する簡易裁判所が別に最高裁判所規則で定める簡易裁判所である場合にも、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織を用いて支払督促の申立てをすることができる。
第三百九十八条  第百三十二条の十第一項本文の規定により電子情報処理組織を用いてされた支払督促の申立てに係る督促手続における支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、当該支払督促の申立ての時に、第三百八十三条に規定する簡易裁判所で支払督促を発した裁判所書記官の所属するもの若しくは前条の別に最高裁判所規則で定める簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
2  前項の場合において、同項に規定する簡易裁判所又は地方裁判所が二以上あるときは、督促異議に係る請求については、これらの裁判所中に第三百八十三条第一項に規定する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所がある場合にはその裁判所に、その裁判所がない場合には同条第二項第一号に定める地を管轄する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
3  前項の規定にかかわらず、債権者が、最高裁判所規則で定めるところにより、第一項に規定する簡易裁判所又は地方裁判所のうち、一の簡易裁判所又は地方裁判所を指定したときは、その裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
(電子情報処理組織による処分の告知)
第三百九十九条  第百三十二条の十第一項本文の規定により電子情報処理組織を用いてされた支払督促の申立てに係る督促手続に関する指定簡易裁判所の裁判所書記官の処分の告知のうち、当該処分の告知に関するこの法律その他の法令の規定により書面等をもってするものとされているものについては、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織を用いてすることができる。
2  第百三十二条の十第二項から第四項までの規定は、前項の規定により指定簡易裁判所の裁判所書記官がする処分の告知について準用する。
3  前項において準用する第百三十二条の十第三項の規定にかかわらず、第一項の規定による処分の告知を受けるべき債権者の同意があるときは、当該処分の告知は、裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該処分に係る情報が最高裁判所規則で定めるところにより記録され、かつ、その記録に関する通知が当該債権者に対して発せられた時に、当該債権者に到達したものとみなす。
(電磁的記録による作成等)
第四百条  指定簡易裁判所の裁判所書記官は、第百三十二条の十第一項本文の規定により電子情報処理組織を用いてされた支払督促の申立てに係る督促手続に関し、この法律その他の法令の規定により裁判所書記官が書面等の作成等(作成又は保管をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)をすることとされているものについては、当該法令の規定にかかわらず、書面等の作成等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面等に係る電磁的記録の作成等をすることができる。
2  第百三十二条の十第二項及び第四項の規定は、前項の規定により指定簡易裁判所の裁判所書記官がする電磁的記録の作成等について準用する。
(電磁的記録に係る訴訟記録の取扱い)
第四百一条  督促手続に係る訴訟記録のうち、第百三十二条の十第一項本文の規定により電子情報処理組織を用いてされた申立て等に係る部分又は前条第一項の規定により電磁的記録の作成等がされた部分(以下この条において「電磁的記録部分」と総称する。)について、第九十一条第一項又は第三項の規定による訴訟記録の閲覧等の請求があったときは、指定簡易裁判所の裁判所書記官は、当該指定簡易裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された電磁的記録部分の内容を書面に出力した上、当該訴訟記録の閲覧等を当該書面をもってするものとする。電磁的記録の作成等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。
2  第百三十二条の十第一項本文の規定により電子情報処理組織を用いてされた支払督促の申立てに係る督促手続における支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときは、第三百九十八条の規定により訴えの提起があったものとみなされる裁判所は、電磁的記録部分の内容を書面に出力した上、当該訴訟記録の閲覧等を当該書面をもってするものとする。
(電子情報処理組織による督促手続における所定の方式の書面による支払督促の申立て)
第四百二条  電子情報処理組織(裁判所の使用に係る複数の電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いて督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所の裁判所書記官に対しては、第三百八十三条の規定による場合のほか、同条に規定する簡易裁判所が別に最高裁判所規則で定める簡易裁判所である場合にも、最高裁判所規則で定める方式に適合する方式により記載された書面をもって支払督促の申立てをすることができる。
2  第三百九十八条の規定は、前項に規定する方式により記載された書面をもってされた支払督促の申立てに係る督促手続における支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときについて準用する。


民事執行法
(債務名義)
第二十二条  強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一  確定判決
二  仮執行の宣言を付した判決
三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
四  仮執行の宣言を付した支払督促


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