先物取引の被害救済(平成19年8月8日)
1、商品先物取引とは、6ヶ月〜1年後に商品を売ったり買ったりする権利を売買する取引です。製造業などの原材料の調達を安定させるための制度です。商品取引所法、商品投資に係る事業の規制に関する法律、海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律などで規制されています。株式の信用取引と同様、先に売ってから(将来買う権利を買う)後で買うこと(将来買う権利を売る)もできます。先物取引は、原材料の安定調達という本来の目的で用いられる場合は全く問題がありませんが、信用取引によって自己資金の10倍以上の売買が出来るため、投機目的で取引に参加する個人消費者も少なくありません。商品会社の違法な勧誘や無断売買により、個人消費者が莫大な損害を被る場合もあります。
2、先物取引は、商品総代金の5〜10パーセントの委託証拠金を取次業者に預託して取引を開始しますが、証拠金の半額の損害(2.5〜5パーセントの損害)が出た場合、委託追証拠金(追い証)を請求されます。支払わない場合、取次業者(商品会社)は、取引所の規則で、客の許可を得ずに、権利を処分することもできます。この場合は、取引手数料や売買差損を合計すると、証拠金が全て無くなってしまうことになります。
3、先物取引の消費者被害で、最も重要なのは、商品会社が手じまい取引に応じない場合です。「もう少し辛抱すれば儲かります」「証拠金が不足しているので処理できません」などと言われ、手じまいできないのです。「今まで納めた保証金が無くなってしまいますよ」と脅されて、追加の保証金を要求されることもあります。
4、追い証を入れると、多額の手数料収入を得るために、「手じまいはできませんが、両建てならできます」「保険をかけておきましょう」などと、同一銘柄で反対取引を勧誘するなどして、いわゆる「客殺し」の手法を用いて損害を拡大させていく悪質な業者も残念ながら多くあるのが現状です。
5、海外商品先物取引委託契約の場合は、契約後14日以内はクーリングオフ期間として電話等による売買注文が出来ないことになっています(海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律8条)。
6、対策としては、商品先物取引協会に調査等申立、経済産業省への業務停止命令等の申立、民事裁判、刑事告訴などがあります。早期に弁護士に相談されると良いでしょう。
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