お金を請求する時、請求された時、債権回収 令和2年6月19日更新
1)金銭の支払いを求める場合、裁判所の「支払督促」という手続きを利用すれば、簡単に強制執行を求めることができます。この手続きは、書類審査だけで裁判所に出頭する必要がないので、借用証書などの証拠書類が残っている場合には好適な手段といえます。債権回収は、@勝訴判決・公正証書・調停調書・和解調書・仮執行宣言付支払督促など、強制執行できる書類(債務名義といいます)を用意して、A相手の財産(不動産、給料、預貯金、売掛債権)を差し押さえて強制執行して、支払いを得る方法で行います。請求相手に財産隠しされそうな場合は、あらかじめ仮差押をしてから、債務名義を取ります。
当事務所では、債権回収事件の弁護士費用と、回収見込みについての当事務所の意見を無料にて回答しております。御希望の場合は、@ご相談者様の御名前、Aご相談者様の電話番号、B債権の種類および債権額、C債務者名、D債務者住所、E債権回収について従前の経緯を、webmaster@shinginza.com までお知らせ下さい。法令調査および検討のうえ、当事務所の見解を無料にて御回答致しております。03-3248-5791電話無料法律相談で受け付けすることも出来ます。
2)債権の消滅時効をご存知ですか?一定期間、請求も支払いもない場合には債権自体を消滅させて後の争いを回避しようという制度です。時効期間は原則として、債権を請求出来るときから10年又は行使できることを知った時から5年です。消滅時効を主張する場合には、債務の存在を認める発言をしないでください。「待ってください、後で必ず支払います」というような支払猶予を求める発言も厳禁です。
3)弁護士が代理人となる場合は、内容証明郵便で時効援用という手続きを取り、債権額の数パーセント程度の和解金を支払って、債務不存在を確認する合意書を債権者との間で取り交わします。
4)インターネットアダルトサイトの業者や取り立て業者から、延滞料込みで数十万円程度の請求をされる被害が急増しています。対策は、@恐喝罪・詐欺罪で刑事告訴する、A損害金は支払義務の有無に疑問があるので訴訟で請求するよう求める、B1年の消滅時効を主張して時効援用の手続きをとる、C取り立て業者が報酬を得て債権譲渡を受けて取り立てをする行為は弁護士法73条に違反するので刑事告訴することができる、D弁護士に代理人対応を依頼することもできます。
5)債権回収する強制執行の対象となる財産が分からない場合は、民事執行法205〜207条の「債務者の財産に係る情報の取得に関する手続」いわゆる財産開示手続により財産の特定ができる場合があります。詳しくはこちらのページを参照下さい。
※参考条文
民法166条(債権等の消滅時効)
第1項 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一号 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二号 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2項 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3項 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
民法167条(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。
民法168条(定期金債権の消滅時効)
第1項 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一号 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から十年間行使しないとき。
二号 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。
2項 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。
民法169条(判決で確定した権利の消滅時効)
1項 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
2項 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
民事執行法205条(債務者の不動産に係る情報の取得)
1項 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、それぞれ当該各号に定める者の申立てにより、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるものに対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるものについて情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、第一号に掲げる場合において、同号に規定する執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 第百九十七条第一項各号のいずれかに該当する場合
執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者
二 第百九十七条第二項各号のいずれかに該当する場合
債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
2項 前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第二百条第一項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から三年以内に限り、することができる。
3項 第一項の申立てを認容する決定がされたときは、当該決定(同項第二号に掲げる場合にあつては、当該決定及び同号に規定する文書の写し)を債務者に送達しなければならない。
4項 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5項 第一項の申立てを認容する決定は、確定しなければその効力を生じない。
206条(債務者の給与債権に係る情報の取得)
1項 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 市町村(特別区を含む。以下この号において同じ。)
債務者が支払を受ける地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百十七条の二第一項ただし書に規定する給与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(当該市町村が債務者の市町村民税(特別区民税を含む。)に係る事務に関して知り得たものに限る。)
二 日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団
債務者(厚生年金保険の被保険者であるものに限る。以下この号において同じ。)が支払を受ける厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三条第一項第三号に規定する報酬又は同項第四号に規定する賞与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(情報の提供を命じられた者が債務者の厚生年金保険に係る事務に関して知り得たものに限る。)
2項 前条第二項から第五項までの規定は、前項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。
207条(債務者の預貯金債権等に係る情報の取得)
1項 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 銀行等(銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、信用協同組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫又は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構をいう。以下この号において同じ。)
債務者の当該銀行等に対する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。)に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの
二 振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律第二条第五項に規定する振替機関等をいう。以下この号において同じ。)
債務者の有する振替社債等(同法第二百七十九条に規定する振替社債等であつて、当該振替機関等の備える振替口座簿における債務者の口座に記載され、又は記録されたものに限る。)に関する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの
2項 執行裁判所は、第百九十七条第二項各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、前項各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。
3項 前二項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
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