遺産分割(いさんぶんかつ)(最終改訂、平成21年6月30日)

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 遺産分割とは、相続人間で、相続財産を具体的にどのように分けるのか決める事です。裁判外で「遺産分割協議書」を作成して、不動産の登記や、銀行預金の引き下ろしをしたりすることもできます。特定の相続人が相続財産を独り占めしているなど、相続人間での話し合いがスムーズに行かない場合は、弁護士などの代理人を入れて交渉を行ったり、家庭裁判所に遺産分割調停(家事審判法9条1項乙類10号、同18条)を申し立てることもできます。調停でも話し合いがうまく行かないときは、裁判所が「審判」で強制的に分割方法を決めることができます。

第906条(遺産の分割の基準)遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

第907条(遺産の分割の協議又は審判等)共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2項  遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3項  前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

 相続人のひとりが相続財産を独り占めしている場合、自己の相続分にもとづいて相続回復請求権(民法884条)を行使できますが、この権利の消滅時効(5年及び20年)に関して重要な判例がありますので、御紹介します。これによると、20年以上経過している事案でも、場合によっては請求できることがわかります。

民法884条(相続回復請求権)相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。

昭和53年12月20日最高裁判例「共同相続人のうちの一人若しくは数人が、他に共同相続人がいること、ひいて相続財産のうちその一人若しくは数人の本来の持分をこえる部分が他の共同相続人の持分に属するものであることを知りながらその部分もまた自己の持分に属するものであると称し、又はその部分についてその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事由(たとえば、戸籍上はその者が唯一の相続人であり、かつ、他人の戸籍に記載された共同相続人のいることが分明でないことなど)があるわけではないにもかかわらずその部分もまた自己の持分に属するものであると称し、これを占有管理している場合は、もともと相続回復請求制度の適用が予定されている場合にはあたらず、したがつて、その一人又は数人は右のように相続権を侵害されている他の共同相続人からの侵害の排除の請求に対し相続回復請求権の時効を援用してこれを拒むことができるものではない」

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