道路用地の買収問題(最終更新平成25年6月29日)
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道路用地の買収の提案を受けた場合どのように対応すべきでしょうか。営業補償を受けることはできないのでしょうか。
概要:
1、公共用地の買収について考える場合は、憲法29条3項の相当補償説を理解する必要があります。私有財産を公共目的のために用いる場合は、憲法29条3項で「正当な補償」が必要であると規定されていますが、この「正当な補償」とは、「合理的に算出された相当額の補償」を求めることができることを指していると解釈されています。
2、この「合理的に算出された相当額の補償」というのは、必ずしも市場価格と一致することを要しないものと解釈されていますが、土地収用法で道路用地などを個別に収用する場合は、完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をなすべきであると解釈されています。
3、道路用地買収事案について、土地収用法88条では、「土地補償、残地補償、工事費用補償、移転料補償、物件の補償、原状回復困難な使用の補償のほか、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。」と規定されています。
4、そして、政令では、「土地収用法第88条の2の細目等を定める政令」と「国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準」で営業損害の補償基準が定められています。最初の交渉段階で「営業補償はしない」という回答だった場合でも、弁護士とともに、これらの法令を根拠に粘り強く交渉することにより、営業補償も受けられる可能性があります。
解説:
1、(私有財産制と財産の公共利用の意義 相当補償説の判例について)
憲法29条1項は、「財産権は、これを侵してはならない。」とする一方、3項で、「私有財産は、正当な補償の下にこれを公共のために用いることができる。」としています。これは、憲法が私有財産制度、個人の財産権を保障しつつも一定の場合には公共の福祉のためこれを制限できることを表しています。この場合、財産権保障を全うし、また特定の者にだけ不利益を与えることを避ける(平等主義:憲法14条)ため、財産権上特別の犠牲を課される者には補償が与えられることになっています。
そして、ここでいう「特別の犠牲」にあたるかは、侵害行為が広く一般人を対象とするものか、特定の個人ないし集団にとどまるものか(形式的要件)、侵害行為が財産権に内在する制約として受任限度内といえるか、それを超えて財産権の本質的内容を侵すほど強度なものであるか(実質的要件)という2点を検討して判断するものと考えられています。
日本における私法制度の基本は、私有財産制(所有権絶対の原則)と私的自治の原則により構成されていますから、補償をしたからといって、私的所有権を侵害することは許されないようにも考えられます。しかし、本来、私有財産制は、歴史的にも(1789年フランス人権宣言においては神聖不可侵の権利、1776年バージニア権利章典では生来の権利)自由主義、個人主義を理論的背景とするものであり、その理想は、公正、公平な社会秩序建設を目的として、採用された制度ですから、その制度に内在する制約として、信義則、権利濫用禁止の原則が存在し、公共の利益のためには権利行使につき制限を受ける運命をもつものです。憲法12条、民法1条はこれを明言しています。唯、この制約は所有権絶対の原則の例外的なものですから、所有権の制限には、厳格な要件が求められ、法令の解釈も行われることになります。
従って、制限が認められたとしても、その財産的補償は制限によるすべての損失が認められるべきでしょう。
公共用地の買収について考える場合は、憲法29条3項の相当補償説を理解する必要があります。現行憲法では、基本的人権の保障と私有財産制の保障が認められていますが、道路や港湾などインフラ整備のために、どうしても私有地を供用してもらう必要がある場合があり、憲法29条3項で「正当な補償の下に」私有財産の公共利用を認めています。
憲法29条1項は、「財産権は、これを侵してはならない。」と規定している一方、3項では「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と規定しており、一見すると相互に矛盾しているように読めるかもしれませんが、私有財産制が認められている社会においても、全く道路や交通施設が存在しない社会というものは考えることができません。人が集まり、生活していく以上、公共施設は必要不可欠のものだからです。
裁判所は、この「正当な補償」について、相当補償説を採用しています。
昭和28年12月23日農地買収に対する不服申立上告事件判決
「憲法二九条三項にいうところの財産権を公共の用に供する場合の正当な補償とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基き、合理的に算出された相当な額をいうのであつて、必しも常にかかる価格と完全に一致することを要するものでないと解するを相当とする。けだし財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律で定められるのを本質とするから(憲法二九条二項)、公共の福祉を増進し又は維持するため必要ある場合は、財産権の使用収益又は処分の権利にある制限を受けることがあり、また財産権の価格についても特定の制限を受けることがあつて、その自由な取引による価格の成立を認められないこともあるからである。」
この判例は、自作農創設特別措置法で農地買収計画による対価が、田についてはその賃貸価格(1年分の地代)の40倍、畑についてはその賃貸価格の48倍を越えてはならないという趣旨が定められていることに対して、買収される地主が提訴したものですが、農業生産力の維持増進を図るため耕作者の地位安定を図り全国的に自作農を創出させるという国の政策のもとに農地所有権が変容しているという特殊性が重視され、必ずしも自由取引により形成された価格と完全に一致することを要せず「合理的に算出された相当な額」の補償があれば、憲法29条3項の「正当な補償」に違反しないと判断したものです。この事件では、第二次大戦後の国土荒廃からの復興の為に全国的に農業生産力の維持発展が必要だったという特殊事情がありますが、社会全体の要請が大きい政策を実行する時は、公共用地の補償額が一部制限されうることを示しています。
2、( 補償の程度 完全補償の原則 収用法71条)
他方、土地収用法に関して裁判所は、完全な補償が必要であるとの考え方を示しています。所有権の絶対、私有財産制の沿革からしても完全補償説が原則と考えられます。
最高裁判所昭和48年10月18日判決
「おもうに、土地収用法における損失の補償は、特定の公益上必要な事業のために土地が収用される場合、その収用によつて当該土地の所有者等が被る特別な犠牲の回復をはかることを目的とするものであるから、完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をなすべきであり、金銭をもつて補償する場合には、被収用者が近傍において被収用地と同等の代替地等を取得することをうるに足りる金額の補償を要するものというべく、土地収用法七二条(昭和四二年法律第七四号による改正前のもの。以下同じ。)は右のような趣旨を明らかにした規定と解すべきである。」
この判例で言及している昭和42年改正前の土地収用法72条は次のような規定でした。
土地収用法(昭和42年改正前規定)
第72条(土地の収用の損失補償)収用する土地に対しては、近傍類地の取引価格等を考慮して、相当な価格をもつて補償しなければならない。
対応する現行規定は、次の通りです。
土地収用法(現行規定)
第71条(土地等に対する補償金の額)収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。
この判例では、土地収用法における公共用地の収用が、道路工事や河川工事や砂防工事や運河工事など、特定の場所における個別の不動産を収用するものであって、農地改革の様に全国的に土地の利用関係を変更するものではなく、個別不動産に対して「特別の犠牲」を求める手続だから、原則として、完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償が必要であるという考え方に立っています。この理屈は現行の土地収用法71条についても当てはまるものと考えることができます。
3、(補償の具体的内容、土地収用法88条の内容)
道路用地買収事案について、土地収用法88条では、「土地補償、残地補償、工事費用補償、移転料補償、物件の補償、原状回復困難な使用の補償のほか、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。」と規定されています。
土地補償とは、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額の補償をするものです(土地収用法71条)。
残地補償とは、同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することによって、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずる時に、その損失を補償するものです(土地収用法74条)。
工事費用補償とは、同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することによって、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償するものです(土地収用法75条)。
移転料補償とは、収用し、又は使用する土地に物件があるときは、その物件の移転料を補償して、これを移転させなければならないとするものです(土地収用法77条)。この場合、物件が分割されることとなり、その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その所有者は、その物件の全部の移転料を請求することができます(同条)。
物件の補償とは、収用し、又は使用する土地の物件であって、物件を移転することが著しく困難であるとき、又は物件を移転することに因つて従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときに、近傍同種の物件の取引価格等を考慮して、相当な価格をもつて補償されるものです(土地収用法78条、79条、80条)。
原状回復困難な使用の補償とは、土地を使用する場合において、使用の方法が土地の形質を変更し、当該土地を原状に復することを困難にするものであるときに、これによつて生ずる損失をも補償されるものです(土地収用法80条の2)。
また、営業上の損害が発生する場合にも、これを補償すべきことが土地収用法88条で規定されていますから、国道事務所の担当者の「路線価で拡幅部分の土地を買い取るだけであり、営業補償はしない」という補償の説明は、やや正確性を欠いていると言わざるを得ません。
4、(営業損害の補償についての基準 営業廃止に伴う補償)
営業損害の補償について、政令では、「土地収用法第88条の2の細目等を定める政令」と「国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準」で営業損害の補償基準が定められています。
土地収用法第88条の2の細目等を定める政令
第20条(営業の廃止に伴う損失の補償) 土地等の収用又は使用に伴い、営業(農業及び漁業を含む。以下同じ。)の継続が通常不能となるものと認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
一 独立した資産として取引される慣習のある営業の権利その他の営業に関する無形の資産については、その正常な取引価格
二 機械器具、農具、漁具、商品、仕掛品等の売却損その他資産に関して通常生ずる損失額
三 従業員を解雇するため必要となる解雇予告手当(労働基準法(昭和22年法律第49号)第20条の規定により使用者が支払うべき平均賃金をいう。)相当額、転業が相当であり、かつ、従業員を継続して雇用する必要があるものと認められる場合における転業に通常必要とする期間中の休業手当(同法第26条の規定により使用者が支払うべき手当をいう。次条第1項第1号において同じ。)相当額その他労働に関して通常生ずる損失額
四 転業に通常必要とする期間中の従前の収益(個人営業の場合においては、従前の所得。次条において同じ。)相当額
国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準
第47条(営業廃止の補償)
土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業の継続が不能となると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 免許を受けた営業等の営業の権利等が資産とは独立に取引される慣習があるものについては、その正常な取引価格
二 機械器具等の資産、商品、仕掛品等の売却損その他資本に関して通常生ずる損失額
三 従業員を解雇するため必要となる解雇予告手当相当額、転業が相当と認められる場合において従業員を継続して雇用する必要があるときにおける転業に通常必要とする期間中の休業手当相当額その他労働に関して通常生ずる損失額
四 転業に通常必要とする期間中の従前の収益相当額(個人営業の場合においては、従前の所得相当額)
国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準の運用方針
第32 基準第47条(営業廃止の補償)は、次により処理する。
6 同条第1項第4号に規定する転業に通常必要とする期間中の従前の収益相当額(個人営業の場合においては所得相当額)は、営業地の地理的条件、営業の内容、被補償者の個人的事情等を考慮して、従来の営業収益(又は営業所得)の2年(被補償者が高齢であること等により円滑な転業が特に困難と認められる場合においては3年)分の範囲内で適正に定めた額とする。この場合において法人営業における従前の収益相当額及び個人営業における従前の所得相当額は、売上高から必要経費を控除した額とし、個人営業の場合には必要経費中に自家労働の評価額を含まないものとする。
このように、営業廃止となってしまう場合には、(1)営業の取引価格である権利金、(2)備品の売却損、(3)従業員解雇費用、(4)転業期間の利益相当額=従来の営業収益の2又は3年分、の補償を求めることができると定められています。
最初の交渉段階で「営業補償はしない」という回答だった場合でも、弁護士とともに、これらの法令を根拠に粘り強く交渉することにより、営業補償も受けられる可能性があります。一度お近くの法律事務所にご相談なさってみると良いでしょう。
<参考条文>
日本国憲法
第11条
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第29条
第1項 財産権は、これを侵してはならない。
第2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
第3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
土地収用法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
(土地の収用又は使用)
第二条 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。
(土地を収用し、又は使用することができる事業)
第三条 土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。
一 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路、道路運送法
(昭和二十六年法律第百八十三号)による一般自動車道若しくは専用自動車道(同法
による一般旅客自動車運送事業又は貨物自動車運送事業法
(平成元年法律第八十三号)による一般貨物自動車運送事業の用に供するものに限る。)又は駐車場法
(昭和三十二年法律第百六号)による路外駐車場
二 河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、若しくは準用される河川その他公共の利害に関係のある河川又はこれらの河川に治水若しくは利水の目的をもつて設置する堤防、護岸、ダム、水路、貯水池その他の施設
三 砂防法 (明治三十年法律第二十九号)による砂防設備又は同法
が準用される砂防のための施設
三の二 国又は都道府県が設置する地すべり等防止法
(昭和三十三年法律第三十号)による地すべり防止施設又はぼた山崩壊防止施設
三の三 都道府県が設置する急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
(昭和四十四年法律第五十七号)による急傾斜地崩壊防止施設
四 運河法 (大正二年法律第十六号)による運河の用に供する施設
五 国、地方公共団体、土地改良区(土地改良区連合を含む。以下同じ。)又は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が設置する農業用道路、用水路、排水路、海岸堤防、かんがい用若しくは農作物の災害防止用のため池又は防風林その他これに準ずる施設
六 国、都道府県又は土地改良区が土地改良法
(昭和二十四年法律第百九十五号)によつて行う客土事業又は土地改良事業の施行に伴い設置する用排水機若しくは地下水源の利用に関する設備
七 鉄道事業法 (昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者又は索道事業者がその鉄道事業又は索道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設
七の二 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設置する鉄道又は軌道の用に供する施設
八 軌道法 (大正十年法律第七十六号)による軌道又は同法
が準用される無軌条電車の用に供する施設
八の二 石油パイプライン事業法 (昭和四十七年法律第百五号)による石油パイプライン事業の用に供する施設
九 道路運送法 による一般乗合旅客自動車運送事業(路線を定めて定期に運行する自動車により乗合旅客の運送を行うものに限る。)又は貨物自動車運送事業法
による一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をするものに限る。)の用に供する施設
九の二 自動車ターミナル法 (昭和三十四年法律第百三十六号)第三条
の許可を受けて経営する自動車ターミナル事業の用に供する施設
十 港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)による港湾施設又は漁港漁場整備法
(昭和二十五年法律第百三十七号)による漁港施設
十の二 海岸法 (昭和三十一年法律第百一号)による海岸保全施設
十の三 津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)による津波防護施設
十一 航路標識法 (昭和二十四年法律第九十九号)による航路標識又は水路業務法
(昭和二十五年法律第百二号)による水路測量標
十二 航空法 (昭和二十七年法律第二百三十一号)による飛行場又は航空保安施設で公共の用に供するもの
十三 気象、海象、地象又は洪水その他これに類する現象の観測又は通報の用に供する施設
十三の二 日本郵便株式会社が日本郵便株式会社法
(平成十七年法律第百号)第四条第一項第一号
に掲げる業務の用に供する施設
十四 国が電波監視のために設置する無線方位又は電波の質の測定装置
十五 国又は地方公共団体が設置する電気通信設備
十五の二 電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百二十条第一項
に規定する認定電気通信事業者が同項 に規定する認定電気通信事業の用に供する施設(同法
の規定により土地等を使用することができるものを除く。)
十六 放送法 (昭和二十五年法律第百三十二号)による基幹放送事業者又は基幹放送局提供事業者が基幹放送の用に供する放送設備
十七 電気事業法 (昭和三十九年法律第百七十号)による一般電気事業、卸電気事業又は特定電気事業の用に供する電気工作物
十七の二 ガス事業法 (昭和二十九年法律第五十一号)によるガス工作物
十八 水道法 (昭和三十二年法律第百七十七号)による水道事業若しくは水道用水供給事業、工業用水道事業法
(昭和三十三年法律第八十四号)による工業用水道事業又は下水道法
(昭和三十三年法律第七十九号)による公共下水道、流域下水道若しくは都市下水路の用に供する施設
十九 市町村が消防法 (昭和二十三年法律第百八十六号)によつて設置する消防の用に供する施設
二十 都道府県又は水防法 (昭和二十四年法律第百九十三号)による水防管理団体が水防の用に供する施設
二十一 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条
に規定する学校又はこれに準ずるその他の教育若しくは学術研究のための施設
二十二 社会教育法 (昭和二十四年法律第二百七号)による公民館(同法第四十二条
に規定する公民館類似施設を除く。)若しくは博物館又は図書館法
(昭和二十五年法律第百十八号)による図書館(同法第二十九条
に規定する図書館同種施設を除く。)
二十三 社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)による社会福祉事業若しくは更生保護事業法
(平成七年法律第八十六号)による更生保護事業の用に供する施設又は職業能力開発促進法
(昭和四十四年法律第六十四号)による公共職業能力開発施設若しくは職業能力開発総合大学校
二十四 国、地方公共団体、独立行政法人国立病院機構、独立行政法人国立がん研究センター、独立行政法人国立循環器病研究センター、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター、独立行政法人国立国際医療研究センター、独立行政法人国立成育医療研究センター、独立行政法人国立長寿医療研究センター、健康保険組合若しくは健康保険組合連合会、国民健康保険組合若しくは国民健康保険団体連合会、国家公務員共済組合若しくは国家公務員共済組合連合会若しくは地方公務員共済組合若しくは全国市町村職員共済組合連合会が設置する病院、療養所、診療所若しくは助産所、地域保健法
(昭和二十二年法律第百一号)による保健所若しくは医療法
(昭和二十三年法律第二百五号)による公的医療機関又は検疫所
二十五 墓地、埋葬等に関する法律 (昭和二十三年法律第四十八号)による火葬場
二十六 と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)によると畜場又は化製場等に関する法律
(昭和二十三年法律第百四十号)による化製場若しくは死亡獣畜取扱場
二十七 地方公共団体又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(昭和四十五年法律第百三十七号)第十五条の五第一項
に規定する廃棄物処理センターが設置する同法
による一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設その他の廃棄物の処理施設(廃棄物の処分(再生を含む。)に係るものに限る。)及び地方公共団体が設置する公衆便所
二十七の二 国が設置する平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法
(平成二十三年法律第百十号)による汚染廃棄物等の処理施設
二十八 卸売市場法 (昭和四十六年法律第三十五号)による中央卸売市場及び地方卸売市場
二十九 自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号)による公園事業
二十九の二 自然環境保全法 (昭和四十七年法律第八十五号)による原生自然環境保全地域に関する保全事業及び自然環境保全地域に関する保全事業
三十 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が都市計画法
(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項 に規定する都市計画区域について同法第二章
の規定により定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内において、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し賃貸し、又は譲渡する目的で行う五十戸以上の一団地の住宅経営
三十一 国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する施設
三十二 国又は地方公共団体が設置する公園、緑地、広場、運動場、墓地、市場その他公共の用に供する施設
三十三 独立行政法人日本原子力研究開発機構が独立行政法人日本原子力研究開発機構法
(平成十六年法律第百五十五号)第十七条第一項第一号
から第三号 までに掲げる業務の用に供する施設
三十四 独立行政法人水資源機構が設置する独立行政法人水資源機構法
(平成十四年法律第百八十二号)による水資源開発施設及び愛知豊川用水施設
三十四の二 独立行政法人宇宙航空研究開発機構が独立行政法人宇宙航空研究開発機構法
(平成十四年法律第百六十一号)第十八条第一項第一号
から第四号 までに掲げる業務の用に供する施設
三十四の三 独立行政法人国立がん研究センター、独立行政法人国立循環器病研究センター、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター、独立行政法人国立国際医療研究センター、独立行政法人国立成育医療研究センター又は独立行政法人国立長寿医療研究センターが高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律
(平成二十年法律第九十三号)第十三条第一号
、第十四条第一号、第十五条第一号若しくは第三号、第十六条第一号若しくは第三号、第十七条第一号又は第十八条第一号若しくは第二号に掲げる業務の用に供する施設
三十五 前各号のいずれかに掲げるものに関する事業のために欠くことができない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路、池井、土石の捨場、材料の置場、職務上常駐を必要とする職員の詰所又は宿舎その他の施設
(損失補償の方法)
第七十条 損失の補償は、金銭をもつてするものとする。但し、替地の提供その他補償の方法について、第八十二条から第八十六条までの規定により収用委員会の裁決があつた場合は、この限りでない。
(替地による補償)
第八十二条 土地所有者又は関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者及び第八条第四項の規定により関係人に含まれる者を除く。以下この条及び第八十三条において同じ。)は、収用される土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の全部又は一部に代えて土地又は土地に関する所有権以外の権利(以下「替地」と総称する。)をもつて、損失を補償することを収用委員会に要求することができる。
2 土地所有者又は関係人が起業者の所有する特定の土地を指定して前項の規定による要求をした場合において、収用委員会は、その要求が相当であり、且つ、替地の譲渡が起業者の事業又は業務の執行に支障を及ぼさないと認めるときは、権利取得裁決において替地による損失の補償の裁決をすることができる。
3 土地所有者又は関係人が土地を指定しないで、又は起業者の所有に属しない土地を指定して第一項の規定による要求をした場合において、収用委員会は、その要求が相当であると認めるときは、起業者に対して替地の提供を勧告することができる。
4 前項の規定による勧告に基いて起業者が提供しようとする替地について、土地所有者又は関係人が同意したときは、収用委員会は、替地による損失の補償の裁決をすることができる。
5 第三項の規定による勧告があつた場合において、国又は地方公共団体である起業者は、地方公共団体又は国の所有する土地で、公用又は公共用に供し、又は供するものと決定したもの以外のものであつて、且つ、替地として相当と認めるものがあるときは、その譲渡のあつ旋を収用委員会に申請することができる。
6 前項の規定による申請があつた場合において、収用委員会は、その申請を相当と認めるときは、国又は地方公共団体に対し、替地として相当と認めるものの譲渡を勧告することができる。
7 起業者が提供すべき替地は、土地の地目、地積、土性、水利、権利の内容等を総合的に勘案して、従前の土地又は土地に関する所有権以外の権利に照応するものでなければならない。
(耕地の造成)
第八十三条 土地所有者又は関係人は、前条第一項の規定による要求をする場合において、収用される土地が耕作を目的とするものであるときは、その要求にあわせて、収用される土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金に代る範囲内において、同条第七項の規定の趣旨により、替地となるべき土地について、起業者が耕地の造成を行うことを収用委員会に要求することができる。
2 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、権利取得裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、耕地の造成による損失の補償を替地による損失の補償にあわせて裁決することができる。
3 前項の場合において、起業者が国以外の者であるときは、収用委員会は、必要があると認めるときは、同時に起業者が耕地の造成のための担保を提供しなければならない旨の裁決をすることができる。
4 前項の規定による担保は、収用委員会が相当と認める金銭又は有価証券を供託することによつて、提供するものとする。
5 起業者が工事を完了すべき時期までに工事を完了しないときは、土地所有者又は関係人は、収用委員会の確認を得て前項の規定による担保の全部又は一部を取得する。この場合において、起業者は、収用委員会の確認を得て耕地の造成による損失の補償の義務を免かれるものとする。
6 起業者は、工事を完了したときは、収用委員会の確認を得て第四項の規定による担保を取りもどすことができる。
7 前二項の規定による担保の取得及び取りもどしに関する手続は、国土交通省令で定める。
(工事の代行による補償)
第八十四条 第七十五条の場合において、起業者、土地所有者又は関係人は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを収用委員会に要求することができる。
2 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、明渡裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、工事の代行による損失の補償の裁決をすることができる。
3 前条第三項から第七項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項及び第五項中「耕地の造成」とあるのは、「工事の代行」と読み替えるものとする。
(移転の代行による補償)
第八十五条 第七十七条に規定する場合において、起業者又は物件の所有者は、移転料の補償に代えて、起業者が当該物件を移転することを収用委員会に要求することができる。
2 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、明渡裁決において移転の代行による損失の補償の裁決をすることができる。
(宅地の造成)
第八十六条 第七十七条の規定により建物を移転しようとする場合において、移転先の土地が宅地以外の土地であるときは、土地所有者又は関係人は、第七十一条、第七十二条、第七十四条、第八十条の二及び第八十八条の規定による損失の補償の一部に代えて、起業者が宅地の造成を行うことを収用委員会に要求することができる。
2 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、権利取得裁決又は明渡裁決において工事の内容を定めて宅地の造成による損失の補償の裁決をすることができる。
(通常受ける損失の補償)
第八十八条 第七十一条、第七十二条、第七十四条、第七十五条、第七十七条、第八十条及び第八十条の二に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。
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