発起人(ほっきにん)(最終改訂、平成25年9月5日)

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発起人とは、新しく会社を設立する際に作成される会社の定款に署名または記名押印した人をいいます。つまり、会社法上、発起人としての地位は、会社の設立に関与して、その事務手続きに実際に携わったか否かは関係なく、定款への署名または記名押印をしたことをのみをもって発起人となるとされているのです(会社法26条)。設立時の株主が全員発起人となっているのが、発起設立という設立方法で、発起人以外の株主も募集するのが、募集設立という設立方法になります。発起人と、登記簿に記載される設立時取締役は、別々の概念ですが、発起人がそのまま設立時取締役を務める事例が多くなっています。

※なお、公証役場での定款認証を第三者に委任する場合には、定款および委任状には発起人の実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

 なお、募集設立の場合には、発起人として定款に署名または記名押印していなくても、発起人のように当該会社の設立に際して株式引受人の募集の際の書面等に自分の名前を記載したり、記載することを承諾している場合には、発起人とみなされ、発起人と同様の責任を負うとされています(法103条)。

 商法時代には、発起人は7人以上必要とされたこともありましたが、現在では発起人は一人でよく、法人あるいは制限行為能力者であってもなることができます。ただし、発起人は当該会社の設立に際して、当該会社の株式を1株以上引き受けることが必要となります(法25条2項)。

 発起人に関して注意を要するのが、「会社設立詐欺、出資詐欺」の被害事件です。設立中の会社の発起人から「会社を設立するから出資しないか?」という誘い文句を受けて、数百万円の出資をしたが、結局会社は設立されず、お金も戻ってこないという事例があります。会社に対して出資をするということは、会社の株式や持分を購入するということになりますが、基本的に、一般市民の方が会社の株式や持分を購入すべき対象は、東京証券取引所などに上場されている「上場企業」に限るのが原則と言えます。

※会社法
(定款の作成)
第二十六条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

(発起人の責任等)
第百三条 第五十七条第一項の募集をした場合における第五十二条第二項の規定の適用については、同項中「次に」とあるのは、「第一号に」とする。
2 第五十七条第一項の募集をした場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節及び前項の規定を適用する。

第二十五条(略)
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。


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