措置入院の診察日時における立ち会い(最終更新平成24年11月27日)

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家族が措置入院させられそうだ、という相談があります。親戚と遺産分割でもめていたら、保健所に通報されて措置入院させられた、近所トラブルで警察に逮捕され検察官から保健所に通報されて措置入院させられた、という事案が多いです。措置入院(強制入院)する病院は、精神科専門の指定病院です。各病棟・病室が施錠されて、行動の自由にも制約があり、患者本人の意思で自由に退院することはできないものです。

精神保健福祉法23条では、「精神障害者又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。」と規定されておりますし、24条では警察官、25条では検察官の通報義務が規定されています。統合失調症などの精神疾患では、幻覚や妄想などの症状が現れることがあり、自傷または他害行為の危険が極めて高くなりますので、これを未然に防ぎ、速やかに適切な治療を受けることにより精神疾患の回復を促す、というのがこの法律の制度趣旨になります。

精神保健福祉法24条 警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
同25条1項 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第33条第1項 の申立てをしたときは、この限りでない。

自傷又は他害行為のおそれのある精神障害者の通報や申請があった場合、都道府県知事は、指定医の診察日時を決め、これを対象者の保護者に通知します(精神保健福祉法28条1項)。実務上は、同居の家族などに数日前に電話連絡があり、診察当日に保健所職員から「診察通知書」を交付されることが多いようです。診察通知書の例はこちらを参照下さい。

精神保健福祉法28条1項(診察の通知)都道府県知事は、前条第一項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時及び場所をその者に通知しなければならない。
2項 後見人又は保佐人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第1項の診察に立ち会うことができる。


通知を受けた同居の家族など保護者は、指定医の診察に立ち会うことができます(精神保健福祉法28条2項)。この場合、保護者から委任を受けた代理人弁護士が立ち会うことができると解釈されています。指定医の診察は、別々の医療機関で、2回行われるのが一般的です。指定医の診察は拒否することができません(精神保健福祉法22条)。

指定医の診察は、次のような状況で行われることが多いようです。

「指定医」
「対象者」
「立ち会い警察官3名」
「立ち会い保健所職員2名」
「立ち会い保護者=同居親族又は代理人弁護士」

診察時間は、15分から30分程度で、初対面の医師が、対象者に対して様々な質問をしていきます。この診察は、例えば統合失調症などの病名を診断するための診察ではなく、「措置入院相当事案かどうか」ということを判断するための診察ですので、一般的に用いられている米国精神医学会のDSM-Wや、WHOのICD-10などは用いられません。措置入院させるべきかどうかは、精神保健福祉法28条の2により、厚生労働大臣の定める基準に従って判断されます。基準の詳細は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第28条の2の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準 」が厚生労働省告示として定められています。基準には「統合失調症圏」という記載があり、必ずしも統合失調症の診断レベルまで要求されていないことが明示されています。

基準の一部を引用します。

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精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25 年法律第123 号。以下「法」という。)第29 条第1項の規定に基づく入院に係る精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある旨の法第18 条第1項の規定により指定された精神保健指定医による判定は、診察を実施した者について、入院させなければその精神障害のために、次の表に示した病状又は状態像により、自殺企図等、自己の生命、身体を害する行為(以下「自傷行為」という。)又は殺人、傷害、暴行、性的問題行動、侮辱、器物破損、強盗、恐喝、窃盗、詐欺、放火、弄火等他の者の生命、身体、貞操、名誉、財産等又は社会的法益等に害を及ぼす行為(以下「他害行為」といい、原則として刑罰法令に触れる程度の行為をいう。)を引き起こすおそれがあると認めた場合に行うものとすること。
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※参考URL
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into.html (厚生労働省の統合失調症解説ページ)
http://prit.igakuken.or.jp/Ja/PSchizo_Dep/TSchizo/kango.html (東京都精神医学総合研究所の解説ページ)

指定医の診察では、次のような質問がなされるようです。

「氏名は?」
「生年月日は?」
「住所は?」
「同居の親族はどなたですか?」
「日常生活の様子を教えてください」
「職業は何ですか?仕事の様子を教えてください」」
「今回のトラブルの原因を説明してください」
「今までに喧嘩をしたことがありますか?」
「死にたいと思ったことはありますか?」
「友達は居ますか?」


ここで驚くべきことは、第三者から見て普通に受け答えをしているように見えていても、簡単に「措置入院相当」の診断がついてしまうことです。例えば、捜査機関の保健所に対する通報の場合、捜査機関側が事前に疎明資料を提出して医師の先入観を確保しようとする場合が有りますから、これに対応して弁護人等が本人側の資料を提出して真実を説明する必要があります。対象者本人や家族の立場になって考えれば、長期の身柄拘束を伴う措置入院を決める手続きですから、間違いの無いようにしっかり診察して欲しいと考えるのが当然です。立ち会いを許された同居親族や代理人弁護士は、指定医に対して、事前の面談を求めたり、有利な資料を提出し本人が説明しにくい事情を代わりに説明したりして、措置入院相当の診断を回避するための努力をするべきでしょう。

措置入院決定後は、精神保健福祉法29条の4に基づく措置入院解除のための再診察を受けることにより、措置入院解除決定を受けて退院することができます。また、措置入院は行政手続ですので、行政不服審査法に基づいて、異議申し立てを行ったり、行政事件訴訟法に基づいて、行政処分取消訴訟を提起することができます。措置入院は、重度の精神疾患に掛かっていて入院が必要であるというような場合であれば問題ありませんが、親戚トラブルや近所トラブルなどで、喧嘩の時の誤解が発端となって申請された場合などは、注意が必要です。経験のある法律事務所に相談し、慎重に対応すると良いでしょう。


<参考条文>

※精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

第二十二条 保護者は、精神障害者に治療を受けさせ、及び精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。
2項 保護者は、精神障害者の診断が正しく行われるよう医師に協力しなければならない。
3項 保護者は、精神障害者に医療を受けさせるに当たつては、医師の指示に従わなければならない。

(診察及び保護の申請)
第二十三条  精神障害者又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。
2  前項の申請をするには、左の事項を記載した申請書をもよりの保健所長を経て都道府県知事に提出しなければならない。
一  申請者の住所、氏名及び生年月日
二  本人の現在場所、居住地、氏名、性別及び生年月日
三  症状の概要
四  現に本人の保護の任に当つている者があるときはその者の住所及び氏名
(警察官の通報)
第二十四条  警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
(検察官の通報)
第二十五条  検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役、禁錮又は拘留の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判を除く。)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 (平成十五年法律第百十号)第三十三条第一項 の申立てをしたときは、この限りでない。
2  検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者若しくはその疑いのある被疑者若しくは被告人又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 の対象者(同法第二条第三項 に規定する対象者をいう。第二十六条の三及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。
(保護観察所の長の通報)
第二十五条の二  保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いのある者であることを知つたときは、すみやかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。
(矯正施設の長の通報)
第二十六条  矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の長は、精神障害者又はその疑のある収容者を釈放、退院又は退所させようとするときは、あらかじめ、左の事項を本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に通報しなければならない。
一  本人の帰住地、氏名、性別及び生年月日
二  症状の概要
三  釈放、退院又は退所の年月日
四  引取人の住所及び氏名
(精神科病院の管理者の届出)
第二十六条の二  精神科病院の管理者は、入院中の精神障害者であつて、第二十九条第一項の要件に該当すると認められるものから退院の申出があつたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。
(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る通報)
第二十六条の三  心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第六項 に規定する指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長は、同法 の対象者であつて同条第五項 に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
(申請等に基づき行われる指定医の診察等)
第二十七条  都道府県知事は、第二十三条から前条までの規定による申請、通報又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。
2  都道府県知事は、入院させなければ精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあることが明らかである者については、第二十三条から前条までの規定による申請、通報又は届出がない場合においても、その指定する指定医をして診察をさせることができる。
3  都道府県知事は、前二項の規定により診察をさせる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。
4  指定医及び前項の当該職員は、前三項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。
5  第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第二十七条第四項」と、「当該職員」とあるのは「指定医及び当該職員」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第二十七条第四項」と読み替えるものとする。
(診察の通知)
第二十八条  都道府県知事は、前条第一項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時及び場所をその者に通知しなければならない。
2  後見人又は保佐人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第一項の診察に立ち会うことができる。
(判定の基準)
第二十八条の二  第二十七条第一項又は第二項の規定により診察をした指定医は、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該診察をした者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を行わなければならない。
(都道府県知事による入院措置)
第二十九条  都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2  前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
3  都道府県知事は、第一項の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。
4  国等の設置した精神科病院及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第十九条の八の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第一項又は次条第一項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第一項の精神障害者を入院させなければならない。
第二十九条の二  都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条、第二十八条及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2  都道府県知事は、前項の措置をとつたときは、すみやかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置をとるかどうかを決定しなければならない。
3  第一項の規定による入院の期間は、七十二時間を超えることができない。
4  第二十七条第四項及び第五項並びに第二十八条の二の規定は第一項の規定による診察について、前条第三項の規定は第一項の規定による措置を採る場合について、同条第四項の規定は第一項の規定により入院する者の入院について準用する。
第二十九条の二の二  都道府県知事は、第二十九条第一項又は前条第一項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。
2  都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。
3  都道府県知事は、第一項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療又は保護に欠くことのできない限度において、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限を行うことができる。
第二十九条の三  第二十九条第一項に規定する精神科病院又は指定病院の管理者は、第二十九条の二第一項の規定により入院した者について、都道府県知事から、第二十九条第一項の規定による入院措置を採らない旨の通知を受けたとき、又は第二十九条の二第三項の期間内に第二十九条第一項の規定による入院措置を採る旨の通知がないときは、直ちに、その者を退院させなければならない。
(入院措置の解除)
第二十九条の四  都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。
2  前項の場合において都道府県知事がその者を退院させるには、その者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められることについて、その指定する指定医による診察の結果又は次条の規定による診察の結果に基づく場合でなければならない。
第二十九条の五  措置入院者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

※行政不服審査法

(処分についての審査請求)
第五条  行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
一  処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。
二  前号に該当しない場合であつて、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
2  前項の審査請求は、同項第一号の場合にあつては、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に特別の定めがある場合を除くほか、処分庁の直近上級行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に対してするものとする。

(処分についての異議申立て)
第六条  行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。
一  処分庁に上級行政庁がないとき。
二  処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
三  前二号に該当しない場合であつて、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。
 第三節 処分についての異議申立て

(異議申立期間)
第四十五条  異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。

(誤つた教示をした場合の救済)
第四十六条  異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)において、その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書を当該処分庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2  前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは、はじめから処分庁に異議申立てがされたものとみなす。

(決定)
第四十七条  異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2  異議申立てが理由がないときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを棄却する。

3  処分(事実行為を除く。)についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、異議申立人の不利益に当該処分を変更することができず、また、当該処分が法令に基づく審議会その他の合議制の行政機関の答申に基づいてされたものであるときは、さらに当該行政機関に諮問し、その答申に基づかなければ、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更することができない。
4  事実行為についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更するとともに、決定で、その旨を宣言する。ただし、異議申立人の不利益に事実行為を変更することができない。
5  処分庁は、審査請求をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には、異議申立人が当該処分につきすでに審査請求をしている場合を除き、決定書に、当該処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査庁及び審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。
(審査請求に関する規定の準用)
第四十八条  前節(第十四条第一項本文、第十五条第三項、第十七条、第十八条、第二十条、第二十二条、第二十三条、第三十三条、第三十四条第三項、第四十条第一項から第五項まで、第四十一条第二項及び第四十三条を除く。)の規定は、処分についての異議申立てに準用する。


※行政事件訴訟法

(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第八条  処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2  前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
一  審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
二  処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
三  その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
3  第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
(原告適格)
第九条  処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2  裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(取消しの理由の制限)
第十条  取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2  処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
(被告適格等)
第十一条  処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一  処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二  裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2  処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
3  前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
4  第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
一  処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
二  裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
5  第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
6  処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
(管轄)
第十二条  取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2  土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。
3  取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。
4  国又は独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。
5  前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。




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