法の支配と民事訴訟実務入門(平成20年8月13日改訂)
総論8、訴え提起に対する対応、答弁書の書き方。否認、理由つき否認、抗弁、再抗弁、自白、権利自白、請求の認諾、直接証拠、間接証拠
Q:友人から500万円借りたのですが返済しないでいたら500万円の民事訴訟を起こされました。借りたのは約10年前ですが、数年前に100万円返済した時に、友人はこれでもういいからといってくれたので安心していたのです。私はどうしたらいいでしょう。答弁書はどう書いたらいいでしょうか。基本的なことから教えてください。
A:
1. 貴方が、訴状を受け取ったのに出廷もせず何も意思表示をしないで放置すると原告が主張した500万円の消費貸借の要件事実を認めたものとみなされて(擬制自白)訴訟は結審して被告である貴方の欠席敗訴判決になってしまいます(民訴159条1項、3項、243条、244条1項)。
2. 訴状に記載してある相手方の主張に対して意見があれば全て貴方が答弁書で回答しなければいけません(民訴161条、規則80条)。
3. 訴訟物である請求の趣旨に対しては、争うのであれば「請求を棄却する」と記載します。請求を認めると記載し提出すると欠席しても請求の認諾(民訴266条、267条)になりその調書は敗訴確定判決と同じになります。上訴も出来ません。権利自白の一つです。
4. 訴状の請求原因について事実を認めるか、否認するか、知らない(不知)のかを記載してください。
5. 100万円は返済しているので、抗弁として弁済(民法474 条)の要件事実を主張してください。
6. 友人が「もうこれでいいから」と言っていますから債務免除(民法519条)という要件事実を抗弁として主張してください。
7. 借り入れをしてから10年を経過していますので、更に、時効消滅、援用(民法167条1項、145条)の要件事実を抗弁として主張してください。
8. 原告は、貴方の抗弁について、認めるか、否認するか、準備書面で主張してきますので認めない以上、要件事実を被告である貴方は立証しなければなりません。立証できないと請求原因事実(貸借の事実)を貴方は認めていますから(請求原因についての自白)貴方が敗訴します。これを立証責任といいます。
9. 時効の主張に対して、原告が次の準備書面で100万円の弁済事実を認め援用すると債務の承認として時効中断(民法147条1項3号)を主張してくる可能性があります。これを再抗弁といいます。この要件事実は、貴方が先行自白(弁済は債務があることを前提にする主張です)していますから相手は立証責任を免れます。
10. 主張立証が認められると貴方は勝訴判決を得ることが出来ます。
11. 答弁書も準備書面ですから準備書面の書き方も答弁書の書式と基本的に同じになります。
12. その他の書式、手続については新銀座事務所ホームページ法律相談キーワード検索、書式集、により調べ参考にしてください。
解説
1. 159条3項は、貴方が裁判所から訴状の送達を受けて呼び出しに応じず第一回の口頭弁論に欠席すると、原告の訴状に書いてある500万円貸したと言う請求原因事実を明らかに争う意思がなく要件事実を認めたものと裁判所は判断します。貴方にとって不利益な要件事実ですから実質的に貴方が自白(自己に不利益な要件事実を認めること)した事と同じことになりこれを擬制自白といいます。酷な様にも思いますが私的自治の原則から要件事実の主張、争いは当事者の判断に任せていますので明らかに争わない当事者は保護されないのです。弁論主義の具現化と考えられます。自白した事実について裁判所は口出しできませんから事実認定することになり立証は不要となります(民訴179条)。私的自治、弁論主義より当事者に争いがない要件事実に制度上国家は口出しできないのです(弁論主義が適用にならない間接事実は適用外ですから理論上異なった認定も出来ます)。当事者間に要件事実について争いがなく他に主張がない以上裁判所は適正、公平、迅速な裁判を行うため結審し法律を解釈適用して原告の請求(500万円支払え)を認める判決を言い渡します。
2. 訴訟物である請求の趣旨に対しては、争うのであれば「請求を棄却する」と記載します。訴訟物は処分権主義の対象ですから被告である貴方も紛争当事者として意見を述べなければいけません。請求を認めると記載し提出すると最初の期日に欠席しても請求の認諾(民訴266条、267条)になりその調書は敗訴確定判決と同じになります。上訴も出来ません。権利自白の一つです。私的自治の原則上紛争の対象である訴訟物に争いがないので裁判所は訴訟を終結するのです。答弁書の書き方は書式集2答弁書を参照してください。
3. 次に、原告が主張している請求原因に対して被告である貴方は回答しなければなりません。放置すると前述のように擬制自白になります。その態度には意見を述べないで放置、沈黙する他に3つあり、認めるか、事実がないとして否認するか、そんな事実の真偽は知らないという不知の陳述に分かれます(規則80条)。認めると自白になりますので原告は要件事実について立証する必要がありません。否認すると原告は要件事実に争いがあるので証拠(借用書等)で証明する事になります。否認の中には500万円は受け取ったが売買代金として受け取ったと理由をつけて否認する場合があります(理由つき否認といい否認と同じで原告が立証責任を負いますし、否認ですから理由である売買の事実は証明する必要はありません)。不知は否認したものと推定されます(民訴159条2項)。例えば、500万円借りたかどうか解からないというのは当事者として無責任な発言ですが、争わない態度と裁判所が判断する事は当事者の責任の範囲である要件事実に余計な口を出す事になり弁論主義から妥当ではありませんので認めていない以上否認に準じて扱っているのです。但し、このような不誠実な態度は適正、迅速な解決という点から問題であり法(規則79条3項)は、否認の場合その理由を説明する義務を科しています。従って安易に不知の陳述を繰り返すと裁判官の自由な心証形成にとっては不利に働きます。本件では借りた事実はありますから認めるという陳述になると思います。
4. 500万円借りたのは事実ですが、数年前に100万円返済していますので被告にとり有利な事由である100万円返済したという弁済の要件事実を答弁書に書いて主張しなければなりません。弁済の要件事実を規定した法律は直接ありませんが、民法474条は債務者でない第三者の弁済の効力について「債務の弁済は、第三者もすることができる」と書いてあるので条文の解釈として弁済が債務消滅の法的行為であり、500万円の債務に対する返済の目的で支払った(贈与の目的ではだめです)という要件事実を主張する必要があります。474条の法律解釈がここでも必要です。この要件事実の主張を原告の請求原因事実に対して法律上抗弁といいます。抗弁は、否認と同じく原告主張の請求、訴訟物を否定する事実主張ですが否認と違い500万円の貸借という要件事実を前提とし両立できる点に特色があります。この要件事実を原告が否認すると貴方は領収書等で弁済の事実を立証しなければなりませんから前もって領収書があるのであれば乙1号証領収書と書いて前もって主張しておきましょう。領収書がないと間接事実(銀行からの100万円の引き出し等)から立証しなくてはいけませんから、100万円の出所を示す預金通帳、弁済のため100万円借り入れた場合は借り入れ書を証拠として提出します。このように要件事実以外の間接事実、補助事実の立証のための証拠を間接証拠といいます。これに対して弁済という要件事実の立証のための証拠を直接証拠(100万円の領収書)といいます。
5. 又、100万円支払った再に、原告は「もうこれでいいから」と言っていますから、400万円の債務免除の要件事実を主張しましょう。債務の免除は債権者の一方的意思表示による残金400万円の債務消滅行為ですから弁済とは別個の抗弁になります。この要件事実は519条「債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。」の文言から明らかですから書き易いでしょう。原告が免除の要件事実を後の準備書面で否定すると被告である貴方は立証しなければなりません。例えば、100万円の領収書の他に「残債務なし。支払い不要」などと書かれたものがあれば事前に証拠として提出する乙第2号証と表示して答弁書の文中に指摘しておけば裁判官にも分かり易いでしょう。このような書証がないと間接事実から債務免除を証明していかなければならず結構大変です。例えば、前にも免除してくれた事があったという事実、その後請求していない事実、100万円弁済後の会話内容、免除後に再度消費貸借があったという事実等有利と思う事情を主張立証する事になります。
6. 更に、万が一弁済、免除の抗弁が立証できなくても、500万円貸し付けてから10年経過していますから債権の消滅時効援用の要件事実を主張する必要があります。これも、新たな抗弁です。時効消滅の要件事実は、民法145条、166条、167条の解釈から500万円を請求できる時(返済期限があればその日から、返済期限がなければ契約日から数日経過後から暦に従い計算します。初日は算入しません。民法140条)から10年間経過しているという事実と時効を援用するという意思表示の事実です。援用の意思表示は答弁書に書いて陳述してもかまいません(陳述も法廷での意思表示です)。この証明は相手の訴状から明らかであり援用の意思表示をすれば立証が容易でしょう。抗弁は、弁論主義からいくつ主張してもかまいません。ただ、時効は、弁済、債務免除とは両立しませんし、弁済、債務免除が認められない場合に主張されている抗弁ですのでこれを予備的(仮定的)抗弁といいます。予備的抗弁として主張されても裁判所はその順序に拘束されません(例外は相殺の抗弁、原告に対する別の債権で相殺すること)。証拠の評価、事実認定、法規の解釈適用は裁判書の専権事項であり(司法権独占)認定の順序を当事者は指示できないからです。又、当事者の不公平にもなりません。相殺の抗弁だけは反対債権の存否に既判力があり(民訴114条2項)公平上他の抗弁を判断した上でなければ審理できません。
7. ただ、原告は、次の準備書面で時効援用の抗弁に対して時効は完成しても数年前に100万円返済しているので(弁済を認める)500万円の債務の承認であり時効は中断しているという主張が考えられます。147条3項は時効中断事由として「承認」とのみ規定していますが債権の消滅時効では債務者が債権の存在を認めることと解釈されますので100万円の一部弁済は500万円の存在を前提として認めたことになりますので承認に該当します。時効は中断しその時から新たに進行しますので10年経過前であれば時効は完成しないことになります。この様に抗弁を前提にして訴訟物を基礎づける新たな要件事実の主張を「再抗弁」といいます。再抗弁と否認との違いは、前者が抗弁と両立できる主張であり(時効完成と中断は両立するわけです)否認は両立できないところに特色があります。
8. 再抗弁を否認する事は出来ますが、答弁書で100万円の弁済を被告である貴方が既に主張していますから、債務の承認という再抗弁の点では原告が立証すべき要件事実を前もって認め自白している形になります。本来債務承認は原告が立証しなければならない事実でありますが、原告はこの事実を法廷で援用して準備書面にて主張すれば当事者に争いのない事実として裁判所は判決の基礎にしなければなりません。この被告の弁済の主張は、中断事由である債務承認という点からは先行自白という評価になります。但し、弁論主義から原告が100万円の返済を否認し援用しなければ再抗弁を裁判所が勝手に認定することは出来ません。私的自治の原則です。
9. 以上のように訴訟は、請求原因事実、請求原因事実に対する否認、不知、請求原因事実を認め抗弁、抗弁に対する否認、不知、抗弁を認めたうえで再抗弁の主張という展開で進行します。以上の要件事実が争われている時は証拠調べによる立証という事になります。
10. 要件事実の立証が出来ず真実かどうか不明であれば(真偽不明)、要件事実を主張する方がその不利益を負い裁判所は要件事実の認定をする事が出来ません。この様に相手方に否認された要件事実を証拠で立証する責任を挙証責任といいます。誰が要件事実の挙証責任を負うかという問題ですが、要件事実の認定により法的効果としてとして利益を受けるものが責任を負います。例えば、消費貸借は、原告貸主、弁済、免除、時効完成援用は、被告債務者、承認は原告債権者という事になります。訴訟は公平の理念により成り立っていますから私的自治の原則から当該法律の解釈により基礎付ける要件事実の主張立証により利益を受けるものがその責任を取るわけです。これを挙証責任の分配の原則といいます。詳しくは新銀座法律事務所ホームページ事例集NO704号をご参照ください。
【書式2 貸金返還請求事件 答弁書の書き方】
答弁書
平成20年3月25日
東京地方裁判所( 支部)民事 部
御中
原 告 中 央 太 郎
被 告 千 代 田 次 郎
上記当事者間の御庁平成20年(ワ)第1315号貸金等請求事件について被告は以下の通り答弁する。
被 告 千 代 田 次 郎 印
第1. 請 求 の 趣 旨に対する答弁
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
第2. 請求の原因に対する答弁
1. 請求原因第1について、500万円の金銭消費貸借の事実、催告状をうけ取ったことについては認める。その他は否認する。内容証明を受け取るまえに支払いの催告を受けていない。
2. 請求原因第2の事実については争う。
第3. 被告の主張
1. 100万円弁済の抗弁
2. 被告は、平成15年5月 20日500万円のうち100万円を原告の勤め先東京都銀座3-1-5日本物産の入り口まで持参して500万円の一部として弁済した。今仕事中で忙しいから後で領収書を送るというので学生時代からの友人で仕事仲間であり信用していたのでそのまま帰宅した。しかし、領収書は送ってきていない。
3. 100万円の返済のために当日、自分の預金通帳から引き出し持参した(乙1号証 預金通帳)。100万円の返済には自分の預金が不足していたので、母に手紙を書いて依頼して40万円は送金してもらった(乙1号証、預金通帳 乙2号証母への手紙)。
4. 400万円債務免除の抗弁
5. 被告が100万円を原告勤め先に持参し支払った時、当事失業中であり母から一部を借りてやっと100万円を用意したと説明したところ、原告は父が死亡し(乙3号証 原告の父の戸籍謄本)遺産が入ったので後の400万円はもう返済しなくていいと言ってくれた。これは債務の免除の意思表示である。400万円の請求はその後約5年間まったくなくなった。母にも債務がなくなったのでその旨の報告と40万円援助のお礼の手紙を書いた(乙4号証)。
6. 時効完成援用の抗弁。弁済、債務免除の抗弁が立証できなくても時効は完成しておりこれを援用する。
7. 500万円の消費貸借は期限の定めがなく時効の進行は契約成立の日平成9年11月15日から開始している。平成19年11月15日で、契約から10年(年の計算は初日不算入。民法140条)を経過しているので、本答弁書にて時効の援用をするので500万は時効消滅している。
立証方法
乙1号証 被告名義預金通帳
乙2号証の1,2 母親への手紙 封筒
乙3号証 原告父の戸籍謄本
乙4号証の1,2 母へのお礼の手紙 封筒
付属書類
答弁書副本 1通
各乙号証 の正、副本 各1通
答弁書の注釈
1. 答弁書とは訴状(上訴状)に対する認否、主張理由を記載した最初の準備書面です(民訴158条)。最初の口頭弁論では答弁書という書面で主張、理由を説明しなければなりません。争点を裁判所、当事者に整理、明らかにし(当事者が忘れないように)適性、公平迅速な解決を図るため口頭弁論の主張、立証は口頭でするのですが全て準備書面という書面を事前に(規則79条1項)提出しなければいけません(当日持って行っても勿論受けってくれます)。相手方が準備書面に対する反論を用意できるようにして迅速化を計るためです。被告に対して訴状等副本と一緒に送られてくる答弁書催告状では通常最初の口頭弁論の約2週間前までを提出期限としているようです。
2. 当事者の住所等は訴状に記載されていますから二重記載は不要ですし、事件を特定するために担当部、当事者と事件番号は必ず記載する必要があります。何千件の事件があるなかから特定するものであり事件番号は重要です。裁判所に電話して連絡、協議するときも民事の担当部、当事者と事件番号を必ず聞かれます。貸し金請求等地方裁判所通常訴訟事件は(ワ)号事件といいます。
3. 提出には期限がありますから日付も必要です。
4. 請求の趣旨に対する答弁は原告の請求を認諾する以外は書式のように記載します。原告の請求が正当だと思っていてもとりあえず請求棄却(及び訴訟費用負担)を求め答弁書を提出してください。というのは、請求を認諾すると欠席しても訴訟は認諾調書により終結となり、支払方法の延期、分割払いの協議の時間さえ作ってもらえない危険があるからです。請求の趣旨について棄却を求める答弁書を提出すれば、仮に請求原因事実について時間がなく弁護士に依頼するかどうか迷ったりして答弁しなくとも訴訟は終結しません。次回期日まで待ってくれます。民事訴訟法、規則の定めは厳しいですが、第一回目から理想通りには出来ませんし、争うという答弁書が提出されている限り国民の裁判を受ける権利を奪うようなことは出来ないからです。請求原因事実については追って答弁すると書いて提出しておけば仮に最初の口頭弁論に被告が欠席したとしても答弁書は陳述されたことになり(擬制陳述といいます)期日は続行されるのです(民訴158条)。裁判所に行かないのに最初から陳述を擬制することは訴訟審理における口頭弁論の大原則(民訴87条、161条) 訴訟における主張、立証は必ず口頭弁論でする必要がある)からおかしいですが、原告が仮に欠席し訴状を陳述しなければ理論上欠席による終結の裁判を行い再度事情により口頭弁論再開ということになりますが、これでは迅速性、訴訟経済性に反しますので訴状が提出されている以上一旦最初の口頭弁論に限り陳述を認めて訴訟を始めるというもので被告の場合も同じく扱っています。この制度により第2回の期日まで又数週間がありますから少なくとも和解等の話し合いは出来ることになります。例えば即金で払うから減額してほしいという話し合いは裁判外、第一回口頭弁論期日でも何時でも自由に出来ますので請求の認諾という被告の実質的敗訴の形をとることは被告に有利とはいえません。裁判所はどのような形でも実現可能であれば和解の申し出を歓迎します。訴訟はあくまで手段であり平穏な社会秩序の迅速な回復が当事者、裁判所の真の願いなのです。
5. 訴状の請求の原因に対する答弁は認めるか否認するか不知かはっきり記載することです。否認するには理由が大切です。単なる引き延ばしは裁判官の心証形成の原因となる弁論の全趣旨(民訴247条)に影響を及ぼしますから得策ではありません。
6. 被告の主張は、否認なのか、抗弁なのかをはっきりと明示して主張します。要件事実を証明する直接証拠(領収書、債務免除の記載ある書面)がない場合は、裁判官の心証形成を早期に形成するために間接事実を記載し間接事実を立証する証拠方法を具体的に指摘することが必要です。
7. 本件で言えば、100万円弁済の領収書がありませんから、間接事実である弁済当日の預金の引き出しを証明する証拠(通帳)、母から弁済資金を借り入れたのであればそれを証明する手紙などは間接証拠として提出する必要があります。債務免除も同様です。
8. 再抗弁である原告の時効中断事由である債務の承認は、原告が準備書面にて被告の100万円の弁済事実を援用するこおとにより主張が可能となります。
9. 証拠の提出方法は訴状で記載した場合と同様です。
10. 答弁書(準備書面)、書証の提出は、副本に本人に直接送付(直送)することによりおこなわれますが(規則83条、137条)、原告にFAXがあれば送信でも出来ます(規則47条1項)。裁判所に対しても同様です(規則3条。訴状等印紙を貼るような重要書類は出来ません)。わざわざ裁判所を通じて送付するよりも当事者同士直接送付しても適正な裁判に影響がなく迅速低廉な紛争解決に繋がるからです。裁判所に提出する正本は答弁書第1面余白に本人直送と記載して提出します。本人訴訟ですから裁判所に答弁書、証拠方法、正副本を提出し手裁判所から原告に送付してもらうことも出来ます(規則47条4項)。最初の口頭弁論期日に提出も可能です。
条文参照
民法
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(時効の中断事由)
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
(消滅時効の進行等)
第百六十六条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
(債権等の消滅時効)
第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
民事訴訟法
(口頭弁論の必要性)
第八十七条 当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
(既判力の範囲)
第百十四条 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
(自白の擬制)
第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
(口頭弁論調書)
第百六十条 裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。
(準備書面)
第百六十一条 口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
(証明することを要しない事実)
第百七十九条 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
(終局判決)
第二百四十三条 裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。
第二百四十四条 裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。
(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
(請求の放棄又は認諾)
第二百六十六条 請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
2 請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
(和解調書等の効力)
第二百六十七条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
民事訴訟規則
(裁判所に提出すべき書面のファクシミリによる提出)
第三条 裁判所に提出すべき書面は、次に掲げるものを除き、ファクシミリを利用して送信することにより提出することができる。
一 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面
二 その提出により訴訟手続の開始、続行、停止又は完結をさせる書面(前号に該当する書面を除く。)
三 法定代理権、訴訟行為をするのに必要な授権又は訴訟代理人の権限を証明する書面その他の訴訟手続上重要な事項を証明する書面
四 上告理由書、上告受理申立て理由書その他これらに準ずる理由書
2 ファクシミリを利用して書面が提出されたときは、裁判所が受信した時に、当該書面が裁判所に提出されたものとみなす。
3 裁判所は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、提出者に対し、送信に使用した書面を提出させることができる。
(書類の送付)
第四十七条 直送(当事者の相手方に対する直接の送付をいう。以下同じ。)その他の送付は、送付すべき書類の写しの交付又はその書類のファクシミリを利用しての送信によってする。
2 裁判所が当事者その他の関係人に対し送付すべき書類の送付に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
3 裁判所が当事者の提出に係る書類の相手方への送付をしなければならない場合(送達をしなければならない場合を除く。)において、当事者がその書類について直送をしたときは、その送付は、することを要しない。
4 当事者が直送をしなければならない書類について、直送を困難とする事由その他相当とする事由があるときは、当該当事者は、裁判所に対し、当該書類の相手方への送付(準備書面については、送達又は送付)を裁判所書記官に行わせるよう申し出ることができる。
(口頭弁論調書の形式的記載事項・法第百六十条)
第六十六条 口頭弁論の調書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事件の表示
二 裁判官及び裁判所書記官の氏名
三 立ち会った検察官の氏名
四 出頭した当事者、代理人、補佐人及び通訳人の氏名
五 弁論の日時及び場所
六 弁論を公開したこと又は公開しなかったときはその旨及びその理由
2 前項の調書には、裁判所書記官が記名押印し、裁判長が認印しなければならない。
3 前項の場合において、裁判長に支障があるときは、陪席裁判官がその事由を付記して認印しなければならない。裁判官に支障があるときは、裁判所書記官がその旨を記載すれば足りる。
(口頭弁論調書の実質的記載事項・法第百六十条)
第六十七条 口頭弁論の調書には、弁論の要領を記載し、特に、次に掲げる事項を明確にしなければならない。
一 訴えの取下げ、和解、請求の放棄及び認諾並びに自白
二 法第百四十七条の三(審理の計画)第一項の審理の計画が同項の規定により定められ、又は同条第四項の規定により変更されたときは、その定められ、又は変更された内容
三 証人、当事者本人及び鑑定人の陳述
四 証人、当事者本人及び鑑定人の宣誓の有無並びに証人及び鑑定人に宣誓をさせなかった理由
五 検証の結果
六 裁判長が記載を命じた事項及び当事者の請求により記載を許した事項
七 書面を作成しないでした裁判
八 裁判の言渡し
2 前項の規定にかかわらず、訴訟が裁判によらないで完結した場合には、裁判長の許可を得て、証人、当事者本人及び鑑定人の陳述並びに検証の結果の記載を省略することができる。ただし、当事者が訴訟の完結を知った日から一週間以内にその記載をすべき旨の申出をしたときは、この限りでない。
3 口頭弁論の調書には、弁論の要領のほか、当事者による攻撃又は防御の方法の提出の予定その他訴訟手続の進行に関する事項を記載することができる。
(準備書面・法第百六十一条)
第七十九条 答弁書その他の準備書面は、これに記載した事項について相手方が準備をするのに必要な期間をおいて、裁判所に提出しなければならない。
2 準備書面に事実についての主張を記載する場合には、できる限り、請求を理由づける事実、抗弁事実又は再抗弁事実についての主張とこれらに関連する事実についての主張とを区別して記載しなければならない。
3 準備書面において相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならない。
4 第二項に規定する場合には、立証を要する事由ごとに、証拠を記載しなければならない。
(答弁書)
第八十条 答弁書には、請求の趣旨に対する答弁を記載するほか、訴状に記載された事実に対する認否及び抗弁事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない。やむを得ない事由によりこれらを記載することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これらを記載した準備書面を提出しなければならない。
2 答弁書には、立証を要する事由につき、重要な書証の写しを添付しなければならない。やむを得ない事由により添付することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これを提出しなければならない。
3 第五十三条(訴状の記載事項)第四項の規定は、答弁書について準用する。
(準備書面の直送)
第八十三条 当事者は、準備書面について、第七十九条(準備書面)第一項の期間をおいて、直送をしなければならない。
2 前項の規定による準備書面の直送を受けた相手方は、当該準備書面を受領した旨を記載した書面について直送をするとともに、当該書面を裁判所に提出しなければならない。
3 前項の規定は、当事者が、受領した旨を相手方が記載した準備書面を裁判所に提出した場合には、適用しない。
第二節 準備書面等
(準備書面・法第百六十一条)
第七十九条 答弁書その他の準備書面は、これに記載した事項について相手方が準備をするのに必要な期間をおいて、裁判所に提出しなければならない。
2 準備書面に事実についての主張を記載する場合には、できる限り、請求を理由づける事実、抗弁事実又は再抗弁事実についての主張とこれらに関連する事実についての主張とを区別して記載しなければならない。
3 準備書面において相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならない。
4 第二項に規定する場合には、立証を要する事由ごとに、証拠を記載しなければならない。
(答弁書)
第八十条 答弁書には、請求の趣旨に対する答弁を記載するほか、訴状に記載された事実に対する認否及び抗弁事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない。やむを得ない事由によりこれらを記載することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これらを記載した準備書面を提出しなければならない。
2 答弁書には、立証を要する事由につき、重要な書証の写しを添付しなければならない。やむを得ない事由により添付することができない場合には、答弁書の提出後速やかに、これを提出しなければならない。
3 第五十三条(訴状の記載事項)第四項の規定は、答弁書について準用する。
(答弁に対する反論)
第八十一条 被告の答弁により反論を要することとなった場合には、原告は、速やかに、答弁書に記載された事実に対する認否及び再抗弁事実を具体的に記載し、かつ、立証を要することとなった事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載した準備書面を提出しなければならない。当該準備書面には、立証を要することとなった事由につき、重要な書証の写しを添付しなければならない。
(書証の申出等・法第二百十九条)
第百三十七条 文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。
2 前項の申出をする当事者は、相手方に送付すべき文書の写し及びその文書に係る証拠説明書について直送をすることができる。
条文参照
(共同訴訟の要件)
第三十八条 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。
(訴えの変更)
第百四十三条 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
(請求の放棄又は認諾)
第二百六十六条 請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
2 請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
(和解調書等の効力)
第二百六十七条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。