接見禁止(最終改訂、平成24年10月5日)

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接見禁止とは、裁判所の勾留決定時の決定で、親族であっても、被疑者との面会を制限されてしまった状態を意味します。弁護士以外は基本的に面会できない状態です。根拠規定は刑事訴訟法81条です。接見禁止決定が出ていても、弁護士はいつでも(早朝でも、夜間でも)面会できます。憲法上認められている適正手続や、弁護人依頼権、不利益供述強要禁止などを実質的に保障していく必要があるからです(日本国憲法31条、37条3項、38条1項)。

刑事訴訟法81条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者(=弁護士)以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
日本国憲法31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
日本国憲法37条3項 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
日本国憲法38条1項 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

1、ある犯罪行為をしたということで警察に逮捕された場合、被疑者は、弁護人や弁護人となろうとする者との面会はできますが、それ以外の人とは面会できません。刑事訴訟法209条が勾留被疑者の接見を認めた80条を準用していないことから、そのように解釈・運用されています。逮捕された被疑者は48時間(丸2日間)以内に検察官に送致され、72時間(丸3日間)以内に、検察官により、釈放されるか、または、勾留請求されることになります(刑事訴訟法205条2項)。

2、裁判所により勾留決定されると、検察官は10日以内に、釈放するか、または起訴しなければなりませんが、やむをえない事由があるときは勾留延長を請求することができ、最大で10日間延長されます。つまり、勾留による身柄拘束は最長20日間になります(刑事訴訟法208条1項、2項)。逮捕時から通算すると、起訴されるまで、最長23日間の身柄拘束となります。

3、勾留された被疑者は、原則として、弁護士以外の者、家族や友人知人も含めて、面会することができますが、事案の内容によっては、勾留時の裁判所の決定で、接見が制限されることがあります(刑事訴訟法81条)。なお、接見禁止が付かなくても弁護士以外の人は土曜、日曜と祭日は全日、平日でも午前9時頃から午後4時頃までしか会えませんし、差し入れについては制限されていますから注意して下さい。

刑事訴訟法80条 勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者(=弁護士)以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。

4、このような接見禁止決定は、原則として被疑者に「逃亡しまたは罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」(同条項)に限られるべきものなのですが、近時は、否認事件や共犯者等の関係者が多数いる場合などに付される傾向にあり、接見禁止が付される割合も以前に比べ増加しているようです。

5、接見禁止決定が付された場合,本人と連絡をとるためには,本人やご親族等が当番弁護士の派遣を弁護士会に要請して,その担当弁護士から本人からの伝言を聞くか(但し,当番弁護士は,通常,1回の接見しか行いません。),本人やご親族等の関係者が,私選で弁護士にその事件の弁護人となることを依頼し,その弁護人に連絡行為をお願いすることにより,間接的にはなりますが実現することができます。

5、そして,この接見禁止は,事件が起訴される場合には,通常,起訴された段階,つまり勾留期間満期に解除されるものなのですが,否認事件などでは,第1回公判期日まで,場合によっては第1回公判期日以降も,例外的ではありますが解除されないこともあります。

6、かかる接見禁止を早期に解除するには,接見禁止解除請求や接見禁止決定に対する準抗告の申立を行うという方法があり,最終的には裁判所の判断になりますが,これらの申立が受け入れられ,接見禁止の部分的又は全面的な解除が認められることがあります。

7、もっとも,かかる手続を行うには,逃亡又は証拠隠滅のおそれがないことなどを裁判所に対して説得的に主張する必要がありますので,できれば,弁護士に弁護人就任を依頼した上で,本人との面会を早期に実現するため,これらの手続を行うことも依頼するとよろしいでしょう。弁護士は、依頼があれば速やかに接見に行き、事情を聞いて依頼者に法律的な説明をすることになります。その場合、証拠の隠滅等違法な行為についてはたとえ被疑者が連絡を希望してもできないことは勿論ですが、それ以外の必要事項については連絡事項等について制限はありません。いずれにしろ、接見禁止で様子が分からないので困っているということであれば、弁護士に相談されるのがよいでしょう。


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