(歯科)医師の再免許について (最終更新日平成23年8月18日)
1、(歯科)医師法第7条2項の規定により(歯科)医師免許取消処分を受けた場合でも、同3項により、厚生労働大臣の裁量により、医道審議会の答申を受けて、再免許の申請をすることができます。必要な条件は、「刑の消滅」と「処分後5年の経過」です。同3項の「その者がその取消の理由となった事項に該当しなくなったとき」という部分が「刑の消滅」と解釈されています。勿論、悔悛の情が顕著である事を確認できる資料の提出が必要です。
(歯科)医師法7条3項 前2項の規定による取消処分を受けた者(第4条第3号若しくは第4号に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して5年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第6条第1項及び第2項の規定を準用する。
2、「刑の消滅」は、刑法27条及び34条の2で、有罪判決言い渡しの効力が消滅することです。執行猶予期間の満了か、実刑判決の場合は刑期満了から10年です。
刑法27条(猶予期間経過の効果)刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
刑法34条の2(刑の消滅)禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも、同様とする。
2項 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
3、医師の再免許の規定は、医師法の精神に則り、国民全体の公衆衛生及び保健の向上を目的として運用されておりますが、平成21年時点では「医師及び歯科医師の再免許」は、極めて抑制的な運用が行われています。平成17年12月の「医師等の行政処分のあり方等に関する検討会報告書」によれば、昭和46年から平成17年まで再免許申請は21件行われましたが認められたのは6件であり、平成8年から平成17年までは再免許は認められていませんでした。平成19年9月の医道審議会で、再免許が1件認められましたが、これは平成14年に免許取消となった犯人蔵匿・隠避の事案でした。今後も引き続き慎重な対応が続くと思われますが、平成20年2月以降、「強制わいせつ事案」でも免許取消を回避している事例がありますので、これらの件との均衡上、懲役2年以内執行猶予3年以内の事案や、一部のわいせつ事案でも再免許の可能性が考えられると思います。殺人罪や、患者に対するワイセツ事案を除いた取消事案の場合は、一度弁護士の相談を受けてみると良いでしょう。再免許の申請をする場合は、処分後の事情も斟酌されますから、5年間の過ごし方も重要だと思います。例えば、歯科助手や看護助手として働きながら、出身大学の聴講生として教授の指導を受け、勤務先の医師や歯科医師と出身大学の指導教授から意見書の提出を受けるなどの方法が考えられます。
参考条文=医師法1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
医師法第7条 医師が、第三条に該当するときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。
2項 医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の医業の停止
三 免許の取消し
3項 前2項の規定による取消処分を受けた者(第四条第三号若しくは第四号に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第六条第一項及び第二項の規定を準用する。
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