サジェスト汚染、関連する検索キーワード汚染問題 (最終更新日平成24年11月21日)


インターネットの検索サイトの検索窓に、検索ワードを入力すると、検索候補が表示されることがあります。いわゆるサジェスト機能(他の検索キーワードを示唆する機能)ですが、自分の名前や、自社の名前を入力したときに、「○○ 逮捕」や「○○ 詐欺」など、不名誉な検索候補が表示されてしまい、困ってしまう場合があります。いわゆる「サジェスト汚染」の問題です。

また、自分の名前や、自社の名前で、検索結果を表示させたときに、検索結果画面の下部に、「○○に関連する検索キーワード」として、「○○ 逮捕」や「○○ 詐欺」などの不名誉な検索ワードがリンク(ハイパーテキスト)付きで表示され、これをクリックすると、「○○ 逮捕」や「○○ 詐欺」を検索ワードとする新しい検索結果画面が表示されてしまい、そのうちのひとつをクリックすると、名誉毀損記事を発信しているサイトが表示されてしまい、困ってしまう場合があります。いわゆる「関連キーワード汚染」の問題です。

サジェスト機能については、平成25年4月15日に東京地方裁判所で、犯罪行為を連想する単語がサジェスト表示された事案で、検索サイト側に対して表示差し止めと慰謝料30万円の支払いを認めた判決がありました。他方、平成25年5月30日には、別の案件で、東京地方裁判所で、サジェスト機能により犯罪行為への関与を連想される単語が表示されたという事案で、名誉毀損の成立を認めなかった判決もありました。ケースバイケースで判断されるということになりですが、単語の並列表示だけで、人の社会的評価を低下させるような事実の開示にあたるかどうかという問題になります。

インターネットが普及する以前であれば、例えば「○○ 逮捕」という文字列をどこかの看板に書き込んだ行為があったとしても、その単語の羅列だけでは、なんら具体的な事実を特定しているものではありませんので、名誉毀損にはあたらず、侮辱行為の成立可能性があるに過ぎませんので、刑法上の名誉毀損罪や、名誉毀損を原因とする民事上の差止請求権や損害賠償請求権が認容される可能性は低かったと言えますが、インターネットが普及した現代においては、「○○ 逮捕」という単語の並列だけであったとしても、ハイパーテキスト(リンク)付きで、そこをクリックすると、その単語の組み合わせで検索エンジンに検索クエリを送信したことになり、その単語の組み合わせに対する無数の検索結果が表示されるということになります。そして、その検索結果のうちのひとつのURLをクリックした結果、名誉毀損の事実が閲覧者に開示されるという結果を生ずるようになりました。これは、インターネットの発達によって初めて顕在化した、新しいタイプの法律問題だと思います。

この問題で、サジェスト汚染や、関連キーワード汚染を解消するためには、2つのアプローチが考えられます。まず第一は、サジェストワードや、関連キーワードを表示している、検索エンジンの会社に対して、削除要請の交渉を行うことです。具体的に生じている問題を特定し、名誉毀損あるいはプライバシー侵害の結果になっているので、これを削除して下さい、ということを、法的に説明して、削除要請することになります。検索エンジンに対する削除要請は、弁護士が代理人となって通知・送信することができます。

もうひとつは、サジェストワードをクリックしたり、関連キーワードをクリックした時の、検索結果画面に表示されるURLのインターネット記事を発信している各サイトの管理者に対して、記事の削除請求を行うことです。検索結果のURLのデータを削除し、検索エンジンに対して、検索データベースのキャッシュ更新・削除申請を行えば、検索結果からも削除されることになります。そして、例えば、「○○ 逮捕」や「○○ 詐欺」の検索結果がゼロ件となった場合は、それに関するサジェストワードや、関連キーワードも「自動的に」削除されることになります。検索エンジンの運営会社では、他の検索利用者の検索動向や、検索結果の件数や各サイトの重要性などから、サジェストワードや関連キーワードを生成しており、検索結果が無くなってしまえば、生成されることも無くなると考えられるのです。検索結果に表示される各サイトへの交渉についても、弁護士が代理人となって通知・送信を行うことが可能です。

サジェスト汚染や、関連キーワード汚染でお困りの場合は、一度お近くの法律事務所に御相談なさってみると良いでしょう。


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