不動産競売申立(最終改訂平成16年3月31日)

 担保不動産から債権を回収するための手段として、不動産競売申立(民事執行法43条)という法的手段があります。他に任意売却という手段もあり、こちらの方がより高額かつ迅速に債権回収が可能ですので、不動産競売を申立をする場合には、さまざまな要素を考慮しつつ、競売申立が最善の策か否かを検討する必要があります。競売申立を行ってもまったく配当が期待できない場合や、何度売却に付されても落札されず(買い手が見つからず)、流れてしまい、手続が取消される恐れもあります。その為に以下の判断材料を検討してから申立に入ることが賢明です。(競売物件取得のページはこちら)

1、第一順位の抵当権者に優先する権利を調べる。
  第一順位の抵当権設定登記の受付日以前に入居した賃借人には退去を要求できません。
  第一順位の抵当権設定登記の受付日以前に所有権移転仮登記が入っているときは、競売で仮登記を消せません。
  第一順位の抵当権設定当時の所有権が抹消請求訴訟を起こされて予告登記が入っている場合があります。

2、執行裁判所に問い合わせなどして不動産競売事件の落札までに要する時間を予測する。(東京地裁の場合約1年)

3、担保不動産の現況を確認する。

4、地価動向を調査し、路線価表、固定資産評価額、地元不動産業者からの聞きとりなどから、地価相場を推測する。

5、地価相場の70%前後が落札価格と推定する。

6、担保物権の現況から、法定地上権、留置権など落札後の権利関係を予想して、最低売却価格を予想する。

7、優先する債権者の債権額を推定し、競売による回収可能性を判断する。

 抵当権者に明渡請求権

 第三者による不法占拠によって競売進行が害され、売却価格が下落する恐れがある等の場合には、抵当権者は不法占拠者に対し所有権者の有する妨害排除請求権を代位行使できるとした判決がでました(最判平成11年11月24日)。
 また、この判決は、抵当権者が所有者の権利を代位行使して、直接抵当権者への明け渡しを求めることも認めました。これにより、暴力団やいわゆる「占有屋」などによる競売妨害を打破することができ、不動産競売による入札額にも公平かつ適正なものにできる場合があります。

 不動産競売申立に必要な書類

1、当該競売不動産の登記簿謄本
2、当該競売不動産の公課証明書
3、競売対象不動産が土地の場合には、その上に建っている不動産登記簿謄本
  競売対象不動産が建物の場合には、それが建ってある土地の登記簿謄本
4、債権者、債務者、所有者が法人の場合には、その者の資格証明書ないし商業登記簿謄本
5、申立を債権者代表取締役以外の名義で行う場合には、その者に対する委任状
6、公図、建物所在地の写し
7、債務者住民票の写し、その他その住所を証するに足りる文書
8、不動産の所在地に至るまでの通常の経路及び方法を記載した文書
9、申立債権者が不動産の現況の調査または評価をした場合において当該調査の結果または評価を記載した文書

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