民事再生法について

 平成12年4月から施行になった会社再建処理に関する新法です。かつての和議法は同時に廃止されました。民事再生は、経営が苦しくなった経営者等が企業の再生を目指して、早めに裁判所に再生処理を申請できます。管財人が選任される会社更正法の手続きと異なり、民事再生法の手続きでは、申立時の経営者が会社再建をすることができます。なお、住宅ローンを除いた負債総額3000万円以下の個人事業者、給与所得者なら、平成13年4月から施行された個人民事再生手続を利用することができます。

 債務者にとっては、@経営者が自分自身の手で、A強制執行を一時停止した状態で、B債権者の過半数の同意で比較的容易に債権放棄を要求できるというメリットがあります。債権者にとっても、@全債権者に対して公平に、A債務者の経営を再建・継続する結果、B破産管財人が財産を処分して配当する場合よりも高額な弁済金を受け取ることができる、というメリットがあります。

民事再生の特徴
1)再生手続の申立の緩和(法21条)
支払不能となる前でも申立が可能となり、和議法に比べて、申立しやすくなりました。
2)強制執行等の包括的禁止命令(法27条)
全ての債権者に対して、債務者の財産への強制執行や仮差押、仮処分を禁じる決定を得ることができます。
3)担保権に基づく競売中止命令(法31条)
担保権者に対し、損害を与える恐れがない場合、期間を限定し競売の中止命令を出すことが可能です。
4)担保権の抹消許可(法148条以下)
再建するために必要な財産(店舗・営業所など)に抵当権等の担保権が設定されている場合、担保権者に財産の現在の実勢価格を一括で弁済することで強制的に担保権を消滅することができます。一括納付で担保権の登記は裁判所が抹消嘱託し、また、納付された金銭は競売手続と同様に配当されます。
5)再生計画確定の効力(法180条)
再生計画認可の決定が確定したときは、再生債権者表の記載に確定判決と同様の効力が与えられ、債務者(申立人)が再生計画通りに債務の弁済を履行しない場合には、債務者の財産に対し強制執行をすることが可能になります。
6)計画可決の要件の緩和(法171条)
再建計画の可決は、債権者集会出席債権者の過半数、かつ、総債権額の2分の1以上の同意で可能になりました。再建計画が否決された場合は、裁判所の判断で破産宣告が下されてしまいます。破産管財人が選任され、会社の精算手続きに移ります。

民事再生の申立てに要する費用
必要な費用は、裁判所に予納金として納める費用及び申立てを依頼する弁護士費用です。弁護士費用は、事業者は100万円以上、非事業者は30万円以上となっています。着手金及び報酬は弁護士と協議によって決定します。裁判所への予納金の以下の通りになっています。
5000万円未満       200万円
5000万円〜1億円未満   300万円
1億円〜10億円未満     500万円
10億円〜50億円未満    600万円
50億円〜100億円未満   700〜800万円
100億円〜250億円未満  900〜1000万円
250億円〜500億円未満  1000〜1100万円
500億円〜1000億円未満 1200〜1300万円
1000億円以上        1300万円以上

弁護士に依頼後の手続
まず弁護士は民事再生手続申立書の準備に着手します。支払が困難な事情、経緯、事業内容、従業員の構成、資産の状況、債権者の氏名、再生計画についての方針や希望等について資料に基づき弁護士に説明し協議しながら申立書を作成します。申立書ができると裁判所に予納金を納めて申立てをします。その際、申立てが認可されるまでの間、債権者の対応の為弁済禁止、財産処分禁止の仮処分の申立てができます。申立て後、監督委員(弁護士)が選任されます。しかし、経営の交代は行われませんので債務者が申立人代理人とともに経営することができます。しかし、監督委員が債務者の行動が不適切を判断した場合は、裁判所が管財人を選任することになります。裁判所は監督委員の意見書をもとに、民事再生手続の開始を決定します。申立から開始決定まで約1〜2月かかります。

その後の手続は、概略すると債権調査、再生計画の提出、債権者による再生計画の承諾、裁判所の再生計画の認可、再生計画の履行ということになります。

トップページへ