口約束(最終改訂、令和2年10月6日)

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 口約束とは、契約書や借用書などの書類を残さずに約束した契約を意味します。本邦の民法典は、諾成契約主義を採用していますので、口約束でも法律的に有効に契約が成立します。2020年4月施行の改正民法でも基本的に諾成主義が踏襲されています(民法522条2項)。

民法第522条(契約の成立と方式)
1項 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

民法第91条(任意規定と異なる意思表示)法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

民法第97条(意思表示の効力発生時期等)
1項 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2項 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3項 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

但し、口約束による贈与契約は、実際に贈与を受ける前は取り消しされてしまう可能性があります。また、例外的に、保証人を引き受ける契約は、口約束では成立しません。

第550条(書面によらない贈与の解除)書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

第446条(保証人の責任等)
1項 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2項 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3項 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

民法典に規定された諾成主義の例外は、民法151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)、民法446条(保証契約)、民法472条の4(免責的債務引受)、民法548条の3(定型取引約款)、民法587条の2(書面でする消費貸借)、民法593条の2(書面による使用貸借)、民法657条の2(書面による寄託)、などがあります。

口約束でも契約は有効ですが、相手がその約束を認めない場合に、裁判上の請求をするためには、原告側が口約束の存在を立証しなければなりません。メールでも、録音テープでも、第三者の証人でも、銀行の取引履歴でも、何らかの証拠が必要です。契約書や借用書などの直接的な証拠が存在しない事案となりますので、一般に困難な事案となります。弁護士に相談することをお勧めいたします。


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