原本・謄本・抄本・正本・副本・写し(最終改訂、平成23年8月18日)

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(1)「原本」とは、ある一定の事項について最初に作成された文書のことをいいます。原本は唯一無二の文書です。例えば、実際に行われた契約書そのものをいいます。全ての書類作成の基本になる文書です。

(2)「謄本」とは、原本の内容の「全部(記号や符号を含む)」を完全に写したもので、これに公証権限のある公務員が原本の全部と同一である旨を記載した書面です。登記簿謄本(登記事項全部証明書)や戸籍謄本、住民票全部の写しなどがあります。官公署が作成した謄本には、担当官による「この謄本は、○○の原本と相違ない事を認証する」という認証文書と職印が押印されることになります。
 なお、戸籍や住民基本台帳や不動産登記簿などのコンピューター化に伴って、紙で管理されていた時代の「謄本」から、名称が「記載事項証明書」に変更になっている場合がありますのでご注意下さい。この証明書の文末には「○○に記録されている事項の全部を証明した書面である。」という証明文書と職印が押印されることになります。この場合、役所で「謄本を下さい」と依頼しても、「記載事項証明書」が交付されることになります。法律事務所等の実務上も、「謄本」と呼んでも「記載事項証明書」のことを意味することもありますのでご注意下さい。例えば、「戸籍謄本」と「戸籍全部事項証明書」とは、法的効力としては同じ意味になります。

(3)「抄本」とは、原本の内容の「一部」を写したもので、公証権限のある公務員が原本の一部と同一である旨を記載したものです。登記簿抄本(登記事項一部証明書)や戸籍抄本、住民票の一部の写しがこれにあたります。コンピューター化された記録については、「一部事項証明書」という名称で呼ばれることもありますので、ご注意下さい。

(4)「正本」とは、@謄本の一種ですが、原本と同様の効力を持たせるため公証権限のある者が法定の場合に作成します。判決正本がこれにあたります。判決正本は、原本と同様の効力を持ちながら、謄本ですので何通でも作成できます。原本が紛失すると大変なので、権限者が原本と同じ効力をもつ書面を作成し、強制執行等に利用します。判決の原本は、裁判所の保管庫に厳重に管理されています。
A単に原本の写しという意味もあり、裁判所に提出する訴状や証拠などがこれにあたります。訴訟においては、訴状や証拠の原本は手元に置き、その写しである正本を裁判所に提出します。例えば、証拠の原本(契約書等)は、当事者の大切な資料ですから、裁判所に提出し預けることはできません。

(5)「副本」とは、原本の写しですが、特に「正本の写し」を指します。訴訟を提起する際に相手方(被告)に提出する書類は裁判所に提出する「正本」に対して、「副本」とよばれます。訴訟進行を円滑にするために利用されます。

(6)「写し」とは、一般にはコピーで作成されたものを指します。但し、住民票の場合には、認証のついている文書(謄本)を「住民票の写し」と呼ぶこともありますので、注意が必要です。

法の支配と民事訴訟実務入門【総論17、判決の言い渡し、勝訴判決後の手続き、判決原本、 正本 、謄本。】もご参照下さい。

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